21世紀のキーワード―平和・人権・環境

長野県平和・人権・環境労働組合会議

ロシアのウクライナ侵略から1年-長野駅前スタンディング

2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻から1年となる2月24日(金)、長野駅前で、戦争をさせない1000人委員会、憲法9条を守る長野県連絡会など6団体と長野県社会保障協議会が合同で、武力攻撃の即時停止、停戦の実現を求める抗議行動を行いました。約60人が参加しました。

長野駅前でプラカードや横断幕を掲げてアピール 

ヨーロッパへ避難したウクライナ難民は816万人以上

ロシアによるウクライナ侵攻によって、ウクライナに住む人々の日常は一変しました。多くの女性や子どもが犠牲になり、国内・国外へ多くの難民が生じています。
この1年の間に、ウクライナからヨーロッパへ避難した難民は816万人以上(2023年4月時点UNHCR[国連難民高等弁務官事務所])に上ります。
また民間人の死者は8490人、負傷者は1万4244人確認されたと発表されています(2023年4月9日時点OHCHR[国連人権高等弁務官事務所])。
しかし、国際機関も戦闘地域に近づけないため、集計値は氷山の一角に過ぎず、実際の死者数・負傷者数はさらに多いとしています。

核兵器の恐ろしさを知る日本国民として

どんな理由があっても、主権国家への一方的な武力行使、軍事侵攻は、国際法違反・国連憲章違反であり認めることはできません。ロシアは国連安保理の常任理事国でもあり、責任ある行動が求められています。
また繰り返し核兵器使用をほのめかす発言や、核兵器搭載可能なミサイルを使用した軍事演習など、核による威嚇を繰り返していることも、核兵器の恐ろしさを知る日本国民として決して許すことはできません。
さらにロシア軍はヨーロッパ最大規模のザポリージャ(ザポロジエ)原発の占拠を続けており危機的な状況が続いています。原発事故の恐ろしさを知るロシア・ウクライナでこのような危機が起きている現状は恐ろしいことです。ロシアはただちに軍事侵攻を中止し、ウクライナや関係諸国と平和的な解決を図るべきです。そして平和国家として歩んできた日本にも大きな役割があるはずです。

武力より対話を

今回の抗議行動では、参加者一人ひとりが、「NO WAR」、「和平実現」などと書かれたプラカードを掲げ、「ロシアのウクライナへの軍事侵攻に抗議します」、「即時停戦」などと書かれた横断幕を広げてスタンディングを行いました。
主催者を代表して、長野県憲法会議の細尾俊彦さん、長野県護憲連合の松澤佳子さん、長野県社会保障協議会の原健さんが挨拶しました。また私鉄長野県連の若林茂さん、長野県教職員組合青年部の近藤拓也さん、憲法9条を守る長野県民会議の山口光昭さんがアピールを行い、それぞれの反戦・平和への思いを訴えました。

市民にアピールする若林私鉄県連委員長

街頭で掲げたプラカード

「平和が大事」という子どもの声

通りがかった高校生の男の子たちからは「平和が大事だよね」などという声も聞かれました。
どこの国であろうと未来ある世代が戦争に巻き込まれることは悲惨なことです。
大人たちの責任として今後も平和を守るための行動を行っていきます。

県議選で推薦・支持候補7人が当選

労働者の声が届くリベラルな県政をめざそう

4月9日、投票が行われた長野県議会議員選挙では、県労組会議が推薦・支持する7人が当選を果たしました。

県労組会議は昨年8月に行われた県知事選で阿部守一知事を推薦しました。これは、阿部知事の12年間の県政運営を総合的に評価すると、私たちが掲げる理念・政策とおおむね方向性を共有していると判断したからです。ただ、県議会を構成するほとんどの県議が阿部知事を支持する状況のなかで、県政のスタンスがどちらかというと産業界や保守政党に向き、勤労者の声はかき消されがちになっています。県労組会議は、労働者・勤労者の声を代弁し、暮らしや平和、民主主義、人権を最優先するリベラルな県議会議員の存在が必要だと考えています。

