21世紀のキーワード―平和・人権・環境

長野県平和・人権・環境労働組合会議

福島原発事故から11年-3月11日当日、脱原発への決意新たに

放射能汚染が今も住民を苦しめている現実を見据えよう

2011年3月11日14時46分、東日本一帯を襲った巨大地震。地震と津波によって、犠牲者は約1万8千人、行方不明者は約2千8百人にのぼりました。

東京電力福島第一原子力発電所は、電源喪失によって冷却機能を失い、核燃料が原子炉を突き破って溶け落ちる「メルトダウン」を引き起こしました。

東日本全域に放射能が飛散し、福島原発の近隣では、いまだに高濃度の放射能汚染によって住民が帰還できない地域が広がっています。

たった一度の原発事故で、多くの市民が平穏な生活を奪われ、健康被害におびえることになってしまいました。

原発事故の被害にあった市民の苦難は、これから何十年も続きます。

私たちはこの現実を忘れてはならないし、二度と繰り返さないために脱原発社会をめざす決意を12回目の3・11に改めて誓い合いました。

長野駅前で約40人がスタンディング - 14時46分に黙とう

市民団体や県原水禁などでつくる脱原発長野行動実行委員会は3月11日、長野駅前に約40人が集まり、福島原発事故を忘れず、脱原発社会への進路の転換を訴えるスタンディングを行い、地震が発生した14時46分には、参加者が黙とうをささげました。また、ハンドスピーカーを使って道行く市民にアピールしました。

「当たり前の日常が奪われた現実を忘れない」 

        松澤佳子さん(県労組会議議長)のスピーチ

11年前の3月11日の1か月後、ボランティアで福島に入った。自分のお母さんくらいの女性に「本当によく来てくれた」と手を握られた。原発事故にあった福島の人々ががいかに孤立させられていたかを感じた。福島のお母さんたちは子どもにマスクをつけさせるか、つけさせないか、避難をするか、しないかと、仲の良かった家族や友人たちが分断され、対立させられていました。帰還困難地域はいまだに存在し、除染をしても森林、山は全く手がついていない。新しい役場はできても暮らせるインフラはない。当たり前の日常が奪われて11年、この現実を忘れてはならない。

「『住民なき自治体』での復興事業への疑問」

        兒玉聖史さん(自治労県本部青年部長)のスピーチ

福島原発事故は、原発の技術というものは、ひとたび事故が起きれば、その地域に立ち入ることができない、容易に戻ることはできない、大きな負荷を私たちに与えるのだと教訓として教えてくれている。まさしく故郷を失うというとても大きな損失をもたらすことを私たちは学んだ。だからこそ、どのようにこの技術と向き合うのか、このままこの技術を推進していって大丈夫なのだろうかと問われている。地域の復興に携わっている自治労の仲間と意見交換をしたことがある。復興事業をしながら悩んでいる仲間がいた。自治とは何なのか?人と人が集まって、つながって集団となり町になる、地域になるというなかで、「誰もいない空っぽの町の外側をきれいに飾っている、そんな変な感じがする。救うべき人がわからない、目に見えない」と言っていた。霧をつかむような感覚、住民なき自治体に疑問を感じている仲間。いま彼はどういう思いでやっているのか?、復興が進み、彼らの思い、やりがいはどこにあるのだろう。思い出すたびにモヤモヤする思いだ。原子力発電所の事故は人と人とのつながりを引き裂くとても恐ろしいのものだと感じた。

「『原発いいよ、仕方ねえべよ』とは言えない」

        草野麻理子さん(いわき市からの自主避難者)のスピーチ

私は、2011年の福島原発事故の影響で、福島県いわき市から長野市に自主避難した。毎年この日のこの時間になると、胸がザワザワして、苦しくなる。あのときの大津波で大勢の人が亡くなった。あのときを経験した自分にも、振り返れば大きな変化があった。家族や地元を離れ長野市での生活が始まった。3.11前は社会の動きに殆ど関心がなく、原発のことなど何も知らなかったこと。事故が起きて初めて原発の恐ろしさを知った。ロシアが攻撃した欧州最大のザポリージャ原発は世界で3番目の規模。そこで、1番はどこなんだろう?と思っていたら、なんと、柏崎刈羽原発だった。ここから、直線距離で93.5キロの原発が、世界で1番大きな原発だなんて。原発が戦争の道具・おどしに使われている今、決して安全とは言えないことを証明しているようなものだ。私たち長野県民にとっても、今のウクライナの状況を対岸の火事とはせず、備えないといけないといけないと考えるべきだ。今年に入って、福島県沖で水揚げされたクロソイという魚から基準値100ベクレルを超える1400ベクレルの放射性セシウムが検出された。昨年12月に出荷制限が解除されたばかり。これに加えて汚染水の海洋放出をしたら、どうなってしまうのか。私が小さな子どもの母親だったら、福島県そして近隣の海で獲れた魚は食べない、食べさせたくないというのが正直なところだ。事故から11年…私は、これまでの福島第一原発の状況をみていながら、これ以上原発に頼ってエネルギーづくり、そして、子どもや孫たちにその管理を、行く末を押し付けていくなんて、「うんいいよ、仕方ねえべよ」とはどうしても、いえない。原発事故を経験した者としてのせめてもの責任と感じている。

☞3.11脱原発長野行動の動画はこちら

ロシアのウクライナへの軍事侵攻から1カ月-3月24日、いっせいに反戦の声をあげよう!

