21世紀のキーワード―平和・人権・環境

長野県平和・人権・環境労働組合会議

子どもが生まれ、平和で生きやすい社会を残したい思いが強くなった

「敵基地攻撃能力」など安保関連3文書の閣議決定に抗議

長野駅前での街頭宣伝で中村宏典さんがアピール

戦争をさせない1000人委員会・信州や県憲法9条を守る会連絡会など6団体、北信市民連合は12月16日、長野駅前で岸田政権が「敵基地攻撃能力」保有や防衛費の倍増をめざす安全保障関連3文書(国家安全保障戦略/国家防衛戦略/防衛力整備計画)の閣議決定に反対する街頭宣伝を行いました。参加者は約50人。宣伝カーを使って街頭アピールを行いました。

県労組会議青年女性連絡会事務局長の中村宏典さん(自治労)のアピールを掲載します。

アピールする中村宏典さん

参加者は横断幕、プラカードをもって抗議の意思を表した

 

「必要なのは、私たちの日々の暮らし、今日、明日を生きることに歯を食いしばっている人たちへの生活支援であって、軍拡にお金を使っている場合ではありません」

中村宏典さん(県労組会議青年女性連絡会事務局長)

私事ですが、先日、子どもが生まれました。この子が大きくなった時、平和で生きやすい社会であってほしいと願うばかりです。

いま、この国は平和と言えるのでしょうか。

ロシア政府によるウクライナ軍事侵攻を利用し、不安をあおって、軍拡が進んでいます。長距離巡航ミサイルの購入や護衛艦の改修による空母化、そして敵基地攻撃能力の保有。「戦争のできる国」へと変わろうとしています。軍事力が強まれば強まるほど、周辺諸国を刺激し、緊張関係が高まることは目に見えています。

子どもが大きくなったときにこの問題をどうやって説明してあげたらいいか、考えてみました。

今年、引越しをしました。隣近所への挨拶にいくとき、隣人はどんな人なのか、とても不安でした。今はあんまり挨拶に行かない人も多いし。

例えば、自分の隣の家に、昔からあまり話もしたことない、よく知らないAさんがいて、物騒な武器を持っていて、普段から庭で武器を使う練習をしている(この時点で通報ですが)って知ったら、じゃあ我が家も負けない武器を準備しなきゃ・・ってなりますかね、なるかもしれませんね。

じゃあ、Aさんの立場に立ってみます。

Aさんは元々、隣のBさんと昔から仲が良くない、今は落ち着いているようだけど。Bさんは向かいの大きな家に住むお金持ちのCさんと親しく、定期的に一緒に訓練している、お金もあるから色んな最新鋭の武器を準備している。Aさんを攻撃するとは言っていないけど、「敵を攻撃、排除するためだ」と、この敵って誰のこと?

そんな時、今までは先祖代々の家訓で「争いごとはしません、武器も持ちません」って宣言していたはずの私の家が、「今日から”敵”を攻撃するための武器を持ちます。それを仲良しでお金持ちのCさんから買います」となったら、Aさんはどう思う?

この話のハッピーエンドはありますか?

決して、核兵器を持つことを肯定しているわけではありませんが、守るためと言って、武器を買い揃えることが、解決に繋がるとは私は思えません。仮想の敵を作って、世論をあおりにあおり、ワールドカップの裏で国民にたいした説明もせずに、こんな物騒なことを決定しようとしている。反対の声をあげずにいられません。

そして、防衛費のことにしてもそうです。毎年どんどん上がっています。何兆円、GDPの何%といわれても、莫大すぎてよく分かりません。

子どもが生まれて、もうすでにお金が凄くかかっています。出産一時金で賄えない入院費が11万3000円、服やおむつやベッド、チャイルドシートなど最低限そろえるだけでもバカになりません。出産一時金を10万円増額する、じゃあいいかとなりません。騙されません。

格差社会で、6人に1人が貧困、特に若い人の貧困が増えています。子どもを持たない理由の第一位が、圧倒的に経済的負担で、「今以上の生活費や教育にかかる経済的負担にたえられない」が理由。しかも、20代30代では特に顕著、自分ひとり、夫婦だけでも余裕がないのに、結婚も出産も考えられない、こんな国で本当によいのでしょうか?

限りある財源で、本当に今、防衛費にお金が必要ですか?それが本当に私たちのためなんでしょうか。それとも!国家を守るためには国民は犠牲になってもいいのか?贅沢は敵ですか?

子どもをもつ、持たないの選択が、お金に余裕のあるなしで決まってほしくない、決して贅沢な望みではないと思います。

いま、必要なのは、私たちの日々の暮らし、今日を明日を生きることに歯を食いしばっている私たちの生活への支援であって、軍拡にお金を使っている場合ではありません!

