21世紀のキーワード―平和・人権・環境

長野県平和・人権・環境労働組合会議

与野党伯仲の国会で労働者・国民の願いを反映する政治をつくろう

県労組会議が定期総会開き護憲・脱原発などの運動方針を確認

県労組会議事務局次長に草野麻理子さん、間宮正博さんを選任

長野県平和・人権・環境労働組合会議(県労組会議)は10月18日、代議員・傍聴者など約60人を集め、長野市内で第29回定期総会を開きました。おりしも10月初めに発足した石破茂政権が、自らの権力基盤を強めるためだけの目的で衆議院を解散し総選挙が行われている真っ最中の総会でした。

主催者あいさつで、宇佐美正信議長は、岸田政権が退陣し石破政権が発足した点について触れ「国民生活や平和を壊し続ける自民党政治に変わりはない。総選挙で与党の過半数割れをめざそう」などと強調しました。

来賓として、連合長野の根橋美津人会長、立憲民主党県連の杉尾秀哉代表(参議院議員)、社会民主党県連合の中村雅代副代表(小布施町議会議員)、部落解放同盟県連の小山慎彦執行委員長、朝鮮総聯県本部の洪高志組織部長、県労働金庫の小池政和理事長、こくみん共済coop長野推進本部の村山智彦本部長、県住宅生協の徳武淳理事長にごあいさつをいただきました。

討論では「県の人事委員会勧告が出て市町村段階での確定闘争に取り組んでいる。『労使自治の原則』で労使交渉を積み重ねて要求を実現したい」(自治労)、「初めて総会に参加した。いざというときに相談に乗ってくれる労組会議を頼りにしている」(印刷フォーラムながの)、「朝鮮学校を支援するキムチ購入に取り組んでいるが、食品の内容表示を徹底してほしい」(松本地区労組会議)などの報告、意見がありました。

特別決議として「平和と民主主義、国民生活を守り抜くため、総選挙に勝利し政権交代を実現する決議」が採択されました。最後に「組織されていない労働者・国民にも共感が広がる労働運動、平和運動が必要」であり、「私たちの日々の運動の積み重ねが、必ず平和で幸せな社会、労働者・国民のための社会をつくると確信」しようとする「総会宣言」を採択しました。

役員改選では一部役員が交代しましたが、県労組会議三役は全員が留任、新たに事務局次長として草野麻理子さん、間宮正博さんが選任されました。役員体制(四役)は以下の通りです。

◆議長=宇佐美正信(国労長野)、◆副議長=伊藤浩二(自治労)、若林茂(私鉄県連)、大橋孝宏(森林労連)、◆事務局長=喜多英之(自治労)、◆事務局次長=草野麻理子(県労組会議・自治労)、間宮正博(県労組会議・自治労)

総会には代議員・傍聴、役員など約60人が出席

あいさつする宇佐美正信議長

【来賓】根橋美津人・連合長野会長

【来賓】杉尾秀哉・立憲民主党県連代表(参議院議員)

【来賓】中村雅代・社民党県連合副代表(小布施町議会議員)

【来賓】小山慎彦・部落解放同盟県連執行委員長

【来賓】洪高志・朝鮮総聯県本部組織部長

【来賓】小池政和・県労働金庫理事長

【来賓】村山智彦・こくみん共済coop長野推進本部本部長

【来賓】徳武淳・県住宅生協理事長

発言する小川晃代議員(自治労)

発言する丸山信子代議員(印刷フォーラムながの)

発言する高山佳朗代議員(松本地区労組会議)

総会の最後には全員で団結ガンバロー

〈第18期〉21世紀の労働運動研究会第3回講座「職場におけるハラスメント及び安全衛生の判例と課題」(講師:小川英郎弁護士)

「〈第18期〉21世紀の労働運動研究会」の全4回の講座が終わりました。
今回は、上松町(木曽地区)を会場にした第3回講座についてご紹介します。

ハラスメント問題に詳しい小川英郎弁護士が講演

第3回講座は、9月20日(金)、ひのきの里総合文化センター(上松町)でウェール法律事務所(東京)の小川英郎弁護士を講師に迎え、「職場におけるハラスメント及び安全衛生の判例と課題」というテーマで、ハラスメントの定義、職場での具体的なハラスメント対策、カスタマーハラスメント(カスハラ)についてもお話いただきました。会場参加・Zoom参加をあわせて60人が参加しました。平日夜にもかかわらず、会場は、自治労、林野労組の若手組合員を中心に大勢の参加者で賑わいました。冒頭、木曽地区労組会議の西村議長は「学習を通じて本質を見極めることが大事。悩んでいる人達を労働組合としてどう救済していくのか。この問題で職場を去るという人をゼロにすることも労働組合の課題。職場に持ち帰っていただき、対策に役立てていただけたら」と挨拶されました。

講演する小川弁護士

日本の職場環境の悪化がハラスメントの源泉

近年、労働強化や人員の減少などの傾向と相まって、職場でのパワハラ、セクハラ、いじめなどが増えています。さらに顧客からの理不尽なクレームや言動によって労働者のメンタルが傷つけられる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」も社会問題となっています。小川弁護士は「職場でのパワハラ、セクハラ、いじめなどの相談が増えている」「90年代後半はリストラや解雇や賃金の問題が圧倒的だった」と長年務めてきた労働弁護団のホットライン(相談ダイヤル)での相談内容の変化から「日本の職場環境が悪化していることに原因がある」「一人ひとりの労働条件が悪くなると、同僚や部下に対して丁寧に気を配る余裕がなくなり、ハラスメントが生まれてきているのでは」と指摘しました。講演では、2019年の「改正労働施策総合推進法」が成立してパワハラが初めて法律で規定されたこと、パワハラの定義、具体的なハラスメントと対策を裁判例を交えながらわかりやくお話いただきました。

日本労働弁護団ホットライン
https://roudou-bengodan.org/hotline/

社会問題化するカスタマーハラスメント

講演の最後にはカスハラの問題に触れ、「カスタマーハラスメントがエスカレートすると犯罪行為に近づいてくる」「基本的には警察対応、どう対応するかを組織の中で線引きをしておくことが必要」と対応策が示されました。質疑応答では、参加者からのサービス残業対策やカスハラ対策などの質問に対して、具体的なアドバイスを頂けました。

会場には50人が集まった。

【講演概要】

職場におけるハラスメント及び安全衛生の判例と課題

第1 パワーハラスメント

1 改正労働施策総合推進法成立

198回通常国会(2019年)で、職場のパワーハラスメント(パワハラ)に対する事業主の措置義務を定めた改正労働施策総合推進法が成立した。

・優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
・業務の適正な範囲を超えて行われること※最も重要
・身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
※3つの要件を満たすものがパワハラ

⇒詳細は指針に委ねられた(令和2年[2020年]6月1日施行)

◎事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針【令和2年6月1日適用】※パワハラ指針

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000605661.pdf

2 定義について

(1)「職場」

「当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当該労働者が業務を遂行する場所については、『職場』に含まれる。」

「業務を遂行する場所」には、出張先、取引先、会社の懇親会等が含まれる。また勤務時間外であっても業務遂行との関連性が認められれば、『職場』にあたりうる。ハラスメント防止の観点からすれば、①明確化と②安全サイドに立った解釈が求められる。

(2)「優越的な関係を背景とした」

「行為者に対して、抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるもの。」

職位、職種・雇用形態の違い、能力・資格・実績・成績などの個人的能力、容姿や性格、性別、性的指向・性自認など、あらゆる要因により事実上生じた人間関係を広く含む概念と解して対応することが求められる。「抵抗又は拒絶できない」ほどの関係がないと安易に解釈することは危険。

(3)「業務上必要かつ相当な範囲を超えて」について

「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動であるかの判断にあたって、「個別の事案における労働者の行動が問題となる場合は、その内容・程度とそれに対する指導の態様などの相対的な関係が重要な要素となる」

労働者の行動の問題性が高ければ、指導・叱責が直ちにパワハラに該当しなくなるということではない。多くの裁判例で労働者側の問題点を指摘しつつも、違法性が認められている点に注意。

第2 セクシャルハラスメント

■パワハラよりはるかに早く雇用機会均等法(第11条)で規定された。

1 「職場におけるセクハラ」とは?
=「職場」において行われる「性的な言動」に対するその雇用する「労働者」の対応により、当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること。
⇒使用者は「職場におけるセクハラ」が起こらないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用機会上必要な措置を講じなければならない(雇用機会均等法第11条)

2「性的な言動」とは?
・性的な内容の発言
・性的な言動
※性別役割分業に基づく言動も含まれる

(例)
・「男のくせに根性がない」
・「温案は若くてかわいい方がいい」
・女性だけにお茶くみ、掃除をさせる など
・女性であるとして、記者を重要な取材先に配置する※財務省事務次官セクハラ問題

■裁判所の意識も低かった。触ったわけでもないのにセクハラにはならないと。今ではすぐにアウト。セクハラ・パワハラ、ハラスメントへの考え方が変わってきている。しかるべき立場にある人が、セクハラやパワハラが起きているのに放置していると、その個人も法律上の責任を問われることがある。

第3 メンタルヘルス不調と労働災害

1 問題の所在

近年、メンタルヘルス不調が業務に起因する労働災害であるとして紛争になるケースが増えている。特に、労働基準監督署が業務外決定をしたため、行政取消訴訟として裁判に持ち込まれるケースが依然として多い。これらの裁判例の傾向を検討し、業務上と業務外の判断が実務上どのようになされているのか、使用者及び人事労務担当者が気を付けるべき点はどこにあるのか、労働者としてはどうすればよいのかといった点について考察する。

