21世紀のキーワード―平和・人権・環境

長野県平和・人権・環境労働組合会議

市民集会・脱原発2021 in 信州「福島原発事故と被ばく、汚染水問題を考える」西尾正道医師講演会

コロナ禍で被曝の問題がおろそかになっている

「市民集会・脱原発2021 in 信州実行委員会」が主催して、昨年11月27日、長野市若里市民文化ホールで、北海道がんセンター名誉院長の西尾正道医師を講師にお招きして、「福島原発事故と被ばく、汚染水問題を考える」というテーマで講演会を開催しました。Zoom視聴と会場参加あわせて、約70人の方が参加されました。

講演する西尾正道医師

西尾正道医師は、40年以上、放射線がん治療を行ってきた第一人者です。講演では、医師としての立場から日本における放射線治療の現状と問題、内部被曝を用いたがん治療、見過ごされてきた内部被曝の危険性、福島第一原発のトリチウム汚染水の海洋放出の問題について詳しく解説いただきました。

西尾医師は、「コロナ禍で被曝の問題がおろそかになっている」と指摘し、また「福島原発事故からの10年は内部被曝の危険が隠されてきた10年だった」「トリチウム汚染水の海洋放出は人類への緩慢な殺人行為」と警鐘を鳴らされ、今こそ、内部被曝の危険に目を向けなくてはいけないと訴えられました。

 

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【講演概要】

約3万人の患者に放射線治療をしてきた

約3万人の患者さんに放射線治療をしてきました。日本で一番患者さんを診てきた医者だと思います。昔の国立病院では、いい機械をなかなか買ってもらえなかった。そのためラジウムとかセシウムとかの放射線を出す線源を使ってがん治療をするのが私のライフワークになりました。言ってみれば内部被曝を利用した治療。儲からないし技術があるひとがいないのでできる施設がなくなってしまいました。医者でも内部被曝のことをほとんどわかっていません。

 

内部被曝が軽視され論じられてこなかった

原発事故後、いかに内部被曝が軽視され論じられてこなかったか。内部被曝と外部被曝を例えると、薪ストーブのそばで暖をとるのが外部被曝、燃えたぎっている小さい粉末を口にいれるのが内部被曝です。どっちが危険か。サルでもわかるのに人間はわかっていません。

シーベルトという単位をつかって議論することの間違い

どれくらい被曝したかの換算を実効線量シーベルトという単位で表しているが間違っています。

内部被曝を計算する「実効線量換算係数」は放射性物質1ベクレル(㏃)が人体全体に与える影響度の単位シーベルト(㏜)に換算する「係数」のことですが、1ベクレルという測定可能な物理量を「人体全体に与える影響度」などという「仮想量」に換算するという話自体が詐欺的な疑似科学です。

10マイクロメートル(㎛)周囲にしか被曝させないトリチウムの影響を全身化換算すること自体ができないのですが、ICRPは放射線核種とその化合物及び摂取の仕方(経口摂取か吸引摂取か)に分けて事細かに全く実証性のない恣意的な換算係数を定めて全身化換算しています。

目薬は眼に滴下するから2~3滴でも効果も副作用もありますが、目薬2~3滴を経口投与して、実効線量(㏜)に換算して内部被曝の線量は2~3滴なので影響はないといっているようなものなのです。

内部被曝が隠されてきた10年間だった

アメリカが原爆を開発した過程で、爆発して放出された微粒子が体内に入って内部被曝が健康被害を及ぼすことはわかっていました。1943年から内部被曝を軍事機密にしていました。論じることもできないシャットアウトされた世界で、人体への健康被害が構築されていきました。たしかに原爆が落ちたら、全身の被ばくだから、全身の影響を考えるという点でシーベルトという単位を使って議論するのは一つの方法です。しかし実際には内部被曝がほとんど考慮されていません。健康被害の本体がなかなか見えてこない。福島原発事故後の10年は、一番深刻な内部被曝が隠されてきた10年間でした。

ICRPが内部被曝を隠蔽・軽視し続けてきた歴史

ICRP(国際放射線防護委員会)は、内部被曝に関する審議を打ち切り、内部被曝を隠蔽・軽視し、原子力政策を推進してきました。ICRPは国際的な原子力推進勢力から膨大な資金援助を受けてきた民間のNPO団体に過ぎませんが、その報告をもとに各国はさまざまな対応をとってきました。日本政府もトリチウムが危険だとわかっているからこそ隠してきました。米国は、広島・長崎の原爆投下後も残留放射線や内部被曝はないものとして、隠蔽・軽視する姿勢が続いています。

