21世紀のキーワード―平和・人権・環境

長野県平和・人権・環境労働組合会議

軍事クーデターから2年-ミャンマーを忘れない

ミャンマーで国軍がクーデターを起こしてから2月1日で丸2年を迎えてしまいました。国軍による市民への弾圧が続き、ミャンマーの人権団体によると、クーデター以降、3000人近くがが殺害され、今なお約1万4千人が拘束されています。国内外に逃れた避難民・難民は250万人を超えるとされます。

ミャンマーでは1日、軍政に抗議するため、一斉に仕事を休んで外出を控える「沈黙のストライキ」が呼びかけられました。非暴力・不服従の抗議です。

「ミャンマーの民主化を支援する信州の会」では2月1日夜、JR長野駅前で約20人が参加し、クーデターから2年、国軍による市民の殺害・弾圧に抗議する「沈黙のストライキ」に連帯し、一日も早く自由と平和を取りもどし民政を復活させるため、民主化支援の募金を呼びかけながら街頭アピールを行いました。

アピールする若麻績敏隆・信州の会代表

零下に気温が下がるなかアピールする参加者

参加者全員でクーデターへの抗議の意思を示す指を三本立てて集合写真。

ミャンマー国軍に対し、欧米の国々が軍政を認めず経済制裁を行う一方、日本政府はミャンマーに対するODA(政府開発援助)を継続し、官民一体で国軍や国軍系企業とつながる公共事業等への支援を続けています。「経済協力」の名のもとに、国軍による軍政、人権侵害に加担していることも大きな問題です。日本政府は直ちに経済協力を停止すべきです。

長野を訪れた外国人や若い皆さんからカンパをいただきました。これまでに県内で寄せられた民主化支援の募金は200万円以上に上り、食糧・経済支援、教育支援に充てるため、人権団体等を通じて送金してきています。

ロシアのウクライナ侵攻の惨劇が連日報道されることに比べ、ミャンマーの軍事クーデター・軍政による殺害・弾圧は忘れられつつあることを憂慮します。

信州の会では今後も、ミャンマー民主化を支援する活動を継続していきます。ミャンマーを忘れない!

「311子ども甲状腺がん裁判」第4回口頭弁論を傍聴して

東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質の影響で甲状腺がんになったとして、事故当時、福島県内に住んでいた男女7人が東京電力に損害賠償を求めている「311子ども甲状腺がん裁判」の第4回口頭弁論が1月25日、東京地裁で開かれました。

東京地裁前アピール(入廷前の弁護団の皆さん)

昨年11月に開催された脱原発2022 in信州でOurPlanet-TV代表・白石草さんに講演していただいた内容の裁判になります。

市民集会・脱原発2022 in 信州「誰にも言えず、苦しんできた~福島甲状腺がん患者の現実~」白石草(OurPlanet-TV)講演会

原告側が提出したのは、黒川眞一高エネルギー加速器研究機構(KEK)名誉教授の意見書。福島第一原発事故当時の放射性物質の詳細なデータはあまり残っていないものの、KEKの平山英夫教授(当時)ら、研究グループが、原発から60キロ地点にあった福島市紅葉山のモニタリングポストに1時間ごとの核種別の線量が残っていたことに着目し、大気中の放射性ヨウ素131の濃度を算出した論文が存在していることを指摘した上で、その時間ごとの濃度をもとに、1歳の子どもの吸引による被曝線量を推計。その結果、最も放射線量が高かった3月15日から16日の数時間にかぎっても、約60ミリシーベルトの内部被曝をしたと主張しました。UNSCEAR(国連科学委員会)の報告書をもとに、原告らは10ミリシーベルト以下の被曝しかしていないとする被告の主張は、あまりに過小評価であり、信頼性が低いと指摘しました。

このあと原告2人が証言台に立ち、意見陳述をしました。事故当時、中通りで生活していた 20代の男女ひとりずつで、男性はこれまでに4回の手術を経験。7時間におよぶ2回目の手術では、「死んだ方がましだ」とさえ考えた苦しみを、涙声で訴えました。

