21世紀のキーワード―平和・人権・環境

長野県平和・人権・環境労働組合会議

2024 フクシマ連帯キャラバンに参加して

 

全港湾などの若い世代の組合員が中心となって活動

長野県原水禁 草野麻理子

今年で13年になる東日本大震災と福島原発事故。3月16日の「原発のない福島を!県民大集会」と20日の「さようなら原発全国集会」に合わせて、今回で8回目となる「フクシマ連帯キャラバン」が開催された。私は、そのうちの17、18日に参加した。

いわき市小名浜のホテルで集合

16日、福島市での集会を終えたキャラバン隊は、宿泊先のいわき市小名浜で夕食懇親会を行い交流を深め、私を含めた二名が翌17日朝、ホテルで合流した。

参加者総勢72人がキャラバン数台でいわき駅前の会議室での学習会に向けて出発。同乗したキャラバンには、部落解放同盟や兵庫県からの参加者らがいて、昨日の様子などを聞いたりこちらの活動を話しながらの道中となった。

学習会では、これまでのキャラバン隊について全港湾東北小名浜支部の矢内誠也さんからお話していただいた。課題として、2011年の福島原発事故を知らない世代にどうつなげていくか、また、能登地震による志賀原発のトラブル、避難経路は土砂崩れで通行不可、日本海側には福井の原発銀座もあり地震も多い地域であること、汚染水の海洋放出がもう既に計4回も行われ、1回あたり7800トンという量であること、作業員のトラブルも散見され、13年経っても廃炉作業が進んでいないことや燃料デブリが1グラムたりとも取り出せていないことを、地元に戻ったら拡げてほしいと話した。

これまでのキャラバンの活動を話す全港湾東北小名浜支部の矢内誠也さん

いわき駅前ラトブにて学習会

いわき市内郷の白土屋菓子店の超特大ジャンボシュークリームがふるまわれた

 

昼食後、一路被災地へ。

この企画は、一人ひとりが必ず福島原発事故を風化させないこと、被害を受けた地域の現状を自分の目で見て、「原発って必要なの?本当の復興とは何か?」を肌で感じ、これからも続く脱原発運動に活かしていくためのフィールドワークという趣旨を聞き、被災地へ向かう車内で身が引き締まる思いだった。

13年が経ち、風化してしまった家

一か所に集められたフレコンバッグ。一部ビニールシートで隠されていた。

人が戻らない中で立派すぎる双葉町役場。隣接する施設も有。

 

震災遺構・請戸小学校

津波の高さを明示している校舎の様子

津波による大きな被害があった請戸小学校が震災遺構として整備され、外観~内部を見学。当時の状況に思いを馳せた。小学校の周りは何もなく、ここだけがポツンと残っているのが印象的。たくさんの住宅や建物があったというのに・・・。小学校の児童と職員は全員無事だったことがせめてもの救いだった。

唯一の鉄筋コンクリート造だったことで、残った。

校舎の全体像。津波により窓ガラスが割れているのがわかる。

津波の影響で折れ曲がったプールの手すり。

慰霊碑(大平山霊園)

 

東日本大震災・原子力伝承館を見学

 

津島訴訟原告団・武藤晴男さんの自宅を見学

津島訴訟原告団の武藤さん、今野千代さん(診療所の元看護師)、馬場さんの案内で、津島小学校、診療所、ご自宅を見学した。避難所となった津島小学校は、津島の人口1,400人のところ、8,000~10,000人が4日間ここに滞在したそう。

武藤さんと今野チヨさんとキャラバン隊の渡辺団長

グランドは隙間がないぐらい車が停まっていて、一番の被害者は子どもだった。何もわからず連れてこられたという感じ。水洗トイレが詰まってしまって、大変困った。畜産農家がバキュームカーで吸い上げようとしたがホースが入らず、結局、青空トイレで済ませた。その後は原発事故避難となり、想定外が連続して起こった。

当時、線量が高いことも知らずにここ津島小学校に避難してきた。

置いてきぼりの軽自動車

モニタリングポストの数字は0.378を示している

当時、浪江町町議だった馬場さん

 

 

<今野千代さん談>

3月11日当日は先生(医師)と事務受付と後輩看護師2人で昼食にカレーを食べた。地震が起きて大変だったため22:00にようやく帰宅。翌12日一斉避難し、診療所に人がたくさん並んでいると聞き、急いで診療所へ。しかし、そんなにたくさんの薬は置いていないので、製薬会社に電話するも電話が通じない。13日になって、福島市から薬を持ってくることになった。チヨさんは原発事故のことをその時まったく知らなかった。浪江の開業医もかけつけた。15日に避難指示が出たが、患者さんを置いていけず、先生とチヨさんともう一人の3人が残った。14日、持病を抱えた避難者の700~800人が診療所の前に並んだが、お薬手帳もなく、何を処方すればいいかもわからず困った。

レントゲン室があったため、線量をガラスバッチで確認したところ、3~4日間で800ベクレル以上(建物内)。事故前は毎回測ると0だった。

自宅は築65年。除染は宅地から20メートルまでと決まっている。ここでの線量は1.3マイクロシーベルト。畑は竹藪と化し、除染はされていない。武藤さんは2つのお願いがあると話す。