■労働基準監督署で認められるのは2割くらいで、8割は却下されている。裁判に訴えるひとは少数でほとんどのひとが諦めている。しかし、裁判に訴えた場合4割くらい国側が敗けている。いかに労基が労災と認めていないかの反証となっている。

■メンタルヘルス不調を労災かどうか判断するには、「業務による心理的負荷評価表」を参照。ハラスメントに関心があったり学びたいひとは理解していただくといい。

「業務による心理的負荷評価表」(厚生労働省サイトから)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/120427_4.pdf

■メンタルヘルスの労災の申請があった際に、労基署はこの表で判断する。表のなかで「弱」「中」「強」とあるが「強」とされると労災認定される。過去半年間のイベント(出来事)を評価する。

■カスタマーハラスメントの場合、表の27番「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」には心理的負荷の強度「Ⅱ」が付いているが、これだけでは労災認定されない。

【27番】

 

しかし、「強」になる例として、
・顧客等から、治療を要する程度の暴行等を受けた
・顧客等から、暴行等を反復・継続するなどして執拗に受けた
・顧客等から、人格や人間性を否定するような言動を反復・継続するなどして執拗に受けた
・顧客等から、威圧的な言動などその態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える著しい迷惑行為を、反復・継続するなどして執拗に受けた
・心理的負荷としては「中」程度の迷惑行為を受けた場合であって、会社に相談しても又は会社が迷惑行為を把握していても適切な対応がなく、改善がなされなかった

【23番】

■このようなことがあった場合は、カスタマーハラスメントは平均的には「Ⅱ」だが、「強」として労災として認める。また、半年間のうちに上司からパワハラを受けた(23番「同僚等から、暴行又はひどいいじめ・嫌がらせを受けた」)などの出来事があった場合は「Ⅱ」が二つあることになり、今の実務では「Ⅱ」が二つあれば労災が認定される。

■ぜひこの一覧を活用できるようになってほしい。

第4 カスタマーハラスメントについて

1 カスハラとは?

顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上、不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの。

「顧客」には、今後の利用可能性がある潜在的顧客も含む。

2 抵触する法律

カスタマーハラスメントは、単なるクレームに止まらず、犯罪行為になる場合がある。傷害罪、暴行罪、脅迫罪、恐喝罪、強要罪、名誉棄損罪、侮辱罪、威力業務妨害罪、不退去罪、軽犯罪法違反罪など。

■パワハラにおける会社の中の上司や部下や同僚などの関係とは異なり、カスタマーハラスメントにおける加害者は一般の顧客のため、その人との関係が法律的にあるわけではない。しかしクレームに止まらず犯罪行為になる場合もある。例えば、「今言ったことは録音してあるからネットにあげてやる」などは脅迫罪です。「これで会社を休まなくちゃいけなくなった。日当は○○円だ」などと暗に金を払えと匂わせると恐喝罪です。土下座させようとするなど不必要なことをさせることは強要罪です。ネットで言いふらすなどは名誉棄損罪です。バカなどと厳しい言葉を投げつけることは侮辱罪です。居座って帰らないなどで業務を滞らせるなどは威力業務妨害罪、不退去罪です。

■カスタマーハラスメントがエスカレートすると犯罪行為に近づいてくる。基本的には警察対応。どのくらいでどう対応するかの線引きをしておくことが必要。

3 対策

(1)相談体制の整備
(2)被害者への配慮のための取組み(メンタルヘルス不調への相談対応、一人で対応させない体制整備など)
(3)マニュアル作成、研修の実施

■組織や会社は、あらかじめそういう人が来たらどう対応するかを決めておく。そうしないとどんどんハラスメントがエスカレートする可能性がある。

4 具体的には

  • 長時間拘束

帰らない。電話を切らないなど

■丁寧に応対する。怒鳴られても同じように言い返さない。一定の時間が過ぎたら「申し訳ございません。これで切らしていただきます」などと言って切るなどの対応をあらかじめ上司は指示しておくことが大事。話をつないで、相手に切らせないようなテクニックを持っている。

  • 反復型

繰り返しのクレーム。

■毅然と対応することが重要。組織として一定の基準をつくっておく。

  • 暴言

やめるように説得、やめなければ録音、退去を求める

  • 暴力

警備員がいる職場なら警備員にすぐ連絡、複数名で対応することが肝心。直ちに警察に連絡。

  • 威嚇・脅迫

「殺すぞ」「ネットで拡散してやる」「口コミに書いてやる」

録音する。脅迫罪にあたることを伝える。退去を求める。警察への通報も考える。

  • SNSなどへの誹謗中傷

SNSのプラットフォームに削除を要請する。身元が分からない場合は発信者情報開示(弁護士に依頼)して対応を考える。名誉棄損の場合は、警察や弁護士に

【質疑応答】

Qサービス残業への対応はどうしたらいいか?

Aタイムカードを置くのがいい。法律上は1分単位で残業代の支払い必要。労働基準法は罰則付きの法律で、違反した場合は懲役6か月以下、罰金30万円以下の列記とした刑罰法規であることをわからせ、タイムカードを置くのが一番いいのがいいと思う。

Q2~3年で、全国にわたり広域に人事異動が多い職場。人事面で事前調査あるが、本人の希望が叶いにくい。組合では限定的ではあるが、健康面や家庭の事情に限り人事に配慮するよう申し入れている。

A東亜ペイント事件では、企業の方に幅広い裁量権を認めてしまった。単身赴任があたり前だった時代に出た判決。人事異動は違法であると権利濫用だと訴え取り消された事例は少ない。ただ労働者側が勝ったケースは家庭の事情がある場合。有名な明治図書事件は、重度のアトピー性皮膚炎のあるお子様が2人いる家庭だった。両親ともにフルタイムで、特殊な病院への通院が必要だった。夫は労組の副委員長だったので不当労働行為的でもあるが、東京から大阪への転勤を命じた。妻が仕事を辞めないと子どものケアができない。裁判所は、夫への配転命令は権利濫用で無効だと判断。今の裁判所は、家族の事情などで配転は過酷だと判断する場合は、これを無効とする傾向がある。法的に難しい場合は労働組合の力が非常に重要。私がかつて務めていた会社は、非常に組合が強くて、転勤の命令が出ても、本人がいやだと言うなら行かなくていいという労使慣行が確立していて、人事についての同意権を持っていた。いまはなくなってしまったそうですが。本人が希望しない配転については、最大限の配慮をするようにというような職場での慣行をつくっていく取り組みが重要。

Qセクハラやパワハラは、裁判や交渉事にまで至らず悩んでいる人多い。職場でも相談窓口設けているが、相談するひとは少ない。少しでも職場をよくできた事例があれば教えてほしい。この問題で職場を去る人を皆無にしたい。

A本当にその通りだと思います。セクハラ・パワハラを受けて会社を辞めていく人は非常に多いのでなくしていかないといけない。組合がない職場で、パワハラを会社に申告したが、相談窓口が機能しなかったケース。本人は、まずは否定する。言ったかもしれないけど、そんな言い方ではないなどと言って、事実確認ができなかった。相談者は人望があり、職場の人助けをしていた。私は協力してくれる仲間はいませんかと訊きました。職場の同僚が書面で申入書をつくって、再度相談窓口に出したら、調査が必要となりパワハラがあったことを認定して、加害者本人を処分した。これは1人では浮いてしまう。職場での一種の団結があると解決が早い。普段からのコミュニケーションをきちんととれるようにしておくことが重要。

セクハラ・パワハラは早期発見が重要。相談しやすい相談窓口を用意することが大事だが、現実的にはあまり役に立っていないところが多い。経営者相手に話すこともあるのですが、パワハラで社員が自殺したらどれくらいの賠償が必要か知っていますかと話します。裁判例をあげながら、普通の中小企業なら倒産するくらいの金額の賠償を命じられることもあると話します。労働組合からも会社側に経営上のリスクであると説得していくことも有効。横のつながりで学習会を開催して、情報を共有していくことも有効。

Qカスハラについて、警察などに通報するタイミングが難しい。過度な暴言や土下座要求などの場合でも警察に通報等できるのか?また記録があれば後日訴えることもできるのか?

A脅迫や強要でも警察に通報できる。録音は本人の承諾は不要。暴言、脅迫するような人に確認は不要。その方が絶対安全。後日、勝手に録音しやがってと言われても、法律違反ではない。裁判でも証拠になる。

Q役場で長時間、叱責されるという事案があった。

Aできるだけ毅然と対応されることがいい。一人で対応させず組織で対応している姿勢を示すことで相手もひるむこともある。町役場でしたらその中で、あらかじめどういった対応をするかのマニュアルを作成して、体制を準備しておくことが重要。

【参考】

ウェール法律事務所・社員からの法律トラブル相談室・第6回「配置転換」(小川英郎弁護士)
https://ver-law.ne.jp/img/roumu_120915.pdf

〈第18期〉21世紀の労働運動研究会第2回講座「コミュニティ・ユニオンの現在とこれから」(講師:鶴丸周一郎氏)

「〈第18期〉21世紀の労働運動研究会」の今期の全4回の講座が終わりました。
今回は松本を会場にした第2回講座についてご紹介します。

「名古屋ふれあいユニオン」の鶴丸周一郎氏が講演

第2回講座が7月20日(土)、松本市勤労者福祉センター(松本市)で名古屋ふれあいユニオン運営委員長の鶴丸周一郎氏を講師に迎え「コミュニティ・ユニオンの現在とこれから」というテーマで、未組織労働者からの労働相談の実態、地域ユニオン運動、日本の労働運動のあり方などについてお話いただきました。会場参加・Zoom参加あわせて30人が参加しました。

職域に単位を置く企業別労働組合が主流の日本のなかで、職場をこえて1人でも加入できる労働組合=コミュニティ・ユニオンの活動が注目されています。日本では労働組合の加入率が年々低下するなかで、労働者10人のうち8人が労働組合に加入していません。労働組合のない職場の労働者からの相談を受けて、ユニオンに加入してもらい、企業と団体交渉などを行い問題を解決していくユニオン活動は、労働組合への組織化の最前線を走っています。

講演する鶴丸周一郎氏

「労働組合」「1人」「入れる」と検索したことから始まった

昆虫学者を目指していたなかで市役所職員になるなど異色の経歴を持つ鶴丸氏は、ある職場で社長に異を唱えたことで解雇されたことをきっかけに、1人でも入れる労働組合「名古屋ふれあいユニオン」に加入することになり労働組合との関わりが始まったことや、短期間での配置換えの末に研究開発部と称した「隔離部屋」での地震の体験なども語られました。

講演の最後に組織や国を垣根をこえた運動づくりの重要性が強調され「分断をこえなければ労働運動に未来はない」と訴えました。

講演終了後は、鶴丸氏にコメントをいただきながら、ワークルールについての学習を深めました。

名古屋ふれあいユニオン公式サイト

https://nagoya-union.online/

コミュニティ・ユニオンの現在とこれから

【講演概要】

■コミュニティ・ユニオンとは?