もう一人の女性は、1年前の裁判提訴の新聞記事を見て原告団に加わった経緯に触れ、自分と同じような境遇の患者による裁判の存在により、心が救われた思いを吐露。女性は、「坂本三郎さん、野口晶寛さん、原健志さん。」と裁判官の名前を一人ひとり呼び、「私たちは今、匿名で闘っていますが、一人ひとり名前があります。私の名前はわかりますか。」と問いかけ、「かつての私のように、裁判官の皆さんにとっては、ひとごとかもしれません。私がそうだったから、痛いほどわかります。でも、私たちがなぜこのように立たざるを得なかったのか。それだけでも理解してほしいです。」と声を振り絞って訴えました。

報告集会には、抽選に漏れてしまい裁判を傍聴できなかった多くの方が参加し、意見陳述の音声と準備書面の説明動画が流され、また弁護団ひとりひとりから報告がありました。

報告集会の様子(日比谷コンベンションホール)

京都から駆け付けたアイリーン・美緒子・スミスさんもマイクを取られ、「原告の方たちの生の声を、日本中の人に聞いてもらいたい。今日、ここに参加の皆さんは、このことを誰に伝えるかを、今、決めてほしい。そして集会が終わったら発信しましょう。みんなでがんばりましょう」と話されました。

アイリーン・美緒子・スミスさん

担当弁護士が原告の意見陳述の様子を報告されました。

原告4担当・北村弁護士

井戸弁護団長からは「被告の主張は、UNSCEAR報告に全面的に依拠している。UNSCEARは必ずしも中立的な機関ではない。推測値に基づいて10mSv以下だからがんにはならないと主張しているが、実は、福島市のモニタリングポストに大量被ばくの実証データがあった。呼吸だけで60mSvになる。この被告の主張の根幹を崩すことが重要」とし、

さらに、「この裁判についてはメディアの扱いは小さく、ほとんど報道もされない。知らない人の方が多い。多くの人に知ってもらうという法廷の外での戦いも必要だ」と訴えられました。

報告集会で話す井戸弁護団長

次回の第5回口頭弁論期日は3月15日(水)14時から東京地裁103号法廷で開かれます。第6回期日は6月14日、7回期日は9月13日に決まりました。

また、署名活動を受けてこれまでの法廷から大法廷(一般傍聴人席はこれまでの26席から75席へ)で審理が行われることとなったそうです。

原告の皆さんの「何が起こったかを知りたい」との思いで開始された裁判の行方を、今後も注目していきたいと思います。

最後に筆者自身も福島県からの自主避難者で、子どもたちは県民健康調査を受けています。 傍聴して感じたことをここに記載させていただきます。

裁判を傍聴して感じたこと

 

「ここから『関西生コン事件』と私たち」上映会を開きます

2月18日に長野市で 主役の松尾聖子さんも来場

建設や輸送、生コン関連産業で働く労働組合でつくる全日本建設運輸連帯労働組合(全日建連帯労組)関西生コン支部に対し、警察や検察、経営者団体などが一体となって弾圧を加えている事件は、現在、裁判や労働委員会などで闘いが継続しています。正当な組合活動を刑事事件化し、81人もの組合員を不当逮捕・起訴した弾圧事件は前代未聞です。関西生コン支部にとどまらず、すべての労働組合の権利に関わる事件だと位置づけられます。もしこのまま、関西生コン支部の弾圧が「正当化」されるならば他の労働組合の活動にも影響が及びかねません。

このたび全日建連帯労組は、映像を通し事件の真実を広く訴えることが重要だとして、ドキュメンタリー映画を制作、昨年秋に「ここから『関西生コン事件』と私たち」(土屋トカチ監督)が完成しました。