多重複合汚染の生活環境に置かれている私たち

がんは1950年頃から世界中で増加しています。がんは生活習慣病ではなく生活環境病です。日本では40歳代から死因のトップががん死となっています。このままでは日本人の3分の2ががんに罹患するでしょう。日本社会は放射線被ばくだけではなく、農薬の残留基準値も世界一緩い対応で、遺伝子組み換え食品の普及による多重複合汚染の生活環境によって健康が損なわれていくでしょう。

トリチウム汚染水は陸上保管して技術開発を進める

福島第一原発で大量に保管されている汚染水を海洋放出することが問題になっていますが、トリチウムは今後も陸上保管するべきです。長期保管するための敷地がなくなれば、廃炉が決定した福島第二原発の敷地に保管すればよい。広大な東電の土地が空いている。大型タンクを作り保管し続けるべきです。その間にトリチウムの分離技術の開発と人体影響への再検証も行うべきです。

トリチウムを含む処理水のタンク容量は上限137万トンとされているが、現在すでに128万トン(2022年1月20現在 東京電力「処理水ポータルサイト」)の汚染水があり、また一日に150トンの汚染水が増え続けています。東電は多核種除去設備(ALPS)で汚染水を浄化しているが、トリチウムは除去できていない。推進側は、「トリチウムは自然界にも存在し、全国の原発で40年以上排出されているが健康への影響は確認されていない」と全然制を強調し、また「トリチウムはエネルギーが低く人体影響はない」と安全神話を振りまいています。

東京電力「処理水ポータルサイト」

https://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watertreatment/alps01/

しかし、世界各地の原発や核処理施設の周辺地域では事故を起こさなくても、稼働させるだけで周辺住民の子どもたちを中心に健康被害が報告されていますが、その原因の一つはトリチウムだと考えられます。

トリチウムとは?

トリチウム【tritium】(記号:T)とは、原子核が陽子1個と中性子2個で質量数が3の水素が三重水素(3H)であり、天然にも宇宙線と大気の反応によりごく微量に存在し、雨水その他の天然水中にも入っていたが、戦後の核実験や原発稼働によって自然界のトリチウム量は急増し、1950年時点の大気中のトリチウム濃度と比べて1000倍以上のトリチウムが放出されています。

DNAの塩基の分子構造を変えてしまうトリチウム

トリチウムは他の放射線核種と違って、放射線を出すだけではなく化学構造式も変えてしまう。DNAを構成している塩基の分子構造が変化すれば細胞が損傷されます。ですからいくらエネルギーが低くても安全な訳ではないのです。またDNAを構成している塩基の化学構造式まで変えるということは広い意味で人間の遺伝子組換えを行っているとも言えるのです。

トリチウムの元素変換によるDNA損傷

1リットルあたり6万㏃のトリチウム汚染水が放出される

トリチウムの排出規制基準値は、水の形態の場合は60㏃/㎤であり、水以外の化合物の場合は40㏃/㎤、有機物の形態では30㏃/㎤です。

水中放出の濃度規制値は、1㎤あたり60㏃を1リットルに直すと6万㏃/リットルです。それ以下に薄めれば海洋放出できるわけです。なおセシウム137の規制値は90㏃/リットルです。このトリチウムの規制値も根拠はなく、日本で最初に稼働した福島の沸騰水型原子炉では年間約20兆㏃のトリチウムを排出していたので、1割増の年間22兆㏃のトリチウムの海洋放出を認めたものであり、人体影響とは関係がない規制値なのです。

日本は世界一緩い基準です。

飲料水中のトリチウムに関する基準値

安全論でも風評被害論でもなく

トリチウムは自然環境中にも少量存在していたが、現在のトリチウムの大半が核兵器の実験と原発稼働によるものであるため、その生物等への影響については、必要以上に矮小化されなければならなかった。こうした歴史の延長上で安全論と風評被害論の対立として議論されているが、どちらの意見も科学的には正しくはありません。

原発汚染水の海洋放出は人類に対する緩慢な殺人行為

原発事故が起こらなくて、稼働により放出しているトリチウムが健康被害に繋がっているのです。トリチウムは原発から近いほど濃度が高く、それに食物連鎖で次々、生物濃縮します。処理コストが安いからと言ってトリチウムを海洋放出することは、人類に対する緩慢な殺人行為なのです。