・これまでの日本の労働組合の多くが企業ごとに正社員だけを対象に組織されてきた者であったのに対し、コミュニティ・ユニオンは、地域社会に密着して、パートでも派遣でも、外国人でも、だれでもひとりでもメンバーになれる労働組合。

■運動のはじまり

・1975年頃からサービス業、卸・小売業、飲食店などでの雇用が急速に拡大。その多くが不安定雇用・低賃金の主婦パートだった。1981年頃から労働組合の地域組織(地区労)を中心にして「パート110番」などによる労働相談活動が広がった。江戸川区労協の相談に訪れたパート労働者が「私たちでも入れる組合があればいいのにね」と言ったのがきっかけとなり、1984年に「ふれ愛・友愛・たすけ愛」を合言葉にした江戸川ユニオンが結成。これをきっかけにコミュニティ・ユニオン運動が広がった。

■名古屋ふれあいユニオン

・1999年に結成。組合員数は約420人、うち移住労働者は40%。14分会のうち半数が移住労働者の分会。ブラジル人の組合員が組織にとって重要な役割を果たしている。大規模雇い止めなど、職場で共通する問題が複数加入のきっかけになっている。

名古屋ふれあいユニオンの組合員数の推移 

■名古屋ふれあいユニオンの課題

  • 問題の原因、問題解決について

移住労働者が職を失いやすい構造(企業が都合よくクビを切れる構造)がもともとあるため、理不尽ではあっても、必ずしも違法ではない。

  • 言語

通訳が常駐していないため、相談の電話にすぐ対応できないことも多い。

いまは1人の組合員に頼ることが多いが、将来的には通訳ができる専従者が必要。しかし現状は費用(人件費の確保)と対象者どちらもクリアできていない。

  • 組織化

個別問題が解決した組合員に対し、組合員である意義をどう理解してもらうか、どうしたら組合内で横のつながりをもてるかが課題。

多くのブラジル人の組合員は家族ぐるみで組合の集まりに参加

■コミュニティ・ユニオンのこれから―運動を継続するために

(1)次世代の担い手をいかにしてつくるか

・20~30代の専従者は、全国ネットのなかでは十数人。50歳でも「若手」。

・20年後も運動を継続するために何が必要か? 全国ネットでは、毎年開催しているユニオンセミナーのほか、近年は比較的若い世代のつながりづくりも行っている。

(2)垣根をこえた運動づくり

・分断をこえなければ運動に未来はない。第1回講座の講師の渡辺さんのPOSSEと同じように名古屋ふれあいユニオンも上部組織がない。特定の潮流もなく、連合系と一緒に活動することもあり、一方で全労連系とも共闘することもある。組織内にも多様な声があるが、こういったことを意識してやっている。自分が労働組合の経験が浅いから出来ているのかもしれない。組織を一つにするのは不可能かもしれないが、必要な運動があればできるだけ垣根をこえていくことが、将来、労働運動を継続、発展させていくために重要。

・労働運動にとどまらないことが重要。あるいは国内だけにとどまらない。労働運動は社会運動の一部だが、労働運動でこの社会を変えることができるということを認識すること。

ポルトガル語の「解雇を撤回しよう」というプラカード

総選挙 与党が過半数割れ - 政権交代へ道筋つける

県労組会議の推薦候補4氏が当選果たす

国民・労働者の生活向上、平和を守る政治へ大転換を

10月27日に投開票された総選挙は、自民・公明の与党が過半数を大きく割り込み、立憲民主党などの野党が躍進する結果となりました。「一強多弱」の政治状況が一変し、与野党伯仲状態が生まれました。裏金や旧統一教会問題、絶対多数を背景にした強権的な国会運営など、自民党政治のおごりに国民の怒りが吹き上がりました。

県労組会議は1区、2区、3区、5区の4人の候補者を推薦しましたが、全員が当選を果たすことができました。みなさまのご支援に心から感謝申し上げます。

当選した衆議院議員

長野1区 篠原 孝

長野2区 下条みつ

長野3区 神津 健

長野5区 福田淳太

裏金・統一教会に頼り、国民生活と平和を壊す自公政権は退場を

立憲野党の躍進で国民・労働者のための政治、政権交代を実現しよう

総選挙投票日は10月27日(日) 期日前投票の活用も

石破政権が発足しましたが、国会で十分な議論も行わず、10月9日解散、15日公示、27日投開票の総選挙を強行しました。

石破首相は自民党総裁選の中で掲げた「裏金議員の選挙での厳しい処遇」「日米地位協定の改定」「選択的夫婦別姓制の導入」などは、首相就任後に態度を一変させ、発言を修正したり封印したり、発言と行動が一致しないブレた対応に終始しています。また、衆議院の解散についても総裁選では、国会で十分に議論してからなどと発言したにもかかわらず、早期解散を強行するなど、すでに国民からの信頼感を失いつつあります。

投票日は10月27日(日)。国民生活と平和、民主主義の将来のために何としても自公政権の過半数割れ、政権交代への道すじをつけましょう。

県労組会議総選挙推薦候補

長野1区 しのはら孝  長野2区 下条みつ

長野3区 神津たけし   長野5区 福田じゅんた

県労組会議が4候補に「政策要望書」を提出

県労組会議は各選挙区の推薦候補者あてに「政策要望書」を提出し、その内容を尊重して国政にのぞむように求めました。

公示日の15日、16日に4人の候補者事務所を訪問して要望しました。政策要望書の内容は下記の通りです。

政 策 要 望 書

 第50回衆議院総選挙に向け、長野県平和・人権・労働組合会議、各地区労組会議は、下記の通りの政策要望を提出します。貴殿におかれては、私たちの政策要望を尊重していただき、当選後の国会活動に反映していただけるように要請いたします。

1.立憲主義に基づき、憲法9条の改悪に反対し、基本的人権の尊重、平和主義、国民主権を掲げる日本国憲法の原則を徹底して守ります。

2.核兵器禁止条約を批准し、脱原発と再生可能エネルギーへの転換を積極的に進めます。

3.沖縄県の米軍辺野古基地建設に反対し、日米地位協定の改定を求めます。

4.勤労者の生活を直撃している物価高に対し、家計への直接的補助の拡充、中小零細事業者の雇用と事業を守るための支援策を拡充します。

5.労働基本権を擁護し、労働者全体の賃金引き上げと解雇規制の自由化に反対するなど労働者保護ルールの堅持、官民の非正規雇用の待遇改善を図り、正規雇用化をめざします。

6.男女の賃金格差、雇用格差をなくし、女性が安心して働き続けられる権利確立に取り組みます。また、LGBTsなどすべての差別の解消に取り組みます。

7.真の地方自治を実現するための財政を確立し、人員確保を進めます。病院、保健所、保育所、水道など市民の健康と生命にかかわる公共部門の充実をはかります。

8.中小零細企業、地場企業への支援を拡充し、下請け企業の価格転嫁や適正価格での雇用保障、労働条件の維持・向上に取り組みます。

9.公共交通の人手不足への対策を徹底し、ライドシェアなどタクシーの規制自由化に反対し、地域公共交通の維持、活性化対策を強化します。

10.国有林は「国民の共有財産」であり、地球温暖化防止の観点からも十分な予算を投入します。

11.食料自給率の向上や食の安全を確保し、地域における農林水産業を再建します。

信州市民連合と立憲・共産・社民の県内3野党が政策合意

自公過半数割れめざし総選挙で共同して戦う方針も確認

候補者調整・一本化に向けて努力する方向性も打ち出す

共同のテーブルには約40人の関係者が参加した

記者会見の最後に4人が固く握手

違憲の安保法制の廃止や岸田政権の軍拡政策に反対する活動を進めている信州市民連合は7月31日、長野市生涯学習センターで約40人の参加者を集めて、「信州市民連合と3野党との『共同のテーブル』」を開きました。

信州市民連合は昨年夏以降、立憲民主党、日本共産党、社会民主党の県内3野党と総選挙において市民と野党が共同で掲げる政策について意見交換を重ねてきました。政策内容について3野党と合意ができて「共同のテーブル」を開く運びとなりました。

「共同のテーブル」には、立憲民主党県連代表の杉尾秀哉氏(参議院議員)、日本共産党県委員会委員長の鮎沢聡氏、社会民主党県連合代表の中川博司氏(県議会議員)が参加しました。

