原告団長である又坂常人信州大学名誉教授、戦争体験者・新海 寛さん、新潟大学学生・大橋直紀さん、母としての立場から金井奈津子さん、元国鉄・JR職員の後藤正次さん、教員としての立場から竹内忍さんの6名の方が証人として立ち、証人尋問が行われた。

裁判の傍聴なんてほぼ未経験に近い私にとって、見るもの一つ一つがテレビの世界。こんな風に裁判て行われているんだ・・・と、まずはそこからだった。

この貴重な機会をいただくことになったのは、女性裁判官の評判を聞いたことからだった。多くの裁判官が国よりの判決を下す中、珍しく原告側に配慮した裁判をすすめているとのこと。そんな裁判官に率直に興味を抱いたし、裁判なんて遠い世界のものと感じていた私が、身近に思えた瞬間だった。「私も見たいです。もし傍聴できるならさせてください。」と願い出た。

それぞれの証言は、当事者性が強く、ひとりひとりの言葉が胸に響いた。中でも、新海さんの戦争体験の生の声は、衝撃的だった。戦争体験者の話を直接聴いたのは初めてだったが、今後あらためて当時の話をきちんと聴いておかなければと思った。そして、大学生の大橋さんのお話。「生きづらい人の助けになる」という夢を叶えるために法学部に入り、勉強していた彼が、憲法がこんな簡単に解釈によって捻じ曲げられてしまうことにショックを受け、勉強に身が入らなくなってしまったという。これからの若者が未来に希望を持てない国なんて、この国は終わってしまう・・・。この判決一つで、希望を抱いて歩いていけるか、絶望で前に進めなくなるかがかかっているのだ。最後の竹内さんの証言では、大人である私達ができることはなんだろうと考えさせられた。立場とか職業とかそんなもの一切超えて、一人の人間として、向き合わなければいけない時期に入ってきている、本当にそう思う。

新型コロナに翻弄される今、全世界の誰もが他人事ではなくなってきている。それぞれが自分事として真剣に立ち向かう時期に来ているということなのだろうか。