21世紀のキーワード―平和・人権・環境

長野県平和・人権・環境労働組合会議

会社破産・解雇された蔦友印刷労組組合員の労働債権確保をめざして

県労組会議や長野地区労組会議、印刷フォーラムが支援活動

カンパ金100万円を蔦友印刷労組に贈呈

今年3月末に破産した蔦友印刷株式会社では、会社資産の現金化、清算作業が破産管財人の弁護士によって進められてきました。9月11日には債権者集会が開かれ、資産の整理状況について報告が行われました。解雇された組合員23人には毎月の賃金の未払いはありませんが、解雇時に退職金が未払いでした。「賃金の支払の確保等に関する法律」によって一定額は確保できるものの、債権者集会で破産管財人は、資産の売却や売掛金の回収などで確保した金額では、退職金の全額を支払うことができない状況にあると報告しました。

労働組合としては、引き続き資産の整理を進め、組合員の退職金全額の支払いを求めていく方針です。

県労組会議、長野地区労組会議、印刷フォーラムではこの間、解雇された蔦友印刷労組組合員の生活の一助にしてもらうため、カンパ活動に取り組んできました。9月には、集まったカンパ金100万円を蔦友印刷労組に手渡しました。

311 子ども甲状腺がん裁判第7回口頭弁論を傍聴して

東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質の影響で甲状腺がんになったとして、事故当時、福島県内に住んでいた男女7人が東京電力に損害賠償を求めている「311子ども甲状腺がん裁判」の第7回口頭弁論が9月13日、東京地裁で開かれました。

 

【第7回口頭弁論の傍聴報告資料】

 

 

 

                             

ミャンマーを忘れない! 交流フェスタを初開催

10月29日(日)は長野市・セントラルスクゥエアへ集まろう

ステージではミャンマーの歌や踊り、広場ではミャンマー料理の提供も

クーデター直後と比べてミャンマーへの関心が薄くなっている現状があります。私たちは「ミャンマーを忘れない」を合言葉に活動を続けてきました。「ミャンマー民主化を支援する信州の会」の活動の一環として、多くの市民の方々がミャンマー問題について考えてもらうきっかけにしたいと、誰でもが気軽に参加できるフェスティバルを企画しました。

家族連れでのご来場をお待ちしています。

関東大震災時の朝鮮人大虐殺事件から100年

日本政府は虐殺の真相を解明し関係者へ真摯な謝罪を

いまだ続くヘイトスピーチ、民族排外主義を許さない

今年9月1日は、首都圏に甚大な被害をもたらした関東大震災から100年。多くの日本人には9月1日は「防災の日」として広く知られています。

しかし、このとき起きたのは自然災害だけではありません。震災のさなか流言飛語が飛び交い、戒厳令が公布され、6千人以上の朝鮮人が、軍隊、警察、自警団によって虐殺されました。

2003年8月、日本弁護士連合会は日本政府に対して虐殺の責任を認め、被害者と遺族への謝罪、真相調査と原因究明を勧告しました。しかし、日本政府はいまだに事実を認めず、調査も謝罪も賠償もしていません。それどころか今年5月23日に開かれた参議院内閣委員会で谷公一国家公安委員長は、朝鮮人虐殺事件についての質問に対し、「事実関係を把握できる記録が見当たらない。さらなる調査は考えていない」と答弁し真相調査すら拒んでいます。

そうしたなか、「虐殺否定論」がまん延し、災害時にはSNSなどで「朝鮮人犯罪」に関わるデマが繰り返され、在日朝鮮人に対する差別や暴言、暴行事件など、100年前を想起させる事態が後を絶たないのが日本社会の現状です。

関東大震災時に虐殺された犠牲者を追悼し、虐殺の真相究明を進め、政府などの責任を追及する必要があります。そして、「多文化共生」が強調される社会のなか、在日韓国・朝鮮人に対する差別と偏見、ヘイトスピーチ・クライムを根絶するための運動が求められています。