まず、主催者を代表して又坂常人・信州市民連合共同代表(信州大学名誉教授)があいさつ。又坂氏は「岸田政権は、米軍と自衛隊の一体化、自衛隊の米軍の下請け化をいっそう進めている。この国会では、地方自治体への国の指示権を認める地方自治法の改悪を強行した。中央集権的な国家の介入を容認する改悪法だ。ダッチロール状態の岸田政権に一刻も早く終止符を打ち、本当に国民の意思を代表し 新しい未来をひらく政権をつくろう」と強調しました。そして又坂氏は「そのために総選挙で与党の議席を1つでも2つでも3つでも減らす必要がある。少なくとも与野党が拮抗する状態に持っていって、最終的には政権交代をするという戦略的な考えをぜひ野党には持ってもらいたい。そして、手始めとして小選挙区で候補者の一本化を図っていただきたい」と市民と野党の共闘で戦う方向性を求めました。さらに又坂氏は「候補者調整と同時に、政策の一致が求められる。今日の共同のテーブルで3野党に手渡す政策要望書を尊重して活動してもらいたい」と述べました。

その後、3野党にそれぞれ信州市民連合の「政策要望書」と「基本政策」が手渡されました。

杉尾秀哉・立憲民主党県連代表

あいさつに立った杉尾秀哉・立憲民主党県連代表は、「信州市民連合より受け取った政策要望書については、最大限私たちの要望も聞いていただき、納得できる内容にまとめてもらって感謝する。これからの解散総選挙、国政での活動ではこの政策要望書の内容を尊重して行動していく。長野県では、私も2016年に最初に市民と野党の共闘で一本化をしていただき国政に送り出していただいた。それから参議院では4回の選挙で連勝をした。『長野モデル』の勝利だった。残念ながら衆議院の2021年の総選挙では、長野モデルが県民に十分な理解を得られず勝利することはできなかった。その反省の上に立って、今回、 政策要望書で次の解散総選挙で立憲野党の候補者一本化と市民と野党の共同を進めて当選を目指すことを要望されている。候補の調整、一本化を心から期待したい」などと述べました。

鮎沢聡・日本共産党県委員会委員長

日本共産党県委員会の鮎沢聡委員長は「信州市民連合の皆さんが、市民と野党の共闘で政治を変えるために、 共闘の旗印となる政策要望書にまとめていただき敬意を表する。裏金問題はじめ政治腐敗、国民の暮らしの破壊と平和の破壊が一体で進められている自民党政治はもう完全に行き詰まっている。国民は自民党政治を見限り、政権に退場を突きつけている。今声を上げれば自民党政治を変えられる歴史的なチャンスだ。今回の政策要望書は、その希望の方向を示している。市民と野党の共闘を本気の共闘にしていこう」などとあいさつしました。

中川博司・社民党県連合代表

社会民主党県連合の中川博司代表は「今日の政策要望書を社民党も全力を挙げて実現に向けて努力をしていく決意だ。ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ侵攻を目の前にして、私たちは 無力感を感じざるを得ない。今起きている戦争を私たちが止められない。本当に毎日幼い命が奪われていくことに心が痛む。しかし、私たちには力も金も名前もないが、手を繋ぎ声を出していくことはできるはずだ。今の自民党政治を一刻も早く変えるために全力を尽くしてまいりたい。信州市民連合が作ってくれたこの共同のテーブルを前に動かして、一刻も早く候補者の一本化、戦う体制を作っていこう」と強調しました。

共同のテーブルではこのあと参加者と意見交換を行いました。また、多くのマスコミ関係者が取材していましたので、共同のテーブル終了後には、信州市民連合と3野党が共同記者会見を開きました。

信州市民連合が3野党に提出した「政策要望書」「基本政策」/信濃毎日新聞記事(2024年8月1日)

~明日の労動運動を考える~21世紀の労動運動研究会 第1回講座「若者の労動と貧困」(講師:渡辺寛人氏)

若者の貧困と労働問題に取り組むPOSSE

「〈第18期〉21世紀の労働運動研究会」が、5月24日(金)、須坂市勤労者研修センター(須坂市)で開かれ、第1回講座として「若者の労働と貧困」というテーマでNPO法人POSSEの渡辺寛人氏に講演いただきました。須高地区の若手組合員を中心に、オンラインと会場参加あわせて約50人が集いました。

渡辺寛人氏には事務局長を務めるPOSSEでの若者の労働・貧困問題への取り組みを中心に、ブラック企業や非正規雇用の広がる無秩序な労働市場、多様な背景をもつ人が共闘する非正規春闘のたたかい、家族から逃走する若者たちなどについて詳しくお話いただきました。「ふつう」の暮らしが困難になっている日本社会の現状を変えていくにはどうしたらいいのかを考える機会になりました。講演後、長電労組の飯川書記長は「私たちには既存の労働組合というしっかりとした母体がある。まずはそこから労働組合運動を形骸化することなく、しっかりと運動をすすめていこう」と呼びかけられました。

講演する渡辺寛人氏(須坂市・勤労者研修センター)

現場からの報告

講演と合わせて、「現場からの報告」として私鉄県連・長野電鉄労働組合からは、運転手不足(25人不足)のため長野市内路線バスの日曜日運休など公共交通の厳しい現状が報告されました。またアトリオン製菓労働組合からは、明治産業からアトリオンに会社名称が変わり経営陣も変わったこと、次世代を担う若手執行委員の育成の取り組みなどについて報告していただきました。

【講演概要】

現場と研究の両輪で活動。活動に関わったきっかけは2008年のリーマンショックと「年越し派遣村」。テント村ができ、炊き出しが行われ、ボランティアに参加してPOSSEのメンバーと出会った。2000年代の非正規雇用問題の中心は若者だった。就職氷河期のため大学を出ても就職ができないひとがたくさん出て、派遣労働や契約社員やアルバイトという形で、若者中心に増えていったのが2000年代。企業は正社員雇用を減らす、政府も派遣法の規制緩和をすすめ非正規雇用の活用を促した結果だった。しかし当時の非正規問題の語られ方は、「若者はダメになった」という若者バッシングが強かった時代。「フリーターやニートという言葉もその頃から使われるようになった。ニートの本来の意味は教育や職業訓練を受けられていない若者という英国発の概念だったが、日本では働かないダメなやつみたいな使われ方だった。若者がダメになったから非正規雇用が増え格差貧困が拡がったという論調が強かったのが2000年代。

渡辺氏が編集長を務める雑誌『POSSE』最新号(Vol.56)では「春闘」が特集されている

雑誌「POSSE」(堀之内出版ウェブサイト)

https://info1103.stores.jp/?category_id=560eae663cd482ff5d0013d8

■若者が若者自身の手で若者バッシングに対抗

活動の中心は労働相談、生活相談など。年間4000件くらいメールや電話で相談が寄せられる。活動のコンセプトは、相談を受けながら、相談を受けたことで、職場・業界・社会システムの問題に繋がっていることが多いことがわかる。労働・生活相談を受けながら、なぜこのようなことが起こるのかを調査研究して社会に発信して世論を動かしていく、社会の側を変えていくことで、今の労働環境をよくしていこうと活動している。社会をどうやったら変えていけるか模索しながら活動している。

NPO法人POSSEとは?

POSSEは、2006年に若者の労働・貧困問題に取り組むNPOとして発足。英語で「仲間」のこと。ブラック企業と闘い、労働環境を改善するため、働く仲間が力を合わせるという意味を込めた。メンバーは20代を中心とした若者で、労働・生活相談、労働法教育、調査研究、雑誌発行、社会発信などに取り組んでいる。2014年からは、「総合サポートユニオン」を立ち上げ労働組合運動を展開。2019年にはPOSSE外国人労働サポートセンターを立ち上げ、外国人労働者の支援も開始。

NPO法人POSSE
https://www.npoposse.jp/

総合サポートユニオン
https://sougou-u.jp/

POSSE外国人労働サポートセンター
https://foreignworkersupport.wixsite.com/mysite

■「ブラック企業」という言葉のインパクト

リーマンショック以降、大卒正社員からの相談が増えてくる。世の中では、正社員勝ち組、非正規負け組という風潮だったが・・・正社員が自分から辞めて、生活苦に陥っているという相談が増えた。これまでの「終身雇用」「年功賃金」などの日本型雇用のない世界が見えてきた。正社員の責任だけは重いが保障はないという「あたらしい正社員」のようなものが出てきた。若者の労働環境の変化を問題提起したのが「ブラック企業」という言葉だった。POSSE代表の今野晴貴の著書『ブラック企業』がベストセラー、流行語大賞などでメディアや世間でも使われるようになった。自己責任論を転換していく契機になった。

■自己責任論ではない思考ができるようになった

賃金未払いやパワハラなどがあっても、相談者は自分が悪いと思っている。自己責任を内面化しているひとが多かったが、「うちの会社ブラックかもな」という問いの立て方自体が、最初から自己責任論ではない思考ができる考え方。しかしそれだけで会社がよくなるわけではないので、具体的な交渉、賃上げ、労働条件の改善を求めて行動していくために総合サポートユニオン、ブラックバイトユニオンという労働組合を設立した。2018年頃からストライキを武器に自分たちの労働条件を自分たちで改善していくことに取り組んでいる。2018年の東京駅の自販機のベンダー(補充員)のストライキが契機に。東京駅で働く20人くらいの補充スタッフの内10人が労働組合に加入。「ストライキやります。補充しません」というアクションがネットも含めて広く支持された。

■POSSEの近年の取り組み

大人食堂の取り組み。子どもの貧困は親の貧困なので、それを無視できない。コロナ禍の変化では、若い人、女性が多くボランティアに参加するようになった。今は20代前半のひとが中心になっている。

