21世紀のキーワード―平和・人権・環境

長野県平和・人権・環境労働組合会議

6月28日に長野市で「アスベスト被害面談・電話相談会」を開設

アスベスト(石綿)が気になる方、気軽に相談してください

2005年のクボタショック以降、アスベスト(石綿)問題が、労働現場でのアスベスト使用や解体に伴うばく露、中皮腫・肺がん発症など労働災害問題にとどまらず、一般市民にも健康被害を及ぼす危険性が明らかになり、重大な社会問題として認識されるようになりました。アスベストによる健康被害は、30年から40年と言われる長期間にわたる潜伏期間ののちに中皮腫、肺がんなどが発症するため、アスベスト大量使用時代に現役であった労働者や関連工場の周辺住民の健康被害が現代の問題として浮上しています。また、アスベストの吹付、建材に使用された建築物の解体時期を迎える問題も地域社会にとっては重要な問題です。高度経済成長時代の効率のみを追い求める社会風潮が生み出したアスベスト問題は、経済優先の「負の遺産」です。これからの時代は、何よりも人の命や健康を優先させる社会が求められています。

長野県内でもアスベストを扱う事業所での労働者のばく露問題や建築物に使用されるアスベストの解体・補修時の飛散問題など、大きな社会問題となっています。JR東日本では現役の社員がアスベストばく露により悪性胸膜中皮腫を発症、闘病のすえ死亡するという労働災害も注目を集めました。

また、建設アスベスト訴訟で最終的に国の責任が最高裁によって認定され、政府は2022年1月からアスベスト被害にあった建設労働者へ「給付金」を支給する制度をスタートしました。しかし、最高裁に賠償責任を認定されたアスベスト建材メーカーは、「各メーカーのシェア割りがわからない」「どの現場にどれだけ使用されたのかが不明」などの理由で、給付金制度への参加を拒み、現在も裁判で争っています。

建材メーカーを相手取った損害賠償請求裁判「東日本建設アスベスト訴訟」(横浜地裁)は、2021年10月に提訴され、第6次提訴まで48名の原告が裁判で争っています。

アスベストによる肺がんで亡くなられた長野市の内装工・Aさんの遺族(妻)がこの裁判に昨年6月7日、提訴しました。現在、準備書面のやり取りが続いていますが、今年の年末から原告尋問が始まる予定です。

「長野県アスベスト対策センター」は2018年4月に結成しましたが、「NPO法人じん肺・アスベスト被災者救済基金」(神奈川県横須賀市)の協力により、長野県内の県民・労働者、関係事業者などを対象に、長野市で面談相談会・電話相談会を開設します。

アスベスト被害の補償・救済については、労災補償制度(主管:厚生労働省等)と労災以外の救済制度(主管:環境省・環境再生保全機構)によって実施されていますが、制度に対する周知や関係者の認識不足などによって、補償・救済を受けられないで苦労されている患者と家族がおられます。また、中皮腫はじめアスベスト関連疾患の治療について相談先を求めておられる場合も少なくありません。

また、政府がアスベスト被害にあった建設労働者へ「給付金」を支給する制度についても、まだまだ周知されているとは言えません。

長野県アスベスト対策センターではそうした実情に対応し、過去11回、長野市・松本市で電話相談や相談会を実施し、補償・救済の促進、情報の提供を行ってきました。実際に労災申請へつながる相談も数件ありました。

今回の相談会を通じて、アスベスト被害の実態を掘り起こすとともに、少しでも悩みや疑問がある人からの相談への対応や、健康被害で苦しんでいる人への救済制度の説明など、身近な相談センターとして親身に相談に乗ります。

長野市でのアスベスト被害 面談・電話相談会の計画概要

1.日  時  6月28日(土) 10:00~16:00

2.相談場所  面談相談 長野県労働会館3階 第2小会議室(長野市県町532-3)

電話相談 026-234-2116

※相談料は無料/秘密厳守

※面談相談を希望される方は事前に連絡を。

3.主  催  長野県アスベスト対策センター

協力:NPO法人じん肺・アスベスト被災者救済基金(神奈川県横須賀市)

「若年労働者の労働と貧困」POSSE渡辺寛人氏が木曽地区で講演

「〈第19期〉21世紀の労働運動研究会」が始まりました。全4回の講座を予定しています。今回は木曽町(木曽地区)を会場にして行われた第1回講座についてご紹介します。

POSSEの渡辺寛人氏が若者・女性の労働と貧困の問題について語る

労働運動研第1回講座は、5月16日(金)、木曽町文化交流センターで、「若年労働者の労働と貧困」というテーマで、NPO法人POSSEで若者の労動問題に取り組んできた渡辺寛人氏(法政大学専任講師[現代福祉学部 ])に講演いただきました。オンラインと会場参加あわせて約75人が集いました。平日夜の開催にもかかわらず、会場は、自治労・林野労組の若手組合員を中心に大勢の参加者で賑わいました。渡辺氏の講演終了後には、地元・木曽地区の単組からの報告としてそれぞれの職場の厳しい現状や人員不足について共有していただきました。

講演する渡辺寛人氏

未組織労働者の問題は今も課題

冒頭、木曽地区労組会議の西村議長は「私たちも木曽労組会議とか連合で未組織労働者のことを大会の方針で謳っていますが、現実には、自分たちの職場の改善の要求だけにとどまってしまっています。私たちの先輩たちも一生懸命取り組んできテーマですが、労働者全体の改善要求というものが一向に進まず、それが今も課題となっています。今日の講座が、そのきっかけになれば、また地域の労働運動全体の発展につなげていければと思います。今日の講座を機会にして、ひとつでも学んでいってください」と挨拶されました。

木曽地区労組会議の西村議長

若年労働者の労働と貧困

NPO法人POSSEの取り組みから

渡辺氏は、はじめに「最近は闇バイトが流行っている。なぜこんなに広がっているのか、若者の労働と貧困と関連付けながらお話したい」と問題提起しました。埼玉県八潮市の道路陥没によって、突如現れた巨大な穴が若者の労働と貧困の問題と重なると指摘し、高度経済成長期に整備された上下水道のなどのインフラの老朽化と、これまでの日本の生活保障モデルの「老朽化」を重ね合わせました。これまでのPOSSEでの活動や相談事例に触れながら、日本社会があたりまえに安心して働き生活できる社会ではなくなってきていることが示されました。また派遣労働や非正規雇用などの拡大、雇用の劣化によって生じた若者の貧困を家族が吸収してきたことで隠されてきたこと、家族が受け止めることも限界にきていることが指摘されました。安定した仕事がなく家族にも頼れず、生活保護からも排除された孤立した若者が、闇バイトに流れていることに警鐘を鳴らしました。渡辺氏は最後に、社会が不安定になり混乱してゆくことを防ぐために、労働組合を通じて賃金や労働条件を守る戦いを広げ、生活保護が機能するようにしていかなければならないと訴えました。

POSSE vol.59「特集:何が若者たちを闇バイトに追い込むのか?」(堀之内出版サイト)

https://info1103.stores.jp/items/680080ea12d03971c9aa5b07

『POSSE』最新号も闇バイトを特集している

【講演概要】

 