このことを声を大にして訴えたくて、今日、この場に来ました。ありがとうございました。

平和フォーラムが閣議決定に抗議の声明を発表

今年もホタテの共同購入活動を実施中です

冷凍貝柱・1㎏を4800円で販売

「国鉄闘争を語り継ぐ紋別・美幌の会」が取り扱い

JR不採用事件の全面解決から10年半が過ぎようとしています。24年間にわたって国鉄・JRからの解雇撤回を求めて闘い続けてきた旧紋別・美幌闘争団の団員は、闘争の終了後、「国鉄闘争を語り継ぐ紋別・美幌の会」でつくり、地元での活動と長野県との交流をすすめています。

毎年取り組んできたホタテの販売は、今後も「紋別・美幌の会」が取り扱って継続した取り組みとなっています。「紋別・美幌の会」の仲間は現在、元気に生活を送っています。しかし、北海道のオホーツク地方は、安定した職もなく、生活のための収入確保は困難が伴います。ホタテの収益の一部は「紋別・美幌の会」の活動と生活応援のために活用されています。

今年のホタテの販売価格は冷凍貝柱1㎏で4800円です。ホタテ玉の大きさはすべて「4S」で、採れたてを急速冷凍しています。解凍して刺身で食べられたり、バター炒め、テンプラ、鍋物などにも、幅広くご利用できます。品質も良く例年大変好評です。

5箱をまとめていただくと、職場・自宅に直送可能です。北海道から直送の新鮮ホタテをあなたの食卓に!

申し込みは、県労組会議、各地区労組会議までお願いします。県労組会議 電話026-234-2116 FAX026-234-0641

トンネルフリーザー加工で急速冷凍

オホーツクの海の幸を食卓にどうぞ

平和フォーラムが3年ぶりに「ピーススクール」開く

若手組合員約40人が3日間、平和や憲法、人権、環境問題を学ぶ

長野県からは青木雅裕・私鉄県連書記長が参加

フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)は11月18日から20日までの3日間、東京都内に全国から約40人の40歳程度までの若手組合員を集めて「2022ピーススクール」を開きました。労働組合の活動で平和や人権、民主主義の意義を広げていく取り組みが重要性を増しているなか、次代を担う人材の育成が求められています。ピーススクールでは、平和・人権・環境・民主主義などに関するテーマで6人の講師が講演、フィールドワークとして参加者は、国会前での宣伝行動にも参加しました。

長野県からは、私鉄県連書記長(アルピコ労組川中島バス支部)の青木雅裕さんが参加しました。青木さんの報告・感想を掲載します。

「改めて活動の原点に触れたスクールだった」

青木雅裕(私鉄長野県連書記長)

誠に恥ずかしながら会社に入社してから今まで労働組合の活動には参加してきた方だと思っていました、「平和」や「護憲」に関わる集会や春闘に伴う集会など活動などです。今では自分が伝えなくてはならない立場になって、改めて活動の原点にふれ、日々変わる情勢に目を向けながら学習はいくらやってもいいのだと思った次第です。

全国から集まった参加者が3日間みっちりと学習

スクールでは班に分かれて「ディベート」も体験した

第1講座 原水禁運動の歴史と課題  金子哲夫氏(広島原水爆代表委員)

今年の原水禁世界大会(広島)にも参加し、日本の被爆者の多くが高齢化していて自分たちの世代が伝える役割持たなくてはと思っていましたが、原水禁運動はウラン採掘者やマーシャル諸島の住民までと聞いて、自分が日本のことしか考えていなかったと思い知らされました。

第2講座 立憲民主党前代表が語る  枝野幸男氏(立憲民主党前代表)

枝野幸男・立憲民主党前代表

労働組合で役員をやっていて民主主義が最善だと思いの方も多いと思われますが、枝野元代表の「民主主義は間違えるときも在る」とのお話しを聞いて、過去に自分の組合で意見が割れた案件などで、多数決で採決した事がありました、枝野議員は国民や組合員がしっかりと監視をしていないと民主主義は間違った方向に向かう時がある。例えば「ヒトラー」や「ムッソリーニ」など、圧倒的な支持を受けて誕生した政権が独裁指導体制となりホロコーストを引き起こし多くの人命を奪うことに繋がるなど同じ過ちを犯さぬようにしてなくてはならないと強調しました。

第3講座 在留外国人の人権課題  鳥居一平氏(移住連代表理事)

