安倍内閣が国会での成立を断念した「検察庁法改正案」は、国家公務員の定年延長に乗じて、検察官の定年を63歳から65歳に延長するだけではなく、内閣や法務大臣の裁量で「公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める事由がある」とされた場合、さらに3年その職に据え置くことができるようにするものです。
このことによって内閣による検察人事への介入が大きく強化され、準司法官としての検察の独立性が揺らぐおそれがあります。憲法の基本原則である三権分立を毀損することにつながるこの法改「正」は、けっして許されるものではありません。
この法改「正」強行の背景には、今年1月31日、検察庁法違反を指摘する声を無視して、定年退官予定だった黒川弘務・東京高検検事長の定年延長を閣議決定したことがあります。安倍政権に極めて近いとされる人物を恣意的かつ違法に重要ポストに据え続けることを、事後的に正当化するような法改「正」には一片の正義性もないばかりか、法治国家としての原則を破壊する行為と言わざるを得ません。
こうした動きに対し、多くの市民が反対の声を上げました。コロナ禍で外出して集会を行うことが困難ななか、インターネット上、とりわけtwitterのハッシュタグ「#検察庁法改正案に抗議します」を活用した抗議の意思表示が、これまでにのべ数百万にも膨れ上がるなど、これまで日本社会ではみられなかった市民の活動が行われました。
安倍政権は、国民の強い反対世論や検察庁OBの反対の意思表示などを受けて、5月18日、今国会での成立を断念しました。
県護憲連合は5月19日、「改正」案は継続審議ではなく、白紙撤回を求める意思を示すため、緊急に長野駅前で街頭宣伝を実施しました。新型コロナ対策で参加者は20名程度に絞り込み、街頭演説とソーシャルディスタンスを取ってプラカードを掲げるスタンディング行動。チラシも配布して市民にアピールしました。
検察庁法「改正」案に反対する緊急の街頭宣伝行動
検察庁法改正案に反対するチラシ