21世紀のキーワード―平和・人権・環境

長野県平和・人権・環境労働組合会議

労働者・国民に共感が広がる運動を地域からつくろう

約60人参加した県労組会議定期総会で今年度の運動方針を確認

長野県平和・人権・環境労働組合会議(県労組会議)は10月20日、代議員・傍聴者、来賓など約60人を集め、長野市内で第28回定期総会を開きました。

主催者あいさつで、宇佐美正信議長は「暴走する岸田政権を許さない闘いはまだまだ続く状況。多くの政治課題に対して声を上げていく地道な運動が必ず変えていくことができる力になる」(あいさつ別掲)などと強調しました。

討論では「反核平和の火リレーは7月11日から8月4日まで実施し、ランナー総数635人が参加した。要請した77自治体中64自治体で市町村長(もしくは副市町村長)が直接参加してくれた。この運動が組織強化につながっている」(自治労・中村代議員)、「蔦友印刷が会社破産し、全員解雇された事件では、多大なカンパをいただき心から感謝申し上げる。組合員の半数が就職した状況」(印刷フォーラムながの・原田代議員)、「公共交通を維持していくうえで、人員不足、低賃金から抜け出せず、私鉄は厳しい状況におかれている。ライドシェア導入問題には反対運動の取り組みをお願いする」(私鉄県連・飯川代議員)、「上小地区労組会議の地域組織の『依田窪連絡協議会』『東御市連絡協議会』が様々な議論を経て合併した。連協組織を残して、地域運動を大切にしていきたい」(上小地区労組会議・竹内代議員)などの発言がありました。

特別決議として「国民の切実な願いに背を向け、軍拡・改憲をすすめる岸田政権と対峙し総選挙に勝利する決議」が採択されました。最後に「新自由主義政策を転換し、所得の再分配や富裕層・高収益大企業への課税を強化し、自助よりも公助、自己責任より共生、労働者・国民の暮らしを優先する政策へ転換を」「組合員はもちろんだが、組織されていない労働者・国民にも共感が広がる労働運動、平和運動が必要とされている」などとする「総会宣言」を採択しました。

あいさつする宇佐美正信議長

来賓、役員、代議員など約60人が参加

蔦友印刷の破産事件を報告する原田代議員

総会の最後には団結ガンバローを三唱

 

仲間との信頼関係を深め運動を広げていこう

県労組会議議長 宇佐美正信

昨年10月に行われた県労組会議の大会から早くも一年が経過をしました。少しこの一年間を振り返りたいと思います。

新型コロナは5月に2類から5類へと移行になりました。4年目を数える「コロナ禍」で8月19日に県労組会議として4年ぶりにソフトボール大会を開催しました。大変暑い中、各地区労組会議の精鋭たちが集まり、熱戦が繰り広げられ塩尻地区が優勝しました。終了後、団結会が開催され大変盛り上がりました。未だコロナが終息したわけではありませんが久々の開催ということもあり、一堂に会して話ができたことが大変有意義であったと思っています。普段話ができないことや初めて会う仲間がテーブルを挟み、膝を交えて話すことができたこと、コロナで制限されていたことが少し晴れたのではないかと思っています。各地区、単産の皆さんと会ってお話しすることが改めて重要だと感じました。

私たちを取り巻く情勢は今さら言うまでもありませんが生活も組合活動も労働実態も厳しい状態が続いています。詳しい情勢については後ほど、方針案の提起によりますので割愛させていただきますが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の他、全世界では現在、武力紛争が50以上あります。最近ではイスラエルがハマスを壊滅させようとガザ地区に侵攻を始めています。こうした武力戦争によって民間人、特に女性、子どもが犠牲になっています。人の命を奪ってまで得たい物っていったい何なのでしょうか。「話し合いをしよう」「外交によって解決をしよう」とはならないのでしょうか。

戦争の影響でエネルギー、食糧、原材料上昇によって円安、物価高など、日本国内外ともに不穏・不安定な状況下にあります。

そうした中、岸田内閣は昨年12月安保三文書の改訂によって敵基地攻撃能力を保有することや、先の国会では防衛費増額の財源を確保するための特別措置法や、原発の再稼働、運転延長、東日本大震災から12年たった現在、被災者に寄り添うことなく支援の打ち切りや子供甲状腺がんの発症に対する補償は何もなく、福島原発で発生したトリチウムを含む汚染水を「関係者の理解なしには放出しない」と約束していたことを反故にし、海洋放出を強行してきました。