①13年経った今になっても、こういうものだと伝えてほしい。

②10万筆の署名活動にご協力を。

屋内の様子

動物の荒らされた中の様子

この後、キャラバン隊は原告団との意見交換、茨城県で東海第二原発の周囲30キロ圏内にある15自治体へ避難計画及び老朽原発20年延長問題を記した要請書を首長へ直接提出する要請行動を行ったあと、東京代々木公園での「さようなら原発」全国集会へ向かった。

311 子ども甲状腺がん裁判第9回口頭弁論を傍聴して

東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質の影響で甲状腺がんになったとして、事故当時、福島県内に住んでいた男女7人が東京電力に損害賠償を求めている「311子ども甲状腺がん裁判」の第9回口頭弁論が3月6日、東京地裁で開かれました。 

名古屋から参加してくれた大学生の皆さん

この日は、大法廷の一般傍聴席が83席に対し、199人もの方が傍聴券の抽選に並びました。地裁前の裁判前集会には平日であるにも関わらず136人の方が集まり、この裁判の注目の高さがうかがえます。

支援者集会の様子

311のキャンドルナイトについてお知らせするアイリーンさん

今回からサポーターズカードを配布することになり、オリジナルグッズもあるそうです。

サポーターズカード

ポイントやグッズプレゼントについて話す進行の阿部さん

次回の第10回口頭弁論期日は6月12日(水)に予定されています。今後も311子ども甲状腺がん裁判を引き続き注目していただき、応援をよろしくお願いいたします。

 

第9回口頭弁論・第19準備書面プレゼン動画

 

第9回口頭弁論・第20準備書面プレゼン動画

 

支援者集会

県労組会議のロゴマークをつくりました

組織と運動を表現するダブルロゴマークを採用しました

県労組会議のロゴマークをつくりました。組織本体を表すロゴマークと、平和運動などを表現するロゴマークのダブルロゴマークです。必要に応じて2種類のロゴマークを使うこととなります。

ロゴマークの色として、緑が環境、ピンクが人権、黄色が平和のカラーイメージが組み合わさることで、憲法の3原則「国民主権、平和主義、基本的人権の尊重」を表しています。

また、組織本体ロゴは、人と人が組み合わさって地域をつくる運動を表現。運動ロゴは、平和の象徴である鳩をイメージしています。

いろんな場面で使用して広げていきたいと思います。

組織を表現する本体ロゴマーク

平和運動などを表す運動ロゴマーク

 

 

 

労働組合とは車の両輪、協同組合の源流~長野県労福協ヤングリーダー塾~

長野県労働者福祉協議会は、2月17日、長野市のJAビルで若い世代の組合役員や組合員を対象にした「ヤングリーダー塾」を開催し、県内各地から若い世代の組合員約30人が参加しました。

講演する田中夏子氏

協同組合とは

労福協の理念、2030年に向けてのビジョンを学んだあと、基調講演として、日本協同組合学会元会長の田中夏子氏に「福祉事業団体と労働組合、協同組合の関係」「SDGs達成に向けての協同組合の役割」というテーマでお話いただきました。

講師の田中夏子氏は、イタリアの社会的協同組合、コミュニティ協同組合、ワーカーズ・バイアウトによる事業再生を研究され、長野大学、都留文科大学などで教鞭をとり、2013年から農ある暮らしを志して、現在は長野県佐久市の農園「Vento e Terra」の園主も務めらているそうです。

自営的な暮らしを求め長野県へ

SDGsの「誰一人取り残さない」という言葉

田中氏からは、現在の国際情勢のなかで協同組合運動がどのようなアクションをおこなっているか、労働組合運動と協同組合運動の深いつながり、SDGsの「誰も取り残さない」の本当の意味、協同組合のアイデンティティの探求をめぐる国際的議論などについて解説いただきました。

ロシアによるウクライナ侵攻後のヨーロッパの協同組合の難民支援のとりくみの紹介のなかで、「日本国憲法前文にうたう『全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する』に照らせば、ヨーロッパ協同組合の課題意識も、私たち自身の課題として深く共感できる」と述べられ、さまざまな社会課題を自分事として捉え行動していくことの大切さを伝えていただきました。

また日本で安易に多用されているSDGsの「誰一人取り残さない」という言葉の切実な意味についても知る機会になりました。

産別をこえてグループワークで交流

講演後には、「労働組合・労働事業団体の役割とは?」というテーマでグループワークを行いました。普段かかわることの少ない産別を超えて交流を深めることができました。

参加者が書いたポストイットから

【伝える】
・賃上げ要求・福利厚生、職場環境の改善について経営者へ要求する
・若手から出る意見を集約(仕事以外でも)して上に伝える
・会社のルール(福利厚生)などを伝える

【歴史】
・労働組合の歴史
・自分の状況を測る基準
・政治への関心・知る、学ぶ、きっかけの場、関係
・平和について考えるきっかけの提供
・協同組合の利用推進

【コミュニケーション】
・職場で話しにくい話を聞いて相談相手になる
・おかしいと思ったことについて、みんなで声を上げる
・重い荷物を持ってあげる
・組合員の親睦会
・相談できる場

【明日から自分は何ができる?】
・労働組合の繋がりを大切にする(産別を超えて)
・どんな人とでもコミュニケーションを大切に
・ボランティアや募金活動の情報をつなぐ
・ジェンダーの視点を!
・女性も誰もが発言しやすい職場、関係づくり

【田中夏子氏による基調講演の概要】

1 難民と協同組合?どう関係?

