21世紀のキーワード―平和・人権・環境

長野県平和・人権・環境労働組合会議

労働組合とは車の両輪、協同組合の源流~長野県労福協ヤングリーダー塾~

長野県労働者福祉協議会は、2月17日、長野市のJAビルで若い世代の組合役員や組合員を対象にした「ヤングリーダー塾」を開催し、県内各地から若い世代の組合員約30人が参加しました。

講演する田中夏子氏

協同組合とは

労福協の理念、2030年に向けてのビジョンを学んだあと、基調講演として、日本協同組合学会元会長の田中夏子氏に「福祉事業団体と労働組合、協同組合の関係」「SDGs達成に向けての協同組合の役割」というテーマでお話いただきました。

講師の田中夏子氏は、イタリアの社会的協同組合、コミュニティ協同組合、ワーカーズ・バイアウトによる事業再生を研究され、長野大学、都留文科大学などで教鞭をとり、2013年から農ある暮らしを志して、現在は長野県佐久市の農園「Vento e Terra」の園主も務めらているそうです。

自営的な暮らしを求め長野県へ

SDGsの「誰一人取り残さない」という言葉

田中氏からは、現在の国際情勢のなかで協同組合運動がどのようなアクションをおこなっているか、労働組合運動と協同組合運動の深いつながり、SDGsの「誰も取り残さない」の本当の意味、協同組合のアイデンティティの探求をめぐる国際的議論などについて解説いただきました。

ロシアによるウクライナ侵攻後のヨーロッパの協同組合の難民支援のとりくみの紹介のなかで、「日本国憲法前文にうたう『全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する』に照らせば、ヨーロッパ協同組合の課題意識も、私たち自身の課題として深く共感できる」と述べられ、さまざまな社会課題を自分事として捉え行動していくことの大切さを伝えていただきました。

また日本で安易に多用されているSDGsの「誰一人取り残さない」という言葉の切実な意味についても知る機会になりました。

産別をこえてグループワークで交流

講演後には、「労働組合・労働事業団体の役割とは?」というテーマでグループワークを行いました。普段かかわることの少ない産別を超えて交流を深めることができました。

参加者が書いたポストイットから

【伝える】
・賃上げ要求・福利厚生、職場環境の改善について経営者へ要求する
・若手から出る意見を集約(仕事以外でも)して上に伝える
・会社のルール(福利厚生)などを伝える

【歴史】
・労働組合の歴史
・自分の状況を測る基準
・政治への関心・知る、学ぶ、きっかけの場、関係
・平和について考えるきっかけの提供
・協同組合の利用推進

【コミュニケーション】
・職場で話しにくい話を聞いて相談相手になる
・おかしいと思ったことについて、みんなで声を上げる
・重い荷物を持ってあげる
・組合員の親睦会
・相談できる場

【明日から自分は何ができる?】
・労働組合の繋がりを大切にする(産別を超えて)
・どんな人とでもコミュニケーションを大切に
・ボランティアや募金活動の情報をつなぐ
・ジェンダーの視点を!
・女性も誰もが発言しやすい職場、関係づくり

【田中夏子氏による基調講演の概要】

1 難民と協同組合?どう関係?

■協同組合の国際組織である国際協同組合同盟(ICA)欧州がウクライナへのロシアの侵攻後に声明

■従来から取り組まれてきた協同組合による難民支援

従来から、イタリアでは、社会的協同組合、住宅協同組合連合が連携して、紛争地域からの難民、女性、子どもたちに宿泊施設、生活環境、仕事などを提供してきた実績があった。難民支援と協同組合というと、意外な取り合わせに思われるかも知れないが、実はこの領域と協同組合運動には深い関係がある。

ロッサナ・ザッカリアさんのメッセージ(2022年3月15日発信)
住宅協同組合レガコープ・アビタンティ代表
「戦争から逃れてきた人びとは、故郷をはじめ、アイデンティティの深い部分を放棄させられています。暖をとり、自らを守る多くの場が必要です。しかし、同時に新しい住まい(生きる場[田中注])を探すという複雑な旅に、協同組合として同行する必要があるのです。(…略…)
住宅協同組合と社会的協同組合が一緒になって、さらに多くの市民セクターと行政も含め、多様な解決策を構築できるように取り組んでいきます」

■ヨーロッパの協同組合の取組みから

・2022年5月には、シチリア州カターニャ市をはじめ、各地で難民の受入活動が活発化。
・2022年6月には、パドバ市で、LGBTQの難民を受入れるグループホームが、自治体、当事者団体、社会的協同組合Levanteの協同事業として開設。

1400万人の人びとが、故郷を破壊され、見通しの立たない避難を強いられる。協同組合が、戦争や紛争によって生みだされる数々の困難に、正面から取り組むとする姿は私たちにとって示唆的。
一見、協同組合と難民という組合せに、唐突の感を持たれる方もあると思うが、日本国憲法前文にうたう「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」に照らせば、ヨーロッパ協同組合のこうした課題意識も、私たち自身の課題として深く共感できると考える。