さらにはマスコミにこぞって放射能を含む汚染水を処理水というように誘導し、まさに戦争に突き進む道、国民生活の安全・安心を脅かす道を突き進んでいます。

武力で解決する平和などは絶対あり得ない、核と人類は共存できないことは多くの犠牲を払ってきた先人たちが教えてくれています。

こうした政治情勢ですから、岸田政権には辞めていただくしかありません。県労組会議としては政治情勢を見極めながら私たちの掲げる運動課題、政策要求に方向性が合致する立憲民主党、社会民主党と連携して運動を展開していきたいと思います。

暴走する岸田政権を許さない闘いはまだまだ続く状況ですが、多くの政治課題に対して声を上げていく地道な運動が必ず変えていくことができる力になると思います。

もう一つ、県内で大変大きな事件が起きました。県労組会議に加盟する印刷フォーラムの蔦友印刷が3月に破産手続きを申し立て、倒産しました。従業員である組合員が解雇されました。解雇によって給与及び退職金が支払われないことから、当面の生活費の補助として長野地区労組会議とで組合員に対する支援カンパを取り組んできました。仲間を助ける支援活動として多くのカンパを取り組んでいただきました。ありがとうございました。支援する側でさえ厳しいにもかかわらず大変多くのカンパをいただきました。取組みにご協力いただいた皆さんに改めてお礼を言いたいと思います。また関西生コンやJAL闘争団などこうした仲間が困っているときに支援をする、各地区や単産、単組の皆さんにまで声をかけられる労働運動ができるのは労組会議だけだと思います。皆さん自身も大変かと思いますがもっと大変な状況で助けを求めている人、労働者がいます。引き続きそうした人たちに寄り添い支援をしていきたいと思います。

最後になりますが、今年4月の統一自治体選挙では私たちが推薦する議員が当選することができました。本当にご協力ありがとうございました。

私たちはこれまで学習や交流によって仲間との信頼関係を築いてきました。その知識を生かし幅広く仲間に危険性や重要性を訴え、今まで以上に反戦、護憲、反核、脱原発を軸に平和と民主主義を守る闘いの運動を進め、労働者の雇用、平和・人権・環境に関わる運動課題について、労働者の立場に立って引き続き運動を進めていきたいと思います。

以上で県労組会議を代表してのあいさつに代えさせていただきたいと思います。

特別決議全文

総会宣言全文

 

関東大震災時の朝鮮人大虐殺事件から100年

日本政府は虐殺の真相を解明し関係者へ真摯な謝罪を

いまだ続くヘイトスピーチ、民族排外主義を許さない

今年9月1日は、首都圏に甚大な被害をもたらした関東大震災から100年。多くの日本人には9月1日は「防災の日」として広く知られています。

しかし、このとき起きたのは自然災害だけではありません。震災のさなか流言飛語が飛び交い、戒厳令が公布され、6千人以上の朝鮮人が、軍隊、警察、自警団によって虐殺されました。

2003年8月、日本弁護士連合会は日本政府に対して虐殺の責任を認め、被害者と遺族への謝罪、真相調査と原因究明を勧告しました。しかし、日本政府はいまだに事実を認めず、調査も謝罪も賠償もしていません。それどころか今年5月23日に開かれた参議院内閣委員会で谷公一国家公安委員長は、朝鮮人虐殺事件についての質問に対し、「事実関係を把握できる記録が見当たらない。さらなる調査は考えていない」と答弁し真相調査すら拒んでいます。

そうしたなか、「虐殺否定論」がまん延し、災害時にはSNSなどで「朝鮮人犯罪」に関わるデマが繰り返され、在日朝鮮人に対する差別や暴言、暴行事件など、100年前を想起させる事態が後を絶たないのが日本社会の現状です。

関東大震災時に虐殺された犠牲者を追悼し、虐殺の真相究明を進め、政府などの責任を追及する必要があります。そして、「多文化共生」が強調される社会のなか、在日韓国・朝鮮人に対する差別と偏見、ヘイトスピーチ・クライムを根絶するための運動が求められています。

日朝県民会議が朝鮮人虐殺の歴史を学ぶ学習会を開く

日朝長野県民会議は8月26日、日朝問題学習会では、朝鮮大学校で在日朝鮮人史を専攻する講師、鄭永寿(チョン・ヨンス)さんを講師に、関東大震災での朝鮮人虐殺の真相、日本による朝鮮半島植民地支配による朝鮮人に対する加害と抑圧の歴史について講演していただきました。学習会には約50人が参加。