POSSEとは

POSSEも若者の団体と言っているが、設立が2006年で、若者の中での非正規がすごく増えていた時代だった。いわゆる就職氷河期や、その後の世代で、今は40代、50代になり、中高年フリーター、引きこもりなどの問題につながり、もはや若者から始まった問題が若者にとどまらずいろんな世代に広がってきている状況になっている。今でこそ社会問題とされているが、2000年代中頃は若者が真面目に働かなくなった、若者がダメになったから非正規が増えたという論調が非常に強かった。POSSEはそれに対して、労働環境が変化してきていることを告発しながら、若者の労働の権利を行使する支援をしていこうと、当時の大学生とかフリーターが中心になって立ち上げたNPOだった。

POSSEの世代交代

コロナ禍には若い大学生などがたくさんボランティアに来てくれた。一緒に活動する中で2025年からはもう若い世代で新しい運動を作っていってもらおうということで、現在大学院生の岩本さんが代表になった。事務局長には、ブラック企業で追い込まれ、POSSEに相談に来て団体交渉を行い、残業代を取り返して、その取り返した残業代で大学に入り直して、POSSEの活動をはじめた経歴の方に交代した。

「ブラック企業」という画期的な言葉

ブラック企業やブラックバイトという言葉は、正社員になっても使い潰され安定した生活が保証されない状況が広がってきていることや、大学生のアルバイトの労働環境もひどくなり、大学生活をまともに送れる状況ではなくなっていることを問題提起した。ブラック企業という言葉が広がったことの意義として、「うちの職場ブラックかも」などと思う機会があるかと思うが、ブラック企業以前の労働相談では、どんなにひどい状況にあっても自分も悪いと言う方が多かった。「ブラック企業」という言葉ができたことによって、自分ではなく会社の方に何か問題があるのではと多くの人たちが考えられるようになった画期的な言葉だった。

労働組合の立ち上げ

2015年からは、「総合サポートユニオン」という労働組合を立ち上げ、直接企業に対して団体交渉やストライキを行い、直接行動を組織して、労働環境の改善を目指して活動を広げている。2018年頃からは、外国人労働者の組織化も始めていて、技能実習生とか留学生ビザで働く外国人を中心に、労働の権利の行使の支援をしている。貧困問題への取り組みとして、生活保護の申請支援、生活相談を行っている。コロナ禍では、特に女性非正規が首を切られたり休業保障が得られずに生活に困窮していく問題に取り組んできた。

最近のとりくみ

非正規春闘に2、3年前から取り組んでいる。28の労働組合が集まって、そこで組織している非正規労働者のいる会社144社に対して10パーセントの賃上げ要求した。コロナ禍で苦境に立たされた非正規の人たちを支援しようと全国の労働組合がネットワークを作った延長線上で取り組んでいる。コロナの取り組みで終わらせずに、非正規の労働者の賃上げ、労働環境の改善を目指して活動している。学生、女性、外国人労働者が、非正規労働者として、一緒に労働環境を変えていこうと連帯して、ストストライキも構えながら、とにかく非正規の生活可能な賃金水準を目指して毎年おこなっている。POSSEとしても、労働者かどうかを超えて、ストライキにも一緒に学生が参加して、非正規の人たちが今どんなふうに生活しているのかを調査しながら、それを社会に発信することで、非正規の戦いをサポートしていこうとしている。

闇バイトと穴が重なって見える

1月28日に埼玉県八潮市で大規模な道路陥没が発生して巨大な穴が開いた。全国の道路の陥没発生件数は年々増加している。この穴の問題は、私たちの生活や労働、貧困の問題と重なって見える。

家族があって、いい学校に行って、いい企業に入って、正社員になって、生活保障されるという日本の生活保障モデルが作られたのも、上下水道と同じ1970年代で「老朽化」している。1990年代中頃から2000年代にかけて、この学校から企業へのルートが切断される。いわゆる就職氷河期にあたり、いい大学に行ったのに正社員になれない若者が増え、正社員だが保証がない使い捨てられるブラック企業の正社員も広がっていく。特に90年代前後、2000年前後に労働者派遣法の規制緩和によって、正社員になれなかった若者を派遣労働が吸収し、全国の製造業の派遣のラインに若者たちを吸収していく。日本の生活保障のパイプから水が漏れていく。

日本の社会保障の水漏れの矛盾が家族へ

学校を卒業しても正社員になれず、なかなかうまくいかない人たちは本来は失業者だが、日本社会は社会保障、失業保障、生活保護で生活するというように社会保障がしっかりと整備されていない。基本は家族で生活を支え、学校卒業したら企業が生活を支え、国家の社会保障はそれができない場合のみ最低限支えるという立て付けになっている。ブラック企業で鬱病になり、働けなくなった時に、失業保証ではなく家族がそのつけを払わされ、鬱になった若者の面倒をみることになる。それが引きこもりと言われることもある。どんどん家族の中にこの水漏れの矛盾が溜まっていく。その親も亡くなって、この先どうするのかと社会問題になってきているが、全部家族に放り投げてきたことのツケがどんどん来ている。

生活保護から排除され闇バイトへ

家族にも頼れず企業で働くことももうできなくなってくる人たちに対応する制度として生活保護を中心とした福祉があるが使える人はあまりいない。水際作戦と呼ばれるように、「家族に頼れませんか」「若いんだから頑張って働けませんか」と、生活保護行政が申請をさせずに追い返すことが社会問題になっている。生活保護からも排除されて生きていかなきゃいけないとなった時に、闇バイトに吸収されていくような構図になっている。日本の生活保障の老朽化で水漏れがどんどん起きて、それを放置してきた結果、ある日、白昼堂々強盗が現れるみたいなことが起きてくる。八潮市に開いた穴とこの闇バイトの問題が重なって見える。さらにスマホとかSNSの広がりが闇バイトへのリクルートを加速させていく状況に見える。

具体的な状況

雇用の劣化がこの20年、30年、すごく激しく進んでいる。正社員になっても年功賃金もなく終身雇用も保証されないような状況の正社員が増え、非正規雇用も最低賃金レベルで働かされ処遇は低いのに非常に責任は重いという状況がある。これまで正社員は責任は重いが保証はしっかり、非正規は保証はないが責任は軽いという住み分けがあったが、正社員はどんどんブラック化し、非正規は処遇が低いまま責任が重くなっていく状況に社会全体が進んできている。今の若い世代は、一生懸命働くことで見返りとして雇用の保障や生活の安定が得られるという感覚が薄まっていて、頑張って働く意味がわからないという感覚が広がってしまっている。

2000年代から2010年代にかけて社会問題化したブラック企業が成立するのは、正社員になれば安定するという期待があったからで、ブラックな環境でも見返りがあるはずだと頑張って働き続けて使い潰されるという構図だった。最近、若者の早期退職が非常に問題になっているが、頑張って残る意味がもはやわからない、そういう期待すらも失われてしまっている状況になっているのでは。

男性の賃金は下がり、女性の賃金は低いまま、日本社会全体が非常に貧しくなっている。この間のインフレも含め、この10年を見ても実質賃金も下がって、社会保険料が毎年どんどん上がっていくので、さらに手取りも減っていくという傾向はさらに加速していく。頑張って働いても全然使えるお金が増えず苦しくなっている。

アメリカより高い日本の貧困率

日本は失業保証が不十分で、雇用保険の受給率は大体2割程度と言われている。生活保護の補足率(申請をすれば生活保護を受けられる条件がある人のうち、実際に生活保護を受けている人の割合を補足率と言う)は15パーセントから18パーセント程度だと言われ、大体生活保護受給者200万人超なので800万人ぐらいが生活保護から漏れている状況になっている。