■ブラック企業

80年代、特に90年代以降に出てきた新興産業は、サービス産業(IT、飲食、小売り、福祉系)。震源地はIT産業だった。

■ブラック企業の手口~選別型の事例

ブラック企業問題を告発していくことになる最初のきっかけだった。正社員なのに自分から辞めてしまう。雇用保険は自己都合退職だとペナルティで、すぐにはお金がもらえず、貯金もたいしてない状況だと生活に困窮してしまう。そういう状況に陥ってからPOSSEに相談してくるケースが多い。組織的に行っていたことは、その会社の総務の方からもセクハラの相談がきたことでわかった。

■「予選落ち」と告げられ自殺

2000年代、2010年代にトライアル雇用(試用期間なども)が増えた。この会社は、すぐには正社員で採用せず、半年間の自称「予選制度」を設けていた。小さい頃から気象予報士になりたくて、国家資格を取得して、ウェザーニュースに就職。半年間の予選を勝ち抜くために、多い時に月200時間の残業をする。月80時間で過労死ラインが超えると言われているので、3倍近い残業をしてがんばったが「予選落ち」を告げられ、翌日に練炭自殺してしまう。遺族が会社を訴えて事件になっていった。

■働けなくなったら使い捨てる~使い捨て型の事例

選別はしないが、低賃金・長時間労働で使い捨てていく手口。固定残業代という仕組みが非常に特徴的。あらかじめ月の残業代を給料のなかに組み込んで手当として支払う制度。賃金を水増しして人を集める。スライドは日本海庄やのケース。当時の同社のHPにあった「月給19万6400円」は、日本銀行の初任給より高かったが、入社後に80時間の固定残業代が組み込まれていることを告知された。

■最近の労働相談で増えている「いじめ」の問題

東京都の個別労働紛争の相談内容も、この10年で「いじめ・いやがらせ」が最も多くなってきている。なぜこのような理不尽な加害行為をして会社の方も放置しているのか。労働条件が低いまま、業務量が増え、責任が重くなることで、ストレスがたまりやすい職場になってきている。本来は経営側の責任なので、労働組合から労働環境を改善するように求めていくことが健全だが、労働組合が機能していない職場も多い。そのストレスが、職場の同僚、ちょっと器用ではないひとに向かってしまう。本来同じ労働者なので団結して経営側に労働環境を改善していくべきだが。目先の利益を優先する経営になっていることと、近年の人手不足の中で人が育たないということが追い打ちをかけている。

■従来の正社員とブラック企業の違い

終身雇用・年功賃金などの福利厚生などの保障は強かったが、全国転勤あたりまえ、残業命令拒否できないなど昔から日本の働き方は広範な指揮命令権があった。今は保障がないのに企業の命令が強いままの企業が拡がっていて、それを「ブラック企業」と私たちは呼んでいる。しかし従来からの正社員も賃金が上がらず保障がない労働市場の方に引っ張られている状況がある。

■非正規雇用、貧困の広がり

正社員もきついが、非正規雇用も大変な状況。ブラック企業を一度経験してしまうと、正社員で働くことがトラウマになってしまう人もいる。正社員をドロップアウトすると家族が支えるしかない。最近、中高年のひきこもりも言われているが、学校時代から不登校になって、ひきこもりという人もいるが、労働を経験してドロップアウトしてひきこもりになる人もかなり多い。

2000年代は若者中心だったが、現在は若者だけではなく全世代にわたって広がっていて働く人の40%が非正規雇用労働者となっている。主婦パートのように誰かが稼いでくれているのなら直ちに問題にはならないが、今の問題は、自分で稼いで自分で自立しないといけない非正規雇用労働者が増加していること。日本の最低賃金制度では、東京都は1,113円で、長野県は948円となっているが、どうしてこんなに低いのかというと、養ってくれる夫がいる主婦パートを基準にして設計されているから。1人で食っていくには足りていない水準が日本の最低賃金。近年あがりつつあるが1500円くらいは必要と推計されているのでまだまだ不十分。東京の最賃でも全然足りない。国際比較すると韓国の方が最賃が高い。

■コロナで顕在化したサービス業の非正規女性

ブラック企業の多い新興産業もサービス産業が多かったが、特に2000年代以降の日本の産業構造を見ていくとサービス経済が中心になってきている(高度経済成長期は建設・製造業が牽引して経済成長していたが)。サービス産業は、正社員が少なく、非正規雇用が多い部門。とりわけ医療福祉部門がこの20年で倍増している。サービス経済化が進み必要になった雇用者数のほとんどを女性が進出することでまかなっている。その多くが非正規雇用労働者。それまで家庭にいられた女性たちが労働市場に吸収されている状況。

サービス経済化、ケアワーク化を女性が中心に担ってきている。そこにコロナ禍が襲い、宿泊・飲食サービス業などで、非正規の人を中心に休業補償がされない、シフトに入れないなどの被害が大きかった。その多くが女性で、また女性は家庭のケアの責任も負わされているので、労働市場で排除されながら家庭の責任も負わされるという状況が生まれた。コロナ禍の被害は女性を中心に現れてきた。

■年功賃金の縮小

なぜ女性が働かなきゃいけないかというと、男性の賃金がこの20年で非常に低下している。年功賃金を受け取れる男性正社員の数が減少している。逆にこの20年で年収300万円未満の割合が増加している。

■あがらない女性の賃金

男性の賃金は下がっているが、女性の賃金はまったく上がっていない。女性が何らかの形で男性に依存しないと生きていけないような状況。この20年は男性の賃金が下がっていき、女性の賃金は変わらない。また物価高騰・インフレによって生活にかかるコストはむしろ高くなっている状況。

■専業主婦モデルが成り立たない

結果、共働き世帯が増加し、専業主婦モデルが成り立たなくなっている。働ける子どもはアルバイトなどをする。みんなが働いてなんとか「ふつう」の生活を維持しようという「多就業家族モデル」に移行している。しかし相変わらず女性に家事や家庭のケアの負担が押し付けられていることが多い。家族の中でケアを担う人がいなくなることからヤングケアラーというような子どもがケアの担い手になっていることが社会問題になっている。

■男性の賃金が下がり「ふつう」の生活が困難に

一昔前の「ふつう」の生活をしようとすればするほど苦しい状況になっている。

■若者の貧困の実態

労働市場で包摂されていればいいが、労働問題が発生すると労働市場から出ていくことになる。日本の場合、失業補償、雇用保険とか生活保護とかが全然機能していない。働けなくなった場合、家族が生活の面倒をみることになる。ひきこもりという形で、失業が隠されてしまう。ひきこもりと言われているが、失業問題だ。支える家族の負担も増え、働くようにというプレッシャーから家族関係が険悪になり、家族から逃げ出した人からの相談が最近多い。ネットカフェや友人・知人宅に居候するなど、路上には出てこないが、安定した住まいも仕事もない状況に陥っている。若者の貧困が深刻化しているが不可視化されている。

■失業できる社会にしていくこと

きちんと失業補償の制度を作っていくことが必要で、失業できる社会にしていくことも重要。若者が自立できるための住宅手当もないし、家賃の安い公的住宅も非常に不十分。生活保護など公的な社会保障で生活を成り立たせるようにしないと家族が壊れてしまう。

■家族から逃げ出す若者

ジェンダー差があり、女性の方が労働自立のハードルが高く、家族への依存度が高いが、親・夫/パートナーへの依存も困難になっている。生活保護くらいしかないので生活保護を使って「自立」しようという支援をPOSSEではしている。

おそらく地方と都市部で「生活保護」の課題は変わってくると思うが、若者の労働をカバーしながら、家族が共倒れするまえに生活保護を活用して支援していく。しかし生活保護のハードルは高い。本来、生活保護は誰でも申請できるが、行政の現場では「水際作戦」といって「若いんだからハローワークに行ってください」「若いんだから家族を頼れるんじゃないの」「お父さんどうした」「家族と一緒に来てください」などと言って申請させずに追い返すことが横行している。

東京などでは無料定額宿泊所という貧困ビジネスと呼ばれる施設が多くある。ホームレス状態で申請にいくと「施設に入れ」と言われる。最低生活費13万円の内、10万円くらい施設にピンハネされたり、ベニヤ板の間仕切りの部屋だったり南京虫がわいていたりするなど劣悪な環境の施設で生活することを行政に強いられている。そうではなく地域でアパートを借りて生活できるようにPOSSEでは支援している。

■若者の労働と貧困に取り組む

これまでの労働組合に組織されていない、非年功型のブラック企業などの正社員、家計自立して自分で生きていかないといけない非正規雇用労働者、地域のなかで必要なサービスを提供しているのに非常に不安定な状況で働かされている非正規公務員(会計年度職員)など、エッセンシャルな仕事を担っている人達の扱いが非常に悪い。

非正規雇用では、主婦パートを前提にした最低賃金規制があるだけで、企業ごとの賃金の基準や賃金を上げる論理などが存在せず、経営者の属人的な恣意的な判断になっている。非常に無秩序な状況が広がっている。5年~10年働いている熟練のパート・アルバイトより最近雇った人の方が賃金が高いというような無秩序な労働市場になっている。円安・インフレの影響で支出ばかり上がっているが、賃上げの流れから取り残されている。

■このままでは社会が壊れてしまう

ちゃんと働いたらふつうに生活できるだけの賃金が得られるようにしないといけない。どういう論理で要求していくのか。非正規の人は、かつてのような年功賃金はもう要求できないので、きちんと仕事の内容に対する評価をして、責任の重い仕事をしていたら、それに応じた賃金要求をしていく。また、生活賃金(リビングウェイジ)という考え方があって、働いたら一人前の生活が成り立つだけの賃金を払いなさい。それが少し前の試算では時給1500円だったが、1500円でもきついと言われている。日本社会で、ふつうに暮らしていくのにどれくらいの賃金が必要か明らかにしていく作業をして、それに基づいて要求していくことが必要。