※2023年1月現在のウクライナ国内避難民は600万人、EUの国々へ逃れた難民の数は800万人

■難民とともに生きる地域創造をめざすRUAH社会的協同組合
・設立2009年1月。前身のアソシエーション(共通の目的や関心をもつ人々が、自発的に作る集団や組織)としての活動は、1991年に開始。
・1980年代末、受入先を求めてベルガモ(イタリアの都市)を訪れた移民や難民との出会いが契機。

RUAH設立者の思い、難民受入側の思い(RUAHのサイトから)
「非人間的な旅を経て、疲れ果ててようやくイタリアの港に辿りついた彼ら・彼女らの顔には、戦火の悲惨、空腹、搾取されてきた悲劇の歴史がはっきりと刻まれていた。私たち(RUAH協同組合の前身グループ)は、彼ら・彼女らに尊厳ある生活を提供すべく(居住や生活全般ににかかわる諸サービス)支援することはもとより、個々人の人生を、自律(オートノミー)をもって歩めるようなプロジェクトを模索した。分かち合いと共生のルールづくり、言葉の習得、仕事探し等の支援だ」

「『異邦の人』の声に耳を傾けるという行為は、単に話されていることの内容を理解するにとどまらない。また単純な好奇心を喚起するだけにもとどまらない。『異邦の者どうし』が共に創造的な活動を構築することであると私たちは学んだ。それぞれの人生の歴史を語り合い、それを分かち合う力が求められ、そのことはまた受入れる私たち自身の中に、別の世界を作り出す態度が必要とされる」

※RUAHはヘブライ語で「魂の風のそよぎ」を意味する。

■日本の生協と平和運動の深い関係

■世界の協同組合数

■日本の協同組合

2 協同組合の源流

■協同組合=cooperative

3 国際社会における協同組合運動

■協同組合原則の時代的な変遷

◎ここまでのポイント

◆世界の協同組合は、18世紀以降、資本主義化の波の中で、各地における地域に根付いた反貧困の社会運動の中で、労働運動とは車の両輪関係を形成しつつ、生み出されてきた。そうした一般性ゆえ、世界各地で協同組合が出現。日本でも同時期に発祥。

◆世界の協同組合は、必然的に独自の成り立ちを持つとはいえ、バラバラな存在に留まらず、19世紀末に、国際的なネットワークICAを形成し、知見を共有しながら釈迦への影響力を高め、国連機関、ILO(国際労働機関)とパートナー関係を深化させてきた。

◆ICAは、協同組合原則や協同組合としてのアイデンティティを、時代の要請とともに再検討し、協同組合が今日的な課題に応え得る質を備えるよう指針提起(ガイダンスノート)をした上で、刷新を、各国の協同組合の参加のもと、議論が続いている。

4 世界の協同組合の今日的課題→SDGs

■SDGsと協同組合~なぜ「重要なパートナー」なのか?

■SDGsのそもそも論~協同組合・労働運動が前線に立つ必然性

■「誰一人取り残さない」というSDGs運動で最も引用される言葉の意味

■協同組合運動と労働運動の連携の意義が試される時代

5 協同組合のアイデンティティ議論

■協同組合と労働運動が牽引した平和産業

■参考資料

被災70周年3.1ビキニ・デー全国集会

原水禁は3月1日、静岡市で「被災70周年3.1ビキニ・デー全国集会」を開催し、全国から約180人が参加しました。
集会では、長崎大学核兵器廃絶研究センターRECNAの中村桂子准教授に、「核兵器廃絶に向けた世界の動きと私たちの課題」というテーマで講演をいただきました。
また、Connect Hiroshimaの大内由紀子さんからTPNW(核兵器禁止条約)第2会締約国会議派遣報告、静岡選出の高校生平和大使から核兵器廃絶への思いを語っていただきました。

中村桂子氏(長崎大学核兵器廃絶研究センター)

中村さんの講演では、はじめに長崎大学核兵器廃絶研究センターRECNAは核兵器廃絶を掲げるオンリーワンの研究センターであることが紹介されました。

RECNA 長崎大学核兵器廃絶研究センター

RECNAとは

核兵器の近代化をすすめる米ロなどの核保有国

世界に核弾頭は1万2520発存在(2023年6月現在)しており、冷戦期以降、核弾頭の総数は減少してきたものの、退役・解体待ち弾頭を除いた「現役核弾頭」の数でみれば軍拡がすすみ、また核兵器の近代化や新型核兵器の開発などの高性能化がすすむなど、核軍拡の状況を呈している。核兵器も家電と同じように老朽化は減らすチャンスだが、最先端の弾頭へアップデートしようとしている現状が示されました。

『世界の核弾頭データ』2023年版 を公開しました!