■協同組合の国際組織である国際協同組合同盟(ICA)欧州がウクライナへのロシアの侵攻後に声明

■従来から取り組まれてきた協同組合による難民支援

従来から、イタリアでは、社会的協同組合、住宅協同組合連合が連携して、紛争地域からの難民、女性、子どもたちに宿泊施設、生活環境、仕事などを提供してきた実績があった。難民支援と協同組合というと、意外な取り合わせに思われるかも知れないが、実はこの領域と協同組合運動には深い関係がある。

ロッサナ・ザッカリアさんのメッセージ(2022年3月15日発信)
住宅協同組合レガコープ・アビタンティ代表
「戦争から逃れてきた人びとは、故郷をはじめ、アイデンティティの深い部分を放棄させられています。暖をとり、自らを守る多くの場が必要です。しかし、同時に新しい住まい(生きる場[田中注])を探すという複雑な旅に、協同組合として同行する必要があるのです。(…略…)
住宅協同組合と社会的協同組合が一緒になって、さらに多くの市民セクターと行政も含め、多様な解決策を構築できるように取り組んでいきます」

■ヨーロッパの協同組合の取組みから

・2022年5月には、シチリア州カターニャ市をはじめ、各地で難民の受入活動が活発化。
・2022年6月には、パドバ市で、LGBTQの難民を受入れるグループホームが、自治体、当事者団体、社会的協同組合Levanteの協同事業として開設。

1400万人の人びとが、故郷を破壊され、見通しの立たない避難を強いられる。協同組合が、戦争や紛争によって生みだされる数々の困難に、正面から取り組むとする姿は私たちにとって示唆的。
一見、協同組合と難民という組合せに、唐突の感を持たれる方もあると思うが、日本国憲法前文にうたう「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」に照らせば、ヨーロッパ協同組合のこうした課題意識も、私たち自身の課題として深く共感できると考える。

※2023年1月現在のウクライナ国内避難民は600万人、EUの国々へ逃れた難民の数は800万人

■難民とともに生きる地域創造をめざすRUAH社会的協同組合
・設立2009年1月。前身のアソシエーション(共通の目的や関心をもつ人々が、自発的に作る集団や組織)としての活動は、1991年に開始。
・1980年代末、受入先を求めてベルガモ(イタリアの都市)を訪れた移民や難民との出会いが契機。

RUAH設立者の思い、難民受入側の思い(RUAHのサイトから)
「非人間的な旅を経て、疲れ果ててようやくイタリアの港に辿りついた彼ら・彼女らの顔には、戦火の悲惨、空腹、搾取されてきた悲劇の歴史がはっきりと刻まれていた。私たち(RUAH協同組合の前身グループ)は、彼ら・彼女らに尊厳ある生活を提供すべく(居住や生活全般ににかかわる諸サービス)支援することはもとより、個々人の人生を、自律(オートノミー)をもって歩めるようなプロジェクトを模索した。分かち合いと共生のルールづくり、言葉の習得、仕事探し等の支援だ」

「『異邦の人』の声に耳を傾けるという行為は、単に話されていることの内容を理解するにとどまらない。また単純な好奇心を喚起するだけにもとどまらない。『異邦の者どうし』が共に創造的な活動を構築することであると私たちは学んだ。それぞれの人生の歴史を語り合い、それを分かち合う力が求められ、そのことはまた受入れる私たち自身の中に、別の世界を作り出す態度が必要とされる」

※RUAHはヘブライ語で「魂の風のそよぎ」を意味する。

■日本の生協と平和運動の深い関係

■世界の協同組合数

■日本の協同組合

2 協同組合の源流

■協同組合=cooperative

3 国際社会における協同組合運動

■協同組合原則の時代的な変遷

◎ここまでのポイント

◆世界の協同組合は、18世紀以降、資本主義化の波の中で、各地における地域に根付いた反貧困の社会運動の中で、労働運動とは車の両輪関係を形成しつつ、生み出されてきた。そうした一般性ゆえ、世界各地で協同組合が出現。日本でも同時期に発祥。

◆世界の協同組合は、必然的に独自の成り立ちを持つとはいえ、バラバラな存在に留まらず、19世紀末に、国際的なネットワークICAを形成し、知見を共有しながら釈迦への影響力を高め、国連機関、ILO(国際労働機関)とパートナー関係を深化させてきた。

◆ICAは、協同組合原則や協同組合としてのアイデンティティを、時代の要請とともに再検討し、協同組合が今日的な課題に応え得る質を備えるよう指針提起(ガイダンスノート)をした上で、刷新を、各国の協同組合の参加のもと、議論が続いている。

4 世界の協同組合の今日的課題→SDGs

■SDGsと協同組合~なぜ「重要なパートナー」なのか?

