アスベスト(石綿)が気になる方、気軽に相談してください

2005年のクボタショック以降、アスベスト(石綿)問題が、労働現場でのアスベスト使用や解体に伴うばく露、中皮腫・肺がん発症など労働災害問題にとどまらず、一般市民にも健康被害を及ぼす危険性が明らかになり、重大な社会問題として認識されるようになりました。アスベストによる健康被害は、30年から40年と言われる長期間にわたる潜伏期間ののちに中皮腫、肺がんなどが発症するため、アスベスト大量使用時代に現役であった労働者や関連工場の周辺住民の健康被害が現代の問題として浮上しています。また、アスベストの吹付、建材に使用された建築物の解体時期を迎える問題も地域社会にとっては重要な問題です。高度経済成長時代の効率のみを追い求める社会風潮が生み出したアスベスト問題は、経済優先の「負の遺産」です。これからの時代は、何よりも人の命や健康を優先させる社会が求められています。

長野県内でもアスベストを扱う事業所での労働者のばく露問題や建築物に使用されるアスベストの解体・補修時の飛散問題など、大きな社会問題となっています。JR東日本では現役の社員がアスベストばく露により悪性胸膜中皮腫を発症、闘病のすえ死亡するという労働災害も注目を集めました。

また、建設アスベスト訴訟で最終的に国の責任が最高裁によって認定され、政府は2022年1月からアスベスト被害にあった建設労働者へ「給付金」を支給する制度をスタートしました。しかし、最高裁に賠償責任を認定されたアスベスト建材メーカーは、「各メーカーのシェア割りがわからない」「どの現場にどれだけ使用されたのかが不明」などの理由で、給付金制度への参加を拒み、現在も裁判で争っています。

建材メーカーを相手取った損害賠償請求裁判「東日本建設アスベスト訴訟」(横浜地裁)は、2021年10月に提訴され、第6次提訴まで48名の原告が裁判で争っています。

アスベストによる肺がんで亡くなられた長野市の内装工・Aさんの遺族(妻)がこの裁判に昨年6月7日、提訴しました。現在、準備書面のやり取りが続いていますが、今年の年末から原告尋問が始まる予定です。

「長野県アスベスト対策センター」は2018年4月に結成しましたが、「NPO法人じん肺・アスベスト被災者救済基金」(神奈川県横須賀市)の協力により、長野県内の県民・労働者、関係事業者などを対象に、長野市で面談相談会・電話相談会を開設します。

アスベスト被害の補償・救済については、労災補償制度(主管:厚生労働省等)と労災以外の救済制度(主管:環境省・環境再生保全機構)によって実施されていますが、制度に対する周知や関係者の認識不足などによって、補償・救済を受けられないで苦労されている患者と家族がおられます。また、中皮腫はじめアスベスト関連疾患の治療について相談先を求めておられる場合も少なくありません。

また、政府がアスベスト被害にあった建設労働者へ「給付金」を支給する制度についても、まだまだ周知されているとは言えません。

長野県アスベスト対策センターではそうした実情に対応し、過去11回、長野市・松本市で電話相談や相談会を実施し、補償・救済の促進、情報の提供を行ってきました。実際に労災申請へつながる相談も数件ありました。

今回の相談会を通じて、アスベスト被害の実態を掘り起こすとともに、少しでも悩みや疑問がある人からの相談への対応や、健康被害で苦しんでいる人への救済制度の説明など、身近な相談センターとして親身に相談に乗ります。

長野市でのアスベスト被害 面談・電話相談会の計画概要

1.日  時  6月28日(土) 10:00~16:00

2.相談場所  面談相談 長野県労働会館3階 第2小会議室(長野市県町532-3)

電話相談 026-234-2116

※相談料は無料/秘密厳守

※面談相談を希望される方は事前に連絡を。

3.主  催  長野県アスベスト対策センター

協力:NPO法人じん肺・アスベスト被災者救済基金(神奈川県横須賀市)