核軍縮をめざす「あたらしい風」

膠着した現状があるいっぽうで、核軍縮をめざす「あたらしい風」のきざしがあり、その大きな原動力としての核兵器禁止条約(TPNW)が持つ意味について解説いただきました。

核兵器禁止条約は、これまでの条約と異なり、核保有国ではなく、マーシャルなどこれまで議論から見えないところにいた国々が主役交代のように非核保有国の国と市民社会が主導してきたことに特徴があり、核兵器そのものと核兵器への依存を「悪」として、世界の常識そのものを塗り替えていくことを構想しているものである。

表に出てこなかった「非人道性」が前面に

国連で採択されたときの議場は、熱気にあふれ、スタンディングオーベーションがつづいたそうです。苦難に耐えてきた広島、長崎をはじめとする被ばく者の声が世界を動かしてきたことが条約の土台になっているそうです。

被害者の救済が明記

これまで注目されてこなかったコミュニティ、文化、伝統の破壊、ずっと続いてきた農漁業の営みが奪われ、支給された食べ物によって引き起こされた肥満や糖尿病などの健康の問題などについても、被害のレポートなどをまとめ基金をつくっていくことが決まっており、どれだけ具体化できていくかが議論されている現状が紹介されました。オブザーバー参加しているドイツからもフェミニストの観点からの被害者援助、女性女児への放射線の影響の調査などへの協力の申し出などがあり未批准国であってもさまざまな協力ができることが示されました。

これまで見過ごされてきた被害者の救済、環境の修復

存在感を示すオブザーバー参加するドイツとためらう日本

核兵器禁止条約を育てていくことが大切

中村さんは核兵器禁止条約を漢方薬に例え、即効性はないがじわじわと効果を発揮すると述べ、核兵器製造企業への銀行融資にも影響していることや、国際的な議論の場でも、賛成反対を越えて人類的な問題として、人権、環境、ジェンダー、SDGsの考えがあたり前になってきている変化についても触れられました。

ジェンダーの考え方がさまざまな議論で当たり前になってきている

最後に中村さんは、核兵器禁止条約を手塩に育てていき一人前にみんなで育てていくことが大切、日々何度も落ち込むことも多いが核廃絶に向けて新しい変化は着実に起きていることを知ってほしいと訴えました。

広島長崎出身の大学生でつくる「Connect Hiroshima」

現在大学生の大内由紀子さんからは、被爆地広島、長崎出身の大学生でつくる市民団体「Connect Hiroshima」(コネクト・ヒロシマ)のとりくみ、

TPNW(核兵器禁止条約)第2会締約国会議への参加などについて報告いただきました。

大内由紀子さん(Connect Hiroshima)

広島出身で元高校生平和大使として核兵器廃絶にとりくんできた経過、第1回締約国会議にも参加するなかで交流した海外の人びとからも刺激を受け、日本政府がTPNWへのオブザーバー参加を求める署名を展開し4万3288筆を外務省へ提出してきたこと、昨年ニューヨークで開催された第2回締約国会議では市民社会の枠で発言したほか、現地での若い世代の交流イベントやさまざまな集会に参加したことが報告されました。さらに第3回締約国会議(2025年3月開催予定)に向けて日本政府への働きかけを準備していることが報告されました。

中満泉さん(国際連合事務次長・軍縮担当上級代表)から伝えられたことが紹介された

「未来は女の一票で!」「金権マッチョ自民にNO!」

女性だけの行動-長野駅前で第2回フェミブリッジ・アクション

信州市民連合の女性のみなさんが中心となって3月17日、長野駅前で13時から14時までの間、第2回フェミブリッジアクションが行われました。女性議員や市民団体関係者など女性だけで約20人が参加しました。

街頭宣伝では、日音協県支部の音楽サークル「ジグソーパズル」の2人が「花はどこへ行った」「翼をください」の2曲を歌い、参加者にもマイクがまわされ一緒に合唱しました。

司会進行は、松澤佳子・信州市民連合共同代表と中村雅代・小布施町議会議員、主催者あいさつは、堰免久美・信州市民連合共同代表が行いました。

参加してアピールしていただいた議員は以下の通りです。

和田明子・県議会議員、竹村直子・県議会議員、丸山寿子・県議会議員、野々村博美・長野市議会議員、原洋子・長野市議会議員、清水みき枝・小諸市議会議員、中村雅代・小布施町議会議員。

アクション終了後、参加者で記念撮影

参加者はプラカードをもって市民にアピール

堰免久美・信州市民連合共同代表

和田明子・県議会議員

竹村直子・県議会議員

丸山寿子・県議会議員

野々村博美・長野市議会議員

原洋子・長野市議会議員

清水みき枝・小諸市議会議

中村雅代・小布施町議会議員

日音協サークル「ジグソーパズル」

 

第56回全国青年団結集会長野県大会が開催されました

長野県内、全国から330人の青年が結集

第56回全国青年団結集会長野県大会が、2月3㈯・4㈰にかけて、長野県千曲市・戸倉温泉 圓山荘で開催されました。長野県内から、全国各地から330人(13産別・2団体)が結集することができました。コロナ禍を経て、産別・地域を超えて集まった全国の仲間が2日間にわたって学習と交流を深めました。

全国から集まった参加者たち

千曲川のほとりにある戸倉上山田温泉

働き続けることが困難な職場に立ち向かおう

初日の全体集会では実行委員長の横川慶和さん(林野労組)から「北は北海道、南は沖縄から13産別の仲間が結集しました。私たち労働者は生活のため、社会のためにも、職場実態を見直し、前向きに働ける職場にしなくてはなりません。今集会での仲間との交流を通して、全国にたたかう仲間がいると感じることができれば、わたしたち働く仲間にとって心強い支えになるのではないでしょうか。この青年団結集会を、わたしたち労働者の団結をさらに強めるきっかけにしよう」と呼び掛けました。