ロシアはウクライナへの軍事侵攻を直ちに中止を!

プーチン大統領は核兵器による威嚇、原発の占拠をやめろ!

即時停戦、国際社会との対話による平和的な解決を!

2月24日、ロシア軍がウクライナへ軍事侵攻をしてから間もなく1カ月になろうとしています。ロシア軍は、病院・住宅などの民間施設などにも爆撃を行い、多くの市民の死傷者が出ています。

いかなる理由があろうが、主権国家への軍事侵攻は絶対に認められません。ロシアはただちに軍事侵攻を停止し、話し合いによる解決を図るべきです。また、核兵器による威嚇や原発の占拠などは、ヒロシマ・ナガサキで核兵器の使用、福島第一原発での放射能被害を経験した日本人にとって、絶対に許せない行為です。

3月24日には、軍事侵攻からちょうど1カ月を迎えます。ちょうど1カ月の節目の日に、軍事侵攻に抗議し、即時停戦を求めて、みんなでいっせいに反戦と抗議の意思を示しましょう。

◆3月24日に街頭・繁華街でプラカードをもって反戦・平和の意思を示しましょう。

◆ロシア大使館に抗議の声を届けましょう。

◆ウクライナへ避難民支援の募金を届けましょう。

ロシア軍はウクライナの原発から直ちに撤退を-日本原水禁が声明を発表

ロシア軍のウクライナ軍事侵攻は、ウクライナの市民社会へ大きなダメージを与えています。その中でロシア軍は、ジュネーブ条約で禁じられている原子力発電所への攻撃を始めました。欧州でも有数の原発立地国ウクライナには、事故を起こし運転を停止したチェルノブイリ原発を除いて、4カ所15基の原発があります。初めての原発立地地域での戦闘は、日本にとっても他人事ではありません。原水爆禁止日本国民会議(日本原水禁)は、ロシアの暴挙に抗議し、「脱原発社会」の実現を訴える声明を発表しました。

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日本原水禁声明:原発事故を誘発するロシアの軍事占拠を許さない

ウクライナの原子力企業エネルゴアトムは、3月8日、ウクライナ北部のチョルノービリ(チェルノブイリ)原発で電力供給が停止したため、貯蔵中の使用済み核燃料を冷却する電源が失われたと発表しました。また、原子力機関(IAEA)が設置した監視システムからのデータ送信が、停止したことも明らかになりました。翌日9日、国際原子力機関(IAEA)は、ウクライナ南東部のザポリージャ(ザポロジエ)原発でも設置された監視システムからのデータ送信が停止したことを明らかにしました。

チョルノービリ原発について、IAEAやウクライナ外相は、運転停止から相当の時間経過があり「安全性への致命的な影響はない」としていますが、3月4日に戦闘があったザポリージャ原子力発電所では、1基の原発が稼働中で、変圧器や外部高圧電線の損傷などが報告されています。詳細は不明ですが事故につながることが懸念されます。チョルノービリ、ザポリージャ両原発は、現在ロシア軍に占拠されており、通常の管理体制が保証されていません。原発従事者もロシア軍の拘束下におかれての業務遂行が強要され、ロシアは原発の管理権はロシア側の手にあると主張しています。

チョルノービリ原発では、使用済み核燃料貯蔵施設付近で、ザポリージャ原発では、原発に隣接する訓練施設で銃撃戦が起きました。また、核物質を扱うハリコフの国立物理技術研究所へもミサイル攻撃が行われています。幸いにも今のところ過酷事故にはつながってはいませんが、状況次第ではチョルノービリ原発や福島原発事故のような、放射性物質を外部環境に放出する事故も予想されます。ジュネーブ条約が禁じている原子力施設への攻撃は、断じて許されるものではありません。

軍事占領下で、万が一原発事故が起これば、事態への対応は混乱を極めることが予想されます。事故の拡大と放射能被害は、ウクライナにとどまらず、ヨーロッパや中東、ロシアからアジア諸国へ拡がる事が懸念されます。人類の生命と地球環境に大きな影響を与えるもので、ロシア政府は、原子力施設への攻撃と占拠を直ちに止め、異常事態が続く原子力施設を解放しなければなりません。

ウクライナには、他にもリウネ、フメルニツキー、南ウクライナの3カ所、9基の原発(ザポリージャを含んで計15基)が存在し、ロシア軍は南ウクライナ原発占拠に動いていると伝えられます。軍事戦略上の理由で原発を戦火に巻き込むことは、核兵器の使用と同様に非人道的行為であり、人類に対する犯罪といえるものです。原水禁は、軍事占拠を止めて一刻も早く原発を通常の状態に戻すこと、そして、ロシア軍はウクライナから撤退することを強く求めます。

原発立地地域での初めての戦争は、私たちに様々な教訓を運んでいます。原発の抱える様々なリスクを改めて認識し、脱原発を早期に実現することが求められています。原水禁は、多くの市民と共に、さようなら原発の運動を拡大し、脱原発社会へのとりくみを強化していきます。