映画の紹介文では以下のように記されています。

「襲いかかる警察。つぎつぎに逮捕される組合員。ストライキやビラまきなど当たり前の労働組合活動が、日本ではいつから組織犯罪とされるようになったのか。無法地帯と化した生コン業界で、組合員という理由だけで仕事も奪われていく――。逮捕された組合員のべ81人、組合脱退者500人以上。戦後最大規模の組合弾圧事件=「関西生コン事件」は、仲間と家族を引き裂き、強さを誇った組合は壊滅的危機に陥った。だが、踏みとどまって、苦しみながら、もがきながら、ここから運動を立て直そうとする確かな胎動がある。関生支部の真実と現在を、ひとりの女性ドライバーを中心に描き出す」

県労組会議、長野地区労組会議では、この間、関西生コン支部から組合員をお呼びしてオルグや報告集会などに取り組んできました。今回、上映実行委員会をつくり、一人の女性労働者を通して関西生コン支部事件の真実を訴えるドキュメンタリー映画の上映会を企画しました。

ぜひ多くのみなさんがこの映画を鑑賞していただけるようにお願い申し上げます。

1.上映日時  2月18日(土) 10:00

2.場  所  長野県労働会館 5階 大会議室 長野市県町532-3 電話026-235-3216

3.名  称  「ここから『関西生コン事件』と私たち」上映会in長野

4.主  催  「ここから『関西生コン事件』と私たち」上映会in長野実行委員会

※構成団体 県労組会議/長野地区労組会議/I女性会議/県護憲連合/戦争をさせない1000人人委員会・ながの

5.内  容

①映画上映(74分)

②報告・関西生コン支部事件とは何か 小谷野毅・全日建連帯労組書記長

③対談 松尾聖子・関西生コン支部組合員(映画主役)/西澤かおり・私鉄アルピコ労組川中島バス支部/進行役:松澤佳子・I女性会議

6.上映料金  一人1000円 ※パンフレット付き

7.申し込み  県労組会議まで ホームページ「お問い合わせ」 電話026-234-2116

報告集会「ミャンマーに平和と自由を」開催

「ミャンマー民主化を支援する信州の会」(代表=若麻績敏隆・白蓮坊住職)は、1月29日、長野市内でミャンマーでの軍事クーデターから2年になるのを前に報告集会「ミャンマーに平和と自由を」を開催しました。オンラインを含め42人が参加しました。

オンラインをあわせて42人が参加した

若麻績敏隆代表

ミャンマーの軍事クーデターから2年

2021年2月1日の軍事クーデターから2年が経過しましたが、ミャンマーの情勢は悪化の一途を辿っています。反軍政の活動をした大学生4人への死刑判決や学校への空爆など自国民への暴力はエスカレートしています。軍・警察の弾圧による死者は約2900人に上り、いまだ1万7000人の拘束が続いています。

報告集会ではミャンマー出身の同窓生たちと支援に取り組んでいる信州大学の佐藤友則教授にコーディネーターを務めていただき、日本で暮らすミャンマー人民主化活動家のウィンチョウさん、Justice Myanmarのミャンマー人Tさん、ミャンマーのヤンゴン市在住の映像プロデューサーの新町智哉さんらから、現在のミャンマーの状況について報告していただきました。

集会当日に使用されたスライド資料

ミャンマー現状報告(PDF)

 

軍による放火・虐殺、増え続ける死者

Justice MyanmarのTさん

集会のなかでは、クーデター当初よりも軍による放火や虐殺が増えていることが示され、政治犯支援協会(AAPP)のデータなどからも死者数が増え続けていることが報告されました。またさまざまなビジネスを行うミャンマー国軍が持つ利権の構造や、国軍とのビジネスに出資してきた日本政府・企業の問題点にも触れられました。日本政府は、国軍とのパイプを重視して、ODA=政府開発援助も全面停止には至っていません。

大勢の市民が殺害されていることがわかる

子どもたちが通う学校も攻撃されている

平和的な民主化活動の現状(デモ・CDM[市民的不服従運動])