群馬県の桐生市のケースでは、介護の仕事をしている人が時給1100~1000円で、スーパーのレジ打ちの仕事が時給1300円~1200円という状況がある。生活のことを考えると介護をやめたほうがいいことになる。人材不足のなかで小売り・飲食は賃上げしているが、介護などのケアの仕事の賃金は公定価格、介護報酬などの政策で決まるので低いままに留め置かれている。これを放置していたら介護するひとがいなくなる。仕事の内容をきちんと評価して賃金をあげていかないと社会が壊れる。働いて生活が成り立つことをどうやって実現していけるかが課題。

■非正規春闘のたたかい

賃上げされていないという人が8割。非正規春闘に取り組んでいる。2024年の成果は現在まとめている。

■ABCマートのパート春闘支援

POSSEはABCマートのパートの春闘を支援した。ABCマートはインフレ・物価高騰のなかで賃下げした。それに怒った女性のパートの人から組合に相談がきた。ストライキなども行うたたかいをして、パート5000人の6%の賃上げを勝ち取った。今の物価上昇ではそれでも足りないが。非正規の労働者をきちんと組織して労働条件を改善していくことが重要な状況。

■いろんな背景を持つ人の「共闘」が生まれている

労働運動というとどうしても男性・正社員が中心になって、歴史的にも男性・正社員の企業別労働組合を中心に組織され、おじさん中心のイメージが一般的には非常に強い。しかし非正規春闘ではいろいろな属性・背景をもった人達が中心になってたたかう運動になっている。

■労働組合が注目されている時代

非正規労働者の低処遇は恣意的で、差別的な理由で正当化されてきたが、社会にとって必要不可欠な労働をしている人達。今回の非正規春闘もまだまだ運動として広がりは不十分で、当事者の組織も充分広がっていないが、これまでの労働運動で排除されてきたような人達が繋がって、非正規の賃金・労働条件を改善していくことに結集して声をあげているところに非常に大きな意味がある。

今こそ労働運動がどんなふうに存在感を発揮して新しい社会をつくっていくのかを問われている時代。この20~30年でいちばん労働組合が注目されている時代になってきている。POSSEでもいろいろ取り組んでいきたい。皆さんも働きながらで大変だと思うが、組合活動に意義がある時代になってきている状況なので、交流しながら一緒に運動を広げていけたら。

■質疑応答

Q POSSEではどういった発信をしていますか?

SNSでも発信しているが、代表の今野がYahoo!オーサーとして、Yahoo!ニュースや様ざまなメディアで労働問題など発信している。労働問題はどれだけみんなに関心を持ってもらえるかが重要と思っているので、介護など社会のインフラを担っている方々の労働の在り方がこれでいいのかということを多くの人に関心を持ってもらえるように意識して発信している。

Q 東京に行けばなんとかなると考え、地方から東京に出てくる若者が多い。その前に地方でなにかサポートができたらと考えている。アドバイスをください。

家族から逃げ出す若い子が非常に多い。アルバイトをしても家から出て自立できず家族と暮らさざるを得ない。そこでは虐待や家族との不和などいろいろあって、東京に出て来る理由が仕事を求めてではなく、家族から逃げるためという理由になっている。最近はオンラインライブ配信などで繋がって、その人を頼って居候しているというようなケースが多い印象がある。地方で、親元を離れて自立生活できるようにしていくことが必要だが、そういう方と繋がることは容易ではない。しかし相談窓口を設けて支援に繋げるモデルケースなどができたらまた変わっていくと思うがなかなか難しいだろう。

Q 定時制高校の教員から相談を受けて動いているが、子ども食堂や支援センターなどと連携して動いていくことも大事では?

若者ということで18才以上の支援が中心だが、18才未満は親との関係も複雑なので児相が介入するなどないと親から引き離すのは大変。距離をとることが大事だと考えるが、どういう体制を地域でつくれるか。若者の貧困、家族の崩壊のなかで非常に重要な課題だと思う。

7月20日・松本市で2回講座を開催

次回の講座では鶴丸周一郎氏から「コミュニティユニオンの現在とこれから」というテーマで、若者、女性、非正規労働者、外国人労働者からの労働相談と組織化について講演いただきます。

~明日の労動運動を考える~21世紀の労動運動研究会
第2回講座「コミュニティユニオンの現在とこれから」

講師:鶴丸 周一郎 氏(名古屋ふれあいユニオン運営委員長)
日時:7月20日土曜日 13時30分~
会場:松本市勤労者福祉センター 2-1
   松本市中央4-7-26(電話 0263-35-6286)

◆Zoomからも参加できます。

ミーティングID 816 6355 7440 パスコード 777222

 

6月22日に松本市でアスベスト面談・電話相談会を開設します

10時~16時 無料・秘密厳守 誰でもお気軽にご相談ください

電話 0263-39-0021 もしくは0263-33-9513

2018年11月に開いた松本市での相談会

2005年のクボタショック以降、アスベスト(石綿)問題が、労働現場でのアスベスト使用や解体に伴うばく露、中皮腫・肺がん発症など労働災害問題にとどまらず、一般市民にも健康被害を及ぼす危険性が明らかになり、重大な社会問題として認識されるようになりました。

アスベストによる健康被害は、30年から40年と言われる長期間にわたる潜伏期間ののちに中皮腫、肺がんなどが発症するため、アスベスト大量使用時代に現役であった労働者や関連工場の周辺住民の健康被害が現代の問題として浮上しています。また、アスベストの吹付、建材に使用された建築物の解体時期を迎える問題も地域社会にとっては重要な課題です。高度経済成長時代の効率のみを追い求める社会風潮が生み出したアスベスト問題は、経済優先の「負の遺産」です。これからの時代は、何よりも人の命や健康を優先させる社会が求められています。

長野県内でもアスベストを扱う事業所での労働者のばく露問題や建築物に使用されるアスベストの解体・補修時の飛散問題など、大きな社会問題となっています。JR東日本では現役の社員がアスベストばく露により悪性胸膜中皮腫を発症、闘病のすえ死亡するという労働災害も注目を集めました。

また、建設アスベスト訴訟で最終的に国の責任が最高裁によって認定され、政府は2022年1月からアスベスト被害にあった建設労働者へ「給付金」を支給する制度をスタートしました。

「長野県アスベスト対策センター」は2018年4月に結成しましたが、「NPO法人じん肺・アスベスト被災者救済基金」(神奈川県横須賀市)の協力により、長野県内の県民・労働者、関係事業者などを対象に面談相談会・電話相談会を開設する計画を立てました。

アスベスト被害の補償・救済については、労災補償制度(主管:厚生労働省等)と労災以外の救済制度(主管:環境省・環境再生保全機構)によって実施されていますが、制度に対する周知や関係者の認識不足などによって、補償・救済を受けられないで苦労されている患者と家族がおられます。また、中皮腫はじめアスベスト関連疾患の治療について相談先を求めておられる場合も少なくありません。

また、アスベスト被害にあった建設労働者へ国が「給付金」を支給する制度についてもまだまだ周知されているとは言えません。

長野県アスベスト対策センターではそうした実情に対応し、過去10回、長野市・松本市で電話相談や相談会を実施し、補償・救済の促進、情報の提供を行ってきました。実際に労災申請へつながる相談も数件ありました。

今回の相談会を通じて、アスベスト被害の実態を掘り起こすとともに、少しでも悩みや疑問がある人からの相談への対応や、健康被害で苦しんでいる人への救済制度の説明など、身近な相談センターとして親身に相談にのります。

アスベスト(石綿)被害 面談相談会・ホットライン

1.日  時  6月22日(土) 10:00~16:00

2.相談場所  面談相談 松本市中央4-7-22 松本市勤労会館 1階

ユニオンサポートセンター(松本地区労働組合会議内)

        電話相談 0263-39-0021もしくは0263-33-9513

        ※相談料は無料/秘密厳守

        ※面談相談を希望される方は事前に連絡を。

3.主  催  長野県アスベスト対策センター

        協力:NPO法人じん肺・アスベスト被災者救済基金(横須賀市)

長野県アスベスト対策センター第7回総会・講演会を開催

長野県アスベスト対策センターは、5月18日に県労働会館(長野市)で、第7回総会を開催しました。アスベストによる肺がんで夫を亡くされた県内在住のご遺族が、建材メーカーへ損害賠償を請求する集団訴訟に参加するための支援など、昨年度の取組みについての報告がされ、今年度の活動方針に沿って、引きつづき長野県民の命と健康を守る活動を推進していくことが確認されました。

国労家族会から県アスベスト対策センターに寄付金贈呈

国労家族会から県アスベスト対策センターに寄付金が贈呈されました。家族会メンバーでアスベスト被害者遺族でもある小林さんから連帯のご挨拶をいただきました。また「JR東日本大井工場アスベスト黒沼裁判」について、「じん肺・アスベスト被災者救済基金」の池田理恵氏から報告をいただきました。

中皮腫・じん肺・アスベストセンターの永倉氏が講演

総会終了後には、県アスベスト対策センターの連携団体である「NPO法人中皮腫・じん肺・アスベストセンター」の永倉冬史氏から「能登半島地震での災害ごみ処理とアスベスト対策/阪神・淡路大震災30年プロジェクト報告」というテーマで講演いただきました。あわせて長野市環境部生活環境課の梨本正彦氏から「能登半島地震災害における災害廃棄物処理事業の現状と課題」というテーマで報告いただきました。オンライン参加者を含めて50人が参加しました。石川県内の自治体議員(2人)の方も参加され飛び入りで報告もいただけ有意義な会となりました。