今回当選した7人の推薦・支持議員と一緒になって、労働者の声が届く県政をつくっていきましょう。

県労組会議が県議選で9人の候補を推薦・支持

投票日は4月9日 くらしと平和を守る一票を

3月31日告示、4月9日投票で県議会議員選挙がスタートしました。県労組会議は、民主主義と平和、勤労者のくらしを守る県政を推し進めるため、9人の候補を推薦・支持しています。

岸田大軍拡にNO! 県護憲連合が定期総会を開く

安保関連3文書について又坂常人氏(信大名誉教授)が講演

総会には会場・Zoomで約40人が参加

講演する又坂常人氏

「建国記念の日」とされる2月11日、平和憲法を未来へ!敵基地攻撃能力の保有反対!岸田大軍拡・増税反対!改憲発議STOPなどをスローガンに長野県憲法擁護連合(通称=県護憲連合)が第68回定期総会を長野市内で開きました。オンライン併用で40人余りの仲間が集いました。

冒頭、長野地区護憲連合の代表委員も務め平和運動の先頭に立ってきた故竹内久幸県議(2月6日逝去)に黙とうを捧げました。

岸田政権が、憲法9条に基づいた国是としてきた「専守防衛」を逸脱、国連憲章・国際法が禁ずる「先制攻撃」につながる「敵基地攻撃能力の保有」に踏み込み、5年間で43兆円の防衛費増強へと突き進む中、「岸田大軍拡」に異議あり!の運動と世論構築が最大の課題です。

「反撃能力」と言い換えようとも、その本質は「敵基地攻撃能力」であり、中国やロシア、北朝鮮を仮想敵国とし、「敵の基地を破壊できる軍事力」を保有するということです。

「敵基地攻撃能力」を保有することは、ただ単に憲法をないがしろにする暴挙というだけではありません。底なしの泥沼のような軍事費の増大によって暮らしと経済を脅かす軍拡競争を加速させる上に、結局、戦争を誘発した結果、相手側のミサイル基地を全て破壊できるはずもなく、報復的なミサイル攻撃を正当化する口実を相手側に与えます。これは日本の被害をより甚大なものとしてしまうことに他ならず、国民の生命、自由および幸福追求権を守るはずの防衛政策としてもまったく機能しません。いま必要なのは、地域的安定をめざす柔軟で強力な外交努力です。

総会では又坂常人氏(信州大学名誉教授・信州市民連合共同代表)を講師に「安保関連3文書の改訂と日本の針路を問う」をテーマに講演をいただきました。

又坂氏は、閣議決定された安保関連3文書の改訂について、「国家安全保障戦略」(国家安全保障に関する最上位政策文書)、国家防衛戦略(これまでの防衛計画の大綱に代わり新たに策定)、「防衛力整備計画」(これまでの中期防衛力整備計画に代わり新たに策定)のそれぞれの問題点を指摘。特に「台湾有事」を想定し、中国に対し「力による一方的な現状変更の試みを強化し、国際秩序への挑戦を試みている」「我が国と国際社会の深刻な懸念事項であり、これまでにない最大の戦略的挑戦」とアジアにおける情勢感を大きく転換させた点が特徴で、「自国を守るためには、力による一方的な現状変更は困難であると認識させる抑止力が必要」と結論付け、敵基地攻撃能力を含む抜本的な防衛力の増強が必要としたもので、日米同盟のもと、武力攻撃事態のみならず、存立危機事態においても、集団的自衛権を行使できる道を開くもので容認できるものではない」と強調、自衛隊を防衛出動させない「アジア地域における有事回避の枠組みをまじめに考えるべき時だ」と訴えました。

総会後には、JR長野駅前で街頭スタンディング・アピール行動を展開しました。右翼団体の騒音基準を超える音量での妨害に屈することなく、市民の皆さんに訴えました。

JR長野駅前でのアピール

道行く人に岸田軍拡の問題点を訴えた

青年女性が「敵基地攻撃能力」などの問題でディベート

反戦平和学習会に44人が参加 沖縄平和の旅の報告も

県労組会議青年女性連絡会は、2月11日に反戦平和学習会を開催し、3産別27単組44人が参加しました。学習会では、昨年末に政府が閣議決定した安保関連3文書の改訂について、敵基地攻撃能力保有や防衛費予算増額などをテーマに青女連絡会幹事を中心にパネルディスカッションを行いました。パネラーを「賛成派」「反対派」に分けて、それぞれの立場から意見を出し合うディベート方式で行いました。