2022年3月13日

原水爆禁止日本国民会議 共同議長 川野浩一/金子哲夫/藤本泰成

長野駅前でロシアのウクライナ軍事侵攻に抗議するスタンディング

1000人委員会、九条の会など6団体から50人が参加

県内在住のロシア人女性も飛び入りで抗議行動に参加

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻、武力行使によって、ウクライナの市民約2000人が死亡し、100万人を超える人々が国外退避しています。

いかなる理由があったとしても、主権国家への一方的な武力行使、軍事侵攻は断じて認めることはできません。ロシアは「自衛のための侵攻」と主張していますが、戦前の日本軍を持ち出すまでもなく、過去の戦争は必ずといっていいほど「自衛」を理由にした「侵略」が行われています。ロシアはただちに軍事侵攻を中止し、ウクライナや関係諸国と平和的な解決を図るべきです。

また、プーチン大統領は「ロシアは、ソ連が崩壊したあとも最強の核保有国の一つだ。ロシアへの直接攻撃は、敗北と壊滅的な結果をもたらす」などと、核兵器の使用をちらつかせて米欧を強く牽制しました。また、戦略的核抑止部隊に「特別警戒」を命令し、最高レベルの「警戒態勢」を取り、核兵器が使用される危険性が一気に高まっています。プーチン大統領の核兵器による威嚇や、核兵器の使用を可能とする態勢づくりは断じて認めることはできません。強く抗議します。

戦争をさせない1000人委員会や県護憲連合、県原水禁、九条の会、県憲法会議、県労連の6団体は3月4日の昼休み、ロシアに抗議の意思を示し、即時停戦を求める緊急スタンディング行動を長野駅前で実施しました。緊急行動にもかかわらず約50人が参加し抗議の意思を表しました。また、偶然通りかかったロシア人女性も飛び入りでスタンディングの列に参加してくれました。

参加者一人ひとりが、「STOP WAR」「ウクライナに平和を」などと書かれたプラカードや、「ロシアのウクライナへの軍事侵攻に抗議します」「即時停戦」などと書いた横断幕をもってスタンディングを行いました。ウクライナの民衆に連帯するため、ウクライナ国旗の水色と黄色で色を付けたプラカードや横断幕がほとんどでした。

マイクをもって6人がリレートーク。

県護憲連合代表委員の松澤佳子さんは、「『平和維持のためにウクライナに派兵する』とロシアのプーチン大統領は発言しているが、旧日本軍もアジア太平洋戦争の際に、同じような理由で中国へ派兵したことから戦争が拡大していった。先ほどお昼のニュースで、ウクライナの原発で火災が起きているという報道があった。原発の周辺で戦闘が起きているようだ。チェルノブイリ原発事故、福島原発事故のような大事故が起きないか心配だ。ロシア軍はただちに戦闘を停止して、ウクライナから撤退すべき」などとアピールしました。

「一般市民はだれも戦争を望んでいない。けれども戦争で犠牲になるのは常にそうした一般市民だ」-中村宏典さんのアピール

県労組会議青年女性連絡会の中村宏典さん(自治労)は、若い世代を代表して、下記のようにアピールしました。

「ウクライナとロシアは兄弟国といわれるほど関係が近い。もともとロシアの起源はウクライナの首都キエフからはじまっているようで、日本でいえば、ウクライナのキエフが京都、モスクワが東京といえるような近しい関係という。今回の戦争は、日本でいえば東京と京都で戦争しているようなもの。そう考えると今回のロシアのウクライナ侵攻の罪深さをいっそう感じるのではないか。報道では、ウクライナから逃げる人たちの中にも、ロシアで反戦を訴える人の中にも、自分のルーツがウクライナにもロシアにもある人がたくさんいて、異口同音に『兄弟のような国なのになんで…』と、今回の戦争を嘆き、一刻も早い停戦を望んでいる。一般市民はだれも戦争なんて望んでいない。けれども戦争で犠牲になるのは常にそうした一般市民だ。戦争を主導する権力者は自分は傷つくことのない安全な場所で命令を下している。この矛盾が戦争を許せない大きな理由の一つだ」と強調しました。

続いて中村宏典さんは「今回、もう一つ許せないのは核兵器をめぐる発言だ。プーチン大統領はことあるごとに核兵器の使用をちらつかせながらウクライナに仕掛けた戦争に他国が介入するのをけん制している。今年の1月に、ロシアを含む核保有国で『核戦争をしないこと』を盛り込んだ共同声明を発表したばかりだ。その共同声明を主導したとアピールしたのがロシアだったはずなのに、その舌の根も乾かないうちに核兵器使用を脅しにつかっている」とプーチン大統領の核兵器威嚇発言を批判しました。