鄭永寿さんは講演の中で、関東大震災の時にも朝鮮人への偏見、差別から大虐殺が起きた歴史に学ばず、いまだに歴史修正主義がはびこる日本社会だと指摘。関東大震災100年の現実を克服するために、日本政府には、被害者側に立証責任を負わせてきた態度を改め、加害側から真相を徹底的に調査、発表すること、また、「不逞」「騒擾」とみなし弾圧してきた運動の責任追及の声に真摯に向き合うことで、虐殺の罪を認め責任を果たすことが求められていると強調しました。

松本市で開いた日朝問題学習会

講師の鄭永寿(チョン・ヨンス)さん

9月1日には東京で追悼行事が開かれる

レイシスト集団「そよ風」が虐殺否定の式典開き市民が強く抗議

関東大震災から100年が経過した9月1日、東京都立横網町公園内にある朝鮮人犠牲者追悼碑前で、「東京同胞追悼会」(主催=総聯東京都本部、東京朝鮮人強制連行真相調査団)が執り行われた。追悼会には、朝鮮総聯中央本部の許宗萬議長をはじめとする活動家、在日朝鮮人、日本市民など約500人が参加しました。

昼過ぎに始まった追悼会では、犠牲者に捧げる「アリラン」の独唱に続き、参加者全員が犠牲者を偲び黙とうをささげました。

また、同日夜には、東京都中央区の銀座ブロッサムで、関東大震災100年朝鮮人虐殺犠牲者追悼と責任追及の行動実行委員会が主催する集会が開かれ、約800人が集まりました。

9月1日の夕刻には、レイシスト(人種差別主義者)集団の「そよ風」が横網公園の朝鮮人犠牲者追悼碑の前で式典を計画しました。「そよ風」は、加害・侵略の歴史を否定し、民族排外謝儀的な考えを持つグループで、関東大震災時の朝鮮人虐殺もなかったと強弁しています。そのような集団が朝鮮人犠牲者追悼碑の前で「式典」を行うことは、虐殺された朝鮮人への冒涜であり、歴史をねじ曲げようとする行為です。「そよ風」の式典に抗議する市民約300人は会場に座り込み、レイシスト集団に抗議のシュプレヒコールを行いました。結果として、「そよ風」は、追悼碑前での「式典」を断念し、公園の別の場所で実施しました。歴史修正主義、民族排外主義を許さない運動を求められています。

墨田区の横網公園で行われた追悼式典

レイシスト集団「そよ風」に抗議する市民

横網公園の朝鮮人犠牲者追悼碑には多くの献花が。

墨田区の荒川沿いに建立されている追悼碑

9月2日には国際シンポジウムが開かれ350人が参加

翌日、9月2日には、「関東大震災100年朝鮮人虐殺犠牲者追悼と責任追及の行動」実行委員会が主催する国際シンポジウム「関東大震災朝鮮人虐殺の責任と課題」が東京・千代田区の連合会館で行われました。場内は、日本各地から集まった在日朝鮮人や日本市民など約350人でいっぱいになりました。

主催者を代表し、元法務大臣の平岡秀夫さん(弁護士)があいさつ。平岡さんは、100年前の大震災で虐殺された朝鮮人犠牲者らに哀悼の意を示したうえで、昨今、官房長官が会見の場で「事実関係を把握する記録は見当たらない」と述べるなど朝鮮人虐殺に関する日本政府の対応を非難。「今を生きる日本人の中には個人的に責任を負うべき人はいないかもしれない。しかし、朝鮮人虐殺の事実を明らかにし、その明らかにされた事実に応じて、謝罪など必要な対応をする責任がある」として、今を生きる日本の市民らの責務について問いかけました。

国際シンポジウムに先立ち、コーディネーターの佐野通夫・東京純心大教授が発言。佐野教授は、「関東大震災時の戒厳令をもって在日朝鮮人を『討伐すべき敵』としての『不逞鮮人』とみなす公的なヘイトが、民衆のヘイト感情を掻き立て官民一体のジェノサイドが起きた。またその背景である日本の植民地主義の清算がなされていないことを見逃してはいけない。国家と社会による歴史の忘却、責任からの逃避が戦後日本社会における朝鮮人差別を形作ったのではないか」と問題提起しました。

