21世紀のキーワード―平和・人権・環境

長野県平和・人権・環境労働組合会議

~フクシマからの報告と交流~いわきの初期被ばくを追及するママの会代表・千葉由美さん

「原水爆禁止日本国民会議松本地区協議会」が主催して、3月5日松本市エムウィングで、福島県いわき市在住・いわきの初期被ばくを追及するママの会代表の千葉由美さんが「原発事故後の子どもを守る取り組み~この社会は子どもたちを守れるか」と題して講演されました。コロナ禍にもかかわらず、会場には53人の方がつめかけ、熱心に報告を聴き入っていました。

主催者あいさつをする松本地区労組会議・高山議長

 

経済>いのち』という構図の社会に驚愕し、現状を可視化することから始めた

3人の子を持つ母である千葉さんは、事故当時は一番下が小学校3年生で、原発事故からわずか3週間後の2011年4月6日に例年通りの日程で始業式が行われることに驚愕し、この国は原発政策の失敗を認めず改めようとしない、健康よりも経済を最優先する国なのだと悟り、母親のネットワークを立ち上げました。子どもたちを守る体制をつくるためです。

千葉さんは、まずは目に見えない放射能汚染を可視化するしかないと考え、放射線量を測ることから始めました。とは言っても、最初はたった一人での活動で、孤独との闘いでした。徐々に仲間が増えていった中でも、家族や親せきからの反対を受け、ネットワークから離れていった母親もいたそうです。

いわきの初期被ばくを追及するママの会代表 千葉由美さん

 

測定プロジェクト TEAMママベク 子どもの環境守り隊

このプロジェクトでは、以下のような活動を積極的に行っています。

・初期被ばくをしてしまった子どもたちの追加被ばく防護を求めて、いわき市長へ公開質問状を提出

・母親が不安と恐怖でヒステリックになっているだけと思われないために、いわき市内の教育・保育施設・公園等放射線量と土壌汚染調査を、子どもの行動を想定した母親目線でのモニタリング

・国のモニタリング・除染基準は、敷地の四隅と中央のみだが、ママベクでは敷地内を隈なく測定し、放射線による影響を受けやすい子どもに沿った独自の基準を設け、ホットスポットとして報告

・土壌汚染濃度についても独自で調査、放置せず注意を促す看板を試作し提案

・放置された土嚢袋、汚染堆積物を報告書にまとめ撤去を求める

・2019年豪雨災害時の河川の氾濫、汚泥流出による放射能汚染拡大の影響を迅速に調査

・公園や学校などで国の除染を待ちきれずに保護者や教師らが表土を除去し土嚢袋に詰めた汚染土を発見し、除染課に報告

※それに対しての行政・国の対応は、健康に影響を及ぼすほどではない、ずっとそこに居るわけではないから大丈夫という判断などで無対応との報告でした。

 

いわき市には未来へ残すモニタリング測定情報がない

福島原発事故モニタリング体制の問題点として、土壌汚染の除染基準を設けず測定をしていないという現実があります。よって、原発事故による汚染の実態が記録に残らず、健康被害が出ても証拠がないのです。これにより、ママベクで地道に活動してきた土壌測定結果をいわき市で保管し、未来に生かしてほしいとお願いしているところです。

 

汚染水海洋放出への福島県の姿勢 「県が容認する容認しないという立場にあるとは考えていない」:内堀県知事

福島県民が最も頼りとする県知事さえも、未だにはっきりさせない態度に、憤りを隠せない様子でした。原発事故から11年を検証したことで何が見えてきたのか、この社会が子どもたちに何を伝えたのか、「原発事故は起こっても大丈夫」・・・なんとも悲しい検証結果にうなだれる思いでした。

 

離れていても、長野から全国から声を上げること

それでも、私たち市民一人りひとりができること、諦めないで声を上げることだと思います。決して気持ちで負けることなく千葉さん達を支え、一緒に頑張っていくことが大切だと思いました。

福島原発事故から11年-長野・松本で脱原発集会とスタンディング

2011年3月11日14時46分、東北地方を襲った巨大地震は、街が破壊され津波に飲み込まれ、原発事故によって帰還できない故郷が生まれるという未曽有の大災害となりました。

