21世紀のキーワード―平和・人権・環境

長野県平和・人権・環境労働組合会議

新安保法制違憲訴訟  - 長野地裁に違憲判断を求める10,001筆の署名を提出。判決は6月25日

長野県民でつくる「信州安保法制違憲訴訟の会」は2016年7月26日、長野地方裁判所に新安保法制が違憲であることについての判断を求める訴訟(国家賠償訴訟)を提訴しました。原告は長野県内居住者で第1次・第2次合わせて362名です。

信州安保法制違憲訴訟の会は、長野地裁の担当裁判官に対し、違憲判断を求める多くの人々の声を届けるため、要請署名に取り組み、5月27日、長野地方裁判所の書記官に10,001筆の署名を手渡しました。1万筆超える署名数によって、新安保法制が違憲だと考える人が数多く存在することが証明されました。

裁判は、1月25日に長野地裁で開かれた第14回口頭弁論で結審となり、判決は6月25日と確定しました。長野地裁が私たちの切実な訴えに応えて、安保法制の違憲判断を下すように期待しています。

 

1万筆を超えた署名簿

署名用紙を持つ弁護団

5月3日県内各地で憲法集会 -  コロナ禍での憲法の重要性を学ぶ

憲法記念日の5月3日、県内各地で憲法を護り活かす立場からさまざまな集会が開かれました。長野市では、ジャーナリストの竹信三恵子さんより、コロナ禍で浮き彫りとなった「女性不況」といわれる雇用問題から生存権など憲法理念の自洗と実現が必要であることを学びました。松本市で行われた集会では、平和憲法が持つ世界的な先進性について再確認されました。

◆コロナが直撃した女性の雇用問題

長野市で開かれた第30回市民の憲法講座(信州護憲ネット主催)では、長年女性の貧困問題を取材してきたジャーナリストで和光大学名誉教授の竹信三恵子さんがオンラインで講演。コロナ禍で浮き彫りとなった「女性不況」の実態を通じて憲法が保障する生存権や9条の意義について考え合いました。

竹信さんは、働く女性の過半数が非正規雇用であること、さらにコロナ禍で深刻な打撃を受けた対人サービス業の雇用者のおよそ60%が女性であるという構造的な理由からコロナ不況は女性を直撃し、「脆弱な女性の雇用が浮き彫りになった」と指摘しました。

また、非正規も対象となるはずの休業補償が、雇用主の誤解や煩雑な手続きへの敬遠から本人に補償が届かない事例があること、さらに、健康保険ではコロナ発症により給付される「傷病手当」が、非正規が多く加入する国民保険では当初対象外であったことなどを述べ、「非正規への公的ネットワークの不備」を問題視。コロナ禍で行った女性向けの相談会であった、「生活が苦しい」「住むところがない」といった相談内容を示し、憲法25条で保障される生存権がおびやかされていると指摘しました。一方、コロナ禍による労働問題に対し取り組んだ労働組合や市民団体の活動については、困窮者の支援につながった事例を紹介し、こうした活動を憲法理念の実践として評価しました。

社会保障の整備に必要な国の財政についても憲法と照らし合わせて解説された。1894年の日清戦争にはじまり、1945年までの戦争をする国であった日本の財政構造について、69%から最大で85%が軍事費に使われてきたと示し、「戦争時には財政が人に使われない」「9条をいいかげんにしたら財政が人の幸福に使われるのか、一般の生活に公的資金が回るのかを疑問に思わなければならない」と、安易な9条改憲議論に流されないように警鐘を鳴らしました。

最後に、「護憲とは9条を守るだけではなく、生存権・幸福追求権など憲法全体の構造を活かしていくこと」と強調し、「活憲」への不断の努力を呼びかけました。

◆ 世界の歴史を先導する9条

松本市の会場では、中信市民連合が主催し、花時計公園で「新型コロナと憲法~自由と制限を考える」集会が開かれました。ゲストトークでは、名古屋大学名誉教授の池内了さんから「世界の歴史を先導する憲法第9条!」と題する講演を受けました。