報告者として、明治学院大の鄭栄桓教授(「関東大震災時の朝鮮人虐殺と『否定論』の諸問題」)、朝鮮大学校の鄭永寿講師(「在日朝鮮人運動による関東大震災朝鮮人虐殺の真相究明・責任追及」)、東京造形大の前田朗名誉教授(「国際法から見た関東大震災ジェノサイド」)が登壇したほか、韓国から淑明女子大の金應教教授(「百年間の証言―韓日の作家と市民がみた関東大震災と朝鮮人虐殺―」)が、米国からイースタン・イリノイ大のリジンヒ教授(『米国における関東虐殺否定論とジェノサイドへの対応』)が登壇しました。

その後、報告者5人による相互討論がありました。

9月2日に開かれた国際シンポジウム

800人が参加した9月1日の追悼集会

松代大本営工事での朝鮮人犠牲者を追悼して

追悼碑を守る会が建碑28周年を記念する式典

松代大本営追悼碑を守る会は8月10日、長野市松代に建立している「朝鮮人犠牲者追悼平和祈念碑」の前で、大本営工事の際に犠牲となった朝鮮人労働者への追悼の意を表すための式典を開きました。日本人や朝鮮総聯、民団などの関係者約50人が参列しました。

冒頭、あいさつに立った追悼碑を守る会の表秀孝会長は、「追悼碑の裏面には私たちの決意が刻み込まれている。亡くなられた朝鮮人犠牲者を追悼し『過去の戦争、侵略。加害を深く反省し、友好親善、恒久平和を祈念してこの日を建立する』と記されている。過酷な労働を強いられ無念と望郷の中で亡くなられた朝鮮半島出身のみなさまに哀悼の意を捧げる。石板に書かれた私たちの決意は28年たっても実現していない。戦える国に傾斜していく政府の姿勢がますます強まるなか、このような動きを止めることができない悔しさを心に刻んでいる。国家権力の暴力がむき出しになる戦争には正義はない。力による平和は存在しないことを私たちは先の大戦から学び取ったはずだ。このような時だからこそ、歴史を直視し、歴史に学び、再び誤まることのないように決意したい。今こそ人と人との結びつきを強めるときだ。民衆の連帯の力を信じたい。善隣友好と平和創造に向けて皆さまとともに取り組みたい」とあいさつしました。

来賓として、駐新潟大韓民国総領事の権相熙(クォン・サンヒ)氏が「過去の誤った歴史を正しく認識し、真に反省し、過ちを繰り返さないようにすることが私たちの責務。しかし、過去のことだけにこだわっていると前に進めない。韓日両国は正しい歴史認識の下、未来に向かって手を取り合って進むべき」などとあいさつしました。

長野市長の荻原健司氏、衆参国会議員の若林健太氏、篠原孝氏、杉尾秀哉氏、羽田次郎氏からメッセージが寄せられたことが紹介されました。

日朝県民会議の中山良一・会長代行、朝鮮総聯県本部の李明宏(リ・ミョンガン)・委員長、民団県地方本部の金秀男(キム・スーナン)・副団長がそれぞれ追悼の言葉を述べました。

式典の最後には、参列者全員で菊の花を献花しました。

表秀孝・追悼碑を守る会会長

駐新潟大韓民国総領事の権相熙(クォン・サンヒ)氏

式典の冒頭で犠牲者を追悼する黙とうを行った

参加者全員で献花

長野朝鮮初中級学校の生徒が松代大本営象山地下壕を見学

追悼碑を守る会が案内 - 追悼碑前で自らの学習発表も

長野朝鮮初中級学校(松本市)中級部(中学校)の1年生から3年生までの生徒11人は7月20日、松代大本営象山地下壕の見学と学習発表を行いました。

生徒たちは、地下壕見学の前に、市民団体が運営する「もうひとつの歴史館・松代展示室」を訪問。なぜ松代に大本営の移転が計画されたのか、朝鮮人労働者の労働・生活の実態はどうだったのか、スタッフの説明をメモを取りながら熱心に聞いていました。

追悼碑の前では、地下壕工事の犠牲者を慰霊し、加害・侵略の歴史の真相を明らかにする目的で追悼碑がつくられた経過を、守る会役員が説明しました。また、長野市が朝鮮人強制連行の歴史的事実をあいまいにした説明看板の問題についても報告されました。その後、実際に地下壕内に入り、過酷な掘削工事の実態を見学しました。

