21世紀のキーワード―平和・人権・環境

長野県平和・人権・環境労働組合会議

〈第15期〉21世紀の労働運動研究会 棗一郎弁護士講演「新型コロナ経済危機下における労働問題」&コロナ禍の現場からの報告(医療・公共交通3単組)

〈第15期〉21世紀の労働運動研究会がスタート

7月3日(土)、長野市内において、「〈第15期〉21世紀の労働運動研究会」が開かれ、第1回講座として「新型コロナ経済危機下における労働問題~社会労働運動を担う労働組合の役割と期待」というテーマで棗一郎弁護士(旬報法律事務所)にリモートで講演いただきました。Zoom視聴と会場参加あわせて、約70人の方が参加されました。

昨年に引き続き、棗弁護士には、①新型コロナに伴う労働者の雇用、労働条件、権利、②均等待遇(同一労働同一賃金)の実施状況と問題点、③裁量労働制改悪や解雇の金銭解決など、今後の政府の労働制改悪の動向などを伺いました。

棗一郎先生・第1回講座レジュメ

弱い立場にある女性の雇用条件の悪化

コロナ経済危機は世界的に“女性不況”の様相を呈していることから、女性の雇用労働条件の格差問題に視点を当てながら、これらの課題に対して日本の労働組合がどのように立ち向かっていくのか。労働組合が担うべき社会労働運動の役割と期待について考える機会となりました。

リーマンショックの頃と比較して、女性の相談は桁外れに多くなり相談内容もどんどん深刻化している状況から、市民団体と第二東京弁護士会の女性弁護士有志が中心となって「女性による女性のための相談会」(7月10・11日)が企画されていること、ゴールデンウィーク大人食堂が想定以上の来場があったことなど具体的な取り組みについて報告されました。

男女不平等の国“日本”の現実を直視しよう

棗弁護士は、男女不平等の国“日本”の現実を直視しようと呼びかけられ、日本のジェンダーギャップ指数が120位(2020世界経済フォーラム)という低い順位にあり、年を追うごとに順位を下げていることを指摘されました。労働組合の女性執行委員の比率(構成組織15.4%、地方連合会12.8%)にも触れられ、労働組合自身も変わっていかなければならないと訴えられました。

政治・経済分野の男女格差が改善されず、ジェンダーギャップ指数は主要7カ国(G7)でも最低の順位。(棗一郎弁護士のレジュメより)

 

棗一郎弁護士のZoomを利用してのリモート講演

 

 

コロナ禍の現場からの報告~医療・公共交通~

講演後は、コロナ禍で困難な状況に直面している医療・公共交通3単組役員から現場の切実な状況を報告して頂きました。

(上段左から)松澤佳子県労組会議議長、小林長野地区労組会議議長、比田井自治労・県立病院労組委員長 (下段左から)吉村私鉄県連・長野電鉄労組教宣部長、清滝長電労組自動車対策部長、鳥羽全自交・アルピコタクシー労組委員長

公立病院が、コロナ患者の約8割を受け入れている現状

自治労・県立病院労組からは、全国にある8203病院のうち、2割に満たない公立病院が、コロナ患者の約8割を受け入れている現状と病院で働く仲間の窮状を共有していただきました。コロナ患者に対応する看護師の個人用防護具(PPE)の着脱(二人体制で着用5分・脱衣10分)の大変さ、PPEを着ての作業は二時間が限度で、サウナのような蒸し暑さになり脱水状態になる方もいること。配膳なども看護師の業務となり負担が大きくなっていること。アビガンの処方に関連して薬剤師が夜間に何度も呼び出されたり、コロナ患者さんの移動ルートを事務員が清掃するなど時間外労働が増加している状況にあるそうです。

私鉄労働者の大幅な収入減少への対応

私鉄県連・長野電鉄労組からは、2020年度春闘で年間協定として締結した冬季分の臨時給が減額され、低い賃金を補っていた時間外・公出がなくなり私鉄労働者の年収が大きく減少したことへの対応として、組合費の非徴収、闘争資金(毎月の積立金:基本的に退職時に返金)の臨時払い出しを行ったことなどが報告されました。