反対派からは「敵基地攻撃は防衛ではなく先制攻撃ではないか」「防衛費をもっと物価対策や社会保障に充てるべき。軍拡競争に日本が参加するべきでない」といった意見が出された一方、賛成派は「ロシアやウクライナの状況や中国、台湾有事を考えると防衛強化は必要」「憲法9条があっても守られない、世界各国もどんどん防衛を強めている」といった様々な意見が出されました。その後、参加者にどの意見に自分は近いかと尋ねると、半数以上が「中立(どちらでもない)」と回答し、「どちらの意見にも共感ができて選べない」といった理由が多くありました。

学習会は続いて、オキナワ平和の旅の報告を伊那市職労働組合の樽澤永理さんより受けました。牛島満中将の孫である、牛島貞満さんの講演では、沖縄戦は日本軍の時間稼ぎに利用され、多くの住民が巻き込まれ殺された事実に触れ、「軍隊は国を守るが住民は守らない。どんなに軍事力を強化しても、その本質は変わらない。沖縄戦の教訓を生かし戦争を起こさないために何ができるか考えてほしい」と訴えるなど、オキナワ平和の旅の講話やフィールドワークから、沖縄戦の悲惨さや実際の戦争の怖さが報告されました。

参加者からは、「国防や防衛費増額というマクロな視点では賛成よりだが、沖縄の報告にあったようなリアルでミクロな視点だと反対意見に納得した」「自分の意見を考える良いきっかけになった。国民全体でもっと関心をもつべきと感じる」といった意見が出されました。

パネルディスカッションで使用された説明資料は以下の通りです。

 

 

軍事クーデターから2年-ミャンマーを忘れない

ミャンマーで国軍がクーデターを起こしてから2月1日で丸2年を迎えてしまいました。国軍による市民への弾圧が続き、ミャンマーの人権団体によると、クーデター以降、3000人近くがが殺害され、今なお約1万4千人が拘束されています。国内外に逃れた避難民・難民は250万人を超えるとされます。

ミャンマーでは1日、軍政に抗議するため、一斉に仕事を休んで外出を控える「沈黙のストライキ」が呼びかけられました。非暴力・不服従の抗議です。

「ミャンマーの民主化を支援する信州の会」では2月1日夜、JR長野駅前で約20人が参加し、クーデターから2年、国軍による市民の殺害・弾圧に抗議する「沈黙のストライキ」に連帯し、一日も早く自由と平和を取りもどし民政を復活させるため、民主化支援の募金を呼びかけながら街頭アピールを行いました。

アピールする若麻績敏隆・信州の会代表

零下に気温が下がるなかアピールする参加者

参加者全員でクーデターへの抗議の意思を示す指を三本立てて集合写真。

ミャンマー国軍に対し、欧米の国々が軍政を認めず経済制裁を行う一方、日本政府はミャンマーに対するODA(政府開発援助)を継続し、官民一体で国軍や国軍系企業とつながる公共事業等への支援を続けています。「経済協力」の名のもとに、国軍による軍政、人権侵害に加担していることも大きな問題です。日本政府は直ちに経済協力を停止すべきです。

長野を訪れた外国人や若い皆さんからカンパをいただきました。これまでに県内で寄せられた民主化支援の募金は200万円以上に上り、食糧・経済支援、教育支援に充てるため、人権団体等を通じて送金してきています。

ロシアのウクライナ侵攻の惨劇が連日報道されることに比べ、ミャンマーの軍事クーデター・軍政による殺害・弾圧は忘れられつつあることを憂慮します。

信州の会では今後も、ミャンマー民主化を支援する活動を継続していきます。ミャンマーを忘れない!