池内さんは、「人類の歴史は、戦争・暴力・軍事力に頼る『野蛮』と、平和・軍縮・話し合いによって物事を決める『文明』が絶えず拮抗してきました。その中で世界が戦争放棄を求め、武力に頼らないという流れを先導したのが、日本国憲法の第9条である」と述べました。

また、現在のミャンマー情勢から、軍隊を持つことの危険性に触れ、軍隊は国民を守るのではなく国を守るものであり、今回のクーデターのように「国を守る目的」で、自国の国民を弾圧し、見捨てることもあると指摘しました。その上で、日本同様、世界で唯一軍隊を持たないことを憲法に記すコスタリカと日本とを比較し、「コスタリカの大統領は永世的、積極的、非武装中立を宣言している一方で、日本のトップは自国の憲法をみっともないといい、軍拡路線へつき進もうとしている」と批判しました。

最後に、今年1月ついに発効された核兵器禁止条約に日本が批准していないことについて、「条約に批准し、核廃絶を訴えていくことは、世界史を先導してきた憲法9条をもつ日本の役割である」と強く訴えました。

オスプレイを投入する日米共同訓練の中止と 訓練全容の情報開示を求める申し入れ

2020年11月25日、県護憲連合と県憲法会議は、長野県知事宛に、新潟県関山演習場と群馬県相馬原演習場を中心に欠陥機であるオスプレイを投入して行われる日米共同訓練(12月7日~18日の日程)に対し、訓練中止とオスプレイの飛行日程・飛行ルート等の事前情報開示を国及び米軍に対し求めるように申し入れました。県民の皆さんの不安を払しょくするために、早急な対応と県民への情報開示・説明責任を強く求めました。(長野県は11月30日に北関東防衛局を訪問し防衛大臣宛ての要請書を提出しました。)

県知事あての申入書

👉 オスプレイ投入の日米共同訓練の中止等を求める申し入れ

➡申し入れ事項は次の3点です。

1.MV22オスプレイが投入される日米共同実動訓練について、オスプレイの機体の安全性が確立されていないとの認識に立ち、県民の生命・財産を守り抜く観点から、訓練の中止を国及び米軍に求めること。

2.県及び県市長会、県町村会3団体による防衛省・環境庁に対する取り組みを踏まえ、国に対し、訓練の日程・規模等の内容及び投入されるオスプレイの訓練飛行日程・飛行ルート等の事前情報開示を強く働きかけるとともに、県民に対する説明責任を果たすこと。

3.日米共同実動訓練に際し、万が一の墜落事故等に備え、市町村と連携し危機管理体制を早急に構築すること。

12月5日には、上越市で新潟県平和運動センター主催の日米共同訓練反対集会が開かれました。オスプレイ6機を投入しての日米共同訓練が強行されることに対しての反対集会には新潟県下から約400人の仲間が結集しました。長野県からは6名が参加しました。

400人の仲間が結集

 

長野県護憲連合

 

JR長野駅前での街宣

12月7日には、JR長野駅前で訓練中止を求める街頭宣伝活動を行いました。欠陥機オスプレイは飛ぶな!日本の空を戦場にするな!欠陥機オスプレイを飛ばすな!という声を市民の方々に呼びかけしました。

市民の方々への呼びかけ

信州安保法制違憲訴訟 第13回口頭弁論を傍聴して

原告団長である又坂常人信州大学名誉教授、戦争体験者・新海 寛さん、新潟大学学生・大橋直紀さん、母としての立場から金井奈津子さん、元国鉄・JR職員の後藤正次さん、教員としての立場から竹内忍さんの6名の方が証人として立ち、証人尋問が行われた。

裁判の傍聴なんてほぼ未経験に近い私にとって、見るもの一つ一つがテレビの世界。こんな風に裁判て行われているんだ・・・と、まずはそこからだった。

この貴重な機会をいただくことになったのは、女性裁判官の評判を聞いたことからだった。多くの裁判官が国よりの判決を下す中、珍しく原告側に配慮した裁判をすすめているとのこと。そんな裁判官に率直に興味を抱いたし、裁判なんて遠い世界のものと感じていた私が、身近に思えた瞬間だった。「私も見たいです。もし傍聴できるならさせてください。」と願い出た。