外国人労働者の実態を聞いたのは初めてでした。長野県にも労働人口の減少により、海外からの技能実習生が多くいます。働く姿を目にしても何気なく過ごしていましたが、働く外国人の方々の労働実態には大変興味を持ちました。雇用主が思うがまま過酷な条件を突きつけて働かせ、実習生が意見をすれば契約を打ち切り強制帰国になることもあると言います。鳥井氏の元に救済を求めた技能実習生は所定の労働時間に260時間にも及ぶ時間外労働を強いられたり、2年間も休みもなく働かせたり、日本に実習で来た際に生活用品は付与されますが、寝具や家電など用意はあっても高額なリース代を毎月請求されたりと、雇用主からの「ピンハネ」が酷い実態である事も聞かせていただきました。日本では賃金を抑えて利益を追求する風潮が長く続いています。このままでは日本はダメになると強く感じました。

第4講座 憲法を考えるワークショップ   本庄未佳氏(岩手大学准教授)

本庄未佳・岩手大学准教授

日本国憲法前文の作成過程で前文を作成した「ハッシー」氏の描いた日本国憲法は平和憲法に道徳的な表現を用いるべきではないと主張しましたが、GHQを率いる米国(マッカーサー)の思惑と違っていました。GHQは敗戦国である日本の武力を奪い、その無防備な日本を米国が守る、沖縄を要塞化する事で他国の侵略に備えたのだと話されました。

憲法では戦力の不保持・交戦権は否認するが、自衛権を否定するものではないと規定しています。自民党が進めるのは集団的自衛権を行使するために「憲法」を改憲したいのではなく「日米安全保障条約」を改悪したいだけだとのお話しを聞かせてもらいました。

第5講座 近代沖縄の歴史と文化  大里知子氏(法政大学沖縄文化研准教授)

大里知子・法政大学沖縄文化研究所准教授

沖縄の歴史を知るには琉球王朝の時代に遡らないと今の沖縄のアイデンティティーは伝わらないとのお話しでした。日本人の多くの方々は沖縄の戦中・戦後の話ししか知らなくて、日米地位協定がある事で、基地周辺で様々な事件が起こるたびに泣いてきた沖縄県民、自分たちの生活を守る為に祖国復帰を果たし「日本国憲法」が適用されることを望む人が多くいたと、沖縄県の参加者の声を聞き気付かされました。

 

第6講座 環境課題と原発  松久保肇氏(原子力資料情報室事務局長)

日本政府の進めるCO2排出削減や電力需給の問題など、昨今電力供給不足のために節電を要請する電力会社の報道が時々あります。この逼迫した状況を打開するために、原発を稼働させようとする世の中の動きもありますが、原発を稼働させたとしても、火力発電所を止めるので逼迫状況は変わらないとのお話しでした。原発を稼働させればCO2は排出しませんが、燃料となる核燃料を作成する際には大量のCO2を排出すること、今後新たな原発を建設することは難しいので、いまある原発の対応年数の40年を延長させたい経済界の思惑が見え隠れします。日本は海外から輸入する化石燃料を購入しなくてはならない国なので全ての原発に反対するというのも難しい判断だと思いますが、「核のゴミ」問題も解決の糸口すらまだなく、最終処分場の予定地である北海道の問題も自分の住む街じゃないからと目を伏せていてはダメだと思いました。

後世に押し付けることなく「自然エネルギー」の技術がもっと発展するために自分への問題意識にしなくてなりません。

フィールドワークは国会前での宣伝行動

国会議事堂の前で

国会前行動であいさつする勝島一博・平和フォーラム共同代表

発言する青木雅裕さん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピース・スクールを終えて

コロナ感染症が拡大する中で、当初予定していた懇親会などがなくなり、黙食で夕飯を食べるなど、全国から集まった仲間との交流は行えず少し寂しく感じましたが、主催者のリスク管理を思えば仕方ない判断なのだと思いました。事務局の方々は「平和」「軍事」「憲法」など多岐にわたる日本の問題の捉え方を押し付ける集会をしているのではなく、すべての物事を自分たちで考える機会を与えてくださったと思っています。

集会の締めに、三つのテーマを各班ごと分けて討論する場「ディベート」を行いました。

・原発の再稼働は「1必要」「2不必要」

・防衛力の増強は「3必要」「4不必要」

・労働組合の積極的な政治への関与と平和運動「5必要」「6不必要」

6班に分けられたグループがそれぞれの立場を選び肯定派と反対派に分かれて討論しました。

日頃から組合では反対派の声を聞く機会があります。組合の役員を担っていると、不満を言う組合員の声を聞くと思いますが、頭ごなしに否定するのではなく、相手の主張をしっかり聞いて答えなくはならない、責任感を改めて持ったいい機会になりました。

