駒ケ根市社協は控訴を断念しAさんを職場に戻せ

社会福祉法人駒ケ根市社会福祉協議会の職員で、椎間板ヘルニアを発症したAさんが駒ヶ根市社協から解雇された問題で、1月11日長野地裁松本支部は、Aさんの訴えを全面的に認め、解雇無効と地位確認、解雇以降の未払い賃金及び一時金の支払いを命ずる判決を下しました。

Aさんは、2005年から社協に非常勤職員として採用されて介護職として働き始め、2014年に正規職員として採用されました。通所介護事業所「駒ヶ根市デイサービスセンター竜東やまびこ園」の介護員、生活指導員として勤務していたところ、2015年6月腰椎椎間板ヘルニアを発症し、伊那中央病院で椎間板ヘルニア摘出手術の上、翌月から総務課庶務係に復帰し事務職の仕事に就いていました。

その後、2017年異動先の介護度の低いB型就労施設でも腰痛を再発し、主治医から「腰に負担がかる力仕事は避けた方が良い」との診断を受け、再び地域福祉振興係で地域福祉コーディネーターなどの仕事に就いていました。

ところが、2020年2月、駒ヶ根市社協は「竜東やまびこ園」への異動を内示。この内示の撤回を求めたAさんの意向を無視し、内示を強行した駒ヶ根社協に対しAさんは長野一般労働組合に加入しました。団体交渉で駒ヶ根市社協は一旦は内示を撤回されたものの、同年6月8日に突如としてAさんに解雇を通告しました。

解雇の撤回と原職復帰を求めた団体交渉で駒ヶ根市社協側は、代理人弁護士のみが出席し、腰痛で介護職が出来ないのは契約の不履行などと主張して、解雇は撤回せずに解雇有効訴訟を行うとする頑な対応だったため、Aさんは長野地裁松本支部に労働審判を申し立てました。

2021年1月に下された労働審判では、Aさんの主張を全面的に認め、原職復帰と解雇以降の賃金を支払うよう命ずる審判が下されましたが、駒ヶ根市社協はこれを受け入れずに異議を申し立て、労働審判は訴訟に移行しました。

訴訟で松本地裁は駒ヶ根市社協に対し原職復帰と一定の和解金を支払うよう和解案を提示しましたが、駒ヶ根市社協はこれも拒否。裁判は継続され、2022年10月19日の証人尋問を経て、今年1月11日、松本地裁はAさんの解雇を無効とする判決を言い渡しました。

今回の判決は、介護福祉職場に働く労働者に大きな励ましとなるものです。

組合は、今後、いたずらに裁判を長期化させるのではなく、一日も早いAさんの職場復帰と争議の早期解決をはかるため、駒ヶ根市社協に対して団体交渉を申し入れるとともに、判決を受け入れるよう求める方針です。

判決後の勝利報告集会

主任代理人を務めた棗一郎弁護士が判決文を解説