市民によるデモが続けられている

反軍政の意思表示として公務員や軍人などもCDM(職場放棄)に参加している

ヤンゴン在住の新町智哉さんからの報告

ヤンゴンからオンラインで報告する新町智哉さん

現地からオンラインで参加した新町智哉さんは「現在のミャンマーをまともな法治国家として認めないという意思を力強く出しているのが、ヨーロッパやアメリカ」と指摘し、危険レベル2「不要不急の渡航中止」として、欧米諸国(危険レベル4)より甘くしている日本政府の対応を批判しました。また、現地在住の日本人の間では、拘束された日本人ジャーナリストや軍政の問題に沈黙する空気が漂っていると報告されました。

ミャンマー危険情報レベル(外務省・海外安全ホームページ)

ロヒンギャ問題で揺れるラカイン州などを除きほとんどの地域が危険レベル2とされている

長野県内で働くミャンマー人青年の訴え

現地から送られた避難生活を続けるミャンマー人の難民キャンプの映像などを交えて報告したウィンチョウさんは「いちばん怖いのはビルマ(ミャンマー)のことが忘れられること」と訴えました。

80年代から民主化運動に参加してきたウィンチョウ夫妻

集会の最後には、故郷ミャンマーから遠く離れた信州で農業を支えるミャンマー人青年4人が登壇して民主化への思いを語っていただきました。軍とPDF(国民防衛隊)との戦争が続いて、死者が増え続けていることに苦しんでいること。ミャンマーに平和が訪れてほしいという願い。そのためにできることをするという強い決意が示されました。

急遽、登壇してくれた県内在住のミャンマー人青年たち

ミャンマー民主化を支援する信州の会は、今後も学習会のほかミャンマーの文化に触れる場や写真展などを企画していきます。日本在住・県内在住のミャンマー人の方々とも連携しながら粘り強い支援を続けていきます。

ご支援ご協力をよろしくお願いいたします。

信濃毎日新聞(1月30日朝刊)に記事が掲載されました

信濃毎日新聞(1/30)

 

 

 

核兵器禁止条約の批准求める署名約5万筆を外務省に提出

長野ネットが杉尾秀哉・参議院議員とともに武井俊輔・副大臣に手渡す

武井俊輔・外務副大臣に要請書を手渡す

前座明司さんが署名の趣旨を読み上げ

県原水禁や被爆者団体などでつくる「核兵器禁止条約をひろげる長野ネット」は1月24日、前座明司さん(県原爆被害者の会副会長)を団長とする計7人が外務省を訪れ、これまでに集めた50,586筆の「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」を武井俊輔外務副大臣に提出しました。今回の署名提出では、立憲民主党の杉尾秀哉参議院議員に外務省との連絡をとっていだだき実現の運びとなりました。また杉尾議員の事務所の方々には、外務省との細かな打ち合わせや署名運びの手配など、たいへんお世話になりました。

17時10分からから始まった署名提出の冒頭、杉尾議員から今回の署名の提出に至った経緯を説明していただき、その後、前座団長が請願書を読み上げ、武井副大臣に手渡しました。

その後およそ15分間の懇談会が行われました。武井副大臣は、長野ネット代表団とのやりとりの中で「核兵器廃絶は広島出身である岸田総理も大事に考えており、皆さん方の要請、そして5万筆の重みを感じている。核兵器禁止条約が発効され、多くの国が批准しつつあることも承知しているが、日本政府としては、核保有国が1国も批准していない現状をみると、より現実的な対応が必要と考えている。5月に行われる広島サミットでは、核軍縮も大事なテーマの1つになる」などと話しました。

参加者からは「唯一の戦争被爆国として、核廃絶の先頭に立ってほしい」「せめて今年行われる第2回核兵器禁止条約の締約国会議に、オブザーバー参加をするように検討してほしい」といった要望が出されました。短い時間の懇談会でしたが、参加者の強い願いを訴える機会になりました。