能登半島地震被災地の状況・アスベスト対策

石川県珠洲市へ支援に入った長野市担当者からの報告

石川県の能登半島地震の被災地では、多くの建造物やインフラに被害が発生しました。現地調査を行った永倉氏から、がれきの中にアスベスト含有建材の破片や鉄骨に吹き付け罪があることが紹介され、災害ごみの処理、アスベスト対策の現状と課題について共有いただきました。また珠洲市の支援に入った長野市役所の梨本氏から、現地の被災状況、支援にかかわる中で見えてきた災害廃棄物処理事業の課題、アスベスト対策について台風19号災害の経験と教訓をふまえながら報告をいただく貴重な機会となりました。梨本氏への質疑応答では、「台風19号災害の経験から、今回の支援に役だった点、活かされた点は?」という質問があり、「次になにが来るかがわかったこと。この時期には仮置場を開設しなくてはいけない、この時期には公費解体の相談が増えてくる、マスコミ対応など、先回りして助言ができることが一番大きかった」と返答され台風19号の経験が今回の支援活動に活かされていることも共有されました。

「阪神・淡路大震災30年プロジェクト」

アスベスト疾患発症増加への懸念

1995年に発生した阪神・淡路大震災から来年で30年を迎え、被災地で飛散したアスベスト(石綿)による健康被害が懸念されています。全国から集まったボランティア活動が注目されましたが、震源被災地でのアスベスト粉塵問題が注目された初めての災害でもありました。大震災から30年が経過し、潜伏期間が30~40年とされるアスベスト疾患の発症が、今後増加していくことが予想されています。

「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」では、大震災から30年となる2025年1月までの期間において、災害とアスベストに関する調査・研究を進め、今後の災害に活かすため、記録に残す活動に取り組んでいます。永倉氏からは「阪神・淡路大震災30年プロジェクト」の取り組みについても報告をいただき、発災直後の防護だけではなく、長期にわたってその影響をモニタリングしていく必要があり、市民の健康を守るためにもアスベストについての情報を周知していく活動の重要性が参加者に共有されました。

Ⅰ 講演概要 永倉冬史氏(中皮腫・じん肺・アスベストセンター)

能登半島地震での災害ごみ処理とアスベスト対策/阪神・淡路大震災30年プロジェクト報告

➀阪神・淡路大震災30年プロジェクト報告

オンラインで報告する永倉氏

■阪神・淡路大震災30年プロジェクト

・2025年は、阪神・淡路大震災から30年の節目の年。30年となる2025年1月までの期間において、災害とアスベストに関する調査・研究をすすめ、今後の災害に活かすために記録を残す活動を開始する。

・今年の防災の日(9月1日)、来年の1月にシンポジウムを開始する。

・災害被災地でのボランティア活動が注目される契機となり「ボランティア元年」と呼ばれるようになった。また震災被災地でのアスベスト粉塵問題がとりあげられた初めての災害でもあった。震災発災直後の倒壊した建造物から発生したアスベスト粉塵は、被災地全域に飛散したと考えられる。アスベスト疾患の発症までの潜伏期間は30~40年と言われ、今後増加していくことが懸念される。

・発災当時、被災地でボランティア活動など粉塵のなかで活動した心当たりのある方に、アスベスト情報を提供することを目的とした活動を実施する。

■阪神・淡路大震災30年PJ事業計画

飛散検証チーム
環境省を中心に一般環境の濃度測定値を発表しているが、その濃度測定地に疑義がある。当時のアスベスト粉塵濃度は、白石綿(クリソタイル)しか測定していない。それ以外のアスベスト繊維の濃度が測定されないままに一般環境の濃度が発表され、それほど危険はないという判断に繋がってしまったことは問題ではないか。当時の記録を集めて分析している。

災害とボランティアチーム
30年ばかり前のことであり難航している。当時ボランティアとして関わったひとたちの記録も残っておらず、高齢化も進行している。

アスベスト曝露チーム
連続公開講座の企画。当時のボランティアへの聞き取りを神戸大学の学生を中心にして取り組んでもらう。若い世代にもアスベスト問題を知ってもらうこともひとつの目的。

防災対策チーム
阪神・淡路大震災から始まった災害被災地でのアスベスト曝露の問題について、能登半島地震被災地の行政等への提言を具体的に練っていく活動。

記録チーム
アスベスト問題への取り組みの活動記録は重要。今後に活用していくためにも。被災地の神戸新聞、東日本大震災の被災地の新聞・河北新報などの記者に専門にアスベスト問題を追った記者たちがいる。彼らに災害被災地での報道の記録の作成をお願いしていく。

■連続公開講座を神戸大学で実施

「震災の経験を記録する——阪神・淡路大震災とアスベスト被害を聞き取り、語り継ぐために」

当時のニュース映像などを交えながら、アスベスト問題がどのように捉えられたか、これからどのようなことが必要かを考える。当時、さまざまなボランティア活動に関わった方にヒアリングに協力していただくことを目指している。

(上記のWEBサイトから転載)

連続公開講座「震災の経験を記録する——阪神・淡路大震災とアスベスト被害を聞き取り、語り継ぐために」

2025年1月に、阪神・淡路大震災から30年の節目をむかえます。1995年の震災やその復興の過程のなかで、たくさんの人々がアスベスト(石綿)の曝露にさらされました。しかし、膨大に広がったものと考えられるアスベスト被害の全貌はいまだに把握されず、しかも30年後の現在はまさに被害が発症するタイミングです。アスベスト被害は決して過去の出来事ではなく、いまも続いているのです。そのような問題意識のもと私たちは、連続公開講座を開催することにしました。第二回となる今回の講座では、アスベスト被害を経験した当事者の方々にお越しいただき、生の声に耳を傾けます。そして、震災によるアスベスト被害の現実を学び、当事者の声を記録し、私たち自身の声で社会へと発信していくことをめざします。

■「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」

阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター(WEBサイト)

https://www.dri.ne.jp/

■具体的な今後の取り組み

全国的なアンケートを実施していく。すでに石川県の被災地に防塵マスクを届ける活動を開始しているが、さたに備蓄用のマスクを送る活動のための寄付金も集めていく。連続講座「震災の経験を記録する」では、若い世代に震災アスベスト問題の本質を理解してもらえるような講座にしていきたい。

②能登半島地震での災害ごみ処理とアスベスト対策

■能登半島地震被災地の現地調査

5月6~8日に「ひょうご安全センター」3人、「東京労働安全衛生センター・リスクコミュニケーションプロジェクト」4人、計7人のメンバーで現地調査に入った。

 

■現地の状況

■防塵マスクを社協・ボランティアセンターに寄贈

輪島市の社協のボランティアセンターを訪問した。マスクを寄付し、「市民のためのアスベスト対策ガイド」やアスベストについて知るための漫画を届けた。漫画は東日本大震災の際に制作したもの。

◇市民のためのアスベストガイド(東京労働安全衛生センターサイトより)

アスベストのばく露を防止するためには被害を受けるおそれのある人々が対策に参加することが重要です。これは職場では「リスクアセスメント」と呼ばれており、世界中で行われていますが、日本の中小の解体の現場では未だ普及していません。アスベストの被害は職場を超えて周辺住民と建物を利用する人々に及びます。住民、建物利用者、建物所有者、工事業者、行政などの関係者が情報を共有し、対策に関与することをリスクコミュニケーションと呼びます。アスベストの対策では、このリスクコミュニケーションが効果的であり、重要とされています。私たちは全国各地で解体工事などでのアスベストをめぐるリスクコミュニケーションに関わってきました。このガイドは、アスベストとは何か、その用途と危険性について解説します。そしてその危険を避けるために働く人や建物利用者と住民が何をすればいいのかを示すために作成しました。皆さんの問題解決のために役立てば幸いです。

市民のためのアスベストガイド(PDFダウンロード)
https://tokyo-oshc.org/wp/wp-content/uploads/2021/08/asbestosguide_compressed.pdf

■被災地のアスベストの状況

大きく報道された倒壊したビル。二つの四角い煙突にアスベスト保温材が使われいる恐れがある。解体には注意が必要になってくる。

焼け野原になった朝市通り。いたるところに花が手向けられていた。

アスベスト吹き付け材が焼け跡に見受けられる。

アスベストが含有される西洋屋根瓦が粉々になって散乱していた。

アスベストを意味する「a」マークが見つかる。

アスベストの吹き付け材が疑われる焼け残った建物の鉄骨。

アスベスト含有の可能性が疑われるロックウール。焼け残った建物の多くに同様の箇所が見つかった。分析していく必要がある。

煙突の耐火材も確認する必要がある。対策が取られない状況で放置されている可能性がある。

ぽつぽつと穴が空いている板が見つかる。押出成形版は最期までアスベストが使用された建材。おそらくアスベストが含有されている。押出成形版がかなり広範囲に散乱していた。アスベスト対策が必要な状況。

橋には段差が発生し車がスムーズに出入りできない状況。同行した神戸のメンバーは「阪神淡路大震災の際に大規模な火災が発生した長田区を彷彿とさせる」と発言していた。

■石川県庁に調査で得られた情報を報告

この視察で得られた情報を翌日金沢市内の石川県庁を訪れ担当部署に報告したが、危険な現状がなかなか伝わっておらず、現状についての情報がよく理解されていないという印象を受けた。

環境省が建物のアスベストの分析依頼を出した。石川県が保有するアスベスト台帳(国交省が主導して災害前から準備するように自治体に働きかけ)をもとに、64棟の被災建物にアスベストの露出状況の調査を行った。そのうちの12棟で吹き付けアスベストの露出が確認され、今後の公費解体の際にアスベスト対策が必要とされる。しかし石川県全域で12棟という数字は、現在の状況が反映されているとは言えない。

全体的に石川県全体でアスベストに対する認識が立ち遅れている現状がある。今後、NPO、NGOなどからの提言が非常に重要になってくる。私たちも今後も被災地を訪れ、調査結果から提言を行いたい。また公費解体にかかわる事業者向けにアスベスト対策のレクチャー・講習も行っていく。

石膏ボードなどの分別を示す看板が設置されていた。まだ運び込まれる前だったのでがらんとしていた。特徴的だったのは、がれき置場の出入口のスタッフに「中を見せて下さい」と声をかけると簡単に入ることができた。他の被災地ではあまりなかったこと。それがいいのかわるいのかはいろいろあるが、行政の監視管理状況も十分には機能していないと感じられた。

今後もわれわれのできることをつづけていく。長野県アスベスト対策センターとも連携して取り組んでいきたい。

【質疑応答】

質問:生協関連で輪島市に派遣されていた方から、団体同士の連携がうまくいっていないという声をきいた。団体同士の繋がりが弱いという印象は持たれたか?