長野県内の仲間の皆様、参加させて頂きありがとうございました。

職場における労働者の健康と使用者の配慮義務-小川英郎弁護士が講演

21世紀の労働運動研究会第4回講座(今期最終)で

ハラスメントの防止に向けて

県労組会議と各ブロックの地区労組会議が主催する「21世紀の労働運動研究会」は11月5日、長野市・県労働会館で〈16期〉4回目の講座を開催しました。「職場における労働者の健康と使用者の配慮義務」というテーマで、ウェール法律事務所(東京)の小川英郎弁護士に講演いただきました。Zoom参加と会場参加あわせて、約30人の方が参加されました。

長年、労働者側の代理人として労働事件に関わってこられた小川弁護士から、セクシャルハラスメント・パワーハラスメントに対する裁判所の判断や、ハラスメントと認められる基準、またハラスメントの原因と職場で予防・防止するための方法など、実際の裁判例を交えながらわかりやすく解説いただきました。

小川英郎弁護士

【講演概要】

職場における労働者の健康と使用者の配慮義務(パワーポイント資料PDF)

※裁判例等の詳細はレジュメを参照ください

 

リモートワークで深刻化するハラスメント

コロナ渦でオンラインでのやりとりが増えて、コミュニケーションが難しくなっている。オンラインが進めば、パワハラやセクハラが減るのではないかと思っていたが、画面越しのパワハラが増えている。上司からの罵倒などを録音した証拠を持って労働者の方が相談にくる。職場のコミュニケーションが減るとパワハラやセクハラの温床になる。リアルの対面での情報量が100%とすると、オンラインでは20%しか伝わらないという研究もある。伝わる言葉は同じでも、声の調子や表情、ボディランゲージ、しぐさなどの情報を頼りに、相手は何を考えているかを的確に捉えることができる。コミュニケーションの不足がハラスメントを深刻化させつつあるという印象がある。

メンタルヘルスは労働組合が取り組むべき重要な課題

メンタルヘルス事案は特殊で、本人が精神的な疾患になっていて、自身で的確な判断がしにくいという点がある。職場に戻り、良好な就労環境を得るためには、労使の協力が必要になる。弁護士に相談する労働者は組織から飛び出した存在。本来は労働組合が取り組み解決していく課題。メンタルヘルスは労働組合が取り組むべき重要な課題。

パワハラの本質

パワハラには、組織的な問題点が潜んでいる。しかし起きてしまうと加害者の個人の資質の問題に矮小化しがちな傾向がある。職場は仕事をする場であって、部下に感情をぶつける場ではない。それを防止するためには、相談窓口を設置したり相談体制の充実が大事。職場のルール(分担と責任)を確立していく。評価の基準を透明化・客観化していく。管理者自身のストレスマネジメントが重要。パワハラが起きている場では、管理者自身も忙しすぎたりストレスを溜めてしまったりしていて部下にぶつけてしまう。

パワハラの本質(小川弁護士の講演スライドから)

 

ハラスメントを予防するには

過度に競争的な労務管理を見直す。チームでの仕事と成果をみんなで共有することで、一人ひとりバラバラにならずに一緒に仕事をするという環境を整えていく。管理職教育を徹底する。今日のような事例を集積して分析していくこと。重層的な相談体制。内部だけでは不十分な場合は、外部の相談体制もあわせて構築していくこと。うつ病などのメンタル不調は、なかなか気づかないこともあるが、几帳面なひとがだらしなくなるとか、睡眠がとれなくなるとか、鬱病などの徴候を見逃さないようにする。特に管理者はひとの話をしっかり聞くという傾聴のトレーニングが必要。仕事でミスが増えてきた場合は、なんらかの原因があるということなので、単にミスを叱ってハラスメントに繋がるようなことはせずに、その背後にあるものを探っていくという発想で対応していくことが重要。同業他社の事例を学習して、交流していくことも必要。社内規定をきちんと整備すること。

ハラスメントを予防するには

 

労働組合でもハラスメントが起きている

労働組合は本来ハラスメントを防止するべき組織。しかし労働組合なども普通の企業と同じくらいパワハラが起きているのではないかという気がする。自分たちは組合で、労働者の権利のためにたたかっているんだからハラスメントなど起きようがないという油断もある。また労働組合の運動は忙しく、臨機応変に活動する必要があって、みんなで一気にやらなきゃいけない場面でついてこられないひとに対してパワハラ的な言動に及んでしまう。長年、専従で事務的な仕事をしているひとに対して、厳しくあたるという例があり、結構な数の相談を受けている。このような体質は非常に残念なこと。組合のなかで自ら点検すると共に、他の組合とも交流や情報交換をして、少なくとも労働組合内ではハラスメントを起こさないように改善に努めていってほしい。

パワーハラスメントとは?