社会全体に貧困がすごく拡大している。元々日本の貧困率は高く、15~16パーセントで先進国ではアメリカに次いで2番目に高い状況だったが、2021年に日本がアメリカを抜いて先進国で1番貧困率が高くなった。しかし貧困が広がっている実感や感覚がないのは、貧困が家族に吸収されているからで、社会の問題ではなく家族の問題にされてしまっている。

貧困の矛盾が家族の問題として顕在化

介護殺人や虐待とかいろんな形でその貧困の矛盾が家族の問題として現れているが、プライベートな問題だと捉えられてしまい、社会から貧困が隠されてしまう構図になっている。日本の場合、貧困が進めば進むほど家族関係のグロテスクな事件が、これからたくさん増えてくることになると強く思う。では家族はいつまで貧困を支えられるのか。この家族の体力も当然どんどん落ちてきて、支えることにも限界がある状況が広がってきている。

90年代から大学卒業して非正規になるという流れができて、2005年ぐらいまでは親元で生活依存する若者が増えて、2012年ぐらいまでは若干減りつつも横ばいで、家族が受け止めていたが、2013年頃から親に依存できる若者の割合がかなり減ってきて、家族に若者の貧困を吸収する体力がなくなってきていることが見える。

共働き世帯も90年代中頃からずっと増えて、大学生や高校生の子どもも生活費の一部を稼がないと普通の生活が成り立たない状況も広がっている。1人暮らし単身世帯が38パーセント、4割近くで、要するに結婚して世帯を形成すること自体ができなくなり、家族が貧困を吸収することができなくなってきている。

 

「闇バイト」の背景にある家族と貧困の問題

POSSEに寄せられる相談事例では、家族関係に難があり逃げ出したいという相談が非常に多い。お金がなく家を出ることはできないという相談もすごく多い。家族に頼らざるを得ないが、親も余裕がなくストレスになり家族関係も悪化していく。貧困が社会の目には見えない形で人々を蝕んでく状況がある。

本来なら家族に頼るのではなく公的な手段、特に日本の場合は生活保護しか貧困に対応する制度がないので生活保護で対応すべき問題だが、生活保護は機能不全を起こしてしまっている。不正受給が話になるが、不正受給は金額ベースで見ると0.4パーセント程度であり補足率の低さの方が問題だ。

2013年から生活扶助基準の史上最大規模の引き下げをおこなったが、原告1000人以上が自治体、国を訴えていて、かなり原告が勝っている。6月に最高裁判所が引き下げが違法かどうか判断を示すが、生活扶助基準の引き下げが不当であったという判決が出る見込みになっている。3食たべられない、毎日お風呂に入れないという人が増えて、今は米が買えないという状況が拡がっている。

まっとうな仕事や人間関係があれば闇バイトに手を出さなかった

生きて行くために犯罪をするような状況に追い込まれている。闇バイトに手を染めたひとの状況は先ほどから見てきた相談事例の人たちと大差ないことが見えてくる。刑務所に入っている人にインタヴューしたが、闇バイトのリクルーターは悩みを聞いてくれてお金もすぐに振り込んでくれると言う。またスマホのインパクトは無視できない。いつでもアクセスできるスマホを通じたオンラインカジノなどの依存症の問題も貧困とは別の闇バイトに流れていくもう一つの背景と見られている。人間を依存症にさせて犯罪に巻き込んでいくルートもできてしまっている。

NHKの調査では、およそ半分の人たちが、お金や真っ当な仕事があれば闇バイトに手を出さなかったと回答している。次いで3割が、健全な家族や友人関係があれば手を出さずに済んだと回答している。当たり前が崩れ去って生活が保障されなくなった社会で、これだけの闇バイトが増えていくっていうのは必然というか、本当に穴だと思う。闇バイトは突然現れてきたわけではなく、これまで日本社会が放置してきた労働や貧困問題が、この10年でぐっと深まったことによって、穴が開いたと見るべきだ。

労働組合でたたかうことの意義

やはり労働組合によって働くことの意味を取り戻さないと、この社会はどうなっていくかわからない。その働くことの意味は二つあって、一つは働いたらそれなりの生活が保障される労働条件、賃金や労働時間をめぐる戦いは本当に重要。真面目にフルタイムで働いてる人がバカを見るみたいな状況を変えないと、闇バイトに手を出してしまう人たちどんどん増えるだろう。コロナ禍で注目されたエッセンシャルワーク、地域や社会を支える仕事の社会的な意義は非常に大きい。意味のある仕事をしてる人たちがまともな賃金をもらって生きていけるような社会を作る、そのためにはもう労働組合を通じて戦うほかない。そういう戦いを広げていかなければ、この社会がカオスに、無秩序になって混乱していくことになっていく。貧しい人たちは犯罪組織にどんどんリクルートされていって、本来は労働環境や社会保障を整備していくべきなのに、若者が犯罪者になってるから、どんどん警察権力を強化して、セキュリティを強化して取り締まるというディストピア的な、SF的な世界になっていく。もうすでになってきている。

生活保護を機能させる

もう1つは、生活保護をめぐる戦いがこれまで以上に重要な意義を持ってきている。生活保護基準下げたり制度の利用を妨げて排除してくことが、社会のいろんなとろに穴を開けていく、足元からこの社会を切り崩していくことにつながる。生活保護をきちんと機能させていくことをしなければならない。今、貧困に対応する制度は生活保護しかない。生活保護は万能な制度ではないし、いろんな問題を抱えているのも事実だが、生活保護をしっかり機能させていくことを出発点としながら、様々な制度、再分配を拡充させていくような取り組みを広げていかなければならない。(文責:事務局)

 

単組からの報告1 公務職場の慢性的な人員不足

私が働く職場の労働環境の問題点は、人員不足です。どの課を見ても主な問題かと思います。現在、私は教育委員会に所属して社会体育活動を行っております。土日出勤が多く、代休で平日休みを取ると、一人一係のため事務作業が溜まってしまうことになり、ゆっくり休みを取ることができない状態です。人員が増えることにより、土日の勤務もローテーションで回すことができ効率よく回せるのではないかと思います。以前に建設水道課で水道担当を行っておりました。沢から原水をとっておりますので、雨が降ると濁ってしまうため水道の警報が出ると現場へ駆けつけて対応を行っておりました。夜中の水道異常により呼び出しや、休日も出かけている時も呼び出しがありました当時は2人体制で人員が足りない状況でした。
現在は施設の浄水棟も新しくなり、維持管理は容易になったかと思いますが、まだまだ他の水道施設は老朽化が進んでおり、停電になれば現場へ駆けつけて対応することになるかと思います。先ほども話しましたが、人員が増えればローテーションで回して対応でき、気持ちの面でも軽減できるのかと思いました。また保育園の保育職場においても、早番、通常の勤務、遅番、土曜日の希望保育の勤務があり、超過勤務やお昼の休憩も十分に取れない環境が常態化しており、募集をかけても応募がなく一般職においても採用がない状態なので、当局へ、募集の時期を早めることや募集の工夫など、そういった交渉を今後行っていきたいと思います。