日朝県民会議が朝鮮人虐殺の歴史を学ぶ学習会を開く

日朝長野県民会議は8月26日、日朝問題学習会では、朝鮮大学校で在日朝鮮人史を専攻する講師、鄭永寿(チョン・ヨンス)さんを講師に、関東大震災での朝鮮人虐殺の真相、日本による朝鮮半島植民地支配による朝鮮人に対する加害と抑圧の歴史について講演していただきました。学習会には約50人が参加。

鄭永寿さんは講演の中で、関東大震災の時にも朝鮮人への偏見、差別から大虐殺が起きた歴史に学ばず、いまだに歴史修正主義がはびこる日本社会だと指摘。関東大震災100年の現実を克服するために、日本政府には、被害者側に立証責任を負わせてきた態度を改め、加害側から真相を徹底的に調査、発表すること、また、「不逞」「騒擾」とみなし弾圧してきた運動の責任追及の声に真摯に向き合うことで、虐殺の罪を認め責任を果たすことが求められていると強調しました。

松本市で開いた日朝問題学習会

講師の鄭永寿(チョン・ヨンス)さん

9月1日には東京で追悼行事が開かれる

レイシスト集団「そよ風」が虐殺否定の式典開き市民が強く抗議

関東大震災から100年が経過した9月1日、東京都立横網町公園内にある朝鮮人犠牲者追悼碑前で、「東京同胞追悼会」(主催=総聯東京都本部、東京朝鮮人強制連行真相調査団)が執り行われた。追悼会には、朝鮮総聯中央本部の許宗萬議長をはじめとする活動家、在日朝鮮人、日本市民など約500人が参加しました。

昼過ぎに始まった追悼会では、犠牲者に捧げる「アリラン」の独唱に続き、参加者全員が犠牲者を偲び黙とうをささげました。

また、同日夜には、東京都中央区の銀座ブロッサムで、関東大震災100年朝鮮人虐殺犠牲者追悼と責任追及の行動実行委員会が主催する集会が開かれ、約800人が集まりました。

9月1日の夕刻には、レイシスト(人種差別主義者)集団の「そよ風」が横網公園の朝鮮人犠牲者追悼碑の前で式典を計画しました。「そよ風」は、加害・侵略の歴史を否定し、民族排外謝儀的な考えを持つグループで、関東大震災時の朝鮮人虐殺もなかったと強弁しています。そのような集団が朝鮮人犠牲者追悼碑の前で「式典」を行うことは、虐殺された朝鮮人への冒涜であり、歴史をねじ曲げようとする行為です。「そよ風」の式典に抗議する市民約300人は会場に座り込み、レイシスト集団に抗議のシュプレヒコールを行いました。結果として、「そよ風」は、追悼碑前での「式典」を断念し、公園の別の場所で実施しました。歴史修正主義、民族排外主義を許さない運動を求められています。

墨田区の横網公園で行われた追悼式典

レイシスト集団「そよ風」に抗議する市民

横網公園の朝鮮人犠牲者追悼碑には多くの献花が。

墨田区の荒川沿いに建立されている追悼碑

9月2日には国際シンポジウムが開かれ350人が参加

翌日、9月2日には、「関東大震災100年朝鮮人虐殺犠牲者追悼と責任追及の行動」実行委員会が主催する国際シンポジウム「関東大震災朝鮮人虐殺の責任と課題」が東京・千代田区の連合会館で行われました。場内は、日本各地から集まった在日朝鮮人や日本市民など約350人でいっぱいになりました。

主催者を代表し、元法務大臣の平岡秀夫さん(弁護士)があいさつ。平岡さんは、100年前の大震災で虐殺された朝鮮人犠牲者らに哀悼の意を示したうえで、昨今、官房長官が会見の場で「事実関係を把握する記録は見当たらない」と述べるなど朝鮮人虐殺に関する日本政府の対応を非難。「今を生きる日本人の中には個人的に責任を負うべき人はいないかもしれない。しかし、朝鮮人虐殺の事実を明らかにし、その明らかにされた事実に応じて、謝罪など必要な対応をする責任がある」として、今を生きる日本の市民らの責務について問いかけました。

