21世紀のキーワード―平和・人権・環境

長野県平和・人権・環境労働組合会議

県議選で推薦・支持候補7人が当選

労働者の声が届くリベラルな県政をめざそう

4月9日、投票が行われた長野県議会議員選挙では、県労組会議が推薦・支持する7人が当選を果たしました。

県労組会議は昨年8月に行われた県知事選で阿部守一知事を推薦しました。これは、阿部知事の12年間の県政運営を総合的に評価すると、私たちが掲げる理念・政策とおおむね方向性を共有していると判断したからです。ただ、県議会を構成するほとんどの県議が阿部知事を支持する状況のなかで、県政のスタンスがどちらかというと産業界や保守政党に向き、勤労者の声はかき消されがちになっています。県労組会議は、労働者・勤労者の声を代弁し、暮らしや平和、民主主義、人権を最優先するリベラルな県議会議員の存在が必要だと考えています。

今回当選した7人の推薦・支持議員と一緒になって、労働者の声が届く県政をつくっていきましょう。

県労組会議が県議選で9人の候補を推薦・支持

投票日は4月9日 くらしと平和を守る一票を

3月31日告示、4月9日投票で県議会議員選挙がスタートしました。県労組会議は、民主主義と平和、勤労者のくらしを守る県政を推し進めるため、9人の候補を推薦・支持しています。

青年女性が「敵基地攻撃能力」などの問題でディベート

反戦平和学習会に44人が参加 沖縄平和の旅の報告も

県労組会議青年女性連絡会は、2月11日に反戦平和学習会を開催し、3産別27単組44人が参加しました。学習会では、昨年末に政府が閣議決定した安保関連3文書の改訂について、敵基地攻撃能力保有や防衛費予算増額などをテーマに青女連絡会幹事を中心にパネルディスカッションを行いました。パネラーを「賛成派」「反対派」に分けて、それぞれの立場から意見を出し合うディベート方式で行いました。

反対派からは「敵基地攻撃は防衛ではなく先制攻撃ではないか」「防衛費をもっと物価対策や社会保障に充てるべき。軍拡競争に日本が参加するべきでない」といった意見が出された一方、賛成派は「ロシアやウクライナの状況や中国、台湾有事を考えると防衛強化は必要」「憲法9条があっても守られない、世界各国もどんどん防衛を強めている」といった様々な意見が出されました。その後、参加者にどの意見に自分は近いかと尋ねると、半数以上が「中立(どちらでもない)」と回答し、「どちらの意見にも共感ができて選べない」といった理由が多くありました。

学習会は続いて、オキナワ平和の旅の報告を伊那市職労働組合の樽澤永理さんより受けました。牛島満中将の孫である、牛島貞満さんの講演では、沖縄戦は日本軍の時間稼ぎに利用され、多くの住民が巻き込まれ殺された事実に触れ、「軍隊は国を守るが住民は守らない。どんなに軍事力を強化しても、その本質は変わらない。沖縄戦の教訓を生かし戦争を起こさないために何ができるか考えてほしい」と訴えるなど、オキナワ平和の旅の講話やフィールドワークから、沖縄戦の悲惨さや実際の戦争の怖さが報告されました。

参加者からは、「国防や防衛費増額というマクロな視点では賛成よりだが、沖縄の報告にあったようなリアルでミクロな視点だと反対意見に納得した」「自分の意見を考える良いきっかけになった。国民全体でもっと関心をもつべきと感じる」といった意見が出されました。

パネルディスカッションで使用された説明資料は以下の通りです。

 

 

「311子ども甲状腺がん裁判」第4回口頭弁論を傍聴して

東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質の影響で甲状腺がんになったとして、事故当時、福島県内に住んでいた男女7人が東京電力に損害賠償を求めている「311子ども甲状腺がん裁判」の第4回口頭弁論が1月25日、東京地裁で開かれました。

東京地裁前アピール(入廷前の弁護団の皆さん)