さらに中村宏典さんは「これまで、若い仲間とともに反核平和の火リレーにとりくんできた。栄村の副村長は広島県出身で、核兵器の被害も記憶していて、反戦・反核に強い思いを込めたメッセージを託し、若い人の反戦・反核の行動に大きな期待を寄せてくれた。他にも、核兵器禁止条約が国連で成立し、国連で核兵器禁止条約の成立をのぞむスピーチを行った藤森俊希さんを招いて、被爆者がどんな思いと歴史をもって核廃絶への運動をしてきたかを学んできた。核兵器禁止条約の成立に向けては、広島・長崎の被爆者が『わたしたちの命があるうちに何としても核兵器廃絶を』という、まさに命がけの思いにも触れてきた。だからこそ、核兵器を脅しの道具に使いもてあそぶ行為に許せない気持ちでいっぱいだ、おなじように国内でも、”核シェアリング”と言い出す浅はかな政治家にも呆れを通り越して怒りを覚える。『自分の国は自分で守る』という理屈で核兵器の利用を求めることは、今回、自衛のためにといってウクライナ侵略を強行したプーチン大統領とおなじ考えで、危険極まりない」と、自らの運動の経験をもとに「核共有」政策の導入を求める日本の政治家を非難しました。

最後に中村宏典さんは「まさか、21世紀のこの時代に他国を軍事で攻め込むなどという侵略戦争が起こるとは夢にも思っていなかった。20世紀は戦争の世紀といわれて、その反省から戦争の違法化をもとめて国連が産まれたのに、ロシアでも日本でもそれに逆行するような事態に進んでいることに危機感をおぼえる。平和な未来を望む一人の者として、明らかに時代に逆行しているプーチンの他国への侵略も、核廃絶への歩みに水をさし、被爆者の思いを踏みにじる核シェアリングにも反対する。一刻もはやい停戦と、核による脅しも禁止する核兵器禁止条約こそ、日本も世界にも共通の本当の抑止力なんだということを広げていきたい」と強調してアピールを終わりました。

ロシアはウクライナへの軍事侵攻を直ちに中止を!

プーチン大統領は核兵器による威嚇をやめろ!

即時停戦、国際社会との対話による平和的な解決を!

ウクライナ国旗色の横断幕

ロシア人女性も飛び入りで参加してくれた。

アピールする松澤佳子さん(県護憲連合代表委員)。

若い世代の思いを話す中村宏典さん(自治労)。

ロシア・プーチン大統領は核兵器による威嚇をやめろ!

2月24日、ロシア軍が、ウクライナへ軍事侵攻を強行しましたが、ロシア・プーチン大統領は「ロシアは、ソ連が崩壊したあとも最強の核保有国の一つだ。ロシアへの直接攻撃は、敗北と壊滅的な結果をもたらす」などと、核兵器の使用をちらつかせて米欧を強く牽制しました。また、戦略的核抑止部隊に「特別警戒」を命令し、最高レベルの「警戒態勢」を取り、核兵器が使用される危険性が一気に高まっています。

プーチン大統領の核兵器による威嚇や、核兵器の使用を可能とする態勢づくりは断じて認めることはできません。強く抗議します。

原水爆禁止日本国民会議(日本原水禁)は、このようなロシアの対応に抗議する声明を公表しました。


ロシア・プーチン大統領の核兵器による威嚇に対する原水禁声明

2月24日、ロシア・プーチン大統領は、ウクライナへの軍事侵攻に踏み切った。国家主権と領土を武力で侵すことは国際秩序を揺るがす蛮行であり断じて許されない。

軍事侵攻後の同月27日、プーチン大統領は、戦略的核抑止部隊に「特別警戒」を命令した。ロシアの核部隊にとって、「特別警戒」は最高レベルの警戒態勢であり、三度目の「核兵器」が使用される危険な状況である。

プーチン大統領は、「核戦力」をちらつかせることで、制裁を強めた欧米を牽制する狙いがあるのだろうが、核兵器禁止条約が発効し、核兵器の非人道性が指摘された中でのプーチン大統領の命令は「核兵器」を弄ぶものであり、断じて許されず、原水禁は、強く非難する。

1月3日、核兵器を保有する5ヶ国は「中国、フランス、ロシア、英国、米国は、核保有国間の戦争を回避し、戦略的リスクを低減することが、我々にとって最も重要な責務だと考えている。」「核戦争に勝者はなく、決してその戦いはしてはならないことを確認する。」等を含む「核保有国5ヶ国のリーダーによる、核戦争を防ぎ、軍拡競争を避けることについての共同声明」を発表した。当然、核保有国5ヶ国のリーダーの一人であるプーチン大統領には、この共同声明を遵守し、「核戦争」を防ぐ義務がある。

ロシア・ウクライナ両国が、停戦交渉を実施することに同意したとの報道が出ているが、原水禁は、ロシア軍の即時撤退と国際社会への対話の窓口を開くことを強く要求する。

2022年2月28日

原水爆禁止日本国民会議

共同議長 川野浩一/金子哲夫/藤本泰成

平和フォーラム・日本原水禁がロシアのウクライナ侵攻に抗議する声明を発表

ロシアに軍隊の即時撤退と国際社会との対話を強く要求する

ロシア軍が2月24日、ウクライナへ軍事侵攻したことに対して、フォーラム平和・人権・環境と原水爆禁止日本国民会議(日本原水禁)は声明を発表しました。

平和国家として重大な岐路に―岸田政権の改憲の動きを市民の力で止めよう

県護憲連合が書面表決で総会を開く

1947年5月3日にに日本国憲法が施行されてから75年を迎えます。日本国憲法は、その前文にもあるように、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすること(平和主義)」、そして「主権が国民に存すること(国民主権)」を宣言し、「おかすことのできない永久の権利」として、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない(基本的人権の尊重)」ことを定めました。これが、日本国憲法の最も大切な三原則であり、私たちが、この間、一貫して共有してきた理念です。