矛盾や問題が顕在化する職場

基調提案では、2020年1月に高知県で第53回集会を開催したあと21春闘期、22春闘期にわたって青年団結集会を開催できなかったこと、労働組合においても自粛の雰囲気が強まり、学習や交流の取組みなどが次々と中止にされてきたことに触れ、自粛が労働組合の組織の弱体化や職場・社会への影響力の後退をまねき、青年の生活や労働の実態をますます困難にしかねないことが指摘されました。

そしてコロナ禍においても合理化はとまらず、労働者に問題と矛盾が突きつけられている現状が示されました。医療の現場では医療崩壊の危機感が煽られ、医療従事者への感謝がしきりに強調されたが、医療崩壊はコロナ禍以前からの病院の統廃合、病床の削減、人員の削減などの合理化によって発生していたこと、強調される感謝はその事実をごまかし医療従事者にさらなる労働強化を強いていたことなどが確認されました。

労働組合の弱体化は労働条件の後退をもたらすが、労働組合の強化、青年部運動の前進が、青年に低賃金や長時間労働を強いる社会や職場を変える力へと繋がること、そのために交流を力にしていこうと提案されました。

 特別報告➀消防職員協議会の仲間からの訴え

初日には、特別報告として消防職員協議会ユース部の関野晃充さんから消防職員協議会の活動についてスライドを交えて報告をいただきました。

勤務形態や業務内容、御嶽山噴火や台風19号災害などの災害派遣について、また人員不足やハラスメント、無賃金拘束時間などの消防職場の問題について報告されました。団体交渉権などの労働基本権がない消防が、劣悪な労働環境を改善していくために消防職員委員会制度がつくられましたが、使用者側の恣意的な運営が見られるなど、その効果は十分ではなく、委員会を実効あるものにさせるためにも職員の自主組織として消防職員協議会がつくられたことが紹介されました。労働組合がある職場が当たり前ではないことが参加者に伝わりました。

消防職員委員会制度について(総務省消防庁HPより)

https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/syobosyokuin_iinkai/iinkai.html

全消協ってなに?(全国消防職員協議会HPより)

http://zensyokyo.jp/zensyokyo/

(全国消防職員協議会HPより)

関野さんは報告後に青年団結集会ニュースに感想を寄せられています。

「今回初めて、消防協から参加し、消防の職場実態について、全国の仲間に伝えることができて、大変うれしく思います。人員不足や厳しい上下関係がある職場で消防職員が働いていることを知っていただけたのではと思います。私たち消防職員もみなさんと同じ労働者です。みなさんと同じ悩みを抱えています。組合を作る団結権すら奪われる現状で、職場のおかしいことに対して意見を言うために出来たのが消防職員協議会です。団結権の回復、住民サービスの向上のためにみなさんとともに頑張っていきたいと思います。今回の経験を参加しただけで終わらせることなく、この集会での熱気を自分たちの職場へ持ち帰り、団結した仲間とともにより良い職場をつくっていきます」

メイン行事の分散会

300人を超える参加者は40のグループに分かれて二日間にわたって、それぞれの職場の実態を話し、お互いへの質問を通して、職場・産別を超えて共通する職場の問題を確認することができました。

コロナ禍の影響もあり「分散会に参加することがはじめて」という参加者もありましたが、日頃の職場ではなかなか口に出せない気持ちや不満・不安、賃金や労働条件や組合などへの率直な思いなどを話すことができ、悩んでいるのは自分だけではないのだということを知ることができました。公共交通、自治体職場、清掃など他の職種の職場環境や悩みを聞きながら、どうやったら働き続けられる職場・社会にしていけるか参加者それぞれに、いろいろな問いや気づきが生まれた分散会になりました。

分散会での参加者の声

労働者に自己負担を強いる当局・資本

「自己負担があたり前。文房具や子どもの発表会の衣装を作成するための材料・ミシンを自腹で購入している」自治体の保育士の参加者

「制服が1着は会社から支給されるが、着替えのための制服は自腹で購入しなければならない」私鉄の参加者

「基本給に反映しているとの理由で通勤手当が支給されていない。燃料費として1万5千円程度が一時金に含まれて支給されるが、ガソリン代高騰のため全然足りていない。とくに遠距離通勤者ほど厳しい」私鉄の参加者

職場での人員確保の問題

「低賃金のため、採用されても数年で早期退職する仲間があとを絶たない」私鉄の参加者

「民間の初任給の方が高いため、新規採用者が確保できない」自治労の参加者

「長時間労働やサービス残業が多く、精神疾患での病気休暇者や30歳代の早期退職者が増えている」自治労の参加者

「広域異動があることを理由に早期退職する仲間が増えている」林野の参加者

子どもの生命を預かる保育職場の切実な悩み

「低賃金のため保育士の確保が困難。資格を持っていない非正規の保育士が増えている」自治体の保育士の参加者

官民問わず長時間労働・過重労働があたり前に

「管理職は超勤縮減を呼びかけるが、人員は増えず業務量も変わらないため、早朝出勤による不払残業が増えている」自治労・林野の参加者

「高速サービスエリアでの待ち時間は拘束されているにもかかわらず、労働時間から除外されている」私鉄の参加者

(青年の声2月20日号から抜粋)