福島第一原発では、日本の原子力史上、最悪の大事故となりました。原発事故は収束どころから、いまだに放射能を大気中や海洋、土壌に放出し続けています。11年たったいまでも福島県では多くの人々が苦しい避難生活を余儀なくされています。故郷を放射能で奪われ、生活にも健康にも不安を抱えている人々がいる福島の現実があります。政府は、東北地方の復興が進んでいると強調しますが、津波被災地や原発事故の後処理を見ると、とても「復興」が順調に進んでいるとは言えない状況です。

3・11を前にした3月6日、長野市と松本市で脱原発を訴える集会・パレード、スタンディングでのアピール行動が実施されました。

長野駅前で右翼の妨害はねのけ40人がスタンディング

長野市では、市民団体や県原水禁などでつくる脱原発長野行動実行委員会のメンバー約40人が長野駅前に集まり、横断幕やプラカードを持ってスタンディングを行い、トランジスタメガホンで道行く市民にアピールしました。関東方面から来県した右翼団体が街宣車で私たちの行動を妨害しましたが、毅然と対応しアピールを行いました。アピールでは、11年前に福島原発事故から自主避難してきた草野麻理子さん(県労組会議書記)が自らの体験も含めてマイクをもって訴えました(アピール内容は別掲)。

松本市では150人が集会・パレード

福島で子どもの被ばく問題に取り組む千葉由美さんもアピール

松本市では、市民団体や原水禁などでつくる脱原発信州ネットワークが松本花時計公園で「3-6サラバ原発 長野県大行進㏌松本」集会を開き、約150人が参加しました。集会では、福島県いわき市で子どもたちの原発事故後の初期被ばく問題に取り組む千葉由美さんが特別ゲストとしてアピール。集会後には、市街地をパレードして市民に脱原発を訴えました。

「原発が戦争の道具、 おどしに使われることに〝ごせっぱらやける”(腹が立つ/福島弁)」

福島県いわき市からの自主避難者、草野麻理子さんのアピール

☞3・6脱原発長野行動の動画はこちら

長野駅前でロシアのウクライナ軍事侵攻に抗議するスタンディング

1000人委員会、九条の会など6団体から50人が参加

県内在住のロシア人女性も飛び入りで抗議行動に参加

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻、武力行使によって、ウクライナの市民約2000人が死亡し、100万人を超える人々が国外退避しています。

いかなる理由があったとしても、主権国家への一方的な武力行使、軍事侵攻は断じて認めることはできません。ロシアは「自衛のための侵攻」と主張していますが、戦前の日本軍を持ち出すまでもなく、過去の戦争は必ずといっていいほど「自衛」を理由にした「侵略」が行われています。ロシアはただちに軍事侵攻を中止し、ウクライナや関係諸国と平和的な解決を図るべきです。

また、プーチン大統領は「ロシアは、ソ連が崩壊したあとも最強の核保有国の一つだ。ロシアへの直接攻撃は、敗北と壊滅的な結果をもたらす」などと、核兵器の使用をちらつかせて米欧を強く牽制しました。また、戦略的核抑止部隊に「特別警戒」を命令し、最高レベルの「警戒態勢」を取り、核兵器が使用される危険性が一気に高まっています。プーチン大統領の核兵器による威嚇や、核兵器の使用を可能とする態勢づくりは断じて認めることはできません。強く抗議します。

戦争をさせない1000人委員会や県護憲連合、県原水禁、九条の会、県憲法会議、県労連の6団体は3月4日の昼休み、ロシアに抗議の意思を示し、即時停戦を求める緊急スタンディング行動を長野駅前で実施しました。緊急行動にもかかわらず約50人が参加し抗議の意思を表しました。また、偶然通りかかったロシア人女性も飛び入りでスタンディングの列に参加してくれました。

参加者一人ひとりが、「STOP WAR」「ウクライナに平和を」などと書かれたプラカードや、「ロシアのウクライナへの軍事侵攻に抗議します」「即時停戦」などと書いた横断幕をもってスタンディングを行いました。ウクライナの民衆に連帯するため、ウクライナ国旗の水色と黄色で色を付けたプラカードや横断幕がほとんどでした。