しかし、2年間にわたる新型コロナウイルス感染症の拡大によって、まさに日本国憲法で保障された「基本的人権」「生存権」が脅かされる状況が続き、安倍・菅政治を継承する岸田政権のもとで、憲法改悪を狙う動きが本格化しています。

岸田首相は年頭所感で憲法改正について「本年の大きなテーマ」と強調、1月17日の通常国会での施政方針演説では、「改憲について、国民の機運醸成にむけ、積極的な議論が行われることを期待する」と表明、憲法上許されない「敵基地攻撃能力」を含め、あらゆる選択肢を排除せずに検討するとし、専守防衛を逸脱する防衛力の強化についても言及、安倍政権時代に作成された自民党改憲案4項目を踏まえた憲法改悪への意欲を露わにしています。

さらに、自民党はこれまでの「憲法改正推進本部」を「憲法改正実現本部」に改組し、全国各地で開く対話集会の実働部隊となる「タスクフォース」を始動させ、今夏の参院選後を見据えて国民的な改憲論議を推し進めようとしています。

昨年10月の総選挙で、衆議院で憲法改正発議に必要な3分の2勢力を保持・確保した岸田政権は、衆議院解散をしない限り、2025年夏まで国政選挙のない「黄金の3年」を手に入れられるとし、今夏の参院選で参院における改憲勢力3分の2確保を実現し、憲法改正発議にこぎつけるスケジュールを描こうとしています。

こうしたことから、夏の参院選が極めて重要であることは言うまでもありません。自民党・公明党に加え、日本維新の会、国民民主党が衆参両院の憲法審査会の定期開催に前のめりとなり、自民党改憲4項目による憲法改正原案づくりが進められようとしている局面に立ち、立憲野党と市民の共闘を継続・進化させ、「平和憲法を未来へ」を高く掲げ、参議院における改憲勢力の増大を食い止めることが当面の大きな政治課題であり運動課題となっています。

毎年2月11日(建国記念の日)に県護憲連合の定期総会を開き、改憲阻止の取り組みをはじめとする1年間の運動の取り組みを確認してきましたが、新型コロナ・オミクロン株の感染急拡大により、県下で「まん延防止等重点措置」が適用されることに鑑み、第67回定期総会は中止とし書面表決により議案を決定しました。

今夏にも国会から改憲案が発議され、国民投票が実施される可能性もあります。私たち、主権者が日本国憲法と真正面から向き合う事態となります。あなたの、私の、未来の子ども達の平穏で幸せな日々のために、「戦争をさせない」、そして「憲法を変えさせない」。そのためにみんなの力を結集しましょう。

 

信州市民連合と3野党が「共同のテーブル」開く

総選挙の総括議論と参院選への方向性について意見交換

県内の市民団体でつくる「信州市民連合」は1月22日、長野市生涯学習センターで県内の3野党代表とともに「共同のテーブル」を開き、「市民と野党の統一候補」で戦った昨年10月の総選挙の総括と、今年7月に予定される参議院選挙に向けた取り組みの方向性について意見交換しました。

信州市民連合からは、5選挙区の市民連合の代表者が会場とオンラインで25人が出席、野党は、立憲民主党県連から杉尾秀哉・代表代行(参議院議員)、下条みつ・幹事長(衆議院議員)など4人が参加、日本共産党県委員会からは鮎沢聡・委員長など2人が、社会民主党県連合からは中川博司・代表(県議会議員)が参加しました。

意見交換では政党側から「総選挙では、政党の訴え方が弱かった。参院選では、今の自民党政治はだめだと思ってもらう保守層にも食い込める政策が必要だ。野党になればよくなるという選択肢を示すことが大切だ」(立憲民主・杉尾秀哉氏)、「長野県では新政信州も加わる形で独自の判断でやってきた。参院選に向けて地方で合意したことは実施したい。ただ、中央に対しても丁寧に対応する」(立憲民主・下条みつ氏)、「総選挙は市民連合のとともに気持ちよく戦えた。本格的な共闘の体制で戦ったことは歴史的意義があり、第一歩を踏み出した。これを権力側が恐れた。政策内容の訴え方などには課題が残った」(共産・鮎沢聡氏)、「市民と野党の共闘こそが、国民の生活や権利のためになるという点を強調した取り組みが必要」(社民・中川博司氏)などの意見が出されました。

信州市民連合からは、「市民と野党の統一候補として継続を。参院選では『長野方式』を深化させるべき」、「政策が共闘の基本。市民連合と野党の政策を詰めていく必要」、「地方で合意する体制をつくって、中央に認めてもらう方向で政党の中で確認してほしい」、「参院選でも市民と野党の共闘で戦う方向性の確認を。政策については、参院選では何を訴えるのか、総選挙の政策は反対運動のスローガンだと批判された。ふんわりと幅広い人々に共感を呼ぶ政策を」などの意見が出ました。

