反核平和の火リレー事前学習会「いまさら聞けない原発のギモン」

元京大原子炉実験所助教・小出裕章さんの講演とトークセッション

第34回長野県反核平和の火リレー事前学習会が6月19日、松本市で開かれました。リレーは、労働組合の所属を超えた青年女性の仲間でつくる実行委員会で取り組まれ、今年は7月13日から8月10日の日程で行われます。

今年は福島原発事故から10年の節目であり、リレーでかかげる「核廃絶」を実現するうえで避けられない「脱原発」の課題について、改めて学びたいという実行委員会での議論から、元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんを講師に招き「いまさら聞けない原発のギモン」と題し開きました。

講演で小出さんは、原発の燃料となる核分裂を起こすウランは、採掘される天然ウランのうちわずか0・7%しか含まれず、発電所で使うには高度な濃縮技術が必要でありエネルギー資源としてとても貧弱であると説明。そのうえで、原子力推進派が推す、核分裂に適さないウランや使用済みウランから生成したプルトニウムを高速増殖炉で燃やし再利用し続ける核燃料サイクルという「夢の原子炉計画」についても、開発を始めた1968年の68年の8年の段階で1980年後半には実用化できるとしたものの、50年以上たった現在も技術開発の目途すらたたず、破綻した計画であると強調されました。福島原発事故は原発が安全ではないことを事実を持って示した、原子力に夢をかけること自体が間違いだと訴えました。

講演後、青年女性の代表者と小出さんとの意見交換の場が設けられ、フクシマで働く被曝労働者の実態やトリチウム水の危険性について質問が出されました。また今回会場参加者に加え、ZoomとYouTubeによるウェブでの視聴参加もあり、チャットを通じて質問意見が寄せられました。最後にウェブ参加者から、「ここまで危険の多い原発を国や電力会社は何故やめられないのか」という質問が出され、小出さんは、「国は、電力会社が必ず儲かる仕組みを作り原発を国策民営として推し進めてきたことが一つ、もう一つは原子力=平和利用、核=軍事利用と全く別物のように扱いながら実は核兵器をもつ潜在的能力を蓄えたい、失いたくないという理由から国は原発を手放せないでいる」と説明しました。

事前の参加者アンケートでは原発利用について、賛成、反対様々意見が寄せられましたが、科学的見地と事実に基づく小出さんの説明に「知らないことが多いと改めて感じた」「原発賛成の意見が変わった」という感想が寄せられ有意義な学習会となりました。