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長野県平和・人権・環境労働組合会議

元内閣法制局長官の宮崎礼壹氏が長野地裁で 「集団的自衛権は憲法9条に明白に違反」と証言 信州安保法制違憲訴訟第12回口頭弁論

市民や学者・弁護士などつくる「信州安保法制違憲訴訟の会」は2016年7月26日、長野地方裁判所に新安保法制が違憲であるという判断を求める訴訟(国家賠償訴訟)を提訴しました。原告は長野県内居住者で第1次・第2次合わせて362名です。

8月28日、第12回口頭弁論が開かれ、この裁判で初めて3人の証人が採用され、2人の原告を含めて5人の尋問が行われました。

証人は、元内閣法制局長官の宮﨑礼壹さん、ジャーナリストで元東京新聞論説委員の半田滋さん、原告の成澤孝人さん(信州大学教授)、原告の佐藤芳嗣さん(弁護団長/弁護士)の5人です。

宮崎礼壹さんは「集団的自衛権は国際紛争に乗り出すことにほかならず、憲法9条に明白に違反している」と証言、武力攻撃から国民を守る最小限度の「実力」であれば、自衛隊は9条2項にある「戦力」に当たらないと解釈されてきたが、集団的自衛権は国際間の武力紛争に介入することになるため「戦力」になると強調しました。

また、半田滋さんは、2004年1月から2006年7月まで2年半にわたり、陸上自衛隊600人がPKO(国連平和維持活動)でイラクに派遣された点について証言。政府は派遣先が「非戦闘地域」としていましたが、派遣期間中に、13回22発のロケット弾が陸上自衛隊サマワ宿営地に向けて発射され、うち3発は宿営地内に打ち込まれた事実を述べました。イラクは、米軍と武装勢力が戦闘を続ける「戦地」だったことを強調しました。

長野地裁での新安保法制違憲訴訟は大きなヤマ場を迎えています。9月18日にも6人の原告尋問が予定されています。

 

信州市民アクションが長野市で4野党と意見交換会

県内の約40の市民団体でつくる信州市民アクションは8月23日、長野市・県教育会館で4野党の県組織幹事長などと意見交換会を開きました。

4野党からは、立憲民主党から埋橋茂人幹事長、国民民主党から倉田竜彦幹事長代行、服部昭事務局長、日本共産党から石坂千穂常任委員、社民党から中川博司代表が参加しました。

まず政党を代表して倉田竜彦・国民民主党県連幹事長代行が「総選挙は5選挙区すべてで野党統一候補を擁立し、市民団体と連携して取り組みをすすめたい。新型コロナの問題では政府は後手後手に回っている。国民本位の政策に変えていくためのチャンスでもある。また、野党と信州市民アクションが合意できる政策の問題もあるので議論をいただきたい」とあいさつ。

意見交換会では、◇県内において、市民団体と野党で共通の政策に関する協定を結ぶこと、◇選挙区ごとに野党統一候補と連携できる市民運動を活発化し、ネットワーク組織をつくっていくこと、◇9月20日に長野市・県教育会館で13時30分から「~コロナ禍を克服するために~ 市民と野党の政策フォーラム」を開くことなどを確認しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

市民と野党の政策フォーラムチラシ

 

加害と侵略の歴史を心に刻むため。 松代大本営工事の朝鮮人犠牲者を追悼する式典開く

8月10日、松代大本営地下壕工事で犠牲となった朝鮮人労働者を追悼する平和祈念の集いが象山地下壕前広場を開きました。松代大本営朝鮮人犠牲者追悼平和祈念碑を守る会(略称=松代大本営追悼碑を守る会)が開いたもので、追悼碑建立から25年目の節目の集いとなりました。

守る会の会員をはじめ、在日韓国・朝鮮人の団体など60人余りが参加し黙とうをささげ、追悼の花を手向けました。

松代大本営地下壕跡は、太平洋戦争の末期、本土決戦遂行と国体護持のために天皇や軍部、政府機関を移転するために、松代の山中に掘削された地下坑道です。

この地下壕工事には、地域の労務報国隊や勤労報国隊、学徒・児童まで動員されましたが、その主力は植民地支配下にあった朝鮮半島から強制連行された朝鮮人、既に日本に渡航し各地のダム建設工事などに強制労働させられていた朝鮮人労働者でした。

工事の犠牲者は100~300名ほどと推定されますが、特定できているのは4名にとどまります。真相の全容はいまだ解明されていません。

 

戦後50年の節目の1995年に、超党派の追悼碑建立運動により追悼碑が建立され、25年を迎えます。

集いには、駐新潟の大韓民国総領事館から鄭美愛(ジョン・ミエ)総領事が初めて参加し、「歴史の現場を保存し、事実を知らせることはとても重要なこと。松代大本営と追悼碑がアジアの平和と共生のための歴史を学ぶ教育の場として、さらに活用されることを期待する」と挨拶しました。

松代大本営追悼碑を守る会の塩入隆会長は、「追悼碑の建立から25年がたったが、朝鮮半島との関係はますます難しくなってきた。加害の歴史に真摯に向き合う活動を続けるとともに、もっと市民レベルで交流していくことが必要だ」と話しました。

また、塩入会長に代わり新しく会長に就任する表秀孝さん(長野大学名誉教授)は「現在両国の政治関係が最悪となっている時こそ過去の歴史を正視し、そこから学びながら、私たちはどう行動するべきか問われている」と呼びかけました。

追悼碑前での祈念の集いに続いて開いた追悼碑を守る会第26回総会で、事業計画等を決めるとともに、塩入隆会長が名誉会長となり、新会長に表秀孝氏が就く新たな役員体制を確認しました。

碑の建立から25周年を迎えた式典

駐新潟大韓民国総領事館総領事の鄭美愛(ジョン・ミエ)さんがあいさつ

あいさつする塩入隆・前会長

新会長に就任した表秀孝さん