マイクをもって6人がリレートーク。

県護憲連合代表委員の松澤佳子さんは、「『平和維持のためにウクライナに派兵する』とロシアのプーチン大統領は発言しているが、旧日本軍もアジア太平洋戦争の際に、同じような理由で中国へ派兵したことから戦争が拡大していった。先ほどお昼のニュースで、ウクライナの原発で火災が起きているという報道があった。原発の周辺で戦闘が起きているようだ。チェルノブイリ原発事故、福島原発事故のような大事故が起きないか心配だ。ロシア軍はただちに戦闘を停止して、ウクライナから撤退すべき」などとアピールしました。

「一般市民はだれも戦争を望んでいない。けれども戦争で犠牲になるのは常にそうした一般市民だ」-中村宏典さんのアピール

県労組会議青年女性連絡会の中村宏典さん(自治労)は、若い世代を代表して、下記のようにアピールしました。

「ウクライナとロシアは兄弟国といわれるほど関係が近い。もともとロシアの起源はウクライナの首都キエフからはじまっているようで、日本でいえば、ウクライナのキエフが京都、モスクワが東京といえるような近しい関係という。今回の戦争は、日本でいえば東京と京都で戦争しているようなもの。そう考えると今回のロシアのウクライナ侵攻の罪深さをいっそう感じるのではないか。報道では、ウクライナから逃げる人たちの中にも、ロシアで反戦を訴える人の中にも、自分のルーツがウクライナにもロシアにもある人がたくさんいて、異口同音に『兄弟のような国なのになんで…』と、今回の戦争を嘆き、一刻も早い停戦を望んでいる。一般市民はだれも戦争なんて望んでいない。けれども戦争で犠牲になるのは常にそうした一般市民だ。戦争を主導する権力者は自分は傷つくことのない安全な場所で命令を下している。この矛盾が戦争を許せない大きな理由の一つだ」と強調しました。

続いて中村宏典さんは「今回、もう一つ許せないのは核兵器をめぐる発言だ。プーチン大統領はことあるごとに核兵器の使用をちらつかせながらウクライナに仕掛けた戦争に他国が介入するのをけん制している。今年の1月に、ロシアを含む核保有国で『核戦争をしないこと』を盛り込んだ共同声明を発表したばかりだ。その共同声明を主導したとアピールしたのがロシアだったはずなのに、その舌の根も乾かないうちに核兵器使用を脅しにつかっている」とプーチン大統領の核兵器威嚇発言を批判しました。

さらに中村宏典さんは「これまで、若い仲間とともに反核平和の火リレーにとりくんできた。栄村の副村長は広島県出身で、核兵器の被害も記憶していて、反戦・反核に強い思いを込めたメッセージを託し、若い人の反戦・反核の行動に大きな期待を寄せてくれた。他にも、核兵器禁止条約が国連で成立し、国連で核兵器禁止条約の成立をのぞむスピーチを行った藤森俊希さんを招いて、被爆者がどんな思いと歴史をもって核廃絶への運動をしてきたかを学んできた。核兵器禁止条約の成立に向けては、広島・長崎の被爆者が『わたしたちの命があるうちに何としても核兵器廃絶を』という、まさに命がけの思いにも触れてきた。だからこそ、核兵器を脅しの道具に使いもてあそぶ行為に許せない気持ちでいっぱいだ、おなじように国内でも、”核シェアリング”と言い出す浅はかな政治家にも呆れを通り越して怒りを覚える。『自分の国は自分で守る』という理屈で核兵器の利用を求めることは、今回、自衛のためにといってウクライナ侵略を強行したプーチン大統領とおなじ考えで、危険極まりない」と、自らの運動の経験をもとに「核共有」政策の導入を求める日本の政治家を非難しました。

最後に中村宏典さんは「まさか、21世紀のこの時代に他国を軍事で攻め込むなどという侵略戦争が起こるとは夢にも思っていなかった。20世紀は戦争の世紀といわれて、その反省から戦争の違法化をもとめて国連が産まれたのに、ロシアでも日本でもそれに逆行するような事態に進んでいることに危機感をおぼえる。平和な未来を望む一人の者として、明らかに時代に逆行しているプーチンの他国への侵略も、核廃絶への歩みに水をさし、被爆者の思いを踏みにじる核シェアリングにも反対する。一刻もはやい停戦と、核による脅しも禁止する核兵器禁止条約こそ、日本も世界にも共通の本当の抑止力なんだということを広げていきたい」と強調してアピールを終わりました。

ロシアはウクライナへの軍事侵攻を直ちに中止を!