回答:短期間の調査のため全体像は見えていない。しかし神戸からボランティアに来ていた方にきいた話では「連携がわるい」、「情報が全然伝わってこない」という声があった。そのような状況は、他の被災地でもあったが、情報がなぜ均等に行き渡らないのかという問題がある。東日本大震災の際も、当初は行政が機能せず、ある病院の医師が宮城県庁に乗り込んで「これでは誰も助けられないぞ」と発破をかけて、その医師が中心になって連絡体制を構築したという話があった。全体像を理解して体制が組めるような人がいなかったのではないかという印象を持っている。環境省のホームぺージなどを見ると、どういう支援が行われた詳細に分析しているものがあがっている。分析している間に他のことができるのではというくらい分析している。能力のあるひとが現地に入っているだろうが、適材適所になっていたのか。

他県から被災した建物調査に入っているが、それらの情報が石川県にあがっていない、活かされていない、連携がとれていないという感じがあった。長野県の場合は、さまざまな情報を環境政策課、環境課などが取りまとめる能力があった。それを現場で反映して活用できるように情報処理することもできていた。ただ長野県の場合は石川県と異なり狭い範囲で被災地が完結していたが、石川県は被災エリアが広範囲に及び分散する自治体をまとめることができなかった。むしろボランティアの方が連携ができていた。自治体はうまくカップリングできず遅れてしまった印象を受ける。

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Ⅱ 報告概要 梨本正彦氏(長野市環境部生活環境課)

台風19号災害の経験と教訓を踏まえた、能登半島地震災害における災害廃棄物処理事業の現状と課題

【趣旨】令和6年能登半島地震災害において災害廃棄物処理支援員登録制度(人材バンク)として石川県珠洲市で活動した内容を報告するもの。アスベスト対策も含めて報告する。

・2023年5月5日にも石川県能登地方でマグニチュード6.5の地震が発生して、石川県の珠洲市で最大震度6強を観測した。倒壊などの被害を受けた建物があったが、元日の地震がさらに追い打ちをかけた。

・発災直後の現地入りの際は、市役所の別棟に雑魚寝できる部屋があり環境省の職員らと共に寝袋でやすんだ。歯磨きなどはミネラルウォーターを持って行って、朝口をゆすぐという状況だった。
・水道管や下水道管に被害が出て、市民の方も市役所に用を足しに来るが詰まって使えなくなった。その後、仮設トイレを市役所の外に設置した。しかしバキュームカーも道が悪くなかなか回収に来れない状況だった。午前中になると満杯になっている状況だった。
・食事も制限して、できるだけトイレの利用をしないように気を使った。当然風呂にも入れない。
・1月末~2月はじめの二度目の現地入りの頃には、トイレの設置もすすみ、避難所各所に設置されるようになり、活動しやすくなった。
・支援者も増えてきたので宿泊場所が少ない状況になっていたので、長野市の車のなかで休んだ。トイレは利用できたが水道が出ない状況がつづいていた。
・3月の現地入りの際の宿泊はキャンピングカー(北九州ナンバー)だった。30~40台ならんでいた。衛生環境が整ってきた。

・し尿の処理(バキュームカーでの回収・運搬等)に多大な経費
・支援に入った福井県は回収したゴミを福井県内まで運んで処理していた
・一度に施設が被災するとどうにもならないなと感じた。私たちが経験した台風19号災害とは比べ物にならないほどの大きな被害だと実感。

・珠洲市はアスベストが使用される以前の古い建物が多く残る街並み。
・今回の地震では、台風19号災害とおなじく特定非常災害に指定されたので、全壊家屋も半壊家屋も公費解体となり国の補助対象になった。
・写真は元旦の地震で崩れた寺院。かなり大きく立派な建物だったが崩れた。手を付けられずそのままになっていた。

・穴水町が非常に細い道がボトルネック。
・発災直後は、救急車が通行するたびに交通が止まった。
・長野市役所から珠洲市まで12時間かかった。石川県庁から珠洲市役所まで7時間かかった。
・困ったのは携帯の電波が使えず、ナビが使えなかったこと。能登里山街道が走れず、脇道を勘で走るしかなかった。

・1月末の仮置場の開設・運営方法についての会議 アスベスト含有しているとみなして対応することが決定

■被災地の被害の状況

・配管がズタズタになっていた。急ピッチで復旧作業をしている状況。

・能登の復興には、東日本大震災や台風19号災害よりも息の長い支援が必要と感じた。


・いちばんの繁華街のエリア。被災直後の頃は、一日一往復が給油車の限界だったので午前中にはガソリンスタンドは売切れの状態。

・いちばん大きな避難所になっていた。福井県庁が支援に入っており比較的衛生状態がよかったが、仮説トイレも当初は8基しかなかった。また夜間は真っ暗になるため、用を足すのは明るいうちに限られた。

・もっとも津波の被害が大きいエリア。マンホールの隆起が目立った。全部やり替えになる。粉塵が舞っていた。散水もできないのでマスクで防ぐしかなかった。

・焼却場は突貫工事で復旧できた。山を削った場所に建てたので問題なかったが、管理棟は盛り土の上に建てたので被害が大きかった。

【質疑応答】

質問:台風19号の経験は今回の支援に役だった点、活かされた点など教えてください。

回答:次になにが来るかがわかること。この時期には仮置場を開設しなくてはいけないとか、この時期には公費解体の相談が来るとか、マスコミ対応など、先回りして助言ができることが一番大きかった。仮置場の開設の話が1月末に出ている。市内全域が被災した状況のなかでは素早い対応だった。

【県アスベスト対策センター今後の予定】

6月22日(土)第11回アスベスト被害面談・電話相談会を開催

6月22日(土)に第11回アスベスト被害面談・電話相談会を開催します。過去の相談会で寄せられた相談から労災申請にも繋がっています。アスベストの健康被害を抱える方や不安を感じている方、アスベスト加工を業務とする事業者などからの相談をひろく受け付けます。

※相談料は無料/秘密厳守 ※面談相談を希望される方は事前にご連絡ください。

日時 2024年6月22日(土) 10:00~16:00

面談相談 松本市中央4ー7ー22 松本市勤労会館 1階 ユニオンサポートセンター(松本地区労組会議内)

電話相談 0263-39-0021 もしくは

0263-33-9513

今を変えよう 私たちの声で ― くらし、平和、政治 

松本駅前での集会・市民アクションin信州に700人が参加

立憲民主党・日本共産党・社会民主党の3野党からの訴えも

市民運動家の菱山南帆子さんが「政治をchangeしよう」とアピール

43人の呼びかけ人と信州市民連合、中信市民連合などでつくる実行委員会は、「Change Now by Our Voice(今を変えよう 私たちの声で)―くらし、平和、政治 6・2市民アクションin信州」を6月2日、松本駅前に約700人の市民を集めて集会と市街地のパレードを行いました。当日は、雷雨も予報されていましたが、幸いに集会中は太陽も顔をのぞかせ、パレードの際にも小雨にとどまり、予定通り実施することができました。

集会では、呼びかけ人の又坂常人さん(信州大学名誉教授)が主催者として「岸田政権は末期症状だ。政権交代を実現してよりましな政治をつくろう」などとあいさつしました。そのあと、立憲民主党から杉尾秀哉さん(県連代表/参議院議員)、日本共産党から武田良介さん(前参議院議員)、社会民主党から大椿裕子さん(副党首/参議院議員)の3人から裏金問題が発覚し、大軍拡・防衛増税をすすめ、国民が苦しむ物価高による生活苦を放置している自民党政治を変えようという訴えがありました。地元(長野2区)の衆議院議員、下条みつさん(立憲民主党)も駆けつけてあいさつしました。

特別ゲストの市民運動家の菱山南帆子さんは、「まさに今、市民の声をあげて政治をchangeしていこう」とアピールしました。

集会では「今こそきちんと怒らなければなりません。仲間を増やし、史上最悪の岸田政権を退陣、政権交代を実現させましょう」というアピール文を採択しました。

集会後には、松本市街地をパレードし「政治をchangeしよう」と市民にアピールしました。

なお、集会の運営費をねん出するため参加者にカンパをお願いしたところ177,664円もの現金が集まりました。あたたかいご協力に感謝申し上げます。

3野党代表と又坂さん、菱山さんが並んで

小雨の中の集会に多くの市民が

アピールする菱山南帆子さん

松本駅前に菱山さんのアピールが響く

参加者がプラカードを掲げてアピール

呼びかけ人が壇上で3野党代表などと一緒にプラカードパフォーマンス

松本市街地をパレードして市民にアピール

集会を報じる信濃毎日新聞(2024年6月3日)