新型コロナウイルスによるパンデミックで世界中が大騒ぎしていますが、人間にとって健康に生きることが最も大事なことです。感染症では早期に症状が出ることが多いが、低線量放射線の影響は晩発性です。新型コロナウイルスの感染に関しては、三密を避ければ、それなりに感染するリスクは少なくなるが生活環境中でのトリチウムの被害は避けようがない。唯一、トリチウムをこれ以上環境中に出させないことでしか身を守る方法はない。将来、起こるトリチウムの健康被害を考えてほしい。

 

【著書紹介】

『被曝インフォデミック-トリチウム、内部被曝-ICRPによるエセ科学の拡散』(寿郎社)

原発事故から10年を経ても放射線による健康被害は軽視・無視され続けている。政府の言うトリチウムの安全性、モニタリングポストの数値、被ばく線量の単位シーベルトを信じてはならない――。〈内部被曝〉も利用したがんの放射線治療に40年間従事してきた西尾正道医師(北海道がんセンター名誉院長)による警告の書。

【サイト紹介】

『自著『放射線インフォデミック』を語る』

(独) 国立病院機構 北海道がんセンター 名誉院長

『市民のためのがん治療の会』顧問 西尾正道

http://www.com-info.org/medical.php?ima_20210316_nishio

盛岡レーメンの販売収益金寄付のご報告(県原水禁)

福島どもたちを支援する3団体寄付金贈呈しました

東京電力福島第一原発事故による放射能汚染の影響によって避難されている方々、生活環境・健康に多大な影響を受けている福島の子どもたちを支援するため盛岡レーメンの物資販売に取り組んでいただきありがとうございました。昨年度、今年度の取り組みから120万円の寄付金を捻出することができました。

各単産・団体、地区原水禁・地区労組会議の取り組みに対し、心から感謝を申し上げます。

昨年12月23日に松本市内で、県原水禁の宇佐美正信代表委員から「チェルノブイリ連帯基金」の神谷さだ子事務局長、「311受入全国協議会」の早尾貴紀共同代表に、それぞれ寄付金40万円を手渡しました。当日は、震災からの10年間の取り組み、コロナ禍における新たな被災者への支援などについて報告を受けました。

宇佐美代表理事と早尾共同代表(311受入全国協議会)

宇佐美代表委員は「原発事故の影響で苦しんでいる子どもたちの支援は重要」と述べ、早尾共同代表から「震災から10年が経過して関心も薄まり活動の継続が難しくなっている状況でのご支援がありがたい。全国の仲間、被災地にいる方々の励みになる」、神谷事務局長から「コロナ禍のなかで制約もあるが保養支援を継続していきたい」などの感謝の言葉をいただきました。

神谷事務局長(日本チェルノブイリ連帯基金)

12月10日には東京都内で、「3・11甲状腺がん子ども基金」の崎山比早子代表理事に喜多事務局次長から寄付金40万円を手渡しました。「甲状腺がんの子どもたちへの支援につかいたい」と崎山代表理事から感謝の言葉をいただきました。

喜多事務局次長と崎山代表理事(3・11甲状腺がん子ども基金)

盛岡レーメンの販売収益金寄付のご報告(PDF)

コロナ禍を乗り越え、新たな団結と連帯で、地域労働運動・平和運動を未来につなごう

第41回全国地区労交流会を長野市で開く

長野県労組会議と12地区労組会議・単産でつくる実行委員会は、「コロナ禍を乗り越え、新たな団結と連帯で、地域労働運動・平和運動を未来につなごう」をスローガンに11月13日、長野市のホテル・メルパルク長野で第41回全国地区労交流会を開きました。コロナ禍のなかで開いた全国集会でしたが、全国・県内とも参加を制限し代表者のみが参加する集会としました、また、インターネット・Zoomでの配信も行いました。集会には、全国・県内から63人の参加者が集まり、Zoomでの参加者は約20人でした。各地の運動の経験交流や松代大本営地下壕の見学などを行い、成功裏に終わることができました。

記念講演は、阿智村にある満蒙開拓平和記念館館長の寺沢秀文氏。寺沢氏は、全国で一番多くの団員を送り出した長野県の歴史を述べ、「長野県民が被害を受けた事実と同時に、中国に対する加害の側面もあったことを忘れてはならない」と強調しました。

各地区労や団体からの報告者は以下の通りです。

1)沖縄の米軍基地問題  桃原 功(宜野湾市議会議員)、大城孝之(中部地区労事務局長)