プーチン大統領は核兵器による威嚇をやめろ!

即時停戦、国際社会との対話による平和的な解決を!

ウクライナ国旗色の横断幕

ロシア人女性も飛び入りで参加してくれた。

アピールする松澤佳子さん(県護憲連合代表委員)。

若い世代の思いを話す中村宏典さん(自治労)。

ロシア・プーチン大統領は核兵器による威嚇をやめろ!

2月24日、ロシア軍が、ウクライナへ軍事侵攻を強行しましたが、ロシア・プーチン大統領は「ロシアは、ソ連が崩壊したあとも最強の核保有国の一つだ。ロシアへの直接攻撃は、敗北と壊滅的な結果をもたらす」などと、核兵器の使用をちらつかせて米欧を強く牽制しました。また、戦略的核抑止部隊に「特別警戒」を命令し、最高レベルの「警戒態勢」を取り、核兵器が使用される危険性が一気に高まっています。

プーチン大統領の核兵器による威嚇や、核兵器の使用を可能とする態勢づくりは断じて認めることはできません。強く抗議します。

原水爆禁止日本国民会議(日本原水禁)は、このようなロシアの対応に抗議する声明を公表しました。


ロシア・プーチン大統領の核兵器による威嚇に対する原水禁声明

2月24日、ロシア・プーチン大統領は、ウクライナへの軍事侵攻に踏み切った。国家主権と領土を武力で侵すことは国際秩序を揺るがす蛮行であり断じて許されない。

軍事侵攻後の同月27日、プーチン大統領は、戦略的核抑止部隊に「特別警戒」を命令した。ロシアの核部隊にとって、「特別警戒」は最高レベルの警戒態勢であり、三度目の「核兵器」が使用される危険な状況である。

プーチン大統領は、「核戦力」をちらつかせることで、制裁を強めた欧米を牽制する狙いがあるのだろうが、核兵器禁止条約が発効し、核兵器の非人道性が指摘された中でのプーチン大統領の命令は「核兵器」を弄ぶものであり、断じて許されず、原水禁は、強く非難する。

1月3日、核兵器を保有する5ヶ国は「中国、フランス、ロシア、英国、米国は、核保有国間の戦争を回避し、戦略的リスクを低減することが、我々にとって最も重要な責務だと考えている。」「核戦争に勝者はなく、決してその戦いはしてはならないことを確認する。」等を含む「核保有国5ヶ国のリーダーによる、核戦争を防ぎ、軍拡競争を避けることについての共同声明」を発表した。当然、核保有国5ヶ国のリーダーの一人であるプーチン大統領には、この共同声明を遵守し、「核戦争」を防ぐ義務がある。

ロシア・ウクライナ両国が、停戦交渉を実施することに同意したとの報道が出ているが、原水禁は、ロシア軍の即時撤退と国際社会への対話の窓口を開くことを強く要求する。

2022年2月28日

原水爆禁止日本国民会議

共同議長 川野浩一/金子哲夫/藤本泰成

平和フォーラム・日本原水禁がロシアのウクライナ侵攻に抗議する声明を発表

ロシアに軍隊の即時撤退と国際社会との対話を強く要求する

ロシア軍が2月24日、ウクライナへ軍事侵攻したことに対して、フォーラム平和・人権・環境と原水爆禁止日本国民会議(日本原水禁)は声明を発表しました。

被爆体験の聞き取りや平和記念資料館を見学した「ヒロシマ平和の旅」報告も

県労組会議青年女性連絡会の反戦平和学習会にオンラインで43人が参加

県労組会議青年女性連絡会は2月11日に反戦平和学習会を開催しました。昨年に続き、全面オンラインでの開催となりましたが、自治労、林野労組などから43人が参加しました。

