21世紀のキーワード―平和・人権・環境

長野県平和・人権・環境労働組合会議

戦後76年、松代大本営地下壕工事の労働により犠牲となった朝鮮人の方々を追悼

長野市松代地区に松代大本営という巨大な地下壕があります。

太平洋戦争末期、政府の中枢機能移転のために、極秘で山中(象山、舞鶴山、皆神山の3箇所)に掘られた地下坑道です。

地下壕の工事は、東京大空襲に襲われ、敗戦が色濃くなる中、軍部が本土決戦に備え、天皇をはじめとする皇族や大本営、政府機関など日本の中枢を避難・移転させるため、1944年の11月11日から1945年8月15日の敗戦まで行われました。この建設には、当時の金額で1億円とも2億円ともいわれる巨費が投じられ、掘削には地域の労務報国隊や勤労報国隊、学徒・児童まで動員されましたが、その主力として最も危険な労働に従事させられたのは、その数6千人ともいわれる朝鮮人労働者でした。その多くが強制的に動員されたと言われており、壕は、貴重な戦争遺跡として、1990年から一部を公開しています。

松代大本営追悼碑を守る会は、戦後50年の1995年8月に「松代大本営朝鮮人犠牲者追悼平和祈念碑」(追悼碑)を建立しました。碑は、日本の侵略戦争、朝鮮半島植民地支配の加害の歴史を忘却せず継承するためのモニュメントとして、毎年8月に平和祈念の集いを開き犠牲となった朝鮮人労働者を追悼しています。また、未解明な部分が多い松代大本営工事の真相を掘り起こして、歴史の真実を後世に伝えるために活動しています。

追悼碑建立から26年目となる8月10日、今年も昨年に引き続き、新型コロナウィルス感染症対策を十分とって、平和祈念の集いが象山地下壕前広場で開かれました。守る会の会員をはじめ、在日韓国・朝鮮人の団体など60人余りが参加し黙とうをささげ、追悼の花を手向けました。

黙とうを捧げる参加者たち

参加者は一人ずつ追悼の花を手向けました

 

守る会の表秀隆会長(長野大学名誉教授)は、「日朝・日韓関係に改善の兆しが見られないが、だからこそ、過去の歴史を正視し、学びながらどう行動するかが問われている」とあいさつし、松代大本営地下壕工事を通して、植民地支配や朝鮮人強制連行、強制労働の加害の歴史に向き合い、平和な未来を創っていくことの大切さを強調しました。

碑の前であいさつする表秀隆会長

在日団体を代表して、民団県本部の金龍洙(キム・ヨンス)団長、朝鮮総聯・長野朝鮮初中級学校の河舜昊(ハ・スノ)校長から挨拶をいただきました。

民団県本部の金龍洙(キム・ヨンス)団長

朝鮮総聯・朝鮮初中級学校の河舜昊(ハ・スノ)校長

集いに参加した長野朝鮮初中級学校3年の趙利奈さんは取材に応え「この場所を忘れてはいけないし、歴史がなかったかのようにならないように守っていきたいなと思います」と話していました。

取材に応える長野朝鮮初中級学校3年の趙利奈さん

 地下壕前での祈念の集いに続き、サンホール松代で追悼碑を守る会第27回総会を開き、2021年度の事業計画を確認しました。

事業計画は、見学者向け独自パンフの更新・増刷をすすめ松代大本営地下壕跡の案内活動に取り組むとともに長野市の松代大本営・説明文の修正問題について、史実を正確に記すよう求める活動を継続すること、さらに、在新潟大韓民国総領事からの守る会への支援の申出を受け、朝鮮半島をめぐる歴史認識を共有しあう企画を準備するプロジェクトを発足させることなどが柱です。

総会での会長あいさつ

総会は密を避けて行われた

 

長野朝鮮幼稚園が文科省の「新たな支援策」適用へ

幼保無償化問題の現状

先日、お伝えした日朝問題学習会(7月24日)では、長野朝鮮初中級学校の河舜昊校長先生から「幼保無償化問題の現状」についてご報告いただきました。幼保無償化問題と朝鮮学校の置かれている状況と無償化適用に向けてのさまざまな取り組みについて理解を深めることができました。報告概要をお伝えします。