【構成詩】「分散会交流が職場を変える力に」

今回、分散会を前に、長野県実行委員会の横川委員長たち有志によって模擬分散会をテーマにした構成詩のステージが披露されました。「初対面のひとと何時間も話すことあるのかな?」といった参加者の不安や疑問に応えて、一緒になって考え、楽しみながら、分散会のイメージがつかめるステージになりました。「分散会ってなに?」「参加者の心得」「産別を超えた大交流!」の3部構成で演じられ、合間にはナビゲーターの高橋海さん(自治労)からそれぞれの場面についての解説があり参加者にも理解しやすい工夫がされていました。

構成詩「分散会交流が職場を変える力に」

ナビゲーターの高橋さんはさいごに「自分も、もともとは組合アンチでしたが、今は県本部で副部長をしています。どうして考えが変わったかというと、組合活動に参加するなかで、サビ残や休めないことが当たり前ではなくおかしなことだと気づけたからです」と話し、前回の青年団結集会茨城県大会へ最後に参加してから組合を辞めようと思っていた青年が分散会でいろいろな職場の話を聞くなかで、当たり前だと思っていた権利や労働条件が過去に組合が勝ち取った権利だったと気づき組合脱退をやめたというエピソードを紹介されました。

※ 『構成詩』は、職場の実態などを反映した台本を作成し、参加者(観客)に語りかけ、その語りかけをとおして、参加者は職場の実態などをイメージし、問題意識を高め、より働きやすい職場環境づくりのために、自分ならどうするだろうか?何ができるか?等と考えるきっかけにしてもらう取り組みです。今回は、職場ではなく分散会をテーマにした構成詩が披露されました。

(青年団結集会ニュースより)

 

労働組合は最強のセーフティーネット

二日目には記念講演として松本地区労組会議の平谷哲治事務局長から「セブンイレブン闘争と労働組合のない職場の実態」というテーマで、平谷さん自身の経験をもとに労働組合の大切さについて講演いただきました。

講演「セブンイレブン闘争と労働組合のない職場の実態」

【講演概要】

「このままでは働き続けられない」組合結成

身を粉にして働くことが美徳との価値観で、長時間労働でも休みが取れなくても働き続けていた。しかし脳梗塞など身体を壊す社員が次々と出ても何も対応せず、社員を使い捨てにするような会社に不信感を持つようになった。「このまま働き続けられるのか?」と、同じ不安や疑問を持つ者と社員・アルバイトの雇用の違いを越え会社と交渉するために労働組合を立ち上げた。

巨象とのたたかい、仲間の支援が力に

会社の組合敵視はすさまじくさまざまな攻撃を受けた。組合役員を担う店長職は管理職だから組合員の資格がないと主張し、残業代支払いの義務もないと労基法の規定を悪用して支払いを拒否した。これに対し、組合の存続と「名ばかり管理職」となっている店長の労働者性を認めさせ、未払いの残業代を請求する裁判闘争に踏み切った。巨大企業の名を持つ相手とのたたかいは怖かったが、地域や全国の労働組合からの支援があったからこそたたかうことができた。そして、この裁判闘争は全国的な注目を集め、勝利的和解を勝ちとることができた。

たたかいの成果は全国に波及

組合の勝利後、会社は突然店舗の閉鎖を行った。組合がたたかった結果、職を失ったと批判されることもあったが私たちに後悔はなかった。なにもしなければ自分たちが倒れていた。たたかいを通じ労働条件を勝ち取る喜びを体感した。そして全国の「名ばかり管理職」の扱いが改善された。一組合であっても労組でたたかうことで判例ができ、それが波及して法律となり、私たちを守る武器になる。労働者にとって労働組合は最強のセーフティーネットだ。

特別報告②「安全、安心な空の職場を取り戻そう」(JAL争議団)

JAL被解雇者労働組合(JHU)の客室乗務員争議団長の鈴木圭子さんからも争議団のたたかいについて報告いただきました。また、1月2日の夕刻に羽田空港で起きたJAL機と海保機の衝突事故についても長年の乗務経験をもつ乗務員の立場から考察が必要だと鈴木さんは話し、運輸委員会の事故調査と警察の捜査が進められているが、再発防止に向けて原因を究明する事故調査と警察の捜査は異質なものであり、警察が関与することは真の事故原因究明の妨げになると訴えました。事故機の人員配置やベテランスタッフの不足なども指摘され、労働組合の存在が、事故の防止、安全な空に繋がることが示されました。

