日朝県民会議定期総会で修士論文の内容を報告
朝鮮の自主的平和統一を支持する長野県民会議(日朝県民会議)は昨年12月17日、長野市内で会場参加とZoom参加合わせて約40人を集めて第45回定期総会を開きました。
総会では、金明宏・朝鮮総聯県本部委員長や河舜昊・長野朝鮮初中級学校校長から連帯のあいさつをいただきました。また、1年間の活動経過と方針を承認、「南北朝鮮の融和と統一への流れを確かなものとし、米朝関係の正常化による朝鮮半島での平和共存体制の実現、一日も早い日朝国交正常化を求め」「朝鮮学校への高校無償化、幼保無償化適用、在日朝鮮・韓国人へのヘイトスピーチの規制を求め」るなどとする総会決議を採択しました。
総会後の記念講演は、朝鮮大学校を卒業後、一橋大学院の修士課程に在籍している金穂実さん。金さんは、高校、大学校の学生だった時に、松代大本営をフィールドワークした経験から、大学院での修士論文のテーマに松代大本営工事を選択しました。論文の題名は「市民団体による松代大本営地下壕保存運動-説明板書き換えにおける観光地化の影響と『強制性』解釈に注目して-」です。研究の目的は、「加害を伝えてきた戦争遺跡である松代大本営地下壕に着目し、松代で展開された保存運動が、観光地化や歴史修正主義的潮流が広がる中でどのように展開されたのかについて検討する。『負の遺産』の観光地化に伴い起きる、『負』の側面の後景化を加速させるものとして、歴史修正主義的潮流があることを指摘することを目指す」と位置付けました。
金さんは、2014年に長野市が説明看板の説明文のなかで朝鮮人への「強制性」をあいまいな表現に書き換えた問題について、「朝鮮人への強制性を限定的に解釈し、市民団体との対話を拒否」してしまったと強調しました。
金さんは講演の最後に、在日朝鮮人の詩人、金時鐘氏の言葉「そうして全ては眺める位置で薄れていったのだ」を紹介。松代大本営が残ったものではなく「遺されたもの」であり、保存運動の蓄積への敬意と感謝を表したいと強調。そして、日本社会で加害の歴史に向き合う難しさ・苦しさも感じていると感想を述べました。