21世紀の労働運動研究会 - 女性労働者の権利について学ぶ

県労組会議と各ブロックの地区労組会議が主催して開いている「21世紀の労働運動研究会」は11月6日、松本市・Mウィングで今期3回目の講座を開きました。

講演のテーマは、女性労働者の権利と非正規公務員問題について。県労組会議議長の松澤佳子さんが30年にもなる自らの労働運動の経験を交えながら講演しました。

松澤さんはまず、女性労働の現状について報告。一般労働者の間で、女性労働者の賃金は、男性労働者と比べて75%程度にとどまること、非正規労働者の割合も女性が圧倒的に高いことなどについて説明しました。戦後、資本側と労働側との間で、女性労働者の「保護か平等か」の点について論争があり、資本・経営者側は、平等を主張するなら労働基準法の女子保護規定(深夜業、残業規制など)をはずせと主張し、労働側は、女子保護規定の撤廃に反対し、努力義務ではない男女平等法を求めてきたと紹介しました。

■女性解放運動家・山川菊栄に学ぶ

また、松澤さんは、戦前から戦後にかけて女性解放運動に身を投じた山川菊栄を紹介。1918年の「母性保護論争」で、歌人の与謝野晶子は「女性の経済的自立」を求め、思想家の平塚らいてうは「母性保護」が重要だと主張したこと、山川菊栄は「どちらも必要」とし、「両方が解決しても、根本的な解決にならない。『資本対労働』の問題の解決こそ必要」だと訴えたことを紹介しました。また、松澤さんは、1925年に山川菊栄が起草した日本労働組合評議会「婦人部テーゼ」で、「女性は、社会的・経済的に弱者であり、資本家の攻撃は、まず女性にむけられる。女性の奴隷的美徳ー従順と無知を利用して、賃金を引き下げ、男性の賃金を引き下げ、全体の生活水準を引き下げている。女性労働者は、女性として、労働者として、二重の鉄鎖に縛られている。女性労働者を組織しなければ、資本の側にとりこまれて、労働組合を弱体化させる」と、山川菊栄が労働組合「婦人部」の組織化を強調した歴史を解説しました。

■「団結なくして権利なし」-宮里邦雄・弁護士の言葉を実践しよう

講演の最後に松澤さんは、55年間にわたり労働弁護士一筋で活躍されている宮里邦雄・弁護士(元日本労働弁護団会長)の言葉を引用。「労働者の権利は孤立したものではなく、仲間によって守る社会的権利。団結がなければ権利は守れない」と強調しました。