どのような行為がパワハラになるか

パワハラの態様

職場について語る貴重な場となった分散交流会

講演終了後には、Zoom参加者と会場参加者に分かれて分散交流会を実施しました。参加者からは、「異動によって新たな業務に従事することになり心理的な重圧や長時間労働によって追い込まれた」という声や、「男性中心の職場環境だったが、女性職員が増えた時期にどのように接していいか戸惑いがあり、セクハラ的な言動を行ってしまっていた」という話、若年層の参加者からは「就職した時期がちょうどコロナ禍に重なり同期同士での交流がない」ことなど関係性を築き深める機会を喪失している問題など活発な意見交換が行われました。

2023年も17期の労働運動研究会を企画します

「〈第16期〉21世紀の労働運動研究会」も、今期最終講座となり、最後に閉校式を行い全4回の講座すべてに参加した参加者3人(1人はZoom参加)に宇佐美正信長野県労組会議議長から特典(図書カード)をお渡ししました。2023年も「〈第17期〉21世紀の労働運動研究会」を企画していきます。ぜひご参加ください。

会場の様子

格差と貧困、戦争を生みだす新自由主義政策の転換を

「自助」よりも「公助」、「自己責任」より「共生」、

労働者・国民の暮らしと平和を最優先する政策へ

県労組会議が定期総会開く-新議長に宇佐美正信氏(国労長野)

長野県平和・人権・環境労働組合会議(県労組会議)は10月21日、代議員・役員など約50人を集め、長野市内で第27回定期総会を開きました。

主催者あいさつで、松澤佳子議長は「今日は10月21日。私の年代では、10.21国際反戦デー集会をやった記憶がある。ベトナム戦争反対デモが行われていた。今、ウクライナ戦争の即時停戦を求めてウクライナ市民の声に耳を傾けなければならない。ウクライナに暮らす女性の言葉に『何かを組織できる団体が存在していることが大事だ。一人の人間は小さくてもどこかの団体に所属していることで、自分だけじゃないと思うことができる』とある。労働組合の意義はここにある。平和を求める運動を職場・地域から、労働組合が組織として、団体として声をあげていく必要がある。ある社会福祉法人の労働者が、新たな労働組合を立ち上げた。本当に勇気のいることだったと思う。パワハラやセクハラやさまざまな問題を抱え、労働基準監督署に相談したりしてきたが、最後に労働組合として闘わなければだめなんだと、一生懸命に組合員を募り、パート労働者にも声をかけて、過半数を超える労働組合を結成できた。職場集会でパート組合員の方の『私たちにも声をかけてくれて本当にうれしい』という発言に目が覚める思いだった。自分の置かれている実態を素直に話せる職場での集会がすべての労働組合でできたら、どんなにか労働組合は素晴らしいものになるか、実感した。正しいことを言えば攻撃をされる、こんな世の中じゃいけない。変えていかないといけない。自分は労働組合での任務は終わるが、引き続き一人の市民として、一人の女性として、しっかり声をあげていく決意だ」と訴えました。

討論では「7月から8月にかけて青年女性で77市町村を走り抜ける反核平和の火リレーに取り組んだ。ウクライナ戦争が続くなか、改めて平和の大切さを実感した。私鉄の仲間からの『私鉄は平和産業』という言葉が印象的だった」(自治労)、「アスベスト被害で仲間を亡くした。JR総合車両センターでは、建物や車両にアスベストが使用されていて、解体時などに飛散する危険性がある。会社に責任ある対応を求めている」(国労長野)、「コロナ禍により私鉄は厳しい状況に置かれている。高速バスはピークで利用者が8割減、貸切バスはほぼゼロになった。収入が減り生活できないので退職者も相次いでいる。県労組会議から私鉄県連、単組に支援金をいただき感謝している」(私鉄県連)、「松澤佳子議長が退任するが、4年間、みなさんにお世話になり感謝したい。現在の経済・政治状況でまさに労働組合の社会的役割が問われている。共生や連帯という労働組合の価値観を大切にして活動しよう」(自治労)などの発言がありました。

特別決議として「岸田自公政権の軍拡・改憲を阻止する決議」が採択されました。総会は最後に「組合員はもちろんですが、組織されていない労働者・国民にも共感が広がる労働運動が今こそ必要とされています。コロナ後を見据えて、地域社会において労働者の新たな団結と連帯を再構築しましょう」とする「総会宣言」を採択しました。