単組からの報告2 医療現場の過酷な労働環境

私が勤める公立病院も慢性的な人員不足に悩まされています。都会の病院に比べて給与面での不満や僻地ということもあり、木曽生まれの若い方もやめていく状況です。渡辺先生のお話にもあったように残った正社員は責任と業務量が増えるだけで、賃金が見合っていないという状況がずっと続いています。外来では医師の数は減っていないのに看護師は減っているので、先生が2人診察しているところに看護師が1人であっちこっち走り回っている状況や、休憩時間も本来は1時間休憩のところを30分休めるかどうかという状況で、休憩中もピッチ(PHS)を1人で2、3台持っています。電話が来れば休憩をやめて一旦また業務に戻るということが常態化しています。組合として今後も給与面、労働環境の改善、福利厚生の充実に対して交渉を続けていこうと思っています。

大勢の参加者が集まった木曽町文化交流センター

7月25日(金)18:00~松本市勤労者福祉センターで第2回講座を開催

次回の講座では棗一郎弁護士(旬報法律事務所)から「労働法制の動向・有期契約・パート労働問題」(予定)について講演いただきます。

ぜひご参加ください。Zoomでの視聴も可能です。ご希望の方は県労組会議までお問い合わせください。

~明日の労動運動を考える~21世紀の労動運動研究会 第2回講座

講師:棗 一郎 弁護士(旬報法律事務所[東京])
日時:7月25日金曜日 18時00分~(19:35閉会予定)
会場:松本市勤労者福祉センター(松本市中央4-7-26)

暮らしといのち、平和のために-信じられる未来へ!6・15県民の集い

6月15日に長野市・表参道セントラルスクゥエアで開催

◇国民生活の負担軽減のため、食料品ゼロパーセントや一律5%への引き下げなど緊急の消費税減税を!

◇選択的夫婦別姓制度を実現し、男女の賃金格差の是正などジェンダー平等社会へ!

◇安保法制の違憲部分は廃止、専守防衛に徹し、軍拡のための大増税ストップを!

食料品などの物価高騰、実質賃金の減少、年金の支給水準の低下など、日本では暮らしの破壊がすすんでいます。石破内閣は、生活に苦しむ庶民に対し何ら有効な対策を打てていません。今こそ、庶民の暮らしを支援する緊急対策を行う必要があります。

また、石破内閣は、国民の過半が望む選択的夫婦別姓制度の導入や同性婚制、男女の雇用・賃金格差の是正などジェンダー平等の実現に極めて消極的であり、世界の潮流に背を向け続けています。

一方、アメリカのトランプ政権は自国第一主義を掲げ、理不尽で道理のない関税政策を強行しています。また、ウクライナ、ガザなどでも強引な外交方針により混乱が生じています。世界の状況は混とんとし、経済危機、平和の危機がすすんでいます。

日本国内においても、5年間で43兆円もの巨額の防衛費の計上、「敵基地攻撃能力」の保有や、中国との軍事的緊張を高める沖縄・南西諸島での自衛隊基地の増強、米軍と自衛隊との軍事的一体化など、「新しい戦前」ともいえる戦時体制づくりにつながる軍備拡大が急速に進んでいます。

昨年秋の衆議院選挙で与野党伯仲の政治状況が生まれ、予算案が2度にわたり修正されるなど、国会運営や政策・法案に野党の意見が反映されるようになってきました。

この流れをさらに加速させ、自民党政治からの決別、政権交代の道筋をつけるため、7月の参議院選挙は大変重要な選挙戦となります。

2015年6月、ジャーナリストのむのたけじさんをゲストに、長野市で開いた戦争法反対の大規模県民集会には2700人もの市民・労働者が参加し、立憲主義を掲げる3野党がそろい踏みしました。翌年の2016年の参議院選挙では、初めて市民と野党の統一候補を擁立、1人区の議席で自民党候補に競り勝った意義を今、再確認する必要があります。その後の国政選挙での立憲野党と市民との共闘は「長野モデル」と言われ、地方から政治を変える大きな力となっています。

今年の参議院選挙でも市民と野党が力を合わせ、国民に背を向ける自民党政治からの転換を図り、新しい政治をつくっていくことが求められています。

呼びかけ人や信州市民連合、北信市民連合などでつくる実行委員会は6月15日、長野市で「暮らしといのち、平和のために-信じられる未来へ!6・15県民の集い」を開き、多くの市民・労働者が参加する集会・パレードを計画しています。多くの方のご参加をお待ちしています。

1.日  時  6月15日(日) 13時30分 (雨天決行)

2.場  所  長野市 表参道セントラルスクゥエア

3.主  催  長野県民の集い実行委員会  共催:信州市民連合、北信市民連合

4.名  称 暮らしといのち、平和のために-信じられる未来へ!6・15長野県民の集い

5.ゲスト  特別ゲスト 菱山南帆子さん(市民運動家)

ひしやま・なほこ 市民運動家、市民連合運営委員、許すな!憲法改悪市民連絡会事務局長。1989年八王子生まれ。戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会。単著:『嵐を呼ぶ少女とよばれて〜市民運動という生きかた〜』はるか書房。メールマガジン「猫とトラメガ」配信中

7.集会内容

◆オープニング企画:長沼こまち太鼓(長野市)

◆政党代表あいさつ(立憲民主党/日本共産党/社会民主党)

◆羽田次郎・参議院議員の音声メッセージ(録音)

◇終了後、市街地を長野駅前までパレード

2025年-平和・人権・環境を実感できる年に

今年も県・地区労組会議の運動へのご協力をよろしくお願いします

長野県労働会館に入居する団体の役職員が一堂に会し1月6日午前、合同新年会を実施した

本日、1月6日は2025年の仕事始めとなりました。今年も県労組会議や地区労組会議の取り組む様々な運動に対し温かいご指導をいただければ幸いです。

今年は戦後80年、被爆80年の節目の年です。止まらない物価高、実質賃金の低下などにより働く者の暮らしは一向に良くなりません。また、「新しい戦前」という言葉が大きく取り上げられることに象徴されるように、戦争・紛争、政治的・軍事的対立が世界中で激化し、平和共存や互恵平等という当たり前の理念・価値がないがしろにされています。

2025年はこのような危ない状況に歯止めをかけ、平和・人権・環境という価値観の大切さを実感できる年にしたいものです。

県労組会議・地区労組会議は、労働組合が果たすべき社会的役割を改めて確認し、さまざまな運動に取り組んでいく決意です。今年もよろしくお願い申し上げます。

信州市民連合が総選挙総括について3野党と意見交換

来年の参院選で市民と野党の共闘を再構築し政権交代へ

意見交換会には30人が参加

3野党県組織の代表が出席

信州市民連合は12月2日、選挙区市民連合や加盟団体の代表30人を集め(6人はZoom参加)、長野市内で全体会議を開きました。

全体会議では、まず共同代表の又坂常人氏が総選挙の結果の分析と総括、今後の展望について提案しました。又坂氏は、県内の選挙結果について「自民党は3議席にとどまった。全国的に数少ない実質的に野党共闘が成立した本県において、自民党に圧勝した結果は、来年参院選へ向け市民と野党の共闘を再建していく上で、全国的にも大きな意義をもつ」と指摘しました。ただし「長野県における立民候補の勝利は自民党の予想以上の苦戦によるものであり、必ずしも立憲・共産・社民3党の集票力の増加によるものではないことは、しっかりと認識しておく必要」があると強調しました。また又坂氏は、来年の参院選に向けてのポイントとして「選挙における政党選択においてもっとも重視されるのは生活問題。市民連合としてまずは若者と現役世代をターゲットにした生活保障政策を前面に打ち出すべき」と述べました。