休業手当の額を低く抑えたい会社側と交渉

全自交・アルピコタクシー労組からは、休業手当の額を低く抑えたい会社側と交渉し、平均賃金の算定方法を変更させたことや、アルバイトの実施が許可されたことなどが報告されました。

 

次回の21世紀の労働運動研究会は、小川英郎弁護士を講師にお招きして開催します。ぜひご参加ください。

〈第15期〉21世紀の労働運動研究会 今後の予定

第2回
講師:小川英郎(弁護士/ウェール法律事務所)
日時:9月11日(土)13:30~
会場:上田市丸子解放センター
内容:パワハラ・セクハラ・いじめ問題、メンタルヘルス対策/分散交流会

第3回
講師:渡辺寛人(社会福祉士/東京大学大学院/NPO法人POSSE事務局長)
日時:10月9日 13:30~
会場:伊那市(予定)

内容:ブラック企業と若者たち~労働相談・組合づくりの現場から/分散交流会

第4回
講師:宮里邦雄(弁護士/東京共同法律事務所)
日時:11月6日(土)13:30~
会場:松本市勤労者福祉センター(予定)
内容:労働者の権利と労働組合の役割/ワークルール検定

信州安保法制違憲訴訟判決、請求を棄却。憲法判断には一切触れず。

2021年6月25日午前10時30分、信州安保法制違憲訴訟の判決が、長野地裁(真辺朋子裁判長)より言い渡されました。

集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法は憲法に違反し、平和的生存権などが侵害されたとして県内の住民ら362人が原告となり、国を相手に起こしていた信州安保法制違憲訴訟は、提訴から5年を経て、請求は棄却され、「平和的生存権は個々の国民に保障された具体的な権利とは言えない。損害賠償の対象になり得る権利や法的利益の侵害はない」と指摘しました。

全国各地で争われている同様の裁判で憲法判断に踏み込んだ例はなく、今回の判決が注目を集めていただけに、結果的に被告・国側の主張に沿ったもので、全国と同様な判断が下されたことに、落胆の色を隠せない原告団でした。

原告の主張に全く耳を傾けない「不当判決」と言わざるを得ない内容であり、役目を果たしていない司法に対して東京高裁に控訴し、闘いを続けていくことを決定しました。

長野地裁判決要旨はこちら

信州安保法制違憲訴訟判決に対する声明はこちら☞

信州違憲訴訟ニュース☞

横断幕を掲げ、長野地裁に向かう原告団

報道陣の数からも注目度が伺える

判決後の原告団による記者会見:長野地裁前

判決後の集会で話す又坂常人原告団長:長野県労働会館

 

 

 

 

 

 

青年女性が原発について学びました!

反核平和の火リレー事前学習会「いまさら聞けない原発のギモン」

元京大原子炉実験所助教・小出裕章さんの講演とトークセッション

第34回長野県反核平和の火リレー事前学習会が6月19日、松本市で開かれました。リレーは、労働組合の所属を超えた青年女性の仲間でつくる実行委員会で取り組まれ、今年は7月13日から8月10日の日程で行われます。

今年は福島原発事故から10年の節目であり、リレーでかかげる「核廃絶」を実現するうえで避けられない「脱原発」の課題について、改めて学びたいという実行委員会での議論から、元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんを講師に招き「いまさら聞けない原発のギモン」と題し開きました。

講演で小出さんは、原発の燃料となる核分裂を起こすウランは、採掘される天然ウランのうちわずか0・7%しか含まれず、発電所で使うには高度な濃縮技術が必要でありエネルギー資源としてとても貧弱であると説明。そのうえで、原子力推進派が推す、核分裂に適さないウランや使用済みウランから生成したプルトニウムを高速増殖炉で燃やし再利用し続ける核燃料サイクルという「夢の原子炉計画」についても、開発を始めた1968年の68年の8年の段階で1980年後半には実用化できるとしたものの、50年以上たった現在も技術開発の目途すらたたず、破綻した計画であると強調されました。福島原発事故は原発が安全ではないことを事実を持って示した、原子力に夢をかけること自体が間違いだと訴えました。