■SDGsのそもそも論~協同組合・労働運動が前線に立つ必然性

■「誰一人取り残さない」というSDGs運動で最も引用される言葉の意味

■協同組合運動と労働運動の連携の意義が試される時代

5 協同組合のアイデンティティ議論

■協同組合と労働運動が牽引した平和産業

■参考資料

被災70周年3.1ビキニ・デー全国集会

原水禁は3月1日、静岡市で「被災70周年3.1ビキニ・デー全国集会」を開催し、全国から約180人が参加しました。
集会では、長崎大学核兵器廃絶研究センターRECNAの中村桂子准教授に、「核兵器廃絶に向けた世界の動きと私たちの課題」というテーマで講演をいただきました。
また、Connect Hiroshimaの大内由紀子さんからTPNW(核兵器禁止条約)第2会締約国会議派遣報告、静岡選出の高校生平和大使から核兵器廃絶への思いを語っていただきました。

中村桂子氏(長崎大学核兵器廃絶研究センター)

中村さんの講演では、はじめに長崎大学核兵器廃絶研究センターRECNAは核兵器廃絶を掲げるオンリーワンの研究センターであることが紹介されました。

RECNA 長崎大学核兵器廃絶研究センター

RECNAとは

核兵器の近代化をすすめる米ロなどの核保有国

世界に核弾頭は1万2520発存在(2023年6月現在)しており、冷戦期以降、核弾頭の総数は減少してきたものの、退役・解体待ち弾頭を除いた「現役核弾頭」の数でみれば軍拡がすすみ、また核兵器の近代化や新型核兵器の開発などの高性能化がすすむなど、核軍拡の状況を呈している。核兵器も家電と同じように老朽化は減らすチャンスだが、最先端の弾頭へアップデートしようとしている現状が示されました。

『世界の核弾頭データ』2023年版 を公開しました!

核軍縮をめざす「あたらしい風」

膠着した現状があるいっぽうで、核軍縮をめざす「あたらしい風」のきざしがあり、その大きな原動力としての核兵器禁止条約(TPNW)が持つ意味について解説いただきました。

核兵器禁止条約は、これまでの条約と異なり、核保有国ではなく、マーシャルなどこれまで議論から見えないところにいた国々が主役交代のように非核保有国の国と市民社会が主導してきたことに特徴があり、核兵器そのものと核兵器への依存を「悪」として、世界の常識そのものを塗り替えていくことを構想しているものである。

表に出てこなかった「非人道性」が前面に

国連で採択されたときの議場は、熱気にあふれ、スタンディングオーベーションがつづいたそうです。苦難に耐えてきた広島、長崎をはじめとする被ばく者の声が世界を動かしてきたことが条約の土台になっているそうです。

被害者の救済が明記

これまで注目されてこなかったコミュニティ、文化、伝統の破壊、ずっと続いてきた農漁業の営みが奪われ、支給された食べ物によって引き起こされた肥満や糖尿病などの健康の問題などについても、被害のレポートなどをまとめ基金をつくっていくことが決まっており、どれだけ具体化できていくかが議論されている現状が紹介されました。オブザーバー参加しているドイツからもフェミニストの観点からの被害者援助、女性女児への放射線の影響の調査などへの協力の申し出などがあり未批准国であってもさまざまな協力ができることが示されました。

これまで見過ごされてきた被害者の救済、環境の修復

存在感を示すオブザーバー参加するドイツとためらう日本

核兵器禁止条約を育てていくことが大切

中村さんは核兵器禁止条約を漢方薬に例え、即効性はないがじわじわと効果を発揮すると述べ、核兵器製造企業への銀行融資にも影響していることや、国際的な議論の場でも、賛成反対を越えて人類的な問題として、人権、環境、ジェンダー、SDGsの考えがあたり前になってきている変化についても触れられました。

ジェンダーの考え方がさまざまな議論で当たり前になってきている

最後に中村さんは、核兵器禁止条約を手塩に育てていき一人前にみんなで育てていくことが大切、日々何度も落ち込むことも多いが核廃絶に向けて新しい変化は着実に起きていることを知ってほしいと訴えました。

広島長崎出身の大学生でつくる「Connect Hiroshima」

現在大学生の大内由紀子さんからは、被爆地広島、長崎出身の大学生でつくる市民団体「Connect Hiroshima」(コネクト・ヒロシマ)のとりくみ、

TPNW(核兵器禁止条約)第2会締約国会議への参加などについて報告いただきました。

大内由紀子さん(Connect Hiroshima)

広島出身で元高校生平和大使として核兵器廃絶にとりくんできた経過、第1回締約国会議にも参加するなかで交流した海外の人びとからも刺激を受け、日本政府がTPNWへのオブザーバー参加を求める署名を展開し4万3288筆を外務省へ提出してきたこと、昨年ニューヨークで開催された第2回締約国会議では市民社会の枠で発言したほか、現地での若い世代の交流イベントやさまざまな集会に参加したことが報告されました。さらに第3回締約国会議(2025年3月開催予定)に向けて日本政府への働きかけを準備していることが報告されました。

中満泉さん(国際連合事務次長・軍縮担当上級代表)から伝えられたことが紹介された

「未来は女の一票で!」「金権マッチョ自民にNO!」

女性だけの行動-長野駅前で第2回フェミブリッジ・アクション

信州市民連合の女性のみなさんが中心となって3月17日、長野駅前で13時から14時までの間、第2回フェミブリッジアクションが行われました。女性議員や市民団体関係者など女性だけで約20人が参加しました。

街頭宣伝では、日音協県支部の音楽サークル「ジグソーパズル」の2人が「花はどこへ行った」「翼をください」の2曲を歌い、参加者にもマイクがまわされ一緒に合唱しました。

司会進行は、松澤佳子・信州市民連合共同代表と中村雅代・小布施町議会議員、主催者あいさつは、堰免久美・信州市民連合共同代表が行いました。

参加してアピールしていただいた議員は以下の通りです。

和田明子・県議会議員、竹村直子・県議会議員、丸山寿子・県議会議員、野々村博美・長野市議会議員、原洋子・長野市議会議員、清水みき枝・小諸市議会議員、中村雅代・小布施町議会議員。