見学が終了後、生徒たちが事前に松代大本営について学んできたことを模造紙に書いて、追悼碑の前で学習発表を行いました。

もうひとつの歴史館でスタッフの説明を受ける

象山地下壕の中で

事前学習の成果を追悼碑前で発表

みんなで記念撮影

関東大震災・朝鮮人虐殺100年-犠牲者の追悼と真相究明を求めて

8月26日 鄭永寿さん(朝鮮大学校講師)を講師に日朝問題学習会

今年9月1日は、首都圏に甚大な被害をもたらした関東大震災から100年となります。多くの日本人には9月1日は「防災の日」として広く知られています。

しかし、このとき起きたのは自然災害だけではありません。震災のさなか流言飛語が飛び交い、戒厳令が公布され、6千人以上の朝鮮人が、軍隊、警察、自警団によって虐殺されたのです。

2003年8月、日本弁護士連合会は日本政府に対して虐殺の責任を認め、被害者と遺族への謝罪、真相調査と原因究明を勧告しました。しかし、日本政府はいまだに事実を認めず、調査も謝罪も賠償もしていません。それどころか今年5月23日に開かれた参議院内閣委員会で谷公一国家公安委員長は、朝鮮人虐殺事件についての質問に対し、「事実関係を把握できる記録が見当たらない。さらなる調査は考えていない」と答弁し真相調査すら拒んでいます。

そうしたなか、「虐殺否定論」がまん延し、災害時にはSNSなどで「朝鮮人犯罪」に関わるデマが繰り返され、在日朝鮮人に対する差別や暴言、暴行事件など、100年前を想起させる事態が後を絶たないのが日本社会の現状です。

関東大震災時に虐殺された犠牲者を追悼し、虐殺の真相究明を進め、政府などの責任を追及する必要があります。そして、「多文化共生」が強調される社会のなか、在日韓国・朝鮮人に対する差別と偏見、ヘイトスピーチ・クライムを根絶するための運動が求められています。

日朝問題学習会では、朝鮮大学校で在日朝鮮人史を専攻する講師、鄭永寿(チョン・ヨンス)さんをお招きし、関東大震災での朝鮮人虐殺の真相、日本による朝鮮半島植民地支配による朝鮮人に対する加害と抑圧の歴史について講演していただきます。

多くの方々が参加していただけるようにお願いいたします。

1.日  時  8月26日(土) 13時30分

2.場  所  長野朝鮮初中級学校(朝鮮学校)敷地内北側 朝鮮文化会館3階 会議室

松本市島内2643-1 電話0263-40-7963

3.内  容  関東大震災時の朝鮮人虐殺の真相、日本による朝鮮半島植民地支配による朝

鮮人に対する加害と抑圧の歴史について考える

講師  鄭 永寿(チョン・ヨンス)さん (朝鮮大学校講師)

1983年生。2006年朝鮮大学校文学歴史学部卒業。朝鮮大学校研究院修了、東京外国語大学大学院博士前期課程修了。専攻は在日朝鮮人史。

4.主  催  日朝県民会議/日朝松本市民会議

5.Zoom   ① 会場参加を基本としますが、Zoom参加での視聴も可能です。

② 当日、Zoomで参加される方のID、パスコードなどは以下の通りです。学習会当日は、13時10分から入室できます。

https://us06web.zoom.us/j/83635308861?pwd=c3JMenI5c1RaNTc2aHd0cEp0VzJXdz09

ミーティングID 836 3530 8861

パスコード 222666

朝鮮初中級学校の卒業式に参加しました

3月18日(土)、長野朝鮮初中級学校(松本市)の卒業式にオンライン配信スタッフとして参加してきました。昨年末に学校側から、県外の病院に入院している生徒さんが同級生たちと一緒に卒業式に参加できないかとご相談をいただいたことがきっかけでした。

県外にいる生徒さんと卒業式会場をリモートでつなぐ

卒業式当日は、朝から雪が降るなかで迎えましたが、初級部の6年生、中級部の3年生の子どもたちの門出を祝うために集った保護者や親族、卒業生、学校関係者の方々で会場は賑わいあたたかな雰囲気に包まれた式典になりました。