国際シンポジウムに先立ち、コーディネーターの佐野通夫・東京純心大教授が発言。佐野教授は、「関東大震災時の戒厳令をもって在日朝鮮人を『討伐すべき敵』としての『不逞鮮人』とみなす公的なヘイトが、民衆のヘイト感情を掻き立て官民一体のジェノサイドが起きた。またその背景である日本の植民地主義の清算がなされていないことを見逃してはいけない。国家と社会による歴史の忘却、責任からの逃避が戦後日本社会における朝鮮人差別を形作ったのではないか」と問題提起しました。

報告者として、明治学院大の鄭栄桓教授(「関東大震災時の朝鮮人虐殺と『否定論』の諸問題」)、朝鮮大学校の鄭永寿講師(「在日朝鮮人運動による関東大震災朝鮮人虐殺の真相究明・責任追及」)、東京造形大の前田朗名誉教授(「国際法から見た関東大震災ジェノサイド」)が登壇したほか、韓国から淑明女子大の金應教教授(「百年間の証言―韓日の作家と市民がみた関東大震災と朝鮮人虐殺―」)が、米国からイースタン・イリノイ大のリジンヒ教授(『米国における関東虐殺否定論とジェノサイドへの対応』)が登壇しました。

その後、報告者5人による相互討論がありました。

9月2日に開かれた国際シンポジウム

800人が参加した9月1日の追悼集会

10月15日に長野市で「市民集会・脱原発2023㏌信州」を開きます

大島堅一さん(龍谷大学教授)が京都から来場して講演

「原発に未来はあるか?『無責任の構造』を超えて原発ゼロ社会へ」

福島第一原発事故から12年以上が経過しました。いまだに「原子力緊急事態宣言」は解除できない状態が続いています。廃炉の目途も明確になっていません。しかし、政府は原発推進方針に明確に舵を切り、重大事故を起こした福島第一原発と同型の原発再稼働をすすめ、「原則40年最長60年」ルールを撤廃し、世界でも前例のない60年超への運転期間延長を可能とする法改定を強行しました。さらに原子力基本法を改定し、原子力産業基盤の維持・強化、原子力投資環境の整備、使用済み核燃料の再処理・貯蔵の推進などを国の責務としています。ウクライナ危機を契機に、エネルギー不足により電力需要が逼迫するかの如く原発回帰の必要性を喧伝しています。

福島第一原発事故の反省もなく、原発回帰政策を突き進む岸田政権のエネルギー政策に、明確なNO!を突き付けていかなくてはなりません。

市民団体や県原水禁などでつくる実行委員会は、市民集会・脱原発2023in信州を開きます。集会には、「原子力市民委員会」の座長であり、龍谷大学教授の大島堅一さんを講師にお招きします。大島さんは、原発のコスト問題の調査・研究が特に有名で、経済面、コスト面からもエネルギー政策において原発を選択する余地はないと強調されています。原発回帰政策に突き進む政府の政策の問題点、ドイツでの脱原発社会の実現などの点について講演で話していただきます。

どなたでも参加できます。Zoomでの視聴も可能です。お誘い合ってご参加ください。

◆講演「原発に未来はあるか?『無責任の構造』を超えて原発ゼロ社会へ」

講師 大島堅一氏(原子力市民委員会座長/龍谷大学教授)

おおしま・けんいち 1967年生まれ。専門は、環境経済学・環境政策学。立命館大学国際関係学部教授を経て、2017年から龍谷大学政策学部教授。2018年から原子力市民委員会座長。この他、大阪府特別参与、日本環境会議代表理事なども歴任。主著に『炭素排出ゼロ時代の地域分散型エネルギー』(日本評論社、2021年)、『原発のコスト』(岩波書店、2011年、大佛次郎論壇賞受賞)など。

◆市民運動の現場から活動報告

①柏崎刈羽原発運転差し止め裁判の現状

②311福島・子ども甲状腺がん裁判の現状