昨年11月に開催された脱原発2022 in信州でOurPlanet-TV代表・白石草さんに講演していただいた内容の裁判になります。

市民集会・脱原発2022 in 信州「誰にも言えず、苦しんできた~福島甲状腺がん患者の現実~」白石草(OurPlanet-TV)講演会

原告側が提出したのは、黒川眞一高エネルギー加速器研究機構(KEK)名誉教授の意見書。福島第一原発事故当時の放射性物質の詳細なデータはあまり残っていないものの、KEKの平山英夫教授(当時)ら、研究グループが、原発から60キロ地点にあった福島市紅葉山のモニタリングポストに1時間ごとの核種別の線量が残っていたことに着目し、大気中の放射性ヨウ素131の濃度を算出した論文が存在していることを指摘した上で、その時間ごとの濃度をもとに、1歳の子どもの吸引による被曝線量を推計。その結果、最も放射線量が高かった3月15日から16日の数時間にかぎっても、約60ミリシーベルトの内部被曝をしたと主張しました。UNSCEAR(国連科学委員会)の報告書をもとに、原告らは10ミリシーベルト以下の被曝しかしていないとする被告の主張は、あまりに過小評価であり、信頼性が低いと指摘しました。

このあと原告2人が証言台に立ち、意見陳述をしました。事故当時、中通りで生活していた 20代の男女ひとりずつで、男性はこれまでに4回の手術を経験。7時間におよぶ2回目の手術では、「死んだ方がましだ」とさえ考えた苦しみを、涙声で訴えました。

もう一人の女性は、1年前の裁判提訴の新聞記事を見て原告団に加わった経緯に触れ、自分と同じような境遇の患者による裁判の存在により、心が救われた思いを吐露。女性は、「坂本三郎さん、野口晶寛さん、原健志さん。」と裁判官の名前を一人ひとり呼び、「私たちは今、匿名で闘っていますが、一人ひとり名前があります。私の名前はわかりますか。」と問いかけ、「かつての私のように、裁判官の皆さんにとっては、ひとごとかもしれません。私がそうだったから、痛いほどわかります。でも、私たちがなぜこのように立たざるを得なかったのか。それだけでも理解してほしいです。」と声を振り絞って訴えました。

報告集会には、抽選に漏れてしまい裁判を傍聴できなかった多くの方が参加し、意見陳述の音声と準備書面の説明動画が流され、また弁護団ひとりひとりから報告がありました。

報告集会の様子(日比谷コンベンションホール)

京都から駆け付けたアイリーン・美緒子・スミスさんもマイクを取られ、「原告の方たちの生の声を、日本中の人に聞いてもらいたい。今日、ここに参加の皆さんは、このことを誰に伝えるかを、今、決めてほしい。そして集会が終わったら発信しましょう。みんなでがんばりましょう」と話されました。

アイリーン・美緒子・スミスさん

担当弁護士が原告の意見陳述の様子を報告されました。

原告4担当・北村弁護士

井戸弁護団長からは「被告の主張は、UNSCEAR報告に全面的に依拠している。UNSCEARは必ずしも中立的な機関ではない。推測値に基づいて10mSv以下だからがんにはならないと主張しているが、実は、福島市のモニタリングポストに大量被ばくの実証データがあった。呼吸だけで60mSvになる。この被告の主張の根幹を崩すことが重要」とし、

さらに、「この裁判についてはメディアの扱いは小さく、ほとんど報道もされない。知らない人の方が多い。多くの人に知ってもらうという法廷の外での戦いも必要だ」と訴えられました。

報告集会で話す井戸弁護団長

次回の第5回口頭弁論期日は3月15日(水)14時から東京地裁103号法廷で開かれます。第6回期日は6月14日、7回期日は9月13日に決まりました。

また、署名活動を受けてこれまでの法廷から大法廷(一般傍聴人席はこれまでの26席から75席へ)で審理が行われることとなったそうです。

原告の皆さんの「何が起こったかを知りたい」との思いで開始された裁判の行方を、今後も注目していきたいと思います。

最後に筆者自身も福島県からの自主避難者で、子どもたちは県民健康調査を受けています。 傍聴して感じたことをここに記載させていただきます。

裁判を傍聴して感じたこと

 