式典の前後には、リモートで参加する生徒さんの姿が映し出された舞台横のスクリーンの前に、同級生や親族、保護者の方々が代わる代わる訪れ、「久しぶり」、「元気?」と言葉を交わし久々の再会を喜び合っていました。

コロナ禍の3年間の学校生活

今回、卒業した子どもたちの学校生活は、ちょうどコロナ禍と重なり、本来なら経験できたこともできず、たくさんの我慢を強いられてきた3年間だったそうです。それでも勉強や学校行事などに一生懸命取り組んできたことが、卒業式後の音楽や劇の発表、上映された映像から伝わってきました。朝鮮語を理解することはできませんでしたが、ステージで歌やダンスを披露しながら涙する子どもたちの姿から、かけがえのない瞬間に立ち会えたのだと感じました。

コロナ禍のなかリモート会議などが増えて、人と人の繋がりが希薄になったのではないかと危惧されていますが、このような形で、はなればなれになっていた子どもたちの大切な日に関わることができよかったです。

誰よりも大きな「예!(はい)」

卒業証書授与の際には、リモートで参加した生徒さんも、校長先生から名前を呼ばれると、「예[ ye] (はい)」と大きな声で返事をして、スクリーン越しにしっかりと卒業証書を受け取る姿に、参列者からもひときわ大きな祝福が寄せられていました。

大切な子どもたちの未来

卒業する子どもたちの笑顔、画面越しに涙を流す先生と生徒さんの姿を見て、子どもたちはこの学校で大切に見守られてきたのだと思いました。そして対立や疎外ではなく、互いに知恵を出し合い、思いやりをもって、友好を深めていくことが大切だと感じました。

卒業生のみなさんおめでとう!

県外にいる生徒さんを囲んで卒業する同級生全員で記念撮影

長野朝鮮初中級学校の児童・生徒を支援するカンパ活動を実施中

日朝県民会議が取り組み コロナ禍で学校運営が厳しい状況に

長野朝鮮初中級学校の卒業式で記念撮影(2023年3月18日)

2010年度から実施された高校授業料無償化措置(2014年改正され「高等学校等就学支援金制度」)は、第2次安倍政権が成立した直後に文部科学省令が改正され、適用への申請がなされていた朝鮮高校を、制度から除外しました。その後、今日まで10年以上にわたって朝鮮高校生には適用されることなく、全国で適用を求める訴訟が行われてきました。全国5カ所の訴訟は最高裁において、差別を当然とするきわめて不当な決定がなされました。どの不当判決も不適用とした文科大臣の決定を支持し、文科省令の改正の是非には触れないこととなっています。

2019年10月からの幼保無償化からも朝鮮幼稚園やブラジル人学校などの外国人幼稚園が排除されました。また、コロナ対策の一環である「学生支援緊急給付金」の制度からも朝鮮大学校が排除されました。幼保無償化については、様々な批判と要求から、文科省が「地域における小学校就学前の子どもを対象とした多様な集団活動事業の利用支援」の制度を設けましたが、適用の可否の決定や支援内容に問題があり、見直しが求められます。

日本政府の朝鮮学校や幼稚園に対する政策は、「多文化・多民族共生社会」構築に大きな障害となっています。私たちは、一刻も早く、朝鮮高校授業料の無償化と朝鮮幼稚園をはじめとする外国人幼稚園への幼保無償化措置を適用するように求めます。

日朝県民会議、県労組会議は、松本市にある長野朝鮮初中級学校の児童・生徒たちを支えるために毎年、全県的なカンパ活動を行っています。長野朝鮮初中級学校の運営を支えるため、皆さんのあたたかいご協力をお願いします。

金穂実さん(一橋大学院生)が松代大本営の研究成果を講演

日朝県民会議定期総会で修士論文の内容を報告

朝鮮の自主的平和統一を支持する長野県民会議(日朝県民会議)は昨年12月17日、長野市内で会場参加とZoom参加合わせて約40人を集めて第45回定期総会を開きました。

総会では、金明宏・朝鮮総聯県本部委員長や河舜昊・長野朝鮮初中級学校校長から連帯のあいさつをいただきました。また、1年間の活動経過と方針を承認、「南北朝鮮の融和と統一への流れを確かなものとし、米朝関係の正常化による朝鮮半島での平和共存体制の実現、一日も早い日朝国交正常化を求め」「朝鮮学校への高校無償化、幼保無償化適用、在日朝鮮・韓国人へのヘイトスピーチの規制を求め」るなどとする総会決議を採択しました。