会議ではまとめとして、①参院選に向けて信州市民連合と野党との間で何らかの形で政策に関する協定・確認が必要であるという認識で一致したこと、②政策については信州市民連合で案をつくり、政党側と協議して詰めていくことなどについて確認しました。

コロナ禍を乗り越え労働者の新たな団結と連帯を

県労組会議が定期総会開き、コロナ後の運動の再構築を確認

長野県平和・人権・環境労働組合会議(県労組会議)は10月22日、長野市のホテルメルパルク長野で第26回定期総会を開き、コロナ禍で生活と労働に直撃を受けた医療・公衆衛生の労働者や地域公共交通に携わる労働者を支援していくこと、感染防止対策のため中止や延期になったさまざまな運動を、コロナ後には改めて多くの仲間が参加できる運動にしていくこと、10月30日に投開票となる総選挙で市民と野党の統一候補を支援することなどを確認しました。

主催者を代表して松澤佳子議長は、「1年半以上にもおよぶコロナ禍は、私鉄、国労、全自交など公共交通を担う仲間や、病院や自治体の現場で働く仲間に大きな犠牲を強いている。一方、自公政権はアベノマスク、学校の一斉休校など非科学的で『やってる感』を漂わすだけの政策に終始してきた。『新しい資本主義』を掲げた岸田内閣もすでに掲げた政策は後退し、アベ・スガ政権を引き継ぐものであることは明白。中国や朝鮮民主主義人民共和国の脅威を盾に、『敵基地攻撃能力』の保有に前のめりになっているが、武力では何も解決しないばかりか危険であることはアフガニスタンやミャンマーの情勢からも明らかだ。アウシュヴィッツ強制収容所から生還した精神学者のフランクルは、著書『夜と霧』の中で最後まで助け合ったり夕陽を美しいと感じる人間性を失わなかった人が生き残れたことを書いている。厳しい状況下だからこそ、職場や地域で連帯し、労働者が団結することが必要だ」などとあいさつしました。

来賓は、連合長野から根橋美津人・会長、立憲民主党県連から篠原孝・代表(衆議院議員)、社会民主党県連合から中川博司・代表(県議会議員)、労働事業団体を代表して県労福協から中山千弘・理事長があいさつしました。

質疑討論では3人が発言しました。「コロナ禍で地域公共交通は大変な状況。県労組会議から各単組への激励金に感謝」(私鉄県連)「県労組会議青年女性連絡会で2年ぶりに反核平和の火リレーを実施した。12地区中7地区で実際にランナーが走った。若い人が平和を考える機会になっている。運動を止めずにやっていきたい」(自治労)、「アスベスト被害で仲間を亡くした。JR車両所で今でもアスベストが古い車両や建材に使用されている。引き続き取り組みを職場で進めたい」(国労長野)などの発言がありました。

総会では、岸田自公政権と対峙し、総選挙に勝利する特別決議と、「組合員はもちろんですが、組織されていない労働者・国民にも共感が広がる労働運動が今こそ必要とされています。コロナ後を見据えて、地域社会において労働者の新たな団結と連帯を再構築しましょう」とする総会宣言を採択しました。

☞ ここをクリック 岸田自公政権と対峙し、総選挙に勝ち抜く特別決議

☞ ここをクリック 定期総会総会宣言

〈第15期〉21世紀の労働運動研究会 第2回 渡辺寛人氏(NPO法人POSSE事務局長)講演「パンデミックと労働運動」

講演「パンデミックと労働運動」渡辺寛人氏

「〈第15期〉21世紀の労働運動研究会」が、10月9日(土)、いなっせ(伊那市)で開かれ、第2回講座として「パンデミックと労働運動 POSSE・総合サポートユニオンの取り組みから」というテーマで渡辺寛人氏(NPO法人POSSE事務局長)にリモートで講演いただきました。Zoom視聴と会場参加あわせて、約30人の方が参加されました。

渡辺寛人氏には事務局長を務めるPOSSEでの若者の労働・貧困問題への取り組みを中心に、コロナ禍に急増した若者・女性・外国人からの相談や、その背景にある日本社会の構造的問題についてお話いただき、パンデミックのなかでの労働運動について伺いました。講演後には、渡辺氏も参加して分散交流会を実施しました。

リモートで講演する渡辺寛人氏

【講演概要】

NPO法人POSSEとは?

POSSEは、2006年に若者の労働・貧困問題に取り組むNPOとして発足。英語で「仲間」のこと。ブラック企業と闘い、労働環境を改善するため、働く仲間が力を合わせるという意味を込めた。メンバーは20代を中心とした若者で、労働・生活相談、労働法教育、調査研究、雑誌発行、社会発信などに取り組んでいる。

 

2014年からは、「総合サポートユニオン」を立ち上げ労働組合運動を展開。2019年にはPOSSE外国人労働サポートセンターを立ち上げ、外国人労働者の支援も開始。

 

NPO法人POSSE

https://www.npoposse.jp/

総合サポートユニオン

https://sougou-u.jp/

POSSE外国人労働サポートセンター

https://foreignworkersupport.wixsite.com/mysite

 