2023年もよろしくお願いいたします

平和と民主主義、人権、労働者の生活と権利を守るために

2023年、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

昨年1年間は、2年間にわたるコロナ禍により、非正規雇用労働者や女性、ひとり親家庭、在日外国人労働者など、社会的に弱い立場の人々の生活や仕事へのダメージが長く続き、生活に困窮する人たちがさらに増加しました。一方で、コロナ下でも大企業や富裕層は富を蓄え、社会的・経済的な格差はさらに広がったというのが実感です。

また、岸田文雄政権は、ハト派の宏池会に所属し、被爆地・広島の出身を前面に押し出し、「聞く力」を強調してきましたが、その反動的な本性が明らかになった1年でもありました。法的根拠のない安倍元首相の「国葬」の強行、戦後日本の専守防衛を基本とする防衛政策を大転換させる「敵基地攻撃能力」の保有や防衛費の倍増方針の策定、3・11以降、政府がエネルギー基本計画に掲げた「原発依存度の低減」を空文化する原発政策の大転換による原発再稼働の推進、老朽原発の運転延長、新増設と建て替えの推進などを決めてしまいました。このような重要政策の転換が、国会でも十分議論されす、主権者たる国民に問いかけもしない手法で強行されました。とても容認できるものではありません。岸田政権は、もはや「ハト派」の仮面をかぶった超タカ派政権と断定せざるをえません。

私たち県労組会議は、このような岸田政権と対峙し、この1年間、労働者・市民とともに運動を進めていく決意です。

県労働会館入居団体が一堂に会し新年会

県労組会議も入居する長野県労働会館に専従する役職員が一堂に会する恒例の新年会が1月4日、行われました。

多くの来賓の方にもご出席いただき、2023年年頭にお互いが元気に活動を進めていくことを誓い合いました。

出席いただいた来賓のみなさまは以下の通りです(敬称略/順不同)。

◇篠原孝(衆議院議員/立憲民主党)、◇杉尾秀哉(参議院議員/立憲民主党)、◇埋橋茂人(県議会議員/立憲民主党)、◇望月義寿(県議会議員/立憲民主党)、◇池田清(県議会議員/立憲民主党)、◇布目裕喜雄(長野市議会議員/社会民主党)、◇中山千弘(県労福協理事長)、◇小池政和(県労働金庫理事長)、◇村山智彦(こくみん共済coop長野推進本部本部長)、◇浅田道憲(県住宅生協専務理事)

市民集会・脱原発2022 in 信州「誰にも言えず、苦しんできた~福島甲状腺がん患者の現実~」白石草(OurPlanet-TV)講演会

■市民集会・脱原発2022in信州

市民集会・脱原発2022in信州実行委員会が主催する「市民集会・脱原発2022in信州」が11月19日(土)、長野県教育会館ホール(長野市)で開催されました。

今年は「誰にも言えず、苦しんできた~福島甲状腺がん患者の現実~」というテーマで、特定非営利活動法人〈OurPlanet-TV〉の白石草代表が講演をされました。県内の脱原発運動にかかわる市民を中心に、Zoom参加・会場参加あわせて約40人が参加しました。

OurPlanet-TVの取り組みについて説明する白石草さん

会場の様子

採択された集会アピール

■311子ども甲状腺がん裁判はじまる

今年1月27日、これまで固く口を閉ざしていた原発事故当時の幼稚園生から高校生だった甲状腺がんの当事者、17歳から27歳の男女6人(現在は7人)が原発事故による放射線被曝によって甲状腺がんを発症したとして、東京電力に6億1600万円の損害賠償をもとめる訴訟を提起しました。白石さんがかかわってきた若い当事者も原告として参加しています。現在、勇気をもって立ち上がった原告を支援するための輪が広がってきています。

311子ども甲状腺がん裁判の弁護団と支援者

 

「誰にも言えず10年を過ごした」〜原告6人の声

裁判に臨む若い原告たちの声をOurPlanet-TVが報じている

 