総会後の記念講演は、朝鮮大学校を卒業後、一橋大学院の修士課程に在籍している金穂実さん。金さんは、高校、大学校の学生だった時に、松代大本営をフィールドワークした経験から、大学院での修士論文のテーマに松代大本営工事を選択しました。論文の題名は「市民団体による松代大本営地下壕保存運動-説明板書き換えにおける観光地化の影響と『強制性』解釈に注目して-」です。研究の目的は、「加害を伝えてきた戦争遺跡である松代大本営地下壕に着目し、松代で展開された保存運動が、観光地化や歴史修正主義的潮流が広がる中でどのように展開されたのかについて検討する。『負の遺産』の観光地化に伴い起きる、『負』の側面の後景化を加速させるものとして、歴史修正主義的潮流があることを指摘することを目指す」と位置付けました。

金さんは、2014年に長野市が説明看板の説明文のなかで朝鮮人への「強制性」をあいまいな表現に書き換えた問題について、「朝鮮人への強制性を限定的に解釈し、市民団体との対話を拒否」してしまったと強調しました。

金さんは講演の最後に、在日朝鮮人の詩人、金時鐘氏の言葉「そうして全ては眺める位置で薄れていったのだ」を紹介。松代大本営が残ったものではなく「遺されたもの」であり、保存運動の蓄積への敬意と感謝を表したいと強調。そして、日本社会で加害の歴史に向き合う難しさ・苦しさも感じていると感想を述べました。

金穂実さん

講演を聞く参加者

金さんの講演は信濃毎日新聞で報道された

総会で採択した決議

2023年もよろしくお願いいたします

平和と民主主義、人権、労働者の生活と権利を守るために

2023年、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

昨年1年間は、2年間にわたるコロナ禍により、非正規雇用労働者や女性、ひとり親家庭、在日外国人労働者など、社会的に弱い立場の人々の生活や仕事へのダメージが長く続き、生活に困窮する人たちがさらに増加しました。一方で、コロナ下でも大企業や富裕層は富を蓄え、社会的・経済的な格差はさらに広がったというのが実感です。

また、岸田文雄政権は、ハト派の宏池会に所属し、被爆地・広島の出身を前面に押し出し、「聞く力」を強調してきましたが、その反動的な本性が明らかになった1年でもありました。法的根拠のない安倍元首相の「国葬」の強行、戦後日本の専守防衛を基本とする防衛政策を大転換させる「敵基地攻撃能力」の保有や防衛費の倍増方針の策定、3・11以降、政府がエネルギー基本計画に掲げた「原発依存度の低減」を空文化する原発政策の大転換による原発再稼働の推進、老朽原発の運転延長、新増設と建て替えの推進などを決めてしまいました。このような重要政策の転換が、国会でも十分議論されす、主権者たる国民に問いかけもしない手法で強行されました。とても容認できるものではありません。岸田政権は、もはや「ハト派」の仮面をかぶった超タカ派政権と断定せざるをえません。

私たち県労組会議は、このような岸田政権と対峙し、この1年間、労働者・市民とともに運動を進めていく決意です。

県労働会館入居団体が一堂に会し新年会

県労組会議も入居する長野県労働会館に専従する役職員が一堂に会する恒例の新年会が1月4日、行われました。

多くの来賓の方にもご出席いただき、2023年年頭にお互いが元気に活動を進めていくことを誓い合いました。

出席いただいた来賓のみなさまは以下の通りです(敬称略/順不同)。

◇篠原孝(衆議院議員/立憲民主党)、◇杉尾秀哉(参議院議員/立憲民主党)、◇埋橋茂人(県議会議員/立憲民主党)、◇望月義寿(県議会議員/立憲民主党)、◇池田清(県議会議員/立憲民主党)、◇布目裕喜雄(長野市議会議員/社会民主党)、◇中山千弘(県労福協理事長)、◇小池政和(県労働金庫理事長)、◇村山智彦(こくみん共済coop長野推進本部本部長)、◇浅田道憲(県住宅生協専務理事)

子どもが生まれ、平和で生きやすい社会を残したい思いが強くなった

「敵基地攻撃能力」など安保関連3文書の閣議決定に抗議

長野駅前での街頭宣伝で中村宏典さんがアピール

戦争をさせない1000人委員会・信州や県憲法9条を守る会連絡会など6団体、北信市民連合は12月16日、長野駅前で岸田政権が「敵基地攻撃能力」保有や防衛費の倍増をめざす安全保障関連3文書(国家安全保障戦略/国家防衛戦略/防衛力整備計画)の閣議決定に反対する街頭宣伝を行いました。参加者は約50人。宣伝カーを使って街頭アピールを行いました。