報告集会「ミャンマーに平和と自由を」開催

「ミャンマー民主化を支援する信州の会」(代表=若麻績敏隆・白蓮坊住職)は、1月29日、長野市内でミャンマーでの軍事クーデターから2年になるのを前に報告集会「ミャンマーに平和と自由を」を開催しました。オンラインを含め42人が参加しました。

オンラインをあわせて42人が参加した

若麻績敏隆代表

ミャンマーの軍事クーデターから2年

2021年2月1日の軍事クーデターから2年が経過しましたが、ミャンマーの情勢は悪化の一途を辿っています。反軍政の活動をした大学生4人への死刑判決や学校への空爆など自国民への暴力はエスカレートしています。軍・警察の弾圧による死者は約2900人に上り、いまだ1万7000人の拘束が続いています。

報告集会ではミャンマー出身の同窓生たちと支援に取り組んでいる信州大学の佐藤友則教授にコーディネーターを務めていただき、日本で暮らすミャンマー人民主化活動家のウィンチョウさん、Justice Myanmarのミャンマー人Tさん、ミャンマーのヤンゴン市在住の映像プロデューサーの新町智哉さんらから、現在のミャンマーの状況について報告していただきました。

集会当日に使用されたスライド資料

ミャンマー現状報告(PDF)

 

軍による放火・虐殺、増え続ける死者

Justice MyanmarのTさん

集会のなかでは、クーデター当初よりも軍による放火や虐殺が増えていることが示され、政治犯支援協会(AAPP)のデータなどからも死者数が増え続けていることが報告されました。またさまざまなビジネスを行うミャンマー国軍が持つ利権の構造や、国軍とのビジネスに出資してきた日本政府・企業の問題点にも触れられました。日本政府は、国軍とのパイプを重視して、ODA=政府開発援助も全面停止には至っていません。

大勢の市民が殺害されていることがわかる

子どもたちが通う学校も攻撃されている

平和的な民主化活動の現状(デモ・CDM[市民的不服従運動])

市民によるデモが続けられている

反軍政の意思表示として公務員や軍人などもCDM(職場放棄)に参加している

ヤンゴン在住の新町智哉さんからの報告

ヤンゴンからオンラインで報告する新町智哉さん

現地からオンラインで参加した新町智哉さんは「現在のミャンマーをまともな法治国家として認めないという意思を力強く出しているのが、ヨーロッパやアメリカ」と指摘し、危険レベル2「不要不急の渡航中止」として、欧米諸国(危険レベル4)より甘くしている日本政府の対応を批判しました。また、現地在住の日本人の間では、拘束された日本人ジャーナリストや軍政の問題に沈黙する空気が漂っていると報告されました。

ミャンマー危険情報レベル(外務省・海外安全ホームページ)

ロヒンギャ問題で揺れるラカイン州などを除きほとんどの地域が危険レベル2とされている

長野県内で働くミャンマー人青年の訴え

現地から送られた避難生活を続けるミャンマー人の難民キャンプの映像などを交えて報告したウィンチョウさんは「いちばん怖いのはビルマ(ミャンマー)のことが忘れられること」と訴えました。

80年代から民主化運動に参加してきたウィンチョウ夫妻

集会の最後には、故郷ミャンマーから遠く離れた信州で農業を支えるミャンマー人青年4人が登壇して民主化への思いを語っていただきました。軍とPDF(国民防衛隊)との戦争が続いて、死者が増え続けていることに苦しんでいること。ミャンマーに平和が訪れてほしいという願い。そのためにできることをするという強い決意が示されました。

急遽、登壇してくれた県内在住のミャンマー人青年たち

ミャンマー民主化を支援する信州の会は、今後も学習会のほかミャンマーの文化に触れる場や写真展などを企画していきます。日本在住・県内在住のミャンマー人の方々とも連携しながら粘り強い支援を続けていきます。

ご支援ご協力をよろしくお願いいたします。

信濃毎日新聞(1月30日朝刊)に記事が掲載されました

信濃毎日新聞(1/30)

 

 

 