なお、総会では任期満了に伴う役員改選が行われ、4年間にわたり議長を務めた松澤佳子氏(自治労)が退任し、新たに宇佐美正信氏(国労長野)が議長に就任しました。選出された三役は次の通りです。◇議長=宇佐美正信(国労長野)、◇副議長=伊藤浩二(自治労)、同=若林茂(私鉄県連)、同=大橋孝宏(森林労連)◇事務局長=喜多英之(自治労)

議長退任あいさつをする松澤佳子氏

議長就任あいさつをする宇佐美正信氏

総会会場では、JAL争議団の鈴木圭子さんが物資販売

総会の最後には、全員で団結ガンバロー

採択された特別決議

採択された総会決議

 

駒ヶ根市社会福祉協議会はAさんの不当解雇の撤回を

労働審判では解雇無効の審判。しかし社協側は裁判へ持ち込む

社会福祉法人駒ヶ根市社会福祉協議会に正規職員として勤務していたAさんは、仕事中に椎間板ヘルニアを発症しました。しばらくは腰に負担がかからない職場で勤務していましたが、駒ヶ根市社協から腰に負担がかかる職場への異動内示がでたため、異動内示の変更と腰痛対策を申し出たところ、「労働契約上の労働債務を提供できない」ことを理由に解雇されました。

Aさんは長野一般労組(本部:松本市)に加入。組合との団体交渉で駒ヶ根市社協は、一旦は異動内示を撤回したものの、突然、債務不履行を理由にAさんに解雇を通告しました。また、団体交渉でも社協側は、解雇は有効であり解雇有効訴訟を起こすという頑な姿勢を崩さなかったため、組合は長野地裁松本支部に労働審判を申し立てました。

2021年1月21日に行われた第3回労働審判で松本地裁は、Aさんの訴えを全面的に認め、解雇無効と地位確認、解雇以降の賃金及び一時金の支払いを命じる審判を下しました。駒ヶ根市社協は審判に応じることなく、地裁松本支部に対し異議を申し立てるとともに、6月14日付で「解雇有効確認訴訟」を長野地裁伊那支部に提訴しました。駒ヶ根市社協から異議が申し立てられたため、労働審判は効力を失い地裁松本支部において本訴に移行することとなりました。

この間、地裁松本支部で口頭弁論が継続的に行われ、今年10月19日には証人尋問が行われました。来年1月11日に判決がくだされる予定です。

コロナ禍での若年・非正規・外国人労働者問題を学ぶ

労働運動研究会でPOSSE事務局長の渡辺寛人氏が講演

県労組会議は9月17日、上田市丸子解放センターで「21世紀の労働運動研究会」第3回講座を開き、コロナ禍における若年・非正規・外国人労働者の問題をテーマに学習しました。

講座の講師は、20~30歳代の若い人でつくるNPO法人・POSSE(ポッセ)事務局長で「ブラックバイトユニオン」を運営している渡辺寛人さん。POSSEが取り組んでいるブラック企業の告発活動の紹介とその実態、コロナ禍が広がる中で見えてきた日本のいびつな労働構造などについて、具体的な活動報告も交えて講演していただきました。低賃金、権利侵害が横行する技能実習生などの外国人労働者問題についても問題提起を受けました。

講演で渡辺氏は「コロナ禍での労働相談は女性、非正規労働者からの相談が多い。 女性からの相談が61%を占めている。また、 非正規雇用者からの相談が多く、全体の約68%に当たる」と報告。雇用の調整弁と位置付けられている矛盾がコロナ禍で噴出した実態を指摘しました。コロナ禍で女性への影響を増幅させた背景として、1) 平時のジェンダー視点が欠如した社会・経済構造、2)女性を労働力とするサービス経済化の進展、3)非正規雇用者の社会的保護からの排除などがあると強調しました。また渡辺氏は、女性は「男性稼ぎ主モデル」のもとで、家庭内で無償の家事労働を担わされ、労働市場においては家計補助的な労働力として活用されてきたこと、女性差別は、正規・非正規の雇用形態差別に形式を変えて継続していること、男性稼ぎの主モデルが崩壊し、産業構造が転換している現在、女性労働の位置づけが大きく変化しているが「周辺化」され続けている実態など、構造的な問題点を指摘しました。

渡辺氏は講演の最後に「労働運動のパラダイムチェンジ=根本的転換」が求められていると強調。「サービス経済化が進むなかで、女性の活動とされてきたものが産業の中心に移動しつつある。にもかかわらず、労働運動は男性中心的なものとしてイメージされている。女性やマイノリティが中心となれるような組織化をすすめよう」とまとめました。

 

渡辺寛人氏の講演資料

 