県労組会議青年女性連絡会事務局長の中村宏典さん(自治労)のアピールを掲載します。

アピールする中村宏典さん

参加者は横断幕、プラカードをもって抗議の意思を表した

 

「必要なのは、私たちの日々の暮らし、今日、明日を生きることに歯を食いしばっている人たちへの生活支援であって、軍拡にお金を使っている場合ではありません」

中村宏典さん(県労組会議青年女性連絡会事務局長)

私事ですが、先日、子どもが生まれました。この子が大きくなった時、平和で生きやすい社会であってほしいと願うばかりです。

いま、この国は平和と言えるのでしょうか。

ロシア政府によるウクライナ軍事侵攻を利用し、不安をあおって、軍拡が進んでいます。長距離巡航ミサイルの購入や護衛艦の改修による空母化、そして敵基地攻撃能力の保有。「戦争のできる国」へと変わろうとしています。軍事力が強まれば強まるほど、周辺諸国を刺激し、緊張関係が高まることは目に見えています。

子どもが大きくなったときにこの問題をどうやって説明してあげたらいいか、考えてみました。

今年、引越しをしました。隣近所への挨拶にいくとき、隣人はどんな人なのか、とても不安でした。今はあんまり挨拶に行かない人も多いし。

例えば、自分の隣の家に、昔からあまり話もしたことない、よく知らないAさんがいて、物騒な武器を持っていて、普段から庭で武器を使う練習をしている(この時点で通報ですが)って知ったら、じゃあ我が家も負けない武器を準備しなきゃ・・ってなりますかね、なるかもしれませんね。

じゃあ、Aさんの立場に立ってみます。

Aさんは元々、隣のBさんと昔から仲が良くない、今は落ち着いているようだけど。Bさんは向かいの大きな家に住むお金持ちのCさんと親しく、定期的に一緒に訓練している、お金もあるから色んな最新鋭の武器を準備している。Aさんを攻撃するとは言っていないけど、「敵を攻撃、排除するためだ」と、この敵って誰のこと?

そんな時、今までは先祖代々の家訓で「争いごとはしません、武器も持ちません」って宣言していたはずの私の家が、「今日から”敵”を攻撃するための武器を持ちます。それを仲良しでお金持ちのCさんから買います」となったら、Aさんはどう思う?

この話のハッピーエンドはありますか?

決して、核兵器を持つことを肯定しているわけではありませんが、守るためと言って、武器を買い揃えることが、解決に繋がるとは私は思えません。仮想の敵を作って、世論をあおりにあおり、ワールドカップの裏で国民にたいした説明もせずに、こんな物騒なことを決定しようとしている。反対の声をあげずにいられません。

そして、防衛費のことにしてもそうです。毎年どんどん上がっています。何兆円、GDPの何%といわれても、莫大すぎてよく分かりません。

子どもが生まれて、もうすでにお金が凄くかかっています。出産一時金で賄えない入院費が11万3000円、服やおむつやベッド、チャイルドシートなど最低限そろえるだけでもバカになりません。出産一時金を10万円増額する、じゃあいいかとなりません。騙されません。

格差社会で、6人に1人が貧困、特に若い人の貧困が増えています。子どもを持たない理由の第一位が、圧倒的に経済的負担で、「今以上の生活費や教育にかかる経済的負担にたえられない」が理由。しかも、20代30代では特に顕著、自分ひとり、夫婦だけでも余裕がないのに、結婚も出産も考えられない、こんな国で本当によいのでしょうか?

限りある財源で、本当に今、防衛費にお金が必要ですか?それが本当に私たちのためなんでしょうか。それとも!国家を守るためには国民は犠牲になってもいいのか?贅沢は敵ですか?

子どもをもつ、持たないの選択が、お金に余裕のあるなしで決まってほしくない、決して贅沢な望みではないと思います。

いま、必要なのは、私たちの日々の暮らし、今日を明日を生きることに歯を食いしばっている私たちの生活への支援であって、軍拡にお金を使っている場合ではありません!

このことを声を大にして訴えたくて、今日、この場に来ました。ありがとうございました。

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