アクション終了後、参加者で記念撮影

参加者はプラカードをもって市民にアピール

堰免久美・信州市民連合共同代表

和田明子・県議会議員

竹村直子・県議会議員

丸山寿子・県議会議員

野々村博美・長野市議会議員

原洋子・長野市議会議員

清水みき枝・小諸市議会議

中村雅代・小布施町議会議員

日音協サークル「ジグソーパズル」

 

福島第一原発事故から13年 県内各地で脱原発集会・パレード

今年1月1日に発生した震度7の能登半島地震によって、北陸電力・志賀原発敷地内外で施設被害が発生し、1・2号機の変圧器2機が破損し、電源の2系統が使えなくなるという事態が発生しました。かろうじて残る1系統の電源で燃料プールを冷却しなければならなくなり、一歩間違えば重大事故の可能性すらありました。また、モニタリングポストも18ヵ所が故障し、測定できなくなりました。放射性物質の敷地外の漏洩監視という重要な機能が失われることは深刻な問題で、これも「想定外」でした。

今回の地震は、複数の断層が連動した可能性があり、これも「想定外」です。それにより能登半島各地で道路の寸断、土砂崩れ、隆起・陥没などが発生し、救援活動に大きな障害をきたしています。放射能漏れなどが起きなかったことは幸いでしたが、万が一起きた場合は、避難や救援がさらに困難になることは明らかで、避難計画を根本から見直すべきです。

地震大国の日本列島に原発は必要ありません。一刻も早く脱原発社会にかじを切らないと、福島第一原発の大事故の悲劇が繰り返される危険性が高まっていきます。

今年3月11日は、東日本大震災・福島第一原発の大事故から13年にあたります。県内でも各地で集会やデモ行進、学習会が行われました。ここでは、長野市、松本市、塩尻市、伊那市での集会やデモの取り組みについて報告します。

◆長野市 福島県浪江町からの避難者からの訴えも

3・10脱原発長野行動実行委員会が主催する「3・10脱原発長野行動」が、3月10日、ながの表参道セントラルスクゥエア(長野市)を会場にして開催されました。県内の脱原発運動にかかわる市民を中心に約240人が参加しました。集会後には長野駅前まで脱原発などを訴えるデモを行いました。

東京電力福島第一原発事故から13年が経過しても、なお廃炉の道筋は見通せず、緊急事態宣言は発令されたままです。集会では、脱原発共同学習会の細野正昭さんから柏崎刈羽原発運転差止訴訟について報告をいただきました。原発避難当事者の瀬尾誠さんからは、福島県浪江町から避難してからの思い、原告としてたたかう避難者への補償を求める裁判について訴えていただきました。

長野の集会には約240人が参加

東日本大震災、能登半島地震の犠牲者に黙とう

浪江町からの避難者瀬尾誠さんが訴え

参加者は長野駅前までのパレードを行った

 

◆松本市 集会前に能登半島地震と原発の学習会を実施

3月10日午後1時30分から松本市内の花時計公園で、脱原発信州ネットワーク・松本が主催して脱原発松本集会「つながろうフクシマ・広げよう脱原発・とめよう再稼働 サラバ原発長野県大行進in松本」を開きました。集会には約200人が参加。冒頭に能登半島地震犠牲者と東日本大震災・原発事故犠牲者に黙とうをしました。小出裕章さん(元京都大学原子炉研究所助教)、中垣たか子さん(北陸電力と共に脱原発をすすめる株主の会)、武本和幸さん(刈羽村議、原子力資料情報室理事)が発言。小出さんは「原子力緊急事態宣言は未だ解除できていない。誰も責任を取らずに13年がたった」などと話しました。その後、参加者全員で集会宣言を確認。デモ行進には約150人が参加しました。

午前中には松本市駅前会館で、中垣たか子さん(北陸電力と共に脱原発をすすめる株主の会)、武本和幸さん(刈羽村議、原子力資料情報室理事)を招いて能登半島地震と原発について学習会を行い約100人が参加しました。

集会には約200人が参加

松本市街地で脱原発をアピールするパレード

 

◆塩尻市 40人が原発再稼働反対をデモ行進でアピール

3月9日、脱原発、再稼働反対!大行進2024in塩尻集会を駅前で開きました。寒い中、約40人の方が参加され、駅前から市内を、原発はいらない、とシュプレヒコールをしながら行進しました。

集会・デモ行進には約40人が参加

デモ参加者は思い思いのプラカードを掲げた

 

◆伊那市 集会後に能登半島地震と志賀原発について学習

3月10日、フクシマを忘れない上伊那アクションをいなっせ北側広場で行いました。会場には90人の仲間が集い、「へなちょこバンド」と「うたごえサークル」の皆さんがまず会場を盛り上げ、主催者を代表して向山光実行委員長があいさつしました。向山氏は「原発の危険性を改めて国民が認識しなければならない。また能登半島を襲った1月1日の地震についても1970年代に2カ所で原発計画があったが、現地の皆さんが結束してこの計画を阻止させた」などと強調しました。その後、4人からリレートークをいただき、集会アピールを確認して一部の集会は終了しました。

