3・11は戦後最大の国家安全保障の問題
2011年3月の東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故から14年を迎えましたが、原子力緊急事態宣言はいまだに解除されていません。廃炉に向けた作業がつづけられていますが、政府・東電が掲げる2051年までに廃炉が完了できる見通しは立っていません。推定880トンとされる1~3号機のメルトダウンした核燃料デブリのうち0.7gをやっと取り出せたような状況にあります。
民主主義の発展を妨げる原発型社会
昨年10月20日に長野市内で開催された「市民集会・脱原発2024 in 信州」では、新潟国際情報大学教授の佐々木寛氏による記念講演「原発と民主主義―柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題を考える―」が行われました(70人が参加)。核兵器と原子力の「平和利用」をめぐる政治問題の研究に長年取り組まれてきた佐々木教授から、新潟県の柏崎刈羽原発の問題を中心に、原爆開発のマンハッタン計画、福島原発事故など国際政治、核開発の歴史などに触れながら、原子力と民主主義が相容れない関係にあることが示されました。
危機を危機として認められない日本
佐々木氏は「3・11は戦後最大の国家安全保障の問題であり、今でもこの危機は終わっていない」と訴え、「危機を危機として認めずごまかしていく日本を変えないといけない」と指摘します。
講演では、世界最大の柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う新潟県民投票条例を求める県民署名、南オーストラリア州が目指す再生可能エネルギー100%を可能にする最新の蓄電技術や、デンマークの住民自治でつくる再生可能エネルギーの先進事例なども紹介されました。
これまでの「中央集権型の原発型社会は再生可能エネルギーや蓄電池などの新技術の発展だけでなく、民主主義の発展も阻害してきた」、「地域分散型の自然エネルギーを住民たちがつくる民主的な脱原発型社会をつくろう」と呼びかけました。
「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」サイト
https://www.kenmintouhyou.net/
「おらってにいがた市民エネルギー協議会」サイト
https://www.oratte.org/
柏崎刈羽原発の100キロ圏内に北信地域
北信地域が100キロ圏内に入る柏崎刈羽原発の再稼働問題は長野県で暮らす私たちにも深く関係しています。巻末には会場参加者から寄せられたアンケートも掲載しています。ぜひお読みください。
長野県地域防災計画 原子力災害対策編 令和5年度修正(令和6年3月)
https://www.pref.nagano.lg.jp/bosai/kurashi/shobo/kekaku/documents/04r5chiikibougensiryoku.pdf
■長野県の地域防災計画にも原子力災害編が作成されています。