侵略戦争を否定する政党の躍進、外国人排除の風潮の広がり

戦後80年を迎えましたが、いまだにあの戦争はなんだったのかを日本人自身が直視できない状況がつづいています。自民党総裁選では高市氏が就任し、直近の国政選挙では、太平洋戦争は侵略戦争ではない、と述べるなど史実を無視する発言を繰り返す政党が躍進しました。社会に広がった格差と分断から、外国人排除の風潮も生じています。今号では、今年5月3日の憲法記念日に長野市内で開かれた「市民の憲法講座」での「戦後80年 戦争の爪痕を未来へつなぐ」をテーマにしたアイ女性会議の木下容子氏と松澤佳子氏による報告をお届けします。

飯田下伊那の戦争遺跡を学ぶ

中国侵略の現場、アウシュヴィッツを巡る平和の旅

木下氏からは飯田下伊那の戦争遺跡について、松澤氏からは中国侵略の現場、アウシュヴィッツを巡った平和の旅について報告して頂きました。1932年に日本の傀儡国家「満州国」が中国東北部に建国され、1945年の敗戦まで国策の満蒙開拓によって全国から約27万人が入植し、8万人が犠牲になりました。長野県内からは都道府県別で最多の3万人超が送り出され、うち飯田下伊那地域からは8389人と県内最多でした。

満蒙に送り出した責任、次世代に伝えていく義務

木下氏は「多くの開拓民を満蒙開拓に送り出した地域だからこそ、送り出した側としてもその歴史を次世代に伝えていく義務があるのではないか」と訴えました。松澤氏は「侵略の加害者である日本人自身が、加害の歴史を知らないという現状」を指摘します。戦後80年を迎え戦争体験者がいなくなる近未来が迫る今、私たちはどう生きていくのか、が問われています。

■以下のブログでも当日の講座の様子をお伝えしています

市民の憲法講座「戦後80年 戦争の爪痕を未来へつなぐ」

信州護憲ネット会報70号

「戦後80年 戦争の爪痕を未来へつなぐ」