2部として、いなっせ研修室に場所を移して、河本和朗さんから「地震のメカニズムと浜岡原発の影響」と題して講演をいただき、続いて、河田昌東さんから「能登半島地震と志賀原発の現状」と題して講演をいただきました。講演には60人を超える参加者があり、終了後いくつも質問を受け、地震の怖さを皆さんが感じていることがうかがえました。

集会後に参加者90人で記念撮影

学習会では断層問題についても学んだ

 

311のキャンドルナイトが長野駅前で行われました

3月11日、いまだ解除されていない原子力緊急事態宣言が発出された19:03に、40人もの方がスタンディングに参加してくれました。

13年が経っても元に戻るどころか、健康被害を訴えて裁判を起こしている若者がいる現実やいまだ苦しみを負う人たちがいます。私たちに何ができるのか、そんな傷ついた心への癒しになれば、という思いで企画されました。参加者の中には8人ほどの若者もいて、マイクで「311のことは決して忘れません。」「がんばって」と話し、とても素敵な時間となりました。ありがとうございました。

#311のキャンドルナイト #311を忘れない #脱原発 #東日本大震災 #長野駅前

 
 

 

中日新聞に掲載されました。

 
 

「ガザ攻撃から見るパレスチナ/イスラエル問題の現在――オスロ和平体制の欺瞞と破綻」(県護憲連合総会 早尾貴紀氏記念講演)

パレスチナ/イスラエル問題について記念講演

長野県憲法擁護連合(略称=護憲連合)は第69回定期総会と記念講演会を「建国記念の日」とされる2月11日、長野市内の県労働会館で開催しました。オンラインを含め50人が集いました。

記念講演では、イスラエルのパレスチナ・ガザ侵攻に焦点をあて、東京経済大学の早尾貴紀教授を招き、「ガザ攻撃から見るパレスチナ/イスラエル問題の現在~オスロ和平体制の欺瞞と破綻」というテーマでお話いただきました。

講演する早尾氏

ガザ地区そのものを消滅させようとする暴挙

早尾氏は「昨年10月7日のハマスの〈蜂起〉に対し、イスラエルが国際法・条約に違反する〈ジェノサイド〉というべき武力による集団殺戮・破壊をつづけ、ガザ地区そのものを消滅させようとする暴挙は断じて許されない。イスラエルを支援する日本政府も加害者であることを追及しなければならない。即時停戦・人道支援を求めるとともにイスラエルの〈パレスチナ占領停止〉の訴えが重要」と強調しました。

2014年のガザ侵攻時の写真

9.11で対テロ戦争に加担してしまった日本

また「日本はアラブ諸国とイスラエルとの関係のバランスをとってきたが、9.11で対テロ戦争に加担してしまった。イスラエルは、パレスチナ支配の経験が対テロ戦略として他国に売り込んでいる。対テロ戦争の仲間にならない日本に変えていかなければならない。」「G7が異常にイスラエルを支援しているが、G7は国際社会から孤立している。ヨルダンが提案した停戦決議は圧倒的多数で可決されたが、イギリスが拒否権を発動した。日本でも排外主義や戦争協力が進められているが、ここと戦うべき。長い目で見てグローバルサウスとつながっていくことが重要」とも指摘しました。

今日のパレスチナにおけるハマスの軍事的な抵抗、これに対するイスラエルのガザ侵攻、ジェノサイドの根幹にイスラエルのパレスチナ占領問題があることを学ぶ有意義な講演となりました。ナチスによるユダヤ人排斥、ホロコーストを経験しているユダヤ人が、許されざる行為になぜ自ら突き進むのか…この歴史的悲劇を一刻も早く終わらせなければなりません。

2014年時の写真。破壊されたガザ市。 昨年10月7日に始まったわけではない。

長野駅前でスタンディング

JR長野駅前でのスタンディング行動には早尾教授にも参加いただき、ともに戦争反対、パレスチナの占領停止を訴えるアピールをしました。

長野駅前で訴える松澤代表委員

早尾貴紀氏 プロフィール

1973年生まれ、東京経済大学教授。パレスチナ/イスラエル研究、社会思想史研究、ディアスポラ研究。2002~2004年(第2次インティファーダ期)、ヘブライ大学客員研究員として東エルサレムに在住。その間、西岸地区、ガザ地区、イスラエル国内でフィールドワークを重ねる。2011年の福島第一原発事故による避難当事者でもある(事故当時仙台市在住)。避難者支援、保養支援にも取り組む。保養団体でつくる全国ネットワーク「311受入全国協議会(うけいれ全国)」の共同代表も務める。

著書:
『パレスチナ/イスラエル論』(有志舎、2020年)
『ユダヤとイスラエルのあいだ―民族/国民のアポリア』(青土社、2009年、新装版2023年)
『希望のディアスポラ―移民・難民をめぐる政治史』(春秋社、2020年)
『国ってなんだろう?』(平凡社、2016年)

共訳書:
イラン・パぺ『パレスチナの民族浄化』(田浪亜央江との共訳、法政大学出版局、2017年)
サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ』(岡真理、小田切拓との共訳、青土社、2009年、新装版2024年)

【記念講演の概要】

演題「ガザ攻撃から見るパレスチナ/イスラエル問題の現在――オスロ和平体制の欺瞞と破綻」

0、はじめに

■ガザ地区とはどういう場所か?
・パレスチナ・ガザ地区は、面積365㎢に220万人が閉じ込められている。
・長野県で面積が近いのは安曇野市(332㎢)。そこに県民人口の200万人が住むイメージ。
・パレスチナ自治区というとヨルダン川西岸地区が中心にみられ、ガザ地区は「取るに足らない」扱いを受けることが多い。