それぞれの証言は、当事者性が強く、ひとりひとりの言葉が胸に響いた。中でも、新海さんの戦争体験の生の声は、衝撃的だった。戦争体験者の話を直接聴いたのは初めてだったが、今後あらためて当時の話をきちんと聴いておかなければと思った。そして、大学生の大橋さんのお話。「生きづらい人の助けになる」という夢を叶えるために法学部に入り、勉強していた彼が、憲法がこんな簡単に解釈によって捻じ曲げられてしまうことにショックを受け、勉強に身が入らなくなってしまったという。これからの若者が未来に希望を持てない国なんて、この国は終わってしまう・・・。この判決一つで、希望を抱いて歩いていけるか、絶望で前に進めなくなるかがかかっているのだ。最後の竹内さんの証言では、大人である私達ができることはなんだろうと考えさせられた。立場とか職業とかそんなもの一切超えて、一人の人間として、向き合わなければいけない時期に入ってきている、本当にそう思う。

新型コロナに翻弄される今、全世界の誰もが他人事ではなくなってきている。それぞれが自分事として真剣に立ち向かう時期に来ているということなのだろうか。

9月18日に始まった15年間の戦争

1931年の今日、9月18日の深夜、中国の奉天(現在の瀋陽)駅の近くの柳条湖で日本の国策会社南満州鉄道の線路が爆破されました。「自衛」を名目として日本が配備していた関東軍は、この爆破は中国の仕業として攻撃を始め、長春などを占領しました。経済の行き詰まりを石炭や鉱石など資源の豊富な満蒙を武力で支配することで解決しようとした関東軍の謀略でした。日本政府は閣議で不拡大方針を決定し関東軍へ制止命令を出しますが、関東軍は独断で戦線を拡大し、それを政府は追認、国民も労働組合も巻き込まれていきました。1945年の敗戦にいたるまでの15年間の泥沼の侵略戦争のはじまりでした。

日本だけでなく東アジアの国々の多くの人の暮らしや財産、尊厳と生命が奪われました。中国では、9月18日はファシズムによる侵略を許した日として、忘れてはならない日とされています。この悲惨な戦争の反省から、国際的には世界人権宣言が採択され、日本では平和憲法がつくられました。

退陣した安倍首相が2015年9月19日に法制化した「集団的自衛権の行使」により、すでに自衛隊員が海外に派兵されてしまいました。去り際には、国民の生命と財産を守るために「敵基地攻撃能力の保有」の検討を言い残していきました。

今日は、長野地裁で信州安保法制違憲訴訟の原告6人の口頭弁論が行われました。戦争にさせない、と声をあげる人たちがいることが過去の過ちを繰り返さないことにつながります。

九・一八歴史博物館(瀋陽市)

小林節さんを松本市に招いて市民と野党が野党共闘のあり方について討論会

県内の約40の市民団体でつくる「信州市民アクション」と中信地域の市民団体で構成する「本気でとめる戦争!中信市民連合」は6月7日、松本市内で慶應義塾大学名誉教授で憲法学者の小林節さんを招いて、「小林節さんと市民、野党の討論会」を開きました。新型コロナの感染拡大を防止するため、参加者を70人に絞り込んで開きました。この討論会には、県内の4野党(立憲、国民、共産、社民)からも県議会議員が出席して、野党共闘のあり方や共通の政策について討論しました。

小林節さんは問題提起で、「自民党と公明党より、野党政権の方がまし。自民党がやってきたのは憲法を破壊することだけ。憲法は押しつけだが、いいものを押し付けられてよかったと評価すべき。自民党は三権分立をぶっ壊した。10兆円の予備費は財政民主主義の破綻。法の支配による立憲主義、民主主義がデタラメにされている。政権交代して立憲主義を回復する、反安倍だけでも十分な共通政策となる。弱肉強食の新自由主義を変えなければならない。非武装中立は理想としては有りだが、現実的には、専守防衛をきちんと行えば他国の日本への侵略から守ることができるとの平和主義に立つことが必要」「安倍政権を終わらせないと日本が終わってしまうとの共通認識を野党が確立し、国民に明確なメッセージを送ることが不可欠だ」などと強調しました。