2)福島原発事故・汚染水問題  福島県・小名浜地区労 松本耕三(議長代行)

3)関西地区生コン支部弾圧事件  全日本建設運輸連帯労働組合 小谷野 毅(書記長)

4)JAL争議団闘争報告 鈴木圭子(団員)

5)コロナ禍での労働相談 神戸地区労 宇野克巳(議長)

6)長崎バスユニオンの闘い 長崎地区労 加世田和志(書記長)

7)コロナ禍の地域公共交通の現状 私鉄長野県連 若林茂(書記長)

8)労働相談・組織化 松本地区労組会議 平谷哲治(事務局長)

コロナ禍を乗り越え労働者の新たな団結と連帯を

県労組会議が定期総会開き、コロナ後の運動の再構築を確認

長野県平和・人権・環境労働組合会議(県労組会議)は10月22日、長野市のホテルメルパルク長野で第26回定期総会を開き、コロナ禍で生活と労働に直撃を受けた医療・公衆衛生の労働者や地域公共交通に携わる労働者を支援していくこと、感染防止対策のため中止や延期になったさまざまな運動を、コロナ後には改めて多くの仲間が参加できる運動にしていくこと、10月30日に投開票となる総選挙で市民と野党の統一候補を支援することなどを確認しました。

主催者を代表して松澤佳子議長は、「1年半以上にもおよぶコロナ禍は、私鉄、国労、全自交など公共交通を担う仲間や、病院や自治体の現場で働く仲間に大きな犠牲を強いている。一方、自公政権はアベノマスク、学校の一斉休校など非科学的で『やってる感』を漂わすだけの政策に終始してきた。『新しい資本主義』を掲げた岸田内閣もすでに掲げた政策は後退し、アベ・スガ政権を引き継ぐものであることは明白。中国や朝鮮民主主義人民共和国の脅威を盾に、『敵基地攻撃能力』の保有に前のめりになっているが、武力では何も解決しないばかりか危険であることはアフガニスタンやミャンマーの情勢からも明らかだ。アウシュヴィッツ強制収容所から生還した精神学者のフランクルは、著書『夜と霧』の中で最後まで助け合ったり夕陽を美しいと感じる人間性を失わなかった人が生き残れたことを書いている。厳しい状況下だからこそ、職場や地域で連帯し、労働者が団結することが必要だ」などとあいさつしました。

来賓は、連合長野から根橋美津人・会長、立憲民主党県連から篠原孝・代表(衆議院議員)、社会民主党県連合から中川博司・代表(県議会議員)、労働事業団体を代表して県労福協から中山千弘・理事長があいさつしました。

質疑討論では3人が発言しました。「コロナ禍で地域公共交通は大変な状況。県労組会議から各単組への激励金に感謝」(私鉄県連)「県労組会議青年女性連絡会で2年ぶりに反核平和の火リレーを実施した。12地区中7地区で実際にランナーが走った。若い人が平和を考える機会になっている。運動を止めずにやっていきたい」(自治労)、「アスベスト被害で仲間を亡くした。JR車両所で今でもアスベストが古い車両や建材に使用されている。引き続き取り組みを職場で進めたい」(国労長野)などの発言がありました。

総会では、岸田自公政権と対峙し、総選挙に勝利する特別決議と、「組合員はもちろんですが、組織されていない労働者・国民にも共感が広がる労働運動が今こそ必要とされています。コロナ後を見据えて、地域社会において労働者の新たな団結と連帯を再構築しましょう」とする総会宣言を採択しました。

☞ ここをクリック 岸田自公政権と対峙し、総選挙に勝ち抜く特別決議

☞ ここをクリック 定期総会総会宣言

信州市民連合と3野党が総選挙最終盤に「共同アピール」を発表

市民と野党の統一候補の全選挙区での勝利をめざして

憲法改悪に反対し、野党共闘を推進する市民団体「信州市民連合」は、総選挙において、1区から5区まで「市民と野党の統一候補」を推薦し勝利をめざして3野党と共に戦っています。

選挙戦も残すところあと3日、最終盤となりました。信州市民連合と立憲民主党、日本共産党、社会民主党の3党は、市民と野党の共闘で何としても全選挙区で勝利しようと訴える「共同アピール」を発表しました。

各選挙区で市民と野党の共闘を担っている関係者や、支持してもらっている有権者、県民のみなさんにあてたメッセージです。

☞ ここをクリック 信州市民連合と3野党の「共同アピール」

 1区 しのはら孝    2区 下条みつ   3区 神津たけし

 4区 ながせ由希子   5区 そが逸郎

 