今年は、昨年11月にヒロシマ平和の旅に参加した仲間から旅の報告を受け、原爆による爆風・熱・放射線の被害の実態を、平和記念資料館や被爆電車でのフィールドワーク、被爆体験者の講話の報告から学びました。また、広島の高校1年生の講演にふれ、彼女は広島と他県の平和学習に対する環境や思いのギャップに愕然とした経験や、語り部や被爆樹木など正しい歴史を語り継ぐものが減っていくことに危機感を抱き、自らが主体的に平和活動をしていることに、感銘を受けたことも報告されました。

学習会にはオンラインで43人が参加

2月11日の「建国記念日」は神話!?

広島平和の旅の報告

 

「広島で起きた悲劇を二度と繰り返さない。

今度は自分たちが歴史を紡いでいく番だ」(吉田将大さん)

 

信州市民連合と3野党が「共同のテーブル」開く

総選挙の総括議論と参院選への方向性について意見交換

県内の市民団体でつくる「信州市民連合」は1月22日、長野市生涯学習センターで県内の3野党代表とともに「共同のテーブル」を開き、「市民と野党の統一候補」で戦った昨年10月の総選挙の総括と、今年7月に予定される参議院選挙に向けた取り組みの方向性について意見交換しました。

信州市民連合からは、5選挙区の市民連合の代表者が会場とオンラインで25人が出席、野党は、立憲民主党県連から杉尾秀哉・代表代行(参議院議員)、下条みつ・幹事長(衆議院議員)など4人が参加、日本共産党県委員会からは鮎沢聡・委員長など2人が、社会民主党県連合からは中川博司・代表(県議会議員)が参加しました。

意見交換では政党側から「総選挙では、政党の訴え方が弱かった。参院選では、今の自民党政治はだめだと思ってもらう保守層にも食い込める政策が必要だ。野党になればよくなるという選択肢を示すことが大切だ」(立憲民主・杉尾秀哉氏)、「長野県では新政信州も加わる形で独自の判断でやってきた。参院選に向けて地方で合意したことは実施したい。ただ、中央に対しても丁寧に対応する」(立憲民主・下条みつ氏)、「総選挙は市民連合のとともに気持ちよく戦えた。本格的な共闘の体制で戦ったことは歴史的意義があり、第一歩を踏み出した。これを権力側が恐れた。政策内容の訴え方などには課題が残った」(共産・鮎沢聡氏)、「市民と野党の共闘こそが、国民の生活や権利のためになるという点を強調した取り組みが必要」(社民・中川博司氏)などの意見が出されました。

信州市民連合からは、「市民と野党の統一候補として継続を。参院選では『長野方式』を深化させるべき」、「政策が共闘の基本。市民連合と野党の政策を詰めていく必要」、「地方で合意する体制をつくって、中央に認めてもらう方向で政党の中で確認してほしい」、「参院選でも市民と野党の共闘で戦う方向性の確認を。政策については、参院選では何を訴えるのか、総選挙の政策は反対運動のスローガンだと批判された。ふんわりと幅広い人々に共感を呼ぶ政策を」などの意見が出ました。

会議ではまとめとして、①参院選に向けて信州市民連合と野党との間で何らかの形で政策に関する協定・確認が必要であるという認識で一致したこと、②政策については信州市民連合で案をつくり、政党側と協議して詰めていくことなどについて確認しました。

中村敦夫朗読劇「線量計が鳴る」を届けたい!~完全映像化に向けてクラウドファンディングのお知らせ~

中村敦夫さんの朗読劇「線量計が鳴る」が95回目の長野市公演を最後に、休演が続いています。

そんな中で、昨年末の朝日新聞の中村敦夫さんの連載記事に、「線量計が鳴る」のDVDを制作中との嬉しいお知らせがありました。

未だ、コロナ禍が長く続く現状で公演が難しくても、DVDが発売されれば、また、少しでも多くの人の目に留まることとなり、原発の実態を知る人が増えることで、今後のエネルギーの未来について考えるきっかけになるのではと思います。この朗読劇は、それほどに衝撃的な内容であり、大きな価値がある作品であると感じます。