「羽田空港衝突JHU見解」

JAL被解雇者労働組合HP

https://jhu-wing.main.jp/

職場・産別・地域を超えた青年労働者の共闘を

さいごに社青同の松浦久美子さんから集会まとめが報告され、集会宣言を採択し、参加者全員の「団結ガンバロー」で閉会しました。全国各地から集まった仲間は学びと交流を深め帰路につきました。長時間労働や低賃金を強いる社会を変え、一人ひとりの労働者が大切にされる職場を実現していくために、職場・産別・地域を越えて共闘し、労働組合がたしかな連帯を取り戻していくことがいま必要とされています。疲弊した日本社会を変えるため、労働組合のない職場で働く労働者のためにも、組織された労働者の団結の強化が求められています。安心して働き続けられる社会を実現するために、それぞれの職場、地域でたたかい努力することを確認し合うことができた青年団結集会になりました。

会場で集まったカンパを富山・新潟から参加した仲間に

みんなでインターナショナルを唄った

あらゆる職場で青年が合理化の犠牲に- 社青同中央常任委員 松浦久美子さん

(…)第56回全国青年団結集会には、30都道県、13産別2団体から330人の仲間が結集しました。実行委員会の事前の想定を大きく上回る結果の背景には、分散会で報告し合ったように、労働者が大切に扱われない職場や社会で蓄積する不満や不安を誰かに伝えたい、という思いがあります。そして、職場、産別、地域を超えた交流のなかで新しい出会いがあり、各県や地区でのこれからの交流の前進に向けた確かな展望を持つことができました。

長野県実行委員会の横川実行委員長は、開会のあいさつで「全国から集まった仲間との交流を通じて、実態を共有できる場があり、しんどい気持ちに共感し、一緒にたたかってくれる仲間がいると感じることができれば、心強い支えになる」と提起していました。私自身も、分散会での交流を通じてそうした支えを得ることができました。全国のさまざまな職場に仲間がいます。職場で黙々と働いているように見える仲間も、心の中ではその働かされ方にさまざまな不満や憤りを感じているのではないでしょうか。職場の仲間に話しかけ、次は各県、各地区の団結集会への参加を呼びかけることが、第56回全国青年団結集会に参加した私たちの課題です。

(「集会まとめ」から一部抜粋)

集会宣言

311 子ども甲状腺がん裁判第8回口頭弁論を傍聴して

東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質の影響で甲状腺がんになったとして、事故当時、福島県内に住んでいた男女7人が東京電力に損害賠償を求めている「311子ども甲状腺がん裁判」の第8回口頭弁論が12月6日、東京地裁で開かれました。 
この日は、80席の一般傍聴席に対し、188人の方が抽選に並びました。法廷では、裁判長の交代に伴い、原告2名の2度目の意見陳述が行われました。前回と違い印象的だったのは、証言台に遮蔽措置はなく、裁判長に訴える二人の原告の姿はとても堂々としたもので、内容も含めて原告5番さん、6番さんの大きな成長を感じるものでした。このほか、原告側と被告側の弁護士が弁論更新に伴う陳述をしました。

第8回口頭弁論・第17準備書面プレゼン動画

第8回口頭弁論・第18準備書面プレゼン動画

第8回口頭弁論・弁論更新 損害論

原告5番意見陳述

原告6番意見陳述

支援者集会

2024年 国民・労働者が安全・安心して平和に過ごせる年に

2024年の新しい年を迎えたと同時に1月1日の元日、石川県能登地方で大地震が発生し甚大な人的・物的被害が出ています。また、2日には、羽田空港で日本航空の旅客機と海上保安庁の輸送機が激突・炎上するという衝撃的な事件も発生しました。

また、自民党の安倍派を中心とする「裏金」事件では、改めて自民党・保守政治の「政治とカネ」の問題が根深い問題であり、どうしようもなく政治腐敗が進み、国民の不信感は頂点に達しています。自民党政治に国民・労働者の怒りを真正面からぶつけて、政治変革の年にしていきましょう。

1月4日、仕事始めの日に長野県労働会館に入居する労働団体、労働組合の役職員約60人が一堂に会し、合同新年会を実施しました。

冒頭、一般財団法人長野県労働会館理事長の宇佐美正信氏(県労組会議議長)が「能登地震と航空機事故という衝撃的な事件で年が明けた。被災地への支援活動を早急に展開しよう。また、今年こそ岸田政権の退陣を勝ち取り、政治に信頼を取り戻そう」などとあいさつしました。

来賓として出席していただいたのは、政党代表として、立憲民主党県連幹事長の羽田次郎氏(参議院議員)、社会民主党県連合副代表の布目裕喜雄氏。その他、篠原孝・衆議院議員、杉尾秀哉・参議院議員、埋橋茂人・県議会議員、望月義寿・県議会議員があいさつ。労働事業団体からは、県労福協、県住宅生協の中山千弘・理事長、県労働金庫の小池政和・理事長、こくみん共済coop長野推進本部の村山智彦・本部長があいさつしました。

今年も1年、長野県平和・人権・環境労働組合会議が取り組む様々な運動へのご参加、ご指導をお願いします。

長野県労働会館合同新年会には約60人が参加。

あいさつする宇佐美正信・県労働会館理事長(県労組会議議長)。

 