核兵器禁止条約の批准求める署名約5万筆を外務省に提出

長野ネットが杉尾秀哉・参議院議員とともに武井俊輔・副大臣に手渡す

武井俊輔・外務副大臣に要請書を手渡す

前座明司さんが署名の趣旨を読み上げ

県原水禁や被爆者団体などでつくる「核兵器禁止条約をひろげる長野ネット」は1月24日、前座明司さん(県原爆被害者の会副会長)を団長とする計7人が外務省を訪れ、これまでに集めた50,586筆の「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」を武井俊輔外務副大臣に提出しました。今回の署名提出では、立憲民主党の杉尾秀哉参議院議員に外務省との連絡をとっていだだき実現の運びとなりました。また杉尾議員の事務所の方々には、外務省との細かな打ち合わせや署名運びの手配など、たいへんお世話になりました。

17時10分からから始まった署名提出の冒頭、杉尾議員から今回の署名の提出に至った経緯を説明していただき、その後、前座団長が請願書を読み上げ、武井副大臣に手渡しました。

その後およそ15分間の懇談会が行われました。武井副大臣は、長野ネット代表団とのやりとりの中で「核兵器廃絶は広島出身である岸田総理も大事に考えており、皆さん方の要請、そして5万筆の重みを感じている。核兵器禁止条約が発効され、多くの国が批准しつつあることも承知しているが、日本政府としては、核保有国が1国も批准していない現状をみると、より現実的な対応が必要と考えている。5月に行われる広島サミットでは、核軍縮も大事なテーマの1つになる」などと話しました。

参加者からは「唯一の戦争被爆国として、核廃絶の先頭に立ってほしい」「せめて今年行われる第2回核兵器禁止条約の締約国会議に、オブザーバー参加をするように検討してほしい」といった要望が出されました。短い時間の懇談会でしたが、参加者の強い願いを訴える機会になりました。

金穂実さん(一橋大学院生)が松代大本営の研究成果を講演

日朝県民会議定期総会で修士論文の内容を報告

朝鮮の自主的平和統一を支持する長野県民会議(日朝県民会議)は昨年12月17日、長野市内で会場参加とZoom参加合わせて約40人を集めて第45回定期総会を開きました。

総会では、金明宏・朝鮮総聯県本部委員長や河舜昊・長野朝鮮初中級学校校長から連帯のあいさつをいただきました。また、1年間の活動経過と方針を承認、「南北朝鮮の融和と統一への流れを確かなものとし、米朝関係の正常化による朝鮮半島での平和共存体制の実現、一日も早い日朝国交正常化を求め」「朝鮮学校への高校無償化、幼保無償化適用、在日朝鮮・韓国人へのヘイトスピーチの規制を求め」るなどとする総会決議を採択しました。

総会後の記念講演は、朝鮮大学校を卒業後、一橋大学院の修士課程に在籍している金穂実さん。金さんは、高校、大学校の学生だった時に、松代大本営をフィールドワークした経験から、大学院での修士論文のテーマに松代大本営工事を選択しました。論文の題名は「市民団体による松代大本営地下壕保存運動-説明板書き換えにおける観光地化の影響と『強制性』解釈に注目して-」です。研究の目的は、「加害を伝えてきた戦争遺跡である松代大本営地下壕に着目し、松代で展開された保存運動が、観光地化や歴史修正主義的潮流が広がる中でどのように展開されたのかについて検討する。『負の遺産』の観光地化に伴い起きる、『負』の側面の後景化を加速させるものとして、歴史修正主義的潮流があることを指摘することを目指す」と位置付けました。

金さんは、2014年に長野市が説明看板の説明文のなかで朝鮮人への「強制性」をあいまいな表現に書き換えた問題について、「朝鮮人への強制性を限定的に解釈し、市民団体との対話を拒否」してしまったと強調しました。

金さんは講演の最後に、在日朝鮮人の詩人、金時鐘氏の言葉「そうして全ては眺める位置で薄れていったのだ」を紹介。松代大本営が残ったものではなく「遺されたもの」であり、保存運動の蓄積への敬意と感謝を表したいと強調。そして、日本社会で加害の歴史に向き合う難しさ・苦しさも感じていると感想を述べました。

金穂実さん

講演を聞く参加者

金さんの講演は信濃毎日新聞で報道された

総会で採択した決議