全体会議では各選挙区市民連合から総選挙の取り組みと総括について以下のような報告がありました。

「勝利したが3野党と市民連合の共同の力で大きく盛り上げるまで至らなかった」(北信市民連合)、「5区を除いて市民と野党の共闘の信頼関係は残せたのではないか。2区は完勝だったが、日常から共闘を進めてきた成果だ」(中信市民連合)、「候補者と市民連合との協力・共同は、個人演説会の日程が知らされる程度だった。来年は羽田次郎議員が参議院選挙に臨むが3野党に働きかけを強めてほしい」(東信市民連合)、「前回よりわずかだが票を伸ばした点は評価したい。共産党が統一候補として出ている難しさもあった。本当の共闘とはどういうものなのか、課題が残った選挙だった」(4区市民連合連絡会)、「宮下氏が当選、福田氏は比例復活したが、一本化できれば勝てることができた選挙だった」(伊那谷市民連合)

「信州市民連合の候補一本化を求める努力に感謝」(杉尾秀哉氏)

全体会議の終了後に、3野党の県組織の代表が参加して意見交換会を行いました。政党からの参加者は、杉尾秀哉・立憲民主党県連代表(参議院議員)、鮎沢聡・日本共産党県委員会委員長、中川博司・社会民主党県連合代表(県議会議員)。

立憲民主党の杉尾秀哉・県連代表は「信州市民連合のギリギリの段階での調整努力に感謝申し上げる。4区で立憲内で立候補の動きがあり、信州市民連合との『共同のテーブル』での約束を守るため直前まで努力して、選挙区から比例へまわってもらった。参院選は過去4連勝しているが、来年は大変厳しい選挙となる。自民党は総力で長野をつぶしにかかってくるだろう。連携を図り候補の一本化を進めてほしい。衆議院とのダブル選も予想される。市民と野党の共闘をすすめる立場で対応したい」と述べました。日本共産党の鮎沢聡・県委員長は「衆院で与党が過半数割れした結果は市民と野党の勝利であり画期的。憲法改正勢力を3分の2以下に割り込ませ、希望や要求を実現できる状況になった。ただ、自民党政治に代わる新しい政治とは何か、まだ答えが出ていない。5区では野党統一に向けた努力を重ねてきたが、時間切れとなり反省の弁を述べたい。来年の参院選は衆院とのダブルの可能性もある。参院での自公の過半数割れを実現したい。決定的に重要なのは世論と運動。市民と野党の共闘で大いにアピールしていきたい」とあいさつ。社会民主党の中川博司・県連合代表は「県内で何とかみんなで戦おうとするみなさんの努力に敬意を表したい。7月末の要望に対し、3野党が集まって相談し、何とか一本化を図ろうとしてきたが、前回のようにはできなかった。社民党は1区から4区までは支援、5区は来年の参院選をにらみ自主投票とした。政策要望書の内容をどう実現していくのかが求められている。参院選でも候補一本化をめざし、政策合意を実現する運動の広がりをつくろう」と強調しました。

その後、参加者との意見交換も行いました。最後に、来年の参院選に向けて市民と野党の共闘を再構築し、与党の議席の過半数割れに追い込み、政権交代を実現しようと決意を固めました。

北海道からあなたの食卓へ新鮮直送 「ホタテ」を食べませんか!

国鉄闘争を語り継ぐ紋別・美幌の会(旧国労紋別・美幌闘争団)が斡旋

1kg4800円(送料込み) 5袋以上まとまると職場・自宅へ直送

JR不採用事件の全面解決から13年が過ぎました。旧紋別・美幌闘争団の団員は「国鉄闘争を語り継ぐ紋別・美幌の会」をつくり、地元での活動と長野県との交流をすすめています。

毎年取り組んできたホタテの販売は、今年も「紋別・美幌の会」が取り扱っています。「紋別・美幌の会」の仲間は現在、元気に生活を送っています。しかし、北海道のオホーツク地方は安定した職もなく、生活のための収入確保は困難が伴います。ホタテの収益は「紋別・美幌の会」の活動と生活の応援や、長野県内の地域運動を強めるためのカンパとして活用します。

ホタテの今年の仕入れ値は、昨年の中国の禁輸ショックを回復させようとする水産業界の努力で、ベトナムなどから迂回して中国への輸出増、アメリカやヨーロッパ向け輸出増、国内での消費拡大により需要が回復し、さらに中国への輸出再開が近いとの期待もあって、一昨年の仕入れ価格を上回る状況にあります。物価高の影響もあり、ホタテの加工賃もまた値上がりしています。予想以上のホタテ仕入れ値の上昇により、今年のホタテ販売価格は値上げせざるをえませんでした。販売価格は4800円(送料込み)です。

5袋以上まとめていただけると、職場・自宅などどこでも直送可能です。お問い合わせは、県労組会議、各地区労組会議まで。

◆とれたてを冷凍保存した1kgパックで、解凍して刺身でも食べられます。

◆一袋(1kg)=4,800円(化粧箱入り/送料込み/市価6千円程度)

◆5袋以上まとめて注文してください。直接送付します。

◆冷凍保存ですから、取り扱いには十分注意ください。

◆2024年・年内の注文の締め切りは12月17日(火)です。来年以降、第2次販売もあります。

与野党伯仲の国会で労働者・国民の願いを反映する政治をつくろう

県労組会議が定期総会開き護憲・脱原発などの運動方針を確認

県労組会議事務局次長に草野麻理子さん、間宮正博さんを選任

長野県平和・人権・環境労働組合会議(県労組会議)は10月18日、代議員・傍聴者など約60人を集め、長野市内で第29回定期総会を開きました。おりしも10月初めに発足した石破茂政権が、自らの権力基盤を強めるためだけの目的で衆議院を解散し総選挙が行われている真っ最中の総会でした。

主催者あいさつで、宇佐美正信議長は、岸田政権が退陣し石破政権が発足した点について触れ「国民生活や平和を壊し続ける自民党政治に変わりはない。総選挙で与党の過半数割れをめざそう」などと強調しました。

来賓として、連合長野の根橋美津人会長、立憲民主党県連の杉尾秀哉代表(参議院議員)、社会民主党県連合の中村雅代副代表(小布施町議会議員)、部落解放同盟県連の小山慎彦執行委員長、朝鮮総聯県本部の洪高志組織部長、県労働金庫の小池政和理事長、こくみん共済coop長野推進本部の村山智彦本部長、県住宅生協の徳武淳理事長にごあいさつをいただきました。

討論では「県の人事委員会勧告が出て市町村段階での確定闘争に取り組んでいる。『労使自治の原則』で労使交渉を積み重ねて要求を実現したい」(自治労)、「初めて総会に参加した。いざというときに相談に乗ってくれる労組会議を頼りにしている」(印刷フォーラムながの)、「朝鮮学校を支援するキムチ購入に取り組んでいるが、食品の内容表示を徹底してほしい」(松本地区労組会議)などの報告、意見がありました。

特別決議として「平和と民主主義、国民生活を守り抜くため、総選挙に勝利し政権交代を実現する決議」が採択されました。最後に「組織されていない労働者・国民にも共感が広がる労働運動、平和運動が必要」であり、「私たちの日々の運動の積み重ねが、必ず平和で幸せな社会、労働者・国民のための社会をつくると確信」しようとする「総会宣言」を採択しました。

役員改選では一部役員が交代しましたが、県労組会議三役は全員が留任、新たに事務局次長として草野麻理子さん、間宮正博さんが選任されました。役員体制(四役)は以下の通りです。