労働者・国民に共感が広がる運動を地域からつくろう

約60人参加した県労組会議定期総会で今年度の運動方針を確認

長野県平和・人権・環境労働組合会議(県労組会議)は10月20日、代議員・傍聴者、来賓など約60人を集め、長野市内で第28回定期総会を開きました。

主催者あいさつで、宇佐美正信議長は「暴走する岸田政権を許さない闘いはまだまだ続く状況。多くの政治課題に対して声を上げていく地道な運動が必ず変えていくことができる力になる」(あいさつ別掲)などと強調しました。

討論では「反核平和の火リレーは7月11日から8月4日まで実施し、ランナー総数635人が参加した。要請した77自治体中64自治体で市町村長(もしくは副市町村長)が直接参加してくれた。この運動が組織強化につながっている」(自治労・中村代議員)、「蔦友印刷が会社破産し、全員解雇された事件では、多大なカンパをいただき心から感謝申し上げる。組合員の半数が就職した状況」(印刷フォーラムながの・原田代議員)、「公共交通を維持していくうえで、人員不足、低賃金から抜け出せず、私鉄は厳しい状況におかれている。ライドシェア導入問題には反対運動の取り組みをお願いする」(私鉄県連・飯川代議員)、「上小地区労組会議の地域組織の『依田窪連絡協議会』『東御市連絡協議会』が様々な議論を経て合併した。連協組織を残して、地域運動を大切にしていきたい」(上小地区労組会議・竹内代議員)などの発言がありました。

特別決議として「国民の切実な願いに背を向け、軍拡・改憲をすすめる岸田政権と対峙し総選挙に勝利する決議」が採択されました。最後に「新自由主義政策を転換し、所得の再分配や富裕層・高収益大企業への課税を強化し、自助よりも公助、自己責任より共生、労働者・国民の暮らしを優先する政策へ転換を」「組合員はもちろんだが、組織されていない労働者・国民にも共感が広がる労働運動、平和運動が必要とされている」などとする「総会宣言」を採択しました。

あいさつする宇佐美正信議長

来賓、役員、代議員など約60人が参加

蔦友印刷の破産事件を報告する原田代議員

総会の最後には団結ガンバローを三唱

 

仲間との信頼関係を深め運動を広げていこう

県労組会議議長 宇佐美正信

昨年10月に行われた県労組会議の大会から早くも一年が経過をしました。少しこの一年間を振り返りたいと思います。

新型コロナは5月に2類から5類へと移行になりました。4年目を数える「コロナ禍」で8月19日に県労組会議として4年ぶりにソフトボール大会を開催しました。大変暑い中、各地区労組会議の精鋭たちが集まり、熱戦が繰り広げられ塩尻地区が優勝しました。終了後、団結会が開催され大変盛り上がりました。未だコロナが終息したわけではありませんが久々の開催ということもあり、一堂に会して話ができたことが大変有意義であったと思っています。普段話ができないことや初めて会う仲間がテーブルを挟み、膝を交えて話すことができたこと、コロナで制限されていたことが少し晴れたのではないかと思っています。各地区、単産の皆さんと会ってお話しすることが改めて重要だと感じました。

私たちを取り巻く情勢は今さら言うまでもありませんが生活も組合活動も労働実態も厳しい状態が続いています。詳しい情勢については後ほど、方針案の提起によりますので割愛させていただきますが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の他、全世界では現在、武力紛争が50以上あります。最近ではイスラエルがハマスを壊滅させようとガザ地区に侵攻を始めています。こうした武力戦争によって民間人、特に女性、子どもが犠牲になっています。人の命を奪ってまで得たい物っていったい何なのでしょうか。「話し合いをしよう」「外交によって解決をしよう」とはならないのでしょうか。

戦争の影響でエネルギー、食糧、原材料上昇によって円安、物価高など、日本国内外ともに不穏・不安定な状況下にあります。

そうした中、岸田内閣は昨年12月安保三文書の改訂によって敵基地攻撃能力を保有することや、先の国会では防衛費増額の財源を確保するための特別措置法や、原発の再稼働、運転延長、東日本大震災から12年たった現在、被災者に寄り添うことなく支援の打ち切りや子供甲状腺がんの発症に対する補償は何もなく、福島原発で発生したトリチウムを含む汚染水を「関係者の理解なしには放出しない」と約束していたことを反故にし、海洋放出を強行してきました。

さらにはマスコミにこぞって放射能を含む汚染水を処理水というように誘導し、まさに戦争に突き進む道、国民生活の安全・安心を脅かす道を突き進んでいます。

武力で解決する平和などは絶対あり得ない、核と人類は共存できないことは多くの犠牲を払ってきた先人たちが教えてくれています。

こうした政治情勢ですから、岸田政権には辞めていただくしかありません。県労組会議としては政治情勢を見極めながら私たちの掲げる運動課題、政策要求に方向性が合致する立憲民主党、社会民主党と連携して運動を展開していきたいと思います。

