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長野県平和・人権・環境労働組合会議

台風19号被災現場でのアスベスト対策を求め、現場視察、長野県・長野市に要請

2019年10月12日、長野県に最接近した台風19号は、長野県の東北信地域、千曲川流域に甚大な水害を引き起こし、現在、官民が連携し被災地の復旧に向けた取り組みが続けられています。

このなかで被災した建築物に使用されているアスベストについて、長野県や長野市などの行政当局は、ホームページなどで注意喚起を呼び掛けているものの、被災住民や業者、ボランティアが建築物の解体や搬出・運搬作業に従事する際に、建材に含有するアスベストの取り扱いを規制するなどの措置は取られていませんでした。

被害が特に深刻だった長野市の千曲川沿いの地域には、全国から6万2千人を超えるボランティアが駆けつけていただき、住宅内の清掃や泥出し、家財搬出などの作業に従事しています。アスベストを含む床・壁の建材の解体、運搬などもボランティアが行うケースがあり、健康被害を防止するアスベストばく露対策が求められました。

県アスベスト対策センターは、2019年12月23日、「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」の永倉冬史事務局長を招き、地元の県議会議員、長野市議会議員とも連携して、被災地やがれき置き場の現地調査、長野県及び長野市の担当部局との懇談・意見交換を行いました。

また2020年2月10日、県アスベスト対策センターは、被災住宅の公費解体が始まることを見据え、家屋の建材等に含まれるアスベスト対策の強化を長野市に要請しました。

要請事項は、ボランティアに対する注意喚起の徹底と防塵マスクのつけ方の説明会の開催などさらに対策を徹底すること、自費解体・公費解体が始まる中、解体業者に対し、特にレベル3とされる床や壁・天井などの建材に含まれるアスベストの取り扱いに関し、厚生労働省の「石綿障害予防規則」や「石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル」などの指針に沿って指導を徹底すること、安全対策を怠る悪質業者を排除するため、アスベスト対策を事業者選定条件に盛り込むこと、専門的な技術者団体と連携し、被災家屋の解体前にアスベスト含有建材等の現地調査・チェックをすること、がれき仮置場でアスベスト含有が懸念される「波型スレート」や建材などの「スレート板」などの分別、飛散防止策を徹底することなど8項目。

長野市では、県アスベスト対策センターとの12月の意見交換の場での要望・提案を受け止め、1月に入って、被災住民・ボランティア・解体事業者向けそれぞれに、注意喚起と法令順守を周知するチラシを作成・配布するとともに、ボランティアセンターでは解体作業等に従事する場合にアスベスト対策用の防塵マスク(DS2)の無償配布を始めています。広報ながの4月号でも市民向けに注意喚起を促すとのことです。われわれの要望を受けて、すぐに対策を具体化した長野市の姿勢は評価できます。

被災住宅の自費解体・公費解体が行われているなか、アスベストによる健康被害を出さないために、住宅所有者、周辺住民、解体業者、ボランティアが安全に安心して活動できるようにさらに充実した対策を求めます。

☞ 詳細は長野県アスベスト対策センターNEWS第3号

がれきの中にはアスベストが含有している思われる破片も(長野市赤沼公園) 

濁流で破壊された消防団詰所

長野市への要請

がれき仮置場「アクアパル千曲」では、アスベスト含有が懸念される「波型スレート」や「壁材などのスレート板」が「危険物」として一カ所に集められ、ブルーシートをかけて保管されていた。担当業者の自主判断で行われていた

 

自衛隊の中東派兵問題―成澤孝人・信大教授の講演録―

2020年前半は、新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、日本や世界の公的機関や人々が拡大防止対策に追われ続けた半年間でした。その陰で、自衛隊が、米国とイランとの緊張の高まりを受けて、米国からの要請で中東地域へ派遣されている問題は、あまり注目されませんでした。しかし、自衛隊法の「調査・研究」名目での派遣は、きわめて法的な根拠が薄く、自衛隊法の無理な解釈による派遣であり、あまりにも問題が多い政府の決定です。長野県憲法擁護連合(県護憲連合)は2月11日、長野市内で定期総会を開き、記念講演として、自衛隊の中東派遣問題について、信州大学教授の成澤孝人氏に解説していただきました。その講演録をお届けします。

 会報52号・成澤孝人講演録はここをクリック