講演後、青年女性の代表者と小出さんとの意見交換の場が設けられ、フクシマで働く被曝労働者の実態やトリチウム水の危険性について質問が出されました。また今回会場参加者に加え、ZoomとYouTubeによるウェブでの視聴参加もあり、チャットを通じて質問意見が寄せられました。最後にウェブ参加者から、「ここまで危険の多い原発を国や電力会社は何故やめられないのか」という質問が出され、小出さんは、「国は、電力会社が必ず儲かる仕組みを作り原発を国策民営として推し進めてきたことが一つ、もう一つは原子力=平和利用、核=軍事利用と全く別物のように扱いながら実は核兵器をもつ潜在的能力を蓄えたい、失いたくないという理由から国は原発を手放せないでいる」と説明しました。

事前の参加者アンケートでは原発利用について、賛成、反対様々意見が寄せられましたが、科学的見地と事実に基づく小出さんの説明に「知らないことが多いと改めて感じた」「原発賛成の意見が変わった」という感想が寄せられ有意義な学習会となりました。

「ながのあったかねこの会」さん主催で、お話させていただきました。

6月20日(日)13:00~長野市リサイクルプラザにて、県労組会議書記・草野が、福島原発事故の自主避難者としての経験や活動についてお話させていただきました。

主催は、2011年3月から東日本大震災被災地や県北部地震で被災した下水内郡栄村に、木曽郡南木曽町吾妻地区に伝わる防寒具「ねこ」を送り支援してきた「ながのあったかねこの会」の皆さんです。

主な講演内容は、震災当時の様子、原発事故により家族で千葉へ一時避難した時のこと、放射能の影響について不安を感じ自主避難を決めるまで、長野での新しい生活、2018年に参加した原発周辺のバスツアーがきっかけとなり、脱原発運動を始めようと決意。中村敦夫さんの朗読劇「線量計が鳴る」長野市公演に至るまで。

「ながのあったかねこの会」では、2019年まで毎年南相馬などの被災地へ猫半纏を持参して赴き、交流を続けて来られました。昨年は、残念ながらコロナ禍で福島へ行くことができず、今年も厳しい状況ということもあって、このような催しを企画されたそうです。

新型コロナウィルス感染防止対策を行った上で、参加人数を絞って開催されました。コロナ禍にもかかわらず、定員の35名の方が参加してくださり、エネルギーについて考える貴重な機会をもつことができました。

会のお名前通り、最初から最後まで、あたたかい真心いっぱいの素敵な時間となりました。

 

☞ここをクリック! ねこの会講演アンケート

(以下、アンケートから一部抜粋)

・長野で「線量計が鳴る」を観させていただきましたが、やはり多くの人達にもっと観て欲しいと思います。

・本当のことを知らされていないという現実を知った気がします。人まかせでなく、知ることの大切さを感じました。

・被災者のお話を聞いたのが初めてでした。この10年での生活改めて大変だったんだと思いました。

・映画「モルゲン」の最後に言っていた、各地にある小さな活動が大きく集まって社会を動かすようになれば良いと思いました。

・原発が無ければ、今の生活がなくなってしまうように思う気持ちがありましたが、違っていたことに気づきました。身近なところから、できるところから考えてみます。

 

2011.4.28 信濃毎日新聞朝刊記事より

「あったかねこの会」主催者代表・吉池教子(のりこ)さん

密を避けて、定員を絞って開催されました。

3.11当時~「線量計が鳴る」長野市公演~現在の活動についてお話しました。

喜多事務局長とねこの会の皆さんと。

☞ 20210620講演チラシ

7/17「ミャンマー民主化を支援する信州の会」結成総会のお知らせ

ミャンマーで今、何が起きているのか?