【報告概要】

2019年10月から実施された幼保無償化

幼保無償化とは、幼児教育・保育の無償化とは幼稚園、保育園、認定こども園の教育費を国が補助する制度です。2019年10月から実施されました。

全国にある40校の朝鮮学校も除外

幼保無償化の目的は、少子化対策・教育機会の均等・消費税の還元(増税分5兆6000億円の15%弱)です。しかし各種学校幼稚園計88校(朝鮮学校40校、インターナショナルスクールなど外国人学校幼稚園48校)が幼保無償化制度から除外されました。各種学校は多種多様な教育を行っていますが、認可外保育施設にも該当しません。

除外された各種学校は全体の0.16%

無償化の適用対象施設は55,000施設ありますが、除外された各種学校幼稚園の数は88校のみで全体の0.16%です。

無償化除外に対する反対運動が全国で

全国各地で無償化除外に対する反対運動が起こっています。

2019年12月から行われてきた「100万人署名運動」は、約1年4か月で署名数が106万9,317筆に達しました。2020年7月7日には、1万4,273筆の署名を日朝長野県民会議の皆さんと一緒に文部科学省へ提出し要請を行いました。

日本政府の対応の変化「新たな支援策」

日本政府の対応に変化があり、2020年3月から「調査事業」※の公募が開始され、無償化実現に向けた大きな一歩となりました。

 ※「地域における小学校就学前の子どもを対象とした多様な集団活動への支援の在り方に関する調査事業」

 ・施設の設置基準状況や活動状況の調査

 ・保護者の意識調査アンケート

 ・自治体から補助を受けている15施設(朝鮮幼稚園)

2020年12月21日に、「新たな支援策」※が閣議決定しました。

 ※「地域における小学校就学前の子どもを対象とした多様な集団活動事業の利用支援」

 ・無償化の給付を受けていない、本事業の要件を満たす施設に対して保育料を支援する。

 ・地方自治体の手挙げ方式(松本市、安曇野市)

 

手挙げに対する要請活動

2021年3月24日、安曇野市の宮澤宗弘市長、4月9日、松本市の臥雲義尚市長へ日朝松本市民会議の協力のもと手挙げをしてもらえるように要請を行いました。

無償化適用に向けて

現在、在学中の長野朝鮮初中級学校附属幼稚班の園児たち10名には松本市、安曇野市から「新たな支援策」が適用される動きです。日朝長野県民会議、松本市民会議の皆様の多大なる協力があり、ここまで来ることが出来ました。

今後も幼保無償化の実現、高校無償化の適用など、あらゆる差別が解消されるよう、共に手を取り合って頑張っていきましょう。

「忘却に抗う ~中村敦夫 原発への警鐘~」DVD貸出のお知らせ

石川県の北陸朝日放送が制作したドキュメンタリー番組「忘却に抗う~中村敦夫  原発への警鐘~」は、俳優・中村敦夫さんのライフワークともいえる原発問題に鋭くメスを入れる朗読劇「線量計が鳴る」の全国での公演活動を取材した番組です。

2016年の初演以降、全国から上演依頼が相次ぎ、昨年の2020年11月の長野市公演で95回を重ねました。

「線量計が鳴る」長野市公演の実行委員会代表を務めた福島県いわき市からの自主避難者・草野麻理子さんや、原発についての取材を続けているおしどりマコケンさんらの活動を通して、3.11の福島原発事故以降、日本社会や政治がどのように変化したのか、客観的に問い直している作品です。

この作品を通して、中村さんが朗読劇を始めるに至った経緯や、人生をかけて一人で全国行脚する思いなどが、静かにではありますが深く伝わる内容になっています。

県原水禁では、草の根的に少しでも多くの方に観ていただきたいと思い、DVD(60分番組)の無料貸し出しを始めました。

お問合せは以下の通りです。たくさんのお申込みをお待ちしております。

・電 話:026-234-2116

・メール:kenrousokaigi@r-nagano.com

被爆76周年原水禁県大会では、今井和子さんに被爆体験をお話いただきました

8月6日、被爆76周年の「ヒロシマ原爆投下の日」を迎えました。今年の原水爆禁止県大会は、昨年からのコロナ禍の影響で、Zoomと会場参加の併用型で行われ、会場参加者40人、Zoom参加者20人の60人が参加しました。
午前8時から開かれた県大会では、原爆投下の8時15分、広島市で開かれている「原爆死没者慰霊式・平和記念式典」をオンラインでつなぎ、現地の「平和の鐘」の響きが会場を包む中、参加者が広島現地と合わせて黙とうを捧げました。
その後、県大会では、76年前に広島市で5歳の時に被爆した今井和子さんの被爆体験のお話を聞き、当時の想像を絶するような無残な様子を当事者ご本人から聴くことで、状況をよりリアルに感じることができた貴重な場となりました。これからも、この体験談を多くの方に伝えていって欲しいと思います。