◆議長=宇佐美正信(国労長野)、◆副議長=伊藤浩二(自治労)、若林茂(私鉄県連)、大橋孝宏(森林労連)、◆事務局長=喜多英之(自治労)、◆事務局次長=草野麻理子(県労組会議・自治労)、間宮正博(県労組会議・自治労)

総会には代議員・傍聴、役員など約60人が出席

あいさつする宇佐美正信議長

【来賓】根橋美津人・連合長野会長

【来賓】杉尾秀哉・立憲民主党県連代表(参議院議員)

【来賓】中村雅代・社民党県連合副代表(小布施町議会議員)

【来賓】小山慎彦・部落解放同盟県連執行委員長

【来賓】洪高志・朝鮮総聯県本部組織部長

【来賓】小池政和・県労働金庫理事長

【来賓】村山智彦・こくみん共済coop長野推進本部本部長

【来賓】徳武淳・県住宅生協理事長

発言する小川晃代議員(自治労)

発言する丸山信子代議員(印刷フォーラムながの)

発言する高山佳朗代議員(松本地区労組会議)

総会の最後には全員で団結ガンバロー

〈第18期〉21世紀の労働運動研究会第3回講座「職場におけるハラスメント及び安全衛生の判例と課題」(講師:小川英郎弁護士)

「〈第18期〉21世紀の労働運動研究会」の全4回の講座が終わりました。
今回は、上松町(木曽地区)を会場にした第3回講座についてご紹介します。

ハラスメント問題に詳しい小川英郎弁護士が講演

第3回講座は、9月20日(金)、ひのきの里総合文化センター(上松町)でウェール法律事務所(東京)の小川英郎弁護士を講師に迎え、「職場におけるハラスメント及び安全衛生の判例と課題」というテーマで、ハラスメントの定義、職場での具体的なハラスメント対策、カスタマーハラスメント(カスハラ)についてもお話いただきました。会場参加・Zoom参加をあわせて60人が参加しました。平日夜にもかかわらず、会場は、自治労、林野労組の若手組合員を中心に大勢の参加者で賑わいました。冒頭、木曽地区労組会議の西村議長は「学習を通じて本質を見極めることが大事。悩んでいる人達を労働組合としてどう救済していくのか。この問題で職場を去るという人をゼロにすることも労働組合の課題。職場に持ち帰っていただき、対策に役立てていただけたら」と挨拶されました。

講演する小川弁護士

日本の職場環境の悪化がハラスメントの源泉

近年、労働強化や人員の減少などの傾向と相まって、職場でのパワハラ、セクハラ、いじめなどが増えています。さらに顧客からの理不尽なクレームや言動によって労働者のメンタルが傷つけられる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」も社会問題となっています。小川弁護士は「職場でのパワハラ、セクハラ、いじめなどの相談が増えている」「90年代後半はリストラや解雇や賃金の問題が圧倒的だった」と長年務めてきた労働弁護団のホットライン(相談ダイヤル)での相談内容の変化から「日本の職場環境が悪化していることに原因がある」「一人ひとりの労働条件が悪くなると、同僚や部下に対して丁寧に気を配る余裕がなくなり、ハラスメントが生まれてきているのでは」と指摘しました。講演では、2019年の「改正労働施策総合推進法」が成立してパワハラが初めて法律で規定されたこと、パワハラの定義、具体的なハラスメントと対策を裁判例を交えながらわかりやくお話いただきました。

日本労働弁護団ホットライン
https://roudou-bengodan.org/hotline/

社会問題化するカスタマーハラスメント

講演の最後にはカスハラの問題に触れ、「カスタマーハラスメントがエスカレートすると犯罪行為に近づいてくる」「基本的には警察対応、どう対応するかを組織の中で線引きをしておくことが必要」と対応策が示されました。質疑応答では、参加者からのサービス残業対策やカスハラ対策などの質問に対して、具体的なアドバイスを頂けました。

会場には50人が集まった。

【講演概要】

職場におけるハラスメント及び安全衛生の判例と課題

第1 パワーハラスメント

1 改正労働施策総合推進法成立

198回通常国会(2019年)で、職場のパワーハラスメント(パワハラ)に対する事業主の措置義務を定めた改正労働施策総合推進法が成立した。

・優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
・業務の適正な範囲を超えて行われること※最も重要
・身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
※3つの要件を満たすものがパワハラ

⇒詳細は指針に委ねられた(令和2年[2020年]6月1日施行)

◎事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針【令和2年6月1日適用】※パワハラ指針

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000605661.pdf

2 定義について

(1)「職場」

「当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当該労働者が業務を遂行する場所については、『職場』に含まれる。」

「業務を遂行する場所」には、出張先、取引先、会社の懇親会等が含まれる。また勤務時間外であっても業務遂行との関連性が認められれば、『職場』にあたりうる。ハラスメント防止の観点からすれば、①明確化と②安全サイドに立った解釈が求められる。

(2)「優越的な関係を背景とした」

「行為者に対して、抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるもの。」

職位、職種・雇用形態の違い、能力・資格・実績・成績などの個人的能力、容姿や性格、性別、性的指向・性自認など、あらゆる要因により事実上生じた人間関係を広く含む概念と解して対応することが求められる。「抵抗又は拒絶できない」ほどの関係がないと安易に解釈することは危険。

(3)「業務上必要かつ相当な範囲を超えて」について

「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動であるかの判断にあたって、「個別の事案における労働者の行動が問題となる場合は、その内容・程度とそれに対する指導の態様などの相対的な関係が重要な要素となる」

労働者の行動の問題性が高ければ、指導・叱責が直ちにパワハラに該当しなくなるということではない。多くの裁判例で労働者側の問題点を指摘しつつも、違法性が認められている点に注意。

第2 セクシャルハラスメント

■パワハラよりはるかに早く雇用機会均等法(第11条)で規定された。

1 「職場におけるセクハラ」とは?
=「職場」において行われる「性的な言動」に対するその雇用する「労働者」の対応により、当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること。
⇒使用者は「職場におけるセクハラ」が起こらないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用機会上必要な措置を講じなければならない(雇用機会均等法第11条)

2「性的な言動」とは?
・性的な内容の発言
・性的な言動
※性別役割分業に基づく言動も含まれる

(例)
・「男のくせに根性がない」
・「温案は若くてかわいい方がいい」
・女性だけにお茶くみ、掃除をさせる など
・女性であるとして、記者を重要な取材先に配置する※財務省事務次官セクハラ問題

■裁判所の意識も低かった。触ったわけでもないのにセクハラにはならないと。今ではすぐにアウト。セクハラ・パワハラ、ハラスメントへの考え方が変わってきている。しかるべき立場にある人が、セクハラやパワハラが起きているのに放置していると、その個人も法律上の責任を問われることがある。

第3 メンタルヘルス不調と労働災害

1 問題の所在

近年、メンタルヘルス不調が業務に起因する労働災害であるとして紛争になるケースが増えている。特に、労働基準監督署が業務外決定をしたため、行政取消訴訟として裁判に持ち込まれるケースが依然として多い。これらの裁判例の傾向を検討し、業務上と業務外の判断が実務上どのようになされているのか、使用者及び人事労務担当者が気を付けるべき点はどこにあるのか、労働者としてはどうすればよいのかといった点について考察する。

■労働基準監督署で認められるのは2割くらいで、8割は却下されている。裁判に訴えるひとは少数でほとんどのひとが諦めている。しかし、裁判に訴えた場合4割くらい国側が敗けている。いかに労基が労災と認めていないかの反証となっている。