5月27日(木)にミャンマー問題緊急学習会を開催しました。

ミャンマー問題に関心を寄せる有志が集った「ミャンマー問題を考える信州の会・準備会」が主催し、

会場参加者・Zoom参加者あわせて約70人が参加しました。

日本在住のミャンマー人、ミャンマー在住の日本人からミャンマーの歴史や現在のヤンゴンの様子など報告していただきました。

リアルな報告と訴えから課題を共有することができました。

ニュースレター0号では、緊急学習会の様子を掲載しています。ぜひお読みください。

ミャンマー民主化を支援する信州の会・準備会ニュース第0号

 

ミャンマー民衆に信州から連帯する組織を結成します 

長年つづいた軍政から2011年に民政移管され、

民主化が進み世界中から投資が集まり経済成長をつづけていたミャンマーで、

2021年2月1日に国軍による軍事クーデターが突如発生しました。

アウンサンスーチー国家最高顧問をはじめ多数の政治家・市民が拘束され、

国軍に抗議する民間人への武力による弾圧がつづいています。

ミャンマー国軍による2月1日の軍事クーデター、軍政、民間人への弾圧に抗議し、

自由と人権、民主化を求めるミャンマー国民と連帯するため

「ミャンマー民主化を支援する信州の会」(準備会代表 若麻績敏隆)を結成します。

ミャンマー問題に関心を寄せる人なら誰でも参加できます。

ぜひ7月17日の結成総会にご参加ください。Zoom参加も受け付けしています。

「ミャンマー民主化を支援する信州の会」結成総会お知らせ

 

「ミャンマー民主化を支援する信州の会」結成総会

日  時 7月17日(土) 13時30分~
場  所 ホテル信濃路(長野県長野市中御所岡131−4−4 ☎ 026-226-5212)
内  容 ■記念講演 佐藤 友則氏 信州大学教授(グローバル化推進センター)
     ■ミャンマー問題に取り組む団体・個人からの活動報告
     ■在日ミャンマー人からのアピール■「ミャンマー民主化を支援する信州の会」運営確認

 

守ろう平和憲法 信州ネットワーク 第30回市民の憲法講座・竹信三恵子さん講演『コロナ禍と女性不況が照らし出した憲法の意味』

憲法記念日の5月3日の講演をYou Tubeにアップしましたので、ぜひご視聴ください。

◆コロナが直撃した女性の雇用問題

長野市で開かれた第30回市民の憲法講座(信州護憲ネット主催)では、長年女性の貧困問題を取材してきたジャーナリストで和光大学名誉教授の竹信三恵子さんがオンラインで講演。コロナ禍で浮き彫りとなった「女性不況」の実態を通じて憲法が保障する生存権や9条の意義について考え合いました。

 

【竹信三恵子さんプロフィール】

(たけのぶ・みえこ)
ジャーナリスト・和光大学名誉教授
1976 年、朝日新聞社に入社。同社編集委員兼論説委員、和光大学教授などを経て 2019 年4月から現職。2009 年、貧困ジャーナリズム大賞。
著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞受賞)、『ルポ賃金差別』(ちくま新書)、『家事労働ハラスメント』(岩波新書)、『正社員消滅』(朝日新書)、『企業ファースト化する日本~虚妄の<働き方改革>を問う』(岩波書店)など。最新刊に、『10 代から考える生き方選び』(岩波ジュニア新書)、『官製ワーキングプアの女性たち』(共著、岩波ブックレット)など。

       

「福島原発事故から10年 福島のいま」 - 武藤類子さん講演録

東京電力・福島第一原発事故から10年。菅政権は福島原発のトリチウム汚染水の海洋放出の方針を決定しました。福島県民・漁業関係者の声を無視する強権的な政権運営に批判の声が上がっています。