クラウドファンディングは、二日で第一目標金額を達成しましたが、またさらなる目標額に向けて3月11日まで募集を受付するようです。

URLはこちらになります。 ☞ 中村敦夫「線量計が鳴る」舞台を完全映像化

 

     

 

市民集会・脱原発2021 in 信州「福島原発事故と被ばく、汚染水問題を考える」西尾正道医師講演会

コロナ禍で被曝の問題がおろそかになっている

「市民集会・脱原発2021 in 信州実行委員会」が主催して、昨年11月27日、長野市若里市民文化ホールで、北海道がんセンター名誉院長の西尾正道医師を講師にお招きして、「福島原発事故と被ばく、汚染水問題を考える」というテーマで講演会を開催しました。Zoom視聴と会場参加あわせて、約70人の方が参加されました。

講演する西尾正道医師

西尾正道医師は、40年以上、放射線がん治療を行ってきた第一人者です。講演では、医師としての立場から日本における放射線治療の現状と問題、内部被曝を用いたがん治療、見過ごされてきた内部被曝の危険性、福島第一原発のトリチウム汚染水の海洋放出の問題について詳しく解説いただきました。

西尾医師は、「コロナ禍で被曝の問題がおろそかになっている」と指摘し、また「福島原発事故からの10年は内部被曝の危険が隠されてきた10年だった」「トリチウム汚染水の海洋放出は人類への緩慢な殺人行為」と警鐘を鳴らされ、今こそ、内部被曝の危険に目を向けなくてはいけないと訴えられました。

 

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【講演概要】

約3万人の患者に放射線治療をしてきた

約3万人の患者さんに放射線治療をしてきました。日本で一番患者さんを診てきた医者だと思います。昔の国立病院では、いい機械をなかなか買ってもらえなかった。そのためラジウムとかセシウムとかの放射線を出す線源を使ってがん治療をするのが私のライフワークになりました。言ってみれば内部被曝を利用した治療。儲からないし技術があるひとがいないのでできる施設がなくなってしまいました。医者でも内部被曝のことをほとんどわかっていません。

 

内部被曝が軽視され論じられてこなかった

原発事故後、いかに内部被曝が軽視され論じられてこなかったか。内部被曝と外部被曝を例えると、薪ストーブのそばで暖をとるのが外部被曝、燃えたぎっている小さい粉末を口にいれるのが内部被曝です。どっちが危険か。サルでもわかるのに人間はわかっていません。

シーベルトという単位をつかって議論することの間違い

どれくらい被曝したかの換算を実効線量シーベルトという単位で表しているが間違っています。

内部被曝を計算する「実効線量換算係数」は放射性物質1ベクレル(㏃)が人体全体に与える影響度の単位シーベルト(㏜)に換算する「係数」のことですが、1ベクレルという測定可能な物理量を「人体全体に与える影響度」などという「仮想量」に換算するという話自体が詐欺的な疑似科学です。

10マイクロメートル(㎛)周囲にしか被曝させないトリチウムの影響を全身化換算すること自体ができないのですが、ICRPは放射線核種とその化合物及び摂取の仕方(経口摂取か吸引摂取か)に分けて事細かに全く実証性のない恣意的な換算係数を定めて全身化換算しています。

目薬は眼に滴下するから2~3滴でも効果も副作用もありますが、目薬2~3滴を経口投与して、実効線量(㏜)に換算して内部被曝の線量は2~3滴なので影響はないといっているようなものなのです。

内部被曝が隠されてきた10年間だった

アメリカが原爆を開発した過程で、爆発して放出された微粒子が体内に入って内部被曝が健康被害を及ぼすことはわかっていました。1943年から内部被曝を軍事機密にしていました。論じることもできないシャットアウトされた世界で、人体への健康被害が構築されていきました。たしかに原爆が落ちたら、全身の被ばくだから、全身の影響を考えるという点でシーベルトという単位を使って議論するのは一つの方法です。しかし実際には内部被曝がほとんど考慮されていません。健康被害の本体がなかなか見えてこない。福島原発事故後の10年は、一番深刻な内部被曝が隠されてきた10年間でした。