憲法改悪阻止の運動を各地から展開しよう!               ー労働運動の主体確立と市民運動の共闘強化をー

第42回全国地区労交流会山形集会に参加して

昨年、長野県で行われた全国地区労交流会が、今年は「憲法改悪阻止の運動を各地から展開しよう!—労働運動の主体確立と市民運動の共闘強化を―」をスローガンに、9月10日(土)~11日(日)、山形県天童市・天童ホテルで開かれました。昨年に続くコロナ禍での全国集会でしたが、今年は感染対策を十分とりながらほぼ例年通りの開催となりました。集会には、全国・県内から約80人の参加者が集まり、各地の運動の経験交流や、懇親会は各地から持ち寄った地酒をいただいて大変盛り上がり、学びと癒しの素晴らしい機会となりました。

記念講演は、飯島滋明さん(名古屋学院大学教授、憲法学・平和学)の「憲法の危機と闘いの展望」と題した講演でした。憲法なんて難しい講演だろうと想像していたら、冒頭の「学生には勉強ばかりでは続かない。労働運動も運動ばかりでは続かない。楽しみながらやらないと続かない。」というお話から始まった通り、難しいどころか大変興味深い内容でどんどん講義に引き込まれていきました。

途中、先生がおっしゃっていたように政治に声を上げること、関心を持つということをいかに広げていくか、中間層をいかに取り込むかという課題に対して、①わかりやすく易しい言葉を使う ②SNSを利用する ③若い人に関わってもらうなど、多くのヒントをいただきました。自分に置き換えて考えた時、ごもっとも!と納得しました。

また、スパイ防止法制定の危険性について、ウクライナ侵略と絡めて説明したり、憲法改悪の内容が今まさに大きな問題となっている旧統一教会の教義と同じ内容であるということなど、自分と関連付けて考えられるような興味深い内容でした。

今、政治に関心がないと言われている若い人についても、そうではなく、伝え方の問題とおっしゃっていて、私自身も子どもたちとの話の中で、どう自分と関連付けて伝えればいいのかを考え直してみました。ここには書ききれないほど、盛りだくさんの“目からウロコ”のあっという間の1時間となりました。

また会場の一角には、JAL闘争団の物資販売やシベリア抑留者・澤田精之助(1921-85)の絵巻物の展示がありました。

各地区労や団体からの報告者は以下の通りです。

1)憲法改悪阻止等の運動について  片山 隆司(高松地区労働組合連合会副議長)

2)組織の確立と市民運動等について 園部 公雄(山形県平和センター事務局長)

3)脱原発等の運動について     有田 純也(新潟県平和運動センター事務局長)

4)JAL解雇争議について     鈴木 圭子(JAL被解雇者労働組合)

翌日2日目の分科会と全体会は、以下の通りです。

1.護憲、反戦・反原発・平和運動のとりくみ:担当・三浦半島、長崎
2.地域労働・市民運動等のとりくみ       :担当・江戸川、松本、神戸
3.非正規・ユニオン・最賃等のとりくみ  :担当・市原、栃木、

全体会提起:「最低賃金引上げ闘争と23春闘について」伊藤彰信(労働運動研究討論集会実行委員会事務局長)

 

久しぶりの全国各地の仲間との交流に、これからの運動への刺激とヒントをたくさんいただきました。今後に活かしていきたいと思います。

実行委員会の皆様、有意義な時間を本当にありがとうございました。大変お疲れ様でした。

第42回全国地区労交流会始まりました。

渡部貴之山形県平和センター議長の主催者あいさつ

平和フォーラム・藤本共同代表の来賓あいさつ

運営委員会からの提起・池端章伸事務局長

記念講演・飯島滋明名古屋学院大学教授

夕食・懇親会での山形県団のみなさん

各地の地酒大集合

懇親会での長野県団

集会の総括をする田川地区平和センターの小泉さん

長野市・長沼地区で災害とアスベスト対策を考えるシンポジウムを開催しました

台風19号災害で被災した長沼体育館で開催

長野県アスベスト対策センターは、シンポジウム「令和元年長野市台風19号災害におけるアスベスト対策」(共催:特定NPO法人東京労働安全衛生センター)を台風19号被災地・長野市営長沼体育館で9月3日(土)に開催しました。Zoomと会場をあわせて55人が参加しました。

災害復旧工事を終えた長沼体育館

シンポジウムの報告者

令和元年台風19号災害におけるアスベスト対策の教訓に学び、全国で頻発する災害時のアスベスト対策に活かすため、現地調査及びシンポジウムを開催しました。

長野県アスベスト対策センター代表の鵜飼照善のほか、長野市環境保全温暖化対策課・課長補佐(被災時)の桑原義敬氏、被災当時の令和2年度長沼地区住民自治協議会会長の西澤清文氏、NPO法人東京労働安全衛生センターの外山尚紀氏からそれぞれの取り組みや見えてきた課題について報告をいただきました。