パンデミックの影響 女性・学生・外国人

コロナ禍において相談が急増している。コロナ以前は2500件/年でしたが、2020年度は労働相談が3675件、生活相談が379件、外国人相談が342件。

女性からの相談が61%。コロナの影響が人と接するサービス業中心の職種に広がっていること。また学校の休校などにより、子育てが女性に押し付けられていることがわかる。

非正規雇用者からの相談が多く、全体の68%(計872件)。雇用の調整弁としての非正規。そもそも雇調金の対象にされず、テレワークや休業補償においても差別されている。

 

一番多い相談は休業に関するもの

もともと低賃金水準で労基法26条の休業手当(平均賃金の6割)では手取りは10万円前後になり生活苦に陥る。まったく休業補償がないという相談も多数あった。3月ごろから新型コロナの影響が色濃くなりはじめ、二カ月連続で収入がない、という人も出てきた。休業補償の不払いの相談も多く、IT関係の方からは、人事に「アルバイトだから出せない」「アルバイトには支払う義務がない」と言われ休業補償が支払われないケース。また飲食関係では、緊急事態宣言後シフトが減って、週2日勤務になり3時間で帰らされた日もあった。試食販売の方からは、コロナで試食の仕事が一切なくなったが会社は「日々雇用のため、継続して雇っている認識はない」と主張し、休業補償は支払われなかったケースもあった。

休業手当が全く支払われなかった事例や、平均賃金の6割しか支払われなかった事例が多数あり、制度の活用を求めても拒否されてしまう。

 

新型コロナとブラックバイト

コロナ禍でのアルバイト相談

 

20代前半女性(アルバイト・居酒屋)

「仕送りはもらっておらず、生活費として月13万~15万稼いでいた。それが3~4万にまで減少。奨学金を借りて学費を払っている。緊急事態宣言以前から店が休業になった。休業補償がでるかわからない。

 

19歳女性(アルバイト・塾講師)

「3~4月、生徒が来れないという理由で、シフトが完全になくなった。その間の補償に関する連絡は一切なかった。母子家庭で生活に余裕がない」

 

新型コロナウイルスの影響でアルバイトや親の収入が減って学費を払えない大学生らが増えています。学生アルバイトからは、休業補償が支払われていないという相談が多数寄せられました。約2割の大学生が退学を検討しています(学生団体FREEの調査)。学生アルバイトは「基幹的な労働力」として組み込まれながら、「雇用の調整弁」として都合よく扱われてしまっています。

 

補償なき休業と解雇が貧困を拡大

補償なき休業と解雇が貧困を拡大

 

外国人労働者の生活困窮の深刻化

外国人労働者からも計524件の相談が寄せられました。

 

20代のスリランカ人留学生

「都内のファミリーレストランチェーンで、通常時は週25時間働き、月12万円ほど稼いでいました。緊急事態宣言の発令後ファミレス事態が休業になりシフトがゼロになりました」「休業補償について店長に聞いたところ、本部に問い合わせるという返答でしたが、その後音沙汰なし。結局、労働基準法で定められている休業手当の支払いがなく、学費や家賃などの支払いが困難になりました」

 

なぜ矛盾が非正規(女性、学生、外国人が多い)に集中したのか?

日本型雇用システムの変容と貧困の拡大の背景には、終身雇用や年功賃金が得られない労働者の増加(非正規雇用、ブラック企業)や、女性の異常な低賃金構造の維持があります。その結果、生活が困難になり、ケア需要の増大によって貧困が拡大しています。

日本型雇用システムの変容と貧困の拡大

 

賃金の低下と共働き世帯の増加

 

大学進学率の増加と学歴による格差の拡大

背景には、①国公立大学の学費の増加、②親世代の収入の減少、③不十分な奨学金が考えられる。大学に通うのに必要な年間費用の平均188万円、私立大学4年生・自宅外だと平均250万円もの費用がかかるためアルバイトをしなければならない学生が増加している。

 

非正規雇用の基幹化(ブラックバイトの構図)

正社員を非正規雇用で代替したことでアルバイトが職場の中で重要な責任を担うようになって、アルバイトがいないと回らない職場になっている。また徹底的な低コストで最低賃金すれすれの給料でありながら辞めることもできない。

 

周辺化されてきた女性労働

女性は、「男性稼ぎ主モデル」のもとで、家庭内で無償の家事労働を担わされ、労働市場においては家計補助的な労働力として活用されてきた。女性差別は、正規/非正規の雇用形態差別に形式を変えて継続。「男性稼ぎ主モデル」が崩壊し、産業構造が転換している現在、女性労働の位置づけをが大きく変化しているが、周辺化され続けている。

 

「人出不足」を埋めるための外国人労働者

・深刻な人手不足(地方では農業や漁業など、都市部ではコンビニなどのサービス業)の穴埋めとして外国人が活用されている。そもそも「人出不足」自体が、その仕事に従事しても再生産できる賃金を得ていないことに起因。その結果、日本人相手にも「求人詐欺」で騙して雇い入れる手法が横行。ブラック企業は固定残業代を用いて給料をかさ増しする。

・外国人に対してはさらに離職を防ぐために物理的な暴力を行使している。パスポートや通帳の会社管理、労働条件の改善を要求した労働者の「強制帰国」といった手段を用いる。

・技能実習生は、そもそも法的に転職可能性が制限されている。外国人技能実習生は約40万人。多くが「エッセンシャル」な産業のサプライチェーンの末端に組み込まれてきた。ファストファッションや外食チェーン、建設産業など。