2月13日、長野市内で福島原発事故10年の特別企画として福島原発告訴団団長の武藤類子さん(福島県三春町在住)の講演会が開かれました。「福島のいま」というテーマで、震災・原発事故から10年の福島の現状について報告していただきました。汚染水の海洋放出、汚染土の再利用など、日本で暮らしていく私たちが知らなければならない現実があります。

武藤類子さんの講演録をまとめましたので、ぜひお読みください。

【武藤類子さんプロフィール】

むとう・ るいこ 福島県三春町生まれ 。版下職人 、養護学校教員を経て 、2003年より 、喫茶店 「 燦(きらら)」を営んでいたが 、2011年の福島第一原子力発電所の事故によって休業を余儀なくされた後 、正式に廃業 。1980年代末より 、反原発運動にかかわり 、六ヶ所村に通ったほか 、福島県内の二つの原発を巡る様々な問題にコミットしてきた 。福島脱原発ネットワーク メンバー 、福島原発告訴団団長 、原発事故被害者団体連絡会共同代表 、3・11甲状腺がん子ども基金副代表理事などを務める 。

☞ ここをクリック! 武藤類子講演録「福島原発事故から10年 福島の今」

新安保法制違憲訴訟  - 長野地裁に違憲判断を求める10,001筆の署名を提出。判決は6月25日

長野県民でつくる「信州安保法制違憲訴訟の会」は2016年7月26日、長野地方裁判所に新安保法制が違憲であることについての判断を求める訴訟(国家賠償訴訟)を提訴しました。原告は長野県内居住者で第1次・第2次合わせて362名です。

信州安保法制違憲訴訟の会は、長野地裁の担当裁判官に対し、違憲判断を求める多くの人々の声を届けるため、要請署名に取り組み、5月27日、長野地方裁判所の書記官に10,001筆の署名を手渡しました。1万筆超える署名数によって、新安保法制が違憲だと考える人が数多く存在することが証明されました。

裁判は、1月25日に長野地裁で開かれた第14回口頭弁論で結審となり、判決は6月25日と確定しました。長野地裁が私たちの切実な訴えに応えて、安保法制の違憲判断を下すように期待しています。

 

1万筆を超えた署名簿

署名用紙を持つ弁護団

5月3日県内各地で憲法集会 -  コロナ禍での憲法の重要性を学ぶ

憲法記念日の5月3日、県内各地で憲法を護り活かす立場からさまざまな集会が開かれました。長野市では、ジャーナリストの竹信三恵子さんより、コロナ禍で浮き彫りとなった「女性不況」といわれる雇用問題から生存権など憲法理念の自洗と実現が必要であることを学びました。松本市で行われた集会では、平和憲法が持つ世界的な先進性について再確認されました。

◆コロナが直撃した女性の雇用問題

長野市で開かれた第30回市民の憲法講座(信州護憲ネット主催)では、長年女性の貧困問題を取材してきたジャーナリストで和光大学名誉教授の竹信三恵子さんがオンラインで講演。コロナ禍で浮き彫りとなった「女性不況」の実態を通じて憲法が保障する生存権や9条の意義について考え合いました。

竹信さんは、働く女性の過半数が非正規雇用であること、さらにコロナ禍で深刻な打撃を受けた対人サービス業の雇用者のおよそ60%が女性であるという構造的な理由からコロナ不況は女性を直撃し、「脆弱な女性の雇用が浮き彫りになった」と指摘しました。

また、非正規も対象となるはずの休業補償が、雇用主の誤解や煩雑な手続きへの敬遠から本人に補償が届かない事例があること、さらに、健康保険ではコロナ発症により給付される「傷病手当」が、非正規が多く加入する国民保険では当初対象外であったことなどを述べ、「非正規への公的ネットワークの不備」を問題視。コロナ禍で行った女性向けの相談会であった、「生活が苦しい」「住むところがない」といった相談内容を示し、憲法25条で保障される生存権がおびやかされていると指摘しました。一方、コロナ禍による労働問題に対し取り組んだ労働組合や市民団体の活動については、困窮者の支援につながった事例を紹介し、こうした活動を憲法理念の実践として評価しました。