来場者も参加して防塵マスクの装着体験

また体験ワークショップとして、中皮種・じん肺・アスベストセンターの永倉冬史氏から防塵マスクの装着方法やその特徴について解説いただき、来場者の方にも実際にN95マスクなどを体験していただきました。あわせて簡易顕微鏡でアスベストを見ていただく機会をもちました。

被災当時の行政担当者、被災地区の住民自治協議会長、アスベストの専門家が集う有意義なシンポジウムになりました。

今後もアスベストの危険性を多くの方に知っていただき、災害時におけるアスベスト被害を防ぐために活動をすすめていきます。

防じんマスク

【シンポジウム概要】

① 鵜飼照善(長野県アスベスト対策センター代表)
「令和元年長野市台風19号災害におけるアスベスト対策に学ぶ
~台風19号災害における長野県アスベスト対策センターの取り組み・
長野市との交渉経過~」

・長野市との交渉経過。被災直後の長野市への申し入れ(2019年12月23日)、要請書(2020年2月10日)について報告。

長野市との交渉の様子

・被災地のアスベスト対策の課題として、ボランティアセンターを経由しないで支援活動される方々の健康被害の状況を把握することの困難。地域社会の繋がりが強い長野では被災者家族との直接的な知人友人関係に基づいて支援活動に従事するケースが多く考えられる。
・支援活動後の健康管理のために、ボランティア活動の記録と保存のシステムを構築する。例えば「ボランティア台帳」のようなシステムを作り、申告制ではあるが支援活動の記録を市町村で保管することは可能か?

② 長野市環境部
「大規模災害発生時の石綿飛散防止の対策について(令和元年東日本台風災害)」
・発災当時の「吹付アスベスト」建築物の被災状況の確認、災害廃棄物仮置場等でのモニタリング調査、建設業及び解体工事事業者への注意喚起、ボランティアへの情報提供、被災者への情報提供、解体作業現場の立入調査などの取り組みについて報告。
・大規模災害の経験を踏まえた課題として、災害時の石綿飛散防止の手順書の作成、石綿調査に関する協定の締結、防塵マスク等の手配に関する情報の共有、国及び自治体間の連携制度の拡大などの「平常時における準備」が大切。

③ 西澤清文氏(令和2年度長沼地区住民自治協議会会長)
特別報告「災害廃棄物(災害ごみ)対応も、泥縄式はダメ!~赤沼公園実態報告~
・災害廃棄物(災害ごみ)受け入れ先とその経過・実態、大町・穂保・津野・赤沼の「勝手」仮置場について。※私有地の畑や公園などが勝手仮置場とされた。

西澤氏の報告から

・住民向けの「災害ゴミは9種類に分別を!」チラシなどから学ぶ。
・台風19号災害災害廃棄物(災害ごみ)の地元対応の教訓。

西澤氏の報告から

④ 外山尚紀氏(NPO法人東京労働安全衛生センター・労働安全衛生コンサルタント)
「災害時(後)のアスベスト対策の課題」
・阪神淡路大震災から現在までのアスベスト対策の進歩と課題についての報告。

・東日本大震災での厚生労働省の調査(2011年~2013年)では、被災地の石綿除去作業現場80件中、13件で石綿が飛散したことが確認されている。
・東日本大震災では、復興の過程で、対策のできた事例も多くあったが、吹付石綿を残したまま建物解体工事が行われ、石綿含有建材の不適切な取扱いも露呈した。
・熊本地震では、地震発生から一カ月後、行政の調査に専門家が同行し、対象となる建物情報を行政が収集して、基本的にレベル1を対象としたリスクの高いものから対策を実施。

・熊本地震での行政の立入検査

外山氏の報告から

 

【現地調査】

前日には、被災現地でヒアリング

シンポジウム前日の9月2日には、長沼地区を訪れ、長沼住自協の西澤さんに案内をいただきながら、千曲川堤防決壊箇所をはじめ、災害廃棄物の勝手置場・仮置場となった赤沼公園、公費・自費解体後の住家の再建状況を現地調査しました。

守田神社跡地で、浸水の高さを示す

堤防決壊箇所から

復興再建された赤沼公園

妙笑寺の水害水位標

被災現場の視察後は、長沼支所で、長野市環境部の職員、地元住自協の代表、災害ボランティアセンターを運営した市社会福祉協議会の代表らからヒアリングを実施、有意義な意見交換をすることができました。
長野市には、事前にお願いしたヒアリング項目に沿って、丁寧な回答をいただきました。

長沼支所・交流センターでヒアリング

SBC・信越放送の報道より