暴走する岸田政権を許さない闘いはまだまだ続く状況ですが、多くの政治課題に対して声を上げていく地道な運動が必ず変えていくことができる力になると思います。

もう一つ、県内で大変大きな事件が起きました。県労組会議に加盟する印刷フォーラムの蔦友印刷が3月に破産手続きを申し立て、倒産しました。従業員である組合員が解雇されました。解雇によって給与及び退職金が支払われないことから、当面の生活費の補助として長野地区労組会議とで組合員に対する支援カンパを取り組んできました。仲間を助ける支援活動として多くのカンパを取り組んでいただきました。ありがとうございました。支援する側でさえ厳しいにもかかわらず大変多くのカンパをいただきました。取組みにご協力いただいた皆さんに改めてお礼を言いたいと思います。また関西生コンやJAL闘争団などこうした仲間が困っているときに支援をする、各地区や単産、単組の皆さんにまで声をかけられる労働運動ができるのは労組会議だけだと思います。皆さん自身も大変かと思いますがもっと大変な状況で助けを求めている人、労働者がいます。引き続きそうした人たちに寄り添い支援をしていきたいと思います。

最後になりますが、今年4月の統一自治体選挙では私たちが推薦する議員が当選することができました。本当にご協力ありがとうございました。

私たちはこれまで学習や交流によって仲間との信頼関係を築いてきました。その知識を生かし幅広く仲間に危険性や重要性を訴え、今まで以上に反戦、護憲、反核、脱原発を軸に平和と民主主義を守る闘いの運動を進め、労働者の雇用、平和・人権・環境に関わる運動課題について、労働者の立場に立って引き続き運動を進めていきたいと思います。

以上で県労組会議を代表してのあいさつに代えさせていただきたいと思います。

特別決議全文

総会宣言全文

 

「市民集会・脱原発2023in信州」と「脱原発集会・ワタシのミライ」

原発に未来はあるか 

10月15日、長野市で開かれた「市民集会・脱原発2023in信州」で、龍谷大学の大島堅一教授(環境経済学・環境政策学/原子力市民委員会座長)が講演されました。「原発に未来はあるか? 無責任の構造を超えて原発ゼロ社会へ」と題し、岸田政権が推し進める原発温存政策について、「原発は高コスト」「責任が問われない体質」と批判し、原発に頼らないエネルギー政策の転換を訴えました。

笑いも交えながら、難しい原発の内容を分かりやすく話す大島教授

岸田首相は、原発の再稼働や60年を超える運転延長、新増設を進める指示を8月のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で示しました。脱炭素化を主な理由としているが、これに対し大島教授は、原発と再エネのCO2排出削減の関係を調べた国際調査で、原発の多さがCO2削減に影響を与えないこと、さらに、原発に熱心な国は再エネ導入率が低いという結果を説明し、「原発に頼る限りCO2削減は実現しない」と強調。さらに、電力供給に占める割合は4%程度にすぎず、現在約20%を占める再生可能エネルギーと逆転することは難しく、「原発は大きく衰退している」とし、国内・外で原子力事業から撤退する企業が増加していることからも、すでに斜陽化していると言え、原発推進に異を唱えました。

また、原発の高コスト体質についても言及。福島原発事故後、原発にかかる費用は、発電費・国費投入・事故対策費あわせて33兆円に上り、国民一人あたりに換算すると27万円の負担が電気料・税金にかかっています。「原子力は電気料金の底上げにつながっている」とし、多大なコストがかかる上、事故のリスクや廃棄物処理問題などを抱える原発を「国民生活にとって、不良債権」と厳しく指摘しました。

zoom含めて、約80人が参加した

さらに、原発事業の性質が、事故の責任を回避していることなど「無責任」であり、数々の隠蔽や情報公開の不足により「不可視」の構造と特徴づけ、国民の関心を高める必要を説きました。

ワタシのミライ

天気にも恵まれ、あらゆる年代が参加した集会となった。

思いが込められている歌は、聴いている参加者の心に響く。

9月18日、東京・代々木公園で行われた脱原発集会は、今回より気候変動問題を盛り込み、集会名も変更して開かれました。気候変動対策のための啓蒙活動や再生エネルギーへの転換を求める若者・市民らの運動とコラボし、環境団体のブースやビーガン料理などのキッチンカーの出店もありました。メインステージでは、福島原発事故以降、現地支援に取り組みながら活動するロックバンド、自然派ラッパーらのメッセージ性の高いパフォーマンスがあるなど、さながら「フェス」のような様相でした。司会も環境問題に取り組む20代の青年が務めるなど、若者たちの存在が目立ち、新たな運動の展開と若者世代への継承を感じる集会となりました。参加者はおよそ8千人。「ワタシのミライ」を希望あるものにするためのエネルギーのあり方は、原発に頼らず、再生可能エネルギーの普及によることを求め、公正な社会の実現に向け、声を上げました。

デモ行進は、おしゃれな表参道を闊歩。

(機関紙「じちろう長野」11月1日号より転載)

 

311 子ども甲状腺がん裁判第7回口頭弁論を傍聴して

東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質の影響で甲状腺がんになったとして、事故当時、福島県内に住んでいた男女7人が東京電力に損害賠償を求めている「311子ども甲状腺がん裁判」の第7回口頭弁論が9月13日、東京地裁で開かれました。

 

【第7回口頭弁論の傍聴報告資料】