県労組会議が総選挙に向け野党5人の予定候補を推薦

公助、共生、暮らし優先の政治をめざそう

県労組会議は、10月31日投票で行われる衆議院総選挙で、市民と野党の統一候補の5人を推薦しました。コロナ対策に行き詰った菅義偉首相が政権を投げ出し、岸田文雄政権が発足しました。安倍晋三元首相、菅義偉前首相と9年間続いた「アベ・スガ政治」は、国民・労働者の暮らしと仕事に、大きな“負の遺産”を残しました。岸田首相がアベ・スガ政治を清算しない限り、表紙を変えただけの政権に終わります。

総選挙では、市民・労働者と野党の共闘で、自助よりも公助、自己責任より共生、大企業や富裕層の利益よりも国民・労働者の暮らしを優先する政治へ転換を図りましょう。

なお、県労組会議および関係する地区労組会議は、総選挙の推薦候補5人に「政策要望書」を提出して、当選後には、労働者の労働や生活、平和や民主主義に関する課題について国政の場に反映するように要請しました。予定候補は全員、「要望された政策課題を受け止め、国政に反映させたい」などと答えました。

☞ ここをクリック 県労組会議ニュース・総選挙版

信州市民連合が3野党と確認書を締結-総選挙へ市民と野党の共闘がスタート

選挙区市民連合も野党候補者と確認書を取り交わし

信州市民連合は9月17日、立憲民主党県連・新政信州、日本共産党県委員会、社会民主党県連合の野党3党・1政治団体と総選挙に向けた「確認書」を取り交わしました。今秋の総選挙に向けて都道府県レベルで政党と政策に関する確認書を取り交わしたのは全国でも数少ないケースです。選挙区市民連合と野党候補者との間でも同様の確認書が取り交わされます。

これにより総選挙に向けた県内の市民と野党の共闘が成立し、市民連合、候補者、3野党が一体となった活動がスタートします。5選挙区すべてで自民候補に勝利し、国民の手に政治を取り戻しましょう。

9月24日には3野党代表、5選挙区候補者が一堂に会して

「信州市民連合キックオフ集会」を計画

信州市民連合と3野党、選挙区市民連合と候補者の間で共通政策を掲げる「確認書」が締結されたことを踏まえ、5選挙区候補者と3野党代表、市民連合関係者が一堂に会し、市民と野党の共闘で総選挙においてすべての選挙区で勝利し、政治を国民の手に取り戻す決意を固める集会を開きます。詳細は、県労組会議事務局までお問い合わせください。

☞ ここをクリック 信州市民連合と3野党・1政治団体確認書

☞ ここをクリック 信州市民連合ニュース(確認書締結)

立憲民主党県連・新政信州と確認書を取り交わし

日本共産党県委員会と確認書を取り交わし

社民党県連合と確認書を取り交わし

 

核兵器禁止条約の批准を求めて - 長野ネットが署名活動を開始

今年1月22日に、核兵器の製造・保有や使用を全面的に禁じる核兵器禁止条約が発効しました。

しかし、唯一の戦争被爆国である日本政府は、アメリカの「核の傘」の下で「核抑止力論」に固執し続け、条約に反対の立場をとり続けています。現在も1万3000発以上の核弾頭が地球上に存在し、偶発的に核戦争を招くリスクが常にあります。核兵器の保有によって安全保障の均衡が保たれるという考え方は幻想であり、人類の脅威でしかありません。私たちは、日本政府に、一刻も早く核兵器禁止条約を批准し、世界の中で核廃絶の先頭に立つことを要求しています。

日本政府が核兵器禁止条約に参加することを求めて7月18日、市民有志が集まって「~ヒバクシャの願いをつなぐ~核兵器禁止条約をひろげる長野ネット」を結成しました。日本政府あてに条約の批准を求める署名活動に取り組むことや講演会などを開く活動方針を確認しました。

7月31日には、長野駅前に25人が参加して初めての街頭署名活動を行いました。

長野ネットの代表世話人は以下の通りです(敬称略)。
◇窪島 誠一郎(無言館館主/作家)、◇清水 まなぶ(シンガーソングライター)、◇若麻績 敏隆(白蓮坊住職)、◇藤森 俊希(長野県原爆被害者の会会長)、◇前座 明司(長野県原爆被害者の会副会長)、◇菅谷 昭(松本大学学長/前松本市長)、◇今井 和子(長野県原爆被害者の会会員)、◇田沢 洋子(原発に頼らない未来を創ろうプロジェクト)、◇岡田 和枝(弁護士)