県大会は最後に、「黒い雨」訴訟で、広島同様、長崎についても、国が黒い雨の降った地域にいた被爆体験者を、速やかに被爆者と認定することを強く求めるとともに、「原水禁運動の原点のスローガンである『核と人類は共存できない』を改めて確認し、21世紀には核兵器も原発も存在しない、安心で平和な社会をつくるため行動し続けることを、76回目のヒロシマの日に決意します」とする大会アピールを採択しました。

 

主催者あいさつ・宇佐美 正信代表委員

 

8時15分を期して黙とうをささげる参加者

you tubeで配信された平和記念式典

当時の被ばく体験を話す今井和子さん

大会はコロナ対策をして行われた。

☞ 今井和子さんのお話全文はここをクリック

 

根昆布しょうゆと盛岡レーメンの共同購入の取り組み

「国鉄闘争を語り継ぐ紋別・美幌の会」の取り組み~根昆布しょうゆ~

「国鉄闘争を語り継ぐ紋別・美幌の会」が取り扱う「根昆布しょうゆ」の共同購入の取り組みへのご協力ありがとうございました。昨年を上回る1410本(塩分9%:1044本・塩分13%:366本)を集約することができました。

たくさんのご注文をいただきました!

国鉄闘争の歴史と意義を若い世代に引き継いでいく

「国鉄闘争を語り継ぐ紋別・美幌の会」は、国鉄闘争の歴史と意義を若い世代に引き継いでいくことを目的に活動しています。

1987年4月1日に強行された国鉄分割民営化の際に、国鉄労働組合(国労)等に所属していたことを理由として1047人もの労働者がJRに採用されませんでした。

その後、1千名を超える被解雇者が20数年にわたり組織的に闘い抜いた争議は、日本の労働運動史上に前例のない闘いとなりました。長野県でも「国労支援長野県共闘会議」が結成され「国鉄闘争はすべての労働者の権利闘争」と位置づけて連帯して闘いました。

足掛け25年にわたり闘い抜いてきたJR不採用事件は、JRへの原職復帰は実現できなかったものの、政府や鉄道運輸機構に事実上、不当労働行為の責任を認めさせ、年金などを含む解決金を勝ち取り終結することとなりました。

 

国労長野地本と分担して長野県内各地へ配送

今年は、コロナの影響のため、紋別・美幌の会からは来県せず、県労組会議と国労長野地本が分担して長野県内各地へ配送しました。

今回、配送することで、初めてお会いできた組合の方々や書記の方も多く交流の機会にもなりました。ぜひ来年は北海道から「紋別・美幌の会」のメンバーの方々に来県していただき交流の機会を持つことができたらと願います。

 

「長野県原水禁」の福島の子どもたちへの支援の取り組み~盛岡レーメン~

また、「長野県原水禁」による東京電力福島第一原子力発電所事故の影響を受けている福島の子どもたち、東北の復興を支援するための「盛岡レーメン」の共同購入の取り組みへのご協力もありがとうございました。こちらも昨年を上回る3588袋(17940食)を集約できました。

レーメンのつくり方のチラシ

コロナの影響もあり県内での保養受入の取り組みの多くがストップしていますが、コロナ禍のなかで保養支援を模索する保養団体や、甲状腺がんの子どもたちを支援する団体など、福島の子どもたち、東北の復興支援につながる取り組みへの支援金にあてたいと思います。