社会保障の整備に必要な国の財政についても憲法と照らし合わせて解説された。1894年の日清戦争にはじまり、1945年までの戦争をする国であった日本の財政構造について、69%から最大で85%が軍事費に使われてきたと示し、「戦争時には財政が人に使われない」「9条をいいかげんにしたら財政が人の幸福に使われるのか、一般の生活に公的資金が回るのかを疑問に思わなければならない」と、安易な9条改憲議論に流されないように警鐘を鳴らしました。

最後に、「護憲とは9条を守るだけではなく、生存権・幸福追求権など憲法全体の構造を活かしていくこと」と強調し、「活憲」への不断の努力を呼びかけました。

◆ 世界の歴史を先導する9条

松本市の会場では、中信市民連合が主催し、花時計公園で「新型コロナと憲法~自由と制限を考える」集会が開かれました。ゲストトークでは、名古屋大学名誉教授の池内了さんから「世界の歴史を先導する憲法第9条!」と題する講演を受けました。

池内さんは、「人類の歴史は、戦争・暴力・軍事力に頼る『野蛮』と、平和・軍縮・話し合いによって物事を決める『文明』が絶えず拮抗してきました。その中で世界が戦争放棄を求め、武力に頼らないという流れを先導したのが、日本国憲法の第9条である」と述べました。

また、現在のミャンマー情勢から、軍隊を持つことの危険性に触れ、軍隊は国民を守るのではなく国を守るものであり、今回のクーデターのように「国を守る目的」で、自国の国民を弾圧し、見捨てることもあると指摘しました。その上で、日本同様、世界で唯一軍隊を持たないことを憲法に記すコスタリカと日本とを比較し、「コスタリカの大統領は永世的、積極的、非武装中立を宣言している一方で、日本のトップは自国の憲法をみっともないといい、軍拡路線へつき進もうとしている」と批判しました。

最後に、今年1月ついに発効された核兵器禁止条約に日本が批准していないことについて、「条約に批准し、核廃絶を訴えていくことは、世界史を先導してきた憲法9条をもつ日本の役割である」と強く訴えました。

緊急学習会「ミャンマーで今、何が起きているのか」 - 在日ミャンマー人からの報告も 

2月1日、ミャンマー国軍がクーデターを起こし、民主化運動の象徴であるアウンサンスーチー国家顧問ら政府要人を拘束、全権を掌握したと宣言して以来、3ヵ月半余。

軍事クーデター直後から全土で広がる市民の無抵抗の抗議デモに対し、国軍は治安部隊による弾圧・虐殺を強行、犠牲者は800人近くにも上っています。

国連など国際社会は国軍の行動を非難していますが、経済制裁には踏み込まず、国軍の非人道的暴力を止める効果的な手段になりえていません。

「日本には独自のパイプがある」と強調する日本政府もまた、大規模な弾圧に懸念を表明、市民への暴力停止、不当に拘束されたNLD(国民民主連盟)関係者や市民の解放、早期の民政復帰を要求しているものの、国軍への経済支援となるODA(政府開発援助)を停止させる姿勢は見せていません。

ミャンマー国軍は、ただちに民衆へ武器を向けることをやめ、民政を回復すべきです。

 

有志でつくる「ミャンマー問題を考える信州の会(準備会)」は、今、ミャンマーで何が起きているのか。まずはその現実を知るために緊急の学習会を企画しました。

学習会では、在日ミャンマー人に東京からリモートで本国の状況を報告してもらいます。

Zoomでも参加できますので、多くの方が関心を寄せて、参加していただけるようにお願いします。

◆日時 5月27日(木)午後6時

◆場所 長野市県町532-3 長野県労働会館 5F 大会議室 電話026-235-3216

◆Zoom参加を希望される方は、「氏名・住所・電話番号」をご記入のうえお申し込みください。

申し込みメール kenrousokaigi@r-nagano.com