■甲状腺がん裁判に立ちあがった若い原告たち

白石さんは、2013年からの3回にわたるチェルノブイリ取材を重ねるなかで、原発事故による健康影響について調べるためには、小児甲状腺がんの全容を知ることが欠かせないと感じたそうです。今回の講演では、はじめに福島県内で多発している子どもの甲状腺がんが、専門家たちにどのように扱われてきたか、その問題点と現在の状況について解説いただきました。後半では、小児甲状腺がんの問題を追うなかで出会った患者とその家族とのかかわりのなかから見えてきたもの、福島県立医大でのアイソトープ治療の過酷さ、若い当事者たちの苦悩、甲状腺がん裁判に臨む原告たちの声を伝えていただきました。

福島県立医大で甲状腺がん手術を執刀してきた鈴木眞一教授は「過剰診断」を否定する

※アイソトープ治療(RI)治療:甲状腺がヨウ素を取りこむ性質を利用し、甲状腺がん細胞が肺などの遠隔組織に転移した場合や、甲状腺全摘出後に、再発を防ぐ目的で「放射性ヨウ素」を内服してがん組織を破壊する治療法

 

■若い原告たちの声「将来が考えられない」

 

「死んだ方が楽かもしれない」

6時間半に及ぶ手術のあと、朦朧とした意識のなかでそんな思いがよぎった。

― 25歳・男性・福島県浜通り

恋愛や結婚は「自分とは関係ないもの」

手術を受けてから「普通」に生活する将来が考えられない。

― 17歳・女性・福島県浜通り

憧れはバリバリ働くキャリアウーマン。

手術後体調がすぐれず、希望して入った会社も2年で退職。

― 26歳・女性・福島県中通り

会場配布資料『原発事故後、福島県では「甲状腺がん」になり人生を変えざるをえなかった子どもたちがいるのです。』(通販生活2022年夏号掲載)より

 

 

【OurPlanet-TV】「子ども甲状腺がん裁判」 始まる~20代女性陳述「大学行きたかった」

「子ども甲状腺がん裁判」 始まる~20代女性陳述「大学行きたかった」

 

■10年間、孤立してきた甲状腺がん患者と家族

「甲状腺がんが増えている」という報道には苦情やバッシングが殺到する社会状況、復興一色の福島県のなかで、誰かに相談することも助けを求めることもできずに孤立していた患者とその家族。小さな手がかりから白石さんは甲状腺がん患者家族と出会い、かかわりを深めていきました。当初は、その深い絶望と孤独感、封じ込められてきた言葉に接するたびに、眠れない日々がつづいたそうです。白石さんは、診療に不安を抱く母親からの要望で、福島県立医大への通院に同伴するなど、若い当事者のすぐそばで彼ら・彼女らの苦悩に寄り添いながら取材・支援をつづけています。若い年齢でがんと診断されることは本人や家族の精神的・肉体的な苦痛、治療費など経済面を含めた日常生活への影響など当事者以外には想像できない大変さがあります。大学入学や就労などの人生の節目で希望が叶わず我慢を強いられること、また結婚・妊娠・出産などへの不安、そもそも恋愛にすら億劫になってしまっている当事者たちの気持ちを伝えていただきました。

結婚、治療費、学業、就職、出産などさまざまな心配がある

甲状腺がん発症の原因を患者たちは知りたいと思っている

親しい友人、親戚にさえ話せないでいる患者もいる

甲状腺がんの発症は若い患者たちの人生に大きく影響する

甲状腺がんによってさまざまな我慢を強いられる若い患者たち

 

■3・11甲状腺がん子ども基金が実施したアンケート「甲状腺がん当事者の声 2022」

「3・11甲状腺がん子ども基金」は、2011年の東京電力福島第一原発事故以降に甲状腺がんと診断された子どもとそのご家族を多方面で支えるために2016年に設立された特定非営利活動法人。

【アンケートから】

・現在の体調には問題はないが、年齢的に結婚や出産を考えるようになり、がんになって薬を飲み続けている私でも、健康に赤ちゃんを産めるのか心配になり、将来を考えると不安。(26歳・女性)

・手術をした後からずっとヨウ素制限を続けており、ワカメや昆布などヨウ素が高いものは食べられない。ずっと続くのかと不安。薬を飲めばよいのだが、一生続けなければならないかと思うと、なかなか決断ができない。(25歳・男性)