■メンタルヘルス不調を労災かどうか判断するには、「業務による心理的負荷評価表」を参照。ハラスメントに関心があったり学びたいひとは理解していただくといい。

「業務による心理的負荷評価表」(厚生労働省サイトから)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/120427_4.pdf

■メンタルヘルスの労災の申請があった際に、労基署はこの表で判断する。表のなかで「弱」「中」「強」とあるが「強」とされると労災認定される。過去半年間のイベント(出来事)を評価する。

■カスタマーハラスメントの場合、表の27番「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」には心理的負荷の強度「Ⅱ」が付いているが、これだけでは労災認定されない。

【27番】

 

しかし、「強」になる例として、
・顧客等から、治療を要する程度の暴行等を受けた
・顧客等から、暴行等を反復・継続するなどして執拗に受けた
・顧客等から、人格や人間性を否定するような言動を反復・継続するなどして執拗に受けた
・顧客等から、威圧的な言動などその態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える著しい迷惑行為を、反復・継続するなどして執拗に受けた
・心理的負荷としては「中」程度の迷惑行為を受けた場合であって、会社に相談しても又は会社が迷惑行為を把握していても適切な対応がなく、改善がなされなかった

【23番】

■このようなことがあった場合は、カスタマーハラスメントは平均的には「Ⅱ」だが、「強」として労災として認める。また、半年間のうちに上司からパワハラを受けた(23番「同僚等から、暴行又はひどいいじめ・嫌がらせを受けた」)などの出来事があった場合は「Ⅱ」が二つあることになり、今の実務では「Ⅱ」が二つあれば労災が認定される。

■ぜひこの一覧を活用できるようになってほしい。

第4 カスタマーハラスメントについて

1 カスハラとは?

顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上、不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの。

「顧客」には、今後の利用可能性がある潜在的顧客も含む。

2 抵触する法律

カスタマーハラスメントは、単なるクレームに止まらず、犯罪行為になる場合がある。傷害罪、暴行罪、脅迫罪、恐喝罪、強要罪、名誉棄損罪、侮辱罪、威力業務妨害罪、不退去罪、軽犯罪法違反罪など。

■パワハラにおける会社の中の上司や部下や同僚などの関係とは異なり、カスタマーハラスメントにおける加害者は一般の顧客のため、その人との関係が法律的にあるわけではない。しかしクレームに止まらず犯罪行為になる場合もある。例えば、「今言ったことは録音してあるからネットにあげてやる」などは脅迫罪です。「これで会社を休まなくちゃいけなくなった。日当は○○円だ」などと暗に金を払えと匂わせると恐喝罪です。土下座させようとするなど不必要なことをさせることは強要罪です。ネットで言いふらすなどは名誉棄損罪です。バカなどと厳しい言葉を投げつけることは侮辱罪です。居座って帰らないなどで業務を滞らせるなどは威力業務妨害罪、不退去罪です。

■カスタマーハラスメントがエスカレートすると犯罪行為に近づいてくる。基本的には警察対応。どのくらいでどう対応するかの線引きをしておくことが必要。

3 対策

(1)相談体制の整備
(2)被害者への配慮のための取組み(メンタルヘルス不調への相談対応、一人で対応させない体制整備など)
(3)マニュアル作成、研修の実施

■組織や会社は、あらかじめそういう人が来たらどう対応するかを決めておく。そうしないとどんどんハラスメントがエスカレートする可能性がある。

4 具体的には

  • 長時間拘束

帰らない。電話を切らないなど

■丁寧に応対する。怒鳴られても同じように言い返さない。一定の時間が過ぎたら「申し訳ございません。これで切らしていただきます」などと言って切るなどの対応をあらかじめ上司は指示しておくことが大事。話をつないで、相手に切らせないようなテクニックを持っている。

  • 反復型

繰り返しのクレーム。

■毅然と対応することが重要。組織として一定の基準をつくっておく。

  • 暴言

やめるように説得、やめなければ録音、退去を求める

  • 暴力

警備員がいる職場なら警備員にすぐ連絡、複数名で対応することが肝心。直ちに警察に連絡。

  • 威嚇・脅迫

「殺すぞ」「ネットで拡散してやる」「口コミに書いてやる」

録音する。脅迫罪にあたることを伝える。退去を求める。警察への通報も考える。

  • SNSなどへの誹謗中傷

SNSのプラットフォームに削除を要請する。身元が分からない場合は発信者情報開示(弁護士に依頼)して対応を考える。名誉棄損の場合は、警察や弁護士に

【質疑応答】

Qサービス残業への対応はどうしたらいいか?

Aタイムカードを置くのがいい。法律上は1分単位で残業代の支払い必要。労働基準法は罰則付きの法律で、違反した場合は懲役6か月以下、罰金30万円以下の列記とした刑罰法規であることをわからせ、タイムカードを置くのが一番いいのがいいと思う。

Q2~3年で、全国にわたり広域に人事異動が多い職場。人事面で事前調査あるが、本人の希望が叶いにくい。組合では限定的ではあるが、健康面や家庭の事情に限り人事に配慮するよう申し入れている。

A東亜ペイント事件では、企業の方に幅広い裁量権を認めてしまった。単身赴任があたり前だった時代に出た判決。人事異動は違法であると権利濫用だと訴え取り消された事例は少ない。ただ労働者側が勝ったケースは家庭の事情がある場合。有名な明治図書事件は、重度のアトピー性皮膚炎のあるお子様が2人いる家庭だった。両親ともにフルタイムで、特殊な病院への通院が必要だった。夫は労組の副委員長だったので不当労働行為的でもあるが、東京から大阪への転勤を命じた。妻が仕事を辞めないと子どものケアができない。裁判所は、夫への配転命令は権利濫用で無効だと判断。今の裁判所は、家族の事情などで配転は過酷だと判断する場合は、これを無効とする傾向がある。法的に難しい場合は労働組合の力が非常に重要。私がかつて務めていた会社は、非常に組合が強くて、転勤の命令が出ても、本人がいやだと言うなら行かなくていいという労使慣行が確立していて、人事についての同意権を持っていた。いまはなくなってしまったそうですが。本人が希望しない配転については、最大限の配慮をするようにというような職場での慣行をつくっていく取り組みが重要。

Qセクハラやパワハラは、裁判や交渉事にまで至らず悩んでいる人多い。職場でも相談窓口設けているが、相談するひとは少ない。少しでも職場をよくできた事例があれば教えてほしい。この問題で職場を去る人を皆無にしたい。

A本当にその通りだと思います。セクハラ・パワハラを受けて会社を辞めていく人は非常に多いのでなくしていかないといけない。組合がない職場で、パワハラを会社に申告したが、相談窓口が機能しなかったケース。本人は、まずは否定する。言ったかもしれないけど、そんな言い方ではないなどと言って、事実確認ができなかった。相談者は人望があり、職場の人助けをしていた。私は協力してくれる仲間はいませんかと訊きました。職場の同僚が書面で申入書をつくって、再度相談窓口に出したら、調査が必要となりパワハラがあったことを認定して、加害者本人を処分した。これは1人では浮いてしまう。職場での一種の団結があると解決が早い。普段からのコミュニケーションをきちんととれるようにしておくことが重要。

セクハラ・パワハラは早期発見が重要。相談しやすい相談窓口を用意することが大事だが、現実的にはあまり役に立っていないところが多い。経営者相手に話すこともあるのですが、パワハラで社員が自殺したらどれくらいの賠償が必要か知っていますかと話します。裁判例をあげながら、普通の中小企業なら倒産するくらいの金額の賠償を命じられることもあると話します。労働組合からも会社側に経営上のリスクであると説得していくことも有効。横のつながりで学習会を開催して、情報を共有していくことも有効。

Qカスハラについて、警察などに通報するタイミングが難しい。過度な暴言や土下座要求などの場合でも警察に通報等できるのか?また記録があれば後日訴えることもできるのか?