被爆76周年原水禁県大会では、今井和子さんに被爆体験をお話いただきました

8月6日、被爆76周年の「ヒロシマ原爆投下の日」を迎えました。今年の原水爆禁止県大会は、昨年からのコロナ禍の影響で、Zoomと会場参加の併用型で行われ、会場参加者40人、Zoom参加者20人の60人が参加しました。
午前8時から開かれた県大会では、原爆投下の8時15分、広島市で開かれている「原爆死没者慰霊式・平和記念式典」をオンラインでつなぎ、現地の「平和の鐘」の響きが会場を包む中、参加者が広島現地と合わせて黙とうを捧げました。
その後、県大会では、76年前に広島市で5歳の時に被爆した今井和子さんの被爆体験のお話を聞き、当時の想像を絶するような無残な様子を当事者ご本人から聴くことで、状況をよりリアルに感じることができた貴重な場となりました。これからも、この体験談を多くの方に伝えていって欲しいと思います。

県大会は最後に、「黒い雨」訴訟で、広島同様、長崎についても、国が黒い雨の降った地域にいた被爆体験者を、速やかに被爆者と認定することを強く求めるとともに、「原水禁運動の原点のスローガンである『核と人類は共存できない』を改めて確認し、21世紀には核兵器も原発も存在しない、安心で平和な社会をつくるため行動し続けることを、76回目のヒロシマの日に決意します」とする大会アピールを採択しました。

 

主催者あいさつ・宇佐美 正信代表委員

 

8時15分を期して黙とうをささげる参加者

you tubeで配信された平和記念式典

当時の被ばく体験を話す今井和子さん

大会はコロナ対策をして行われた。

☞ 今井和子さんのお話全文はここをクリック

 

青年女性が原発について学びました!

反核平和の火リレー事前学習会「いまさら聞けない原発のギモン」

元京大原子炉実験所助教・小出裕章さんの講演とトークセッション

第34回長野県反核平和の火リレー事前学習会が6月19日、松本市で開かれました。リレーは、労働組合の所属を超えた青年女性の仲間でつくる実行委員会で取り組まれ、今年は7月13日から8月10日の日程で行われます。

今年は福島原発事故から10年の節目であり、リレーでかかげる「核廃絶」を実現するうえで避けられない「脱原発」の課題について、改めて学びたいという実行委員会での議論から、元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんを講師に招き「いまさら聞けない原発のギモン」と題し開きました。

講演で小出さんは、原発の燃料となる核分裂を起こすウランは、採掘される天然ウランのうちわずか0・7%しか含まれず、発電所で使うには高度な濃縮技術が必要でありエネルギー資源としてとても貧弱であると説明。そのうえで、原子力推進派が推す、核分裂に適さないウランや使用済みウランから生成したプルトニウムを高速増殖炉で燃やし再利用し続ける核燃料サイクルという「夢の原子炉計画」についても、開発を始めた1968年の68年の8年の段階で1980年後半には実用化できるとしたものの、50年以上たった現在も技術開発の目途すらたたず、破綻した計画であると強調されました。福島原発事故は原発が安全ではないことを事実を持って示した、原子力に夢をかけること自体が間違いだと訴えました。

講演後、青年女性の代表者と小出さんとの意見交換の場が設けられ、フクシマで働く被曝労働者の実態やトリチウム水の危険性について質問が出されました。また今回会場参加者に加え、ZoomとYouTubeによるウェブでの視聴参加もあり、チャットを通じて質問意見が寄せられました。最後にウェブ参加者から、「ここまで危険の多い原発を国や電力会社は何故やめられないのか」という質問が出され、小出さんは、「国は、電力会社が必ず儲かる仕組みを作り原発を国策民営として推し進めてきたことが一つ、もう一つは原子力=平和利用、核=軍事利用と全く別物のように扱いながら実は核兵器をもつ潜在的能力を蓄えたい、失いたくないという理由から国は原発を手放せないでいる」と説明しました。

事前の参加者アンケートでは原発利用について、賛成、反対様々意見が寄せられましたが、科学的見地と事実に基づく小出さんの説明に「知らないことが多いと改めて感じた」「原発賛成の意見が変わった」という感想が寄せられ有意義な学習会となりました。