ICRPが内部被曝を隠蔽・軽視し続けてきた歴史

ICRP(国際放射線防護委員会)は、内部被曝に関する審議を打ち切り、内部被曝を隠蔽・軽視し、原子力政策を推進してきました。ICRPは国際的な原子力推進勢力から膨大な資金援助を受けてきた民間のNPO団体に過ぎませんが、その報告をもとに各国はさまざまな対応をとってきました。日本政府もトリチウムが危険だとわかっているからこそ隠してきました。米国は、広島・長崎の原爆投下後も残留放射線や内部被曝はないものとして、隠蔽・軽視する姿勢が続いています。

多重複合汚染の生活環境に置かれている私たち

がんは1950年頃から世界中で増加しています。がんは生活習慣病ではなく生活環境病です。日本では40歳代から死因のトップががん死となっています。このままでは日本人の3分の2ががんに罹患するでしょう。日本社会は放射線被ばくだけではなく、農薬の残留基準値も世界一緩い対応で、遺伝子組み換え食品の普及による多重複合汚染の生活環境によって健康が損なわれていくでしょう。

トリチウム汚染水は陸上保管して技術開発を進める

福島第一原発で大量に保管されている汚染水を海洋放出することが問題になっていますが、トリチウムは今後も陸上保管するべきです。長期保管するための敷地がなくなれば、廃炉が決定した福島第二原発の敷地に保管すればよい。広大な東電の土地が空いている。大型タンクを作り保管し続けるべきです。その間にトリチウムの分離技術の開発と人体影響への再検証も行うべきです。

トリチウムを含む処理水のタンク容量は上限137万トンとされているが、現在すでに128万トン(2022年1月20現在 東京電力「処理水ポータルサイト」)の汚染水があり、また一日に150トンの汚染水が増え続けています。東電は多核種除去設備(ALPS)で汚染水を浄化しているが、トリチウムは除去できていない。推進側は、「トリチウムは自然界にも存在し、全国の原発で40年以上排出されているが健康への影響は確認されていない」と全然制を強調し、また「トリチウムはエネルギーが低く人体影響はない」と安全神話を振りまいています。

東京電力「処理水ポータルサイト」

https://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watertreatment/alps01/

しかし、世界各地の原発や核処理施設の周辺地域では事故を起こさなくても、稼働させるだけで周辺住民の子どもたちを中心に健康被害が報告されていますが、その原因の一つはトリチウムだと考えられます。

トリチウムとは?

トリチウム【tritium】(記号:T)とは、原子核が陽子1個と中性子2個で質量数が3の水素が三重水素(3H)であり、天然にも宇宙線と大気の反応によりごく微量に存在し、雨水その他の天然水中にも入っていたが、戦後の核実験や原発稼働によって自然界のトリチウム量は急増し、1950年時点の大気中のトリチウム濃度と比べて1000倍以上のトリチウムが放出されています。

DNAの塩基の分子構造を変えてしまうトリチウム

トリチウムは他の放射線核種と違って、放射線を出すだけではなく化学構造式も変えてしまう。DNAを構成している塩基の分子構造が変化すれば細胞が損傷されます。ですからいくらエネルギーが低くても安全な訳ではないのです。またDNAを構成している塩基の化学構造式まで変えるということは広い意味で人間の遺伝子組換えを行っているとも言えるのです。

トリチウムの元素変換によるDNA損傷

1リットルあたり6万㏃のトリチウム汚染水が放出される

トリチウムの排出規制基準値は、水の形態の場合は60㏃/㎤であり、水以外の化合物の場合は40㏃/㎤、有機物の形態では30㏃/㎤です。

水中放出の濃度規制値は、1㎤あたり60㏃を1リットルに直すと6万㏃/リットルです。それ以下に薄めれば海洋放出できるわけです。なおセシウム137の規制値は90㏃/リットルです。このトリチウムの規制値も根拠はなく、日本で最初に稼働した福島の沸騰水型原子炉では年間約20兆㏃のトリチウムを排出していたので、1割増の年間22兆㏃のトリチウムの海洋放出を認めたものであり、人体影響とは関係がない規制値なのです。