・転職直後のタイミングで福島に帰れず、経過観察のための県立医大への通院ができなかった。それから2年ほど受診していないため、今の状態が気になってはいる。(27歳・女性)

・夜勤勤務が体の負担になってきたため、転職を考えている。(25歳・女性)

・子ども医療費受給資格がなくなったあと、一生内服しなければいけない薬代、診察、検査代がかかり、大人になってからの本人の負担が大きいのではと心配している。(16歳・男性)

・現在、奨学金を借りて大学へ通学しているので、将来、身体的に健康に働いて返済できるのか不安。(18歳・男性)

・昨年夏に結婚。心配なことがあるとすれば、今後も病気とつきあっていかなければならないことです。(28歳・女性)

・大学3年生。このまま何もなく、普通に元気に生活していければいいと願っています。(20歳・女性)

 

「手のひらサポート」アンケート-甲状腺がん当事者の声 2022

https://www.311kikin.org/wp-311kikin/asset/images/pdf/questionnaire2022.pdf

白石さんも調査に協力したアンケート(リンク先からダウンロード可)

 

■大手メディアで報道されない子ども甲状腺がん裁判

講演の終盤、白石さんがインタビューした原告の子どもたちの音声が流され、「2人以上の方に今日の話を伝えてください」というスライドが映されました。NHKなど大手メディアで甲状腺がん裁判のニュースが報道されない問題に触れて、今日の講演に参加していただいた一人一人が少しでも伝えていってほしいと求め、最後に裁判の原告の子どもたちへの支援を呼びかけました。会場では、裁判を支援するカンパが呼びかけられ、参加者から約26,000円が集まり、青山実行委員長から白石さんにカンパが手渡されました。

講演の最後に映された白石さんからのお願い

若い当事者の声が会場に流された

青山実行委員長から白石さんへ裁判へのカンパが手渡された

■参加者アンケートから

・日本は福島を切り捨て、若者を切り捨てた。福島のリアルを日本政府は見せないようにしている。その中で、将来のある若者が必死に生きている。なんとか希望を持たせてあげたい。自分たちの子どもや孫を見ているようだ。OurPlanet-TVはこのまま独自路線をつづけてほしい。協力したい。

・言葉にならないです。でも眼を背けることはできません。甲状腺がんの情報が少なく実態が見えにくいですが、現状がよくわかりました。原告の皆さんは私の子どもと同世代で、ひとごとではありません。しっかりこの裁判を見つめていきます。皆さんはひとりではありません。一緒にがんばろう。

・現実を知ってちょっと唖然としました。一人でも多くの国民に知ってもらいたいです。

・福島原発事故の結果に苦しんでいる人の存在を事実上隠ぺいされている現状に怒りを感じます。

・甲状腺がんが原発事故のせいだと認められていないことに驚きました。認めないように歪めていた調査委員会の長が国会議員になったことに怒りさえ覚えました。

・白石さんのお話たいへんわかりやすかったです。子どもたちへの影響は極力くいとめ止めなければならないのに、見えない形にしようとする大きな力が動いていると感じました。これからも地道な取材をつづけてください。

 

【各団体リンク】

311甲状腺がん子どもネットワーク

https://www.311support.net/

 

3・11甲状腺がん子ども基金

https://www.311kikin.org/

 

OurPlanet-TV

https://www.ourplanet-tv.org/

 

【講師プロフィール】

白石草(しらいし・はじめ)

ビデオ・ジャーナリスト

早稲田大学卒業後、テレビ局勤務などを経て、2001年に非営利のインターネット放送局「OurPlanet-TV」を設立(現在、代表理事)。マスメディアでは扱いにくいテーマを中心に番組を制作配信する一方、映像ワークショップを展開し、メディアの担い手作りに取り組む。一橋大学大学院地球社会研究科客員准教授。
3.11以降の原発報道などを評価され、2012年「放送ウーマン賞」「JCJ日本ジャーナリスト会議賞」「やよりジャーナリズム賞奨励賞」、2014年「科学ジャーナリスト大賞」を受賞。
著書:『ルポ チェルノブイリ 28年目の子どもたち~ウクライナの取り組みに学ぶ』(岩波ブックレット) 、『メディアをつくる 「小さな声」を伝えるために』(岩波ブックレット)、『ビデオカメラでいこう』(七つ森書館)