■〈10.7〉蜂起は始まりではない
「生産と物流が阻害され経済が成長不可能であり、医療や衛生や教育も破壊され人間としての生存も危機に瀕しており、もはや通常の意味での社会が存続不可能になってしまった。10年後、ガザ地区はパレスチナははたして存在しているだろうか。」早尾貴紀『パレスチナ/イスラエル論』(有志舎、2020年)の裏表紙紹介文。

■シオニズムの本質=植民地主義+人種主義+国民主義
➀ヨーロッパ列強の中東地域への植民地帝国的介入
②ヨーロッパの反ユダヤ主義的排外主義
➂ユダヤ人も近代国民国家を持ち「国民」に
→ユダヤ人のパレスチナ入植と国家建設で欧州の防波堤になる

■ガザ地区の歴史的成り立ち、イスラエル建国
かつてのオスマン帝国崩壊からイギリスやフランスの占領統治となり、ユダヤ人国家を目指すイスラエルと、アラブであるパレスチナの独立をめぐる歴史的な対立が背景にある。

■「最大限の土地に最小限のアラブ人を」
シオニストのリーダー(初代首相)のベングリオンは1930年代に「8割の土地を得て、人口の8割以上をユダヤ人に」「ユダヤ人の入植とアラブ人の追放を」を訴え、1947年の国連分割決議から、軍事力でパレスチナ人を追放(虐殺、脅迫、詐術)し、パレスチナがイスラエルの占領下におかれた。
→1948年に建国し、1949年に休戦で、パレスチナの78%の土地にユダヤ人口比85%を達成した。

■ガザ地区は「難民キャンプ」的存在
イスラエル建国に伴い不自然に取り残された狭隘な土地。故郷を追われたパレスチナ人が難民として閉じ込められ、仕事もなく劣悪な生活環境の下での難民キャンプ生活を強いられてきた。人口220万人のうち80%にあたる170万人が難民とその子孫。

1、ガザ地区封鎖の始まりとしてのオスロ和平体制

イスラエルによるユダヤ人の入植が強権的にすすめられる中、1987年、差別と屈辱から起きたインティファーダ(蜂起)と呼ばれる反占領抵抗運動が広がり、この事態に対し欧米列強国が1993年、PLO(パレスチナ解放機構)との間で、パレスチナ国家独立による2国家共存を建前として「西岸及びガザでパレスチナ暫定自治を開始する」といったオスロ和平合意が成立するが、難民の根本的な問題解決や国境の画定などは行われず、「自治政府」はイスラエルの占領政策の下請け状態となり、「自治」の名のもとに依然としてイスラエルの軍事占領が続いてきた。「占領ではない」という体裁で、占領のコスト・責任を避けられるようになった。

※「インティファーダ(蜂起)」…イスラエル建国で追放されたパレスチナ人の対イスラエル抵抗運動を指す言葉。

■なぜ圧倒的に不利で不正義なオスロ合意をPLOが認めたのか?
・冷戦の終焉と湾岸戦争で、二つの後ろ盾(湾岸諸国・ソ連)を失って困窮
・1990年の湾岸危機でPLOがイラク支持を表明し湾岸産油国が反発
・1991年にソ連(共産圏)の解体(アメリカがイスラエルを支援をしていたのに対抗する形で、ソ連がパレスチナを支援していた。

2、第二次インティファーダ(2000年)ハマースの台頭

・オスロ合意が実際には占領状態を悪化させただけで(これはオスロの失敗ではなく、これこそがオスロの意図)、民衆の不満が爆発、2000年から第二次インティファーダが始まる。
・PLOはイスラエルに無能扱いされ集団懲罰にあい、さらに従属化
・パレスチナ民衆は、PLOより、オスロ体制を批判するハマース支持に
→2006年パレスチナ議会選挙でハマースが勝利

■そもそもハマース(ハマス)とは?
・ムスリム同胞団(福祉・社会活動をする団体)をもとに、第一次インティファーダが始まった1987年に「イスラーム抵抗運動」として結成された。
・世俗的なPLOに対するライバル的存在として、第一次インティファーダ期には、イスラエルはハマースを支援さえしていた。
・オスロ和平体制下では、「反オスロ」の立場で自治政府も拒否し、「和平の敵」=「テロ組織」というレッテルを貼られた。

■国際社会によるハマース政権の拒絶
・ハマースが「反オスロ」のために、イスラエルと欧米日は揃ってハマース政権をボイコット(民主的選挙を否定)
・ハマースとファタハ(PLO,主流派)との連立政権も重ねて拒絶
・ハマースが原理主義とかイスラエル抹消を狙っているということではなく、「入植地の撤去、東エルサレムの返還、国境管理権、水利権の確保、難民帰還権の承認」を要求しているからこそ、イスラエルと米国はハマースを拒絶

■煽られた内戦、ガザ地区封鎖
・イスラエルと米国は選挙に負けたPLOのファタハに武器・弾薬を提供しハマースとの内戦を扇動、イスラエルは西岸地区のハマース議員・活動家を逮捕し、収監ないしガザ「流刑地」送り
→結果2007年、西岸地区はPLOが継続支配(西岸地区の自治政府を維持)、ガザ地区のみハマースが統治、二つの分裂政権の状態に
→ガザ地区の徹底封鎖と、集中的な攻撃の開始(現在に至る)

3、ガザ地区攻撃の真意はどこに?
ガザ地区は消滅するのか?