日本は世界一緩い基準です。

飲料水中のトリチウムに関する基準値

安全論でも風評被害論でもなく

トリチウムは自然環境中にも少量存在していたが、現在のトリチウムの大半が核兵器の実験と原発稼働によるものであるため、その生物等への影響については、必要以上に矮小化されなければならなかった。こうした歴史の延長上で安全論と風評被害論の対立として議論されているが、どちらの意見も科学的には正しくはありません。

原発汚染水の海洋放出は人類に対する緩慢な殺人行為

原発事故が起こらなくて、稼働により放出しているトリチウムが健康被害に繋がっているのです。トリチウムは原発から近いほど濃度が高く、それに食物連鎖で次々、生物濃縮します。処理コストが安いからと言ってトリチウムを海洋放出することは、人類に対する緩慢な殺人行為なのです。

新型コロナウイルスによるパンデミックで世界中が大騒ぎしていますが、人間にとって健康に生きることが最も大事なことです。感染症では早期に症状が出ることが多いが、低線量放射線の影響は晩発性です。新型コロナウイルスの感染に関しては、三密を避ければ、それなりに感染するリスクは少なくなるが生活環境中でのトリチウムの被害は避けようがない。唯一、トリチウムをこれ以上環境中に出させないことでしか身を守る方法はない。将来、起こるトリチウムの健康被害を考えてほしい。

 

【著書紹介】

『被曝インフォデミック-トリチウム、内部被曝-ICRPによるエセ科学の拡散』(寿郎社)

原発事故から10年を経ても放射線による健康被害は軽視・無視され続けている。政府の言うトリチウムの安全性、モニタリングポストの数値、被ばく線量の単位シーベルトを信じてはならない――。〈内部被曝〉も利用したがんの放射線治療に40年間従事してきた西尾正道医師(北海道がんセンター名誉院長)による警告の書。

【サイト紹介】

『自著『放射線インフォデミック』を語る』

(独) 国立病院機構 北海道がんセンター 名誉院長

『市民のためのがん治療の会』顧問 西尾正道

http://www.com-info.org/medical.php?ima_20210316_nishio

盛岡レーメンの販売収益金寄付のご報告(県原水禁)

福島どもたちを支援する3団体寄付金贈呈しました

東京電力福島第一原発事故による放射能汚染の影響によって避難されている方々、生活環境・健康に多大な影響を受けている福島の子どもたちを支援するため盛岡レーメンの物資販売に取り組んでいただきありがとうございました。昨年度、今年度の取り組みから120万円の寄付金を捻出することができました。

各単産・団体、地区原水禁・地区労組会議の取り組みに対し、心から感謝を申し上げます。

昨年12月23日に松本市内で、県原水禁の宇佐美正信代表委員から「チェルノブイリ連帯基金」の神谷さだ子事務局長、「311受入全国協議会」の早尾貴紀共同代表に、それぞれ寄付金40万円を手渡しました。当日は、震災からの10年間の取り組み、コロナ禍における新たな被災者への支援などについて報告を受けました。

宇佐美代表理事と早尾共同代表(311受入全国協議会)

宇佐美代表委員は「原発事故の影響で苦しんでいる子どもたちの支援は重要」と述べ、早尾共同代表から「震災から10年が経過して関心も薄まり活動の継続が難しくなっている状況でのご支援がありがたい。全国の仲間、被災地にいる方々の励みになる」、神谷事務局長から「コロナ禍のなかで制約もあるが保養支援を継続していきたい」などの感謝の言葉をいただきました。

神谷事務局長(日本チェルノブイリ連帯基金)

12月10日には東京都内で、「3・11甲状腺がん子ども基金」の崎山比早子代表理事に喜多事務局次長から寄付金40万円を手渡しました。「甲状腺がんの子どもたちへの支援につかいたい」と崎山代表理事から感謝の言葉をいただきました。

喜多事務局次長と崎山代表理事(3・11甲状腺がん子ども基金)

盛岡レーメンの販売収益金寄付のご報告(PDF)