A脅迫や強要でも警察に通報できる。録音は本人の承諾は不要。暴言、脅迫するような人に確認は不要。その方が絶対安全。後日、勝手に録音しやがってと言われても、法律違反ではない。裁判でも証拠になる。

Q役場で長時間、叱責されるという事案があった。

Aできるだけ毅然と対応されることがいい。一人で対応させず組織で対応している姿勢を示すことで相手もひるむこともある。町役場でしたらその中で、あらかじめどういった対応をするかのマニュアルを作成して、体制を準備しておくことが重要。

【参考】

ウェール法律事務所・社員からの法律トラブル相談室・第6回「配置転換」(小川英郎弁護士)
https://ver-law.ne.jp/img/roumu_120915.pdf

〈第18期〉21世紀の労働運動研究会第2回講座「コミュニティ・ユニオンの現在とこれから」(講師:鶴丸周一郎氏)

「〈第18期〉21世紀の労働運動研究会」の今期の全4回の講座が終わりました。
今回は松本を会場にした第2回講座についてご紹介します。

「名古屋ふれあいユニオン」の鶴丸周一郎氏が講演

第2回講座が7月20日(土)、松本市勤労者福祉センター(松本市)で名古屋ふれあいユニオン運営委員長の鶴丸周一郎氏を講師に迎え「コミュニティ・ユニオンの現在とこれから」というテーマで、未組織労働者からの労働相談の実態、地域ユニオン運動、日本の労働運動のあり方などについてお話いただきました。会場参加・Zoom参加あわせて30人が参加しました。

職域に単位を置く企業別労働組合が主流の日本のなかで、職場をこえて1人でも加入できる労働組合=コミュニティ・ユニオンの活動が注目されています。日本では労働組合の加入率が年々低下するなかで、労働者10人のうち8人が労働組合に加入していません。労働組合のない職場の労働者からの相談を受けて、ユニオンに加入してもらい、企業と団体交渉などを行い問題を解決していくユニオン活動は、労働組合への組織化の最前線を走っています。

講演する鶴丸周一郎氏

「労働組合」「1人」「入れる」と検索したことから始まった

昆虫学者を目指していたなかで市役所職員になるなど異色の経歴を持つ鶴丸氏は、ある職場で社長に異を唱えたことで解雇されたことをきっかけに、1人でも入れる労働組合「名古屋ふれあいユニオン」に加入することになり労働組合との関わりが始まったことや、短期間での配置換えの末に研究開発部と称した「隔離部屋」での地震の体験なども語られました。

講演の最後に組織や国を垣根をこえた運動づくりの重要性が強調され「分断をこえなければ労働運動に未来はない」と訴えました。

講演終了後は、鶴丸氏にコメントをいただきながら、ワークルールについての学習を深めました。

名古屋ふれあいユニオン公式サイト

https://nagoya-union.online/

コミュニティ・ユニオンの現在とこれから

【講演概要】

■コミュニティ・ユニオンとは?

・これまでの日本の労働組合の多くが企業ごとに正社員だけを対象に組織されてきた者であったのに対し、コミュニティ・ユニオンは、地域社会に密着して、パートでも派遣でも、外国人でも、だれでもひとりでもメンバーになれる労働組合。

■運動のはじまり

・1975年頃からサービス業、卸・小売業、飲食店などでの雇用が急速に拡大。その多くが不安定雇用・低賃金の主婦パートだった。1981年頃から労働組合の地域組織(地区労)を中心にして「パート110番」などによる労働相談活動が広がった。江戸川区労協の相談に訪れたパート労働者が「私たちでも入れる組合があればいいのにね」と言ったのがきっかけとなり、1984年に「ふれ愛・友愛・たすけ愛」を合言葉にした江戸川ユニオンが結成。これをきっかけにコミュニティ・ユニオン運動が広がった。

■名古屋ふれあいユニオン

・1999年に結成。組合員数は約420人、うち移住労働者は40%。14分会のうち半数が移住労働者の分会。ブラジル人の組合員が組織にとって重要な役割を果たしている。大規模雇い止めなど、職場で共通する問題が複数加入のきっかけになっている。

名古屋ふれあいユニオンの組合員数の推移 

■名古屋ふれあいユニオンの課題

  • 問題の原因、問題解決について

移住労働者が職を失いやすい構造(企業が都合よくクビを切れる構造)がもともとあるため、理不尽ではあっても、必ずしも違法ではない。

  • 言語

通訳が常駐していないため、相談の電話にすぐ対応できないことも多い。

いまは1人の組合員に頼ることが多いが、将来的には通訳ができる専従者が必要。しかし現状は費用(人件費の確保)と対象者どちらもクリアできていない。

  • 組織化

個別問題が解決した組合員に対し、組合員である意義をどう理解してもらうか、どうしたら組合内で横のつながりをもてるかが課題。

多くのブラジル人の組合員は家族ぐるみで組合の集まりに参加

■コミュニティ・ユニオンのこれから―運動を継続するために

(1)次世代の担い手をいかにしてつくるか

・20~30代の専従者は、全国ネットのなかでは十数人。50歳でも「若手」。

・20年後も運動を継続するために何が必要か? 全国ネットでは、毎年開催しているユニオンセミナーのほか、近年は比較的若い世代のつながりづくりも行っている。

(2)垣根をこえた運動づくり

・分断をこえなければ運動に未来はない。第1回講座の講師の渡辺さんのPOSSEと同じように名古屋ふれあいユニオンも上部組織がない。特定の潮流もなく、連合系と一緒に活動することもあり、一方で全労連系とも共闘することもある。組織内にも多様な声があるが、こういったことを意識してやっている。自分が労働組合の経験が浅いから出来ているのかもしれない。組織を一つにするのは不可能かもしれないが、必要な運動があればできるだけ垣根をこえていくことが、将来、労働運動を継続、発展させていくために重要。

・労働運動にとどまらないことが重要。あるいは国内だけにとどまらない。労働運動は社会運動の一部だが、労働運動でこの社会を変えることができるということを認識すること。

ポルトガル語の「解雇を撤回しよう」というプラカード

総選挙 与党が過半数割れ - 政権交代へ道筋つける

県労組会議の推薦候補4氏が当選果たす

国民・労働者の生活向上、平和を守る政治へ大転換を

10月27日に投開票された総選挙は、自民・公明の与党が過半数を大きく割り込み、立憲民主党などの野党が躍進する結果となりました。「一強多弱」の政治状況が一変し、与野党伯仲状態が生まれました。裏金や旧統一教会問題、絶対多数を背景にした強権的な国会運営など、自民党政治のおごりに国民の怒りが吹き上がりました。

県労組会議は1区、2区、3区、5区の4人の候補者を推薦しましたが、全員が当選を果たすことができました。みなさまのご支援に心から感謝申し上げます。

当選した衆議院議員

長野1区 篠原 孝

長野2区 下条みつ

長野3区 神津 健

長野5区 福田淳太