ご協力いただいた長野県内各地の労働組合、組合員の皆さまありがとうございました。

広い長野県内各地へ国労長野地本さんと分担して配送しました

「ミャンマー民主化を支援する信州の会」結成総会が、7月17日開かれました。

「ミャンマー民主化を支援する信州の会」結成総会が、7月17日長野市内で会場・Zoom合わせて70名が参加し、開かれました。

信州大学グローバル化推進センターの佐藤友則先生より「ミャンマー事情と日本の多文化共生」と題して講演していただきました。

2015年NLDが政権を取るまでは「国軍は国民の父であり母」であった。国軍は一般社会と隔絶された社会で、市民生活のことはまるで知らない。貧困で行き場がなく幼少期から軍隊へ入った軍人は、軍隊がすべてであり、軍に従わない者は犯罪者であると刷り込まれる。軍の関係者は巨大な権力と莫大な富を手にしているので、自分たちの権益の維持が優先される。
一方で、今の若者は物心ついた時から民主社会で強圧・恐怖などとは無縁であり、ミャンマーの可能性に対して自信を持っている。絶対に元の軍事政権には戻らないという強い意志で、いくら弾圧されても諦めず、軍事訓練を受け国民防衛軍(PDF)に参加する。

クーデターが成功してしまうと、更なる世界の民主主義の後退になり、日本にも長期の悪影響を及ぼす。日本政府は、方針を示していないので、進出企業は混乱が続いている。

信州大学グローバル化推進センターの佐藤友則先生

 

会場・Zoom合わせて約70名が参加した

 

続いて活動報告では、信州大学の学生が多文化共生のイベントとして行われている「こいこい松本」の中で、信州大学で学んだミャンマーの同窓生から今のミャンマー情勢について交流した報告がありました。

「こいこい松本」運営メンバー ・信州大学の小古井遥香さん

 

また、20年以上にわたりミャンマーの子どもたちの支援を続けてきた、アジア子ども交流支援センターの青木正彦さんは、ミャンマーに教育用品を送る際、現地で大勢の人が助けてくれる。「良いことはお手伝いさせてください。ありがとう。」と言ってくれる、日本の文化との違いをお話してくれました。

アジア子ども交流支援センターの青木正彦さん

 

次に、ミャンマー労働者など外国人労働者と連帯する活動について、上田市在住の小山正樹さんから報告がありました。2002年に日本で在日ビルマ市民労働組合を結成した。延べで1100人が参加している。その目的は、ビルマ人の生活を守るため、日本の労働運動を学び民主的な国づくりを実践できるよう学ぶため、そしてビルマ国内で働く人々を励ますためと報告がありました。

上田市在住の小山正樹さん

 

最後に、池田町で開催されたミャンマー支援コンサートの様子が動画で報告がありました。

次に現在もミャンマーにとどまっている新町智哉さんからONLINEで報告がありました。「ヤンゴンで7年。エンターテイメントの会社を経営している。昨年のコロナから打撃は大きい、20人いた社員も縮小、存続が厳しい。クーデターは他人事だったが、2月28日のデモで大きな動きとなった。自分の家に軍から催涙弾が撃ち込まれた。第3波のコロナが流行している。近しい人たちが感染し、死亡者も出ている。軍が外国のメディアを規制しているが、国民は軍を信じていない。3500人の邦人がいたが、帰国した。現在は300人くらいか。事業は成り立たないが、何かできないか活動をしている。日本では、国軍への支援など税金の使い方がおかしいという声と、あわせてミャンマーへの支援を予算化してほしい。プラスを生みだしてほしい。公的支援を。

この企画のきっかけとなった長野市出身の方から、「わたしのような小さな声に耳を傾けていただきありがとうございます。あと何人亡くなれば国際社会は動いてくるのかという声があったが、今は自分たちが動くしかない。メディアの記事になるような活動を広げていくこと。長野にも207人のミャンマー人がいる。声を聞いてほしい。NUGの新政府を認めてほしい。明日、デモが各地で行われる。声を上げ続けるしかない。」と訴えがありました。

この会のきっかけとなった長野市出身のKさん

在日ミャンマー人の方からも発言がありました。静岡で活動している在日ミャンマー人のYさん「募金、デモやってきた。同じ日に同じ行動する、3回目。7月18日は国内7か所で行動する。」、Aさん、「コロナ禍でも国軍は国民の拘束を止めていない。マスクや消毒を民衆から手を取り上げている。」、Sさん「民衆を支援するホームページを紹介している。ポスターや絵画を購入して支援をしている」

こうした呼びかけにONLINEで参加されていた日本人から「日本とビルマの歴史、130民族ことなど学び、技能実習生の労働条件の改善を呼びかけよう」という提案もありました。