■ガザ地区の切り離しを画策
・「内戦」で2007年に、西岸=PLO自治政府、ガザ=ハマース自治政府、となって以降にガザ地区そのものの抹消を計画
・2007年に、ガザ地区をエジプト領へと移管することをエジプト政府に交渉
・2012年に、ガザ陸住民をエジプト・シナイ半島の3分の1ほどの地域に移住させることを米国経由で提案

ガザ地区を「処分」するために意図的に内戦と分断を?


※「ナクバ 」1948年に約75万人のアラブ人の社会と祖国が破壊され、大多数のパレスチナ人が恒久的に退去を余儀なくされた出来事

■虐殺と避難以外の民族浄化の兆候
・病院・診療所の破壊、医療従事者の殺害・拘束
・中央裁判所、中央公文書館の破壊
・アズハル大学やイスラーム大学、その他学校の破壊
・大オマリ・モスクや聖ポルフィリオス教会の破壊
・イスラエル国旗を立てる。ダビデの星を刻む。
→パレスチナの文化・歴史・人間性を消去しユダヤに上書きする

国際司法裁判所の動き

■南アフリカによる国際司法裁判所への提訴
・2023年12月29日に南アフリカ共和国がイスラエルのガザ攻撃が国際法の禁じたジェノサイドに当たるとして提訴
・南アフリカはかつてアパルトヘイト体制時代にイスラエルと緊密な軍事的協力国だったが、マンデラ大統領時代からはイスラエル批判へ
・2024年1月26日に「ジェノサイドを防ぐ措置を講じる」仮裁定がなされる。
→正式な判決には数年を要する

■国際司法裁判所(ICJ)の意義と限界
・ジェノサイド禁止条約など国際法違反を世界に示した。
・法的拘束力があると言われるが、実際の強制力はない。
・実際、パレスチナの隔離壁についても、2004年にICJから違法判決(解体・撤去と補償を求める)が出されたが、そのままだった。
・今回もイスラエルは判決と関係なく軍事行動を継続すると公言
・国際司法裁判所の命令を受けて国際社会が具体的に行動を!

■UNRWAへの拠出金停止の暴挙
・国際司法裁判所の仮裁定(イスラエルの責任を認めた)に対する報復措置のように、イスラエルはUNRWA職員がハマースに協力していたケースがあるとして、欧米にロビー活動
→拠出金停止に
・そもそもUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)は、イスラエル建国で発生した難民の生活支援のために1949年に設置
・イスラエルは、「UNRWAがあるからパレスチナ難民問題が存続する。UNRWAを解体すべき」と従来から主張し、敵視してきた
・難民が住民の7割以上を占めるガザ地区の抹消は、イスラエルにとっては「難民問題」の最終解決。UNRWA解体はその一環

〈10.7〉蜂起の直前にネタニヤフ首相が示していたパレスチナが存在しない「新しい中東」

長野県憲法擁護連合第69回定期総会を開催

2024年活動方針を確認

平和憲法を守り活かすため、緊急事態条項創設を突破口とする憲法改正発議を許さない世論を強めていくとともに、敵基地攻撃能力を保有する防衛費の増額、沖縄辺野古基地建設に反対する運動、多様性を包摂する人権確立に向けた運動などを展開していくことを盛り込んだ2024年活動方針を確認しあいました。

冒頭、昨年2月18日に逝去された県護憲連合の代表委員で信州安保法制違憲訴訟の会の弁護団長を務めてきた佐藤芳嗣弁護士(上田市在住)に黙とうをささげ、遺志を引き継いでいくことを誓いました。

ウクライナ、パレスチナ、ミャンマーなどで戦禍がやまず

今年の総会は、元日の能登半島地震により災害復旧、被災者支援が喫緊の課題となる一方、自民党派閥の裏金作りが露呈し、またもや政治とカネの問題が政権を直撃する局面での開催となりました。
さらに問題は、国内政治にとどまらず、世界情勢もウクライナ、パレスチナ、ミャンマーなどで戦禍がやまず混迷を深めていることです。即時停戦、人道支援の徹底とともに、占領統治による対立と分断から共存、多元的価値と文化の共生に転換すべきことが問われています。

「憲法改正条文案の具体化を進め、総裁任期中の憲法改正を実現する」と年頭記者会見で強調した岸田首相の下で、敵基地攻撃能力(反撃能力)を保有し、5年間で43兆円の防衛費増強、沖縄辺野古基地の民意を無視した国代執行による建設強行、九州・南西諸島の軍事強化、殺傷兵器を輸出する「防衛装備移転3原則」の改定など、戦争する国づくり、死の商人となる国づくりが推し進められています。

二度と戦争はしないと誓った憲法第9条

日本国憲法は、大きな犠牲を払った悲惨な戦争の反省から、人々の平和と民主主義の願いの下に生み出されました。どんな理由があろうとも二度と戦争はしないと誓った憲法第9条は、戦後の混乱と絶望の時代から今日まで、人々に大きな希望と生きる勇気・平和の大切さを与え続けました。憲法第9条は、世界の平和を求める人々の希望です。子どもたちの未来と世界の平和、地球環境と人権を守るため、日本国憲法の平和原則を日本と世界のためにいかしていきたいと願います。