 

エッセンシャルな仕事。しかし低賃金

この20年間で日本社会は、製造業を中心としら産業構造から、ケアやサービス経済を軸とした産業構造に転換してきた。

しかしサービス産業では生産性を上げることに限界があり、利益を上げるためには人件費を極限まで切り縮める必要がある。企業は労働条件を低いままに、非正規雇用を基幹労働力として組み込んできた。結果的にそこに充当されてきたのが、女性、学生、外国人だった。

コロナ禍はこの矛盾を顕在化させた。

 

POSSE/総合サポートユニオンの取り組み

さまざまなアクション

《一部紹介》

自販機産業ユニオンの気候変動ストライキ

  ストライキの要求事項

1 業界で協力して無駄な自販機の削減とCO2排出を削減してください

2 8時間労働で生活できる賃金を設定してください

3 自販機業界と自販機産業ユニオンでの、気候危機に関する議論の場を設けてください

2021年6月25日にストライキを実施

 

・自販機産業では、各社が利益のために街中に自販機を設置し、大量の自販機を労働者の長時間労働によって機能。長時間労働、過労死の温床に。

・環境負荷の視点から自販機産業を考えると、街中にあふれている24時間稼働の自販機それ自体の電力消費、さらに、多くの自販機を巡回する際のトラックでの移動や賞味期限切れの飲料などの食品ロスの問題も。

・産業構造そのものが環境と労働者への高い負荷を生み出している。24時間稼働し、大量の食品廃棄を出し続けるコンビニ業界など、多くの産業にも共通。

 

ジェネレーションコロナからジェネレーションレフトへ

ジェネレーションレフトとは?

資本主義を否定し、社会主義を支持する世代の台頭。ミレニアル世代やZ世代が中心。アメリカ民主党で「社会主義者」を自称するバーニー・サンダーズやイギリス労働党のジェレミー・子―ビンを支持していたのは若者だった。

背景:不安定な労働市場、教育ローンなどの債務漬け、家賃やネット等々の使用量などレント負担の重さ、気候危機による将来への不安。にもかかわらず経済成長を掲げ、富裕層を優遇する政治。

 

これまでの経済成長を軸とした資本主義の物語が失効した世代

 

ジェネレーションレフトの条件

2008年 出来事としてのリーマンショック

2011年 オキュパイウォールストリートなど、一連の抗議行動

 

2008年の受動的出来事と2011年の政治的出来事が補完し、新自由主義の物語を失効させ、新たな社会を求める能動的出来事として捉えなおす契機に。日本では、若い世代に魅力的なビジョンもなければ組織化も行われていない。したがって2008年以降、停滞・保守化が進行。

 

ジェネレーション・コロナ

・コロナ世代は「気の毒」か?

・2020年以降、ボランティア応募が飛躍的に増大。250名以上が参加し、そのうち女性が8割。「ダブル」など海外ルーツを持つ人やクィアなど、マイノリティが多い。

・感染対策に伴う大学の規律の低下、海外留学の中断、断念。相対的に自由な時間の出現。社会的関心の高まり。

・入管問題、外国人技能実習生、難民問題、女性の貧困への関心が高い。

 

なぜ女性やマイノリティが多い?

・コロナ危機=ケアの危機。日本社会では、再生産の領域は女性や外国人労働者に外部化されてきた。家庭および労働市場において、外部に周辺化されているがゆえに、外国人労働者への共感や想像力が働きやすい。

・日本社会での閉塞感が強い。女性は男性的な競争社会に入るか、ケアの担い手として男性に従属することが求められる。そのどちらも魅力的ではない。

・日本で求められる生き方の拒絶の裏返しとして海外志向が強かったが、コロナ禍で国内の外国人労働者の問題へと関心が向いた。

 

〝運動とは、何らかの形で社会から取り残されてきた人々を受け入れ、こうした人々を社会の片隅から中央へと動かす。運動が目指す変化とは、今まで目立たなかった人々の存在に光を照らし、社会や経済や政府から全く重要でないとみなされている人々を可視化することだ。″アリシア・カーザ『世界を動かす変革の力』

 

Z世代をめぐる攻防、組織化の重要性

労働運動のパラダイムチェンジが必要

・サービス経済化が進むなかで、女性の活動とされてきたものが産業の中心に移動しつつある。にもかかわらず、労働運動は男性中心的なものとしてイメージされている。

・コロナ禍は、日本社会の矛盾を可視化させた。労働組合がこの状況に対応していくために最も重要なのは、Z世代の女性やマイノリティが中心となれるような組織化を行い、組織のあり方を変えていくこと。

・若い世代に魅力的なビジョンの提示や組織化をつうじて、ジェネレーションコロナからジェネレーションレフトへ!

書籍紹介『ジェネレーションレフト』(キア・ミルバーン)『POSSE vol.48 特集 ジェネレーション・レフトの衝撃』

『POSSE vol.48 特集 ジェネレーション・レフトの衝撃』

POSSE vol.48 特集 ジェネレーション・レフトの衝撃|雑誌『POSSE』ホームページ|NPO法人POSSE (npoposse.jp)