 

子どもが生まれ、平和で生きやすい社会を残したい思いが強くなった

「敵基地攻撃能力」など安保関連3文書の閣議決定に抗議

長野駅前での街頭宣伝で中村宏典さんがアピール

戦争をさせない1000人委員会・信州や県憲法9条を守る会連絡会など6団体、北信市民連合は12月16日、長野駅前で岸田政権が「敵基地攻撃能力」保有や防衛費の倍増をめざす安全保障関連3文書(国家安全保障戦略/国家防衛戦略/防衛力整備計画)の閣議決定に反対する街頭宣伝を行いました。参加者は約50人。宣伝カーを使って街頭アピールを行いました。

県労組会議青年女性連絡会事務局長の中村宏典さん(自治労)のアピールを掲載します。

アピールする中村宏典さん

参加者は横断幕、プラカードをもって抗議の意思を表した

 

「必要なのは、私たちの日々の暮らし、今日、明日を生きることに歯を食いしばっている人たちへの生活支援であって、軍拡にお金を使っている場合ではありません」

中村宏典さん(県労組会議青年女性連絡会事務局長)

私事ですが、先日、子どもが生まれました。この子が大きくなった時、平和で生きやすい社会であってほしいと願うばかりです。

いま、この国は平和と言えるのでしょうか。

ロシア政府によるウクライナ軍事侵攻を利用し、不安をあおって、軍拡が進んでいます。長距離巡航ミサイルの購入や護衛艦の改修による空母化、そして敵基地攻撃能力の保有。「戦争のできる国」へと変わろうとしています。軍事力が強まれば強まるほど、周辺諸国を刺激し、緊張関係が高まることは目に見えています。

子どもが大きくなったときにこの問題をどうやって説明してあげたらいいか、考えてみました。

今年、引越しをしました。隣近所への挨拶にいくとき、隣人はどんな人なのか、とても不安でした。今はあんまり挨拶に行かない人も多いし。

例えば、自分の隣の家に、昔からあまり話もしたことない、よく知らないAさんがいて、物騒な武器を持っていて、普段から庭で武器を使う練習をしている(この時点で通報ですが)って知ったら、じゃあ我が家も負けない武器を準備しなきゃ・・ってなりますかね、なるかもしれませんね。

じゃあ、Aさんの立場に立ってみます。

Aさんは元々、隣のBさんと昔から仲が良くない、今は落ち着いているようだけど。Bさんは向かいの大きな家に住むお金持ちのCさんと親しく、定期的に一緒に訓練している、お金もあるから色んな最新鋭の武器を準備している。Aさんを攻撃するとは言っていないけど、「敵を攻撃、排除するためだ」と、この敵って誰のこと?

そんな時、今までは先祖代々の家訓で「争いごとはしません、武器も持ちません」って宣言していたはずの私の家が、「今日から”敵”を攻撃するための武器を持ちます。それを仲良しでお金持ちのCさんから買います」となったら、Aさんはどう思う?

この話のハッピーエンドはありますか?

決して、核兵器を持つことを肯定しているわけではありませんが、守るためと言って、武器を買い揃えることが、解決に繋がるとは私は思えません。仮想の敵を作って、世論をあおりにあおり、ワールドカップの裏で国民にたいした説明もせずに、こんな物騒なことを決定しようとしている。反対の声をあげずにいられません。

そして、防衛費のことにしてもそうです。毎年どんどん上がっています。何兆円、GDPの何%といわれても、莫大すぎてよく分かりません。

子どもが生まれて、もうすでにお金が凄くかかっています。出産一時金で賄えない入院費が11万3000円、服やおむつやベッド、チャイルドシートなど最低限そろえるだけでもバカになりません。出産一時金を10万円増額する、じゃあいいかとなりません。騙されません。

格差社会で、6人に1人が貧困、特に若い人の貧困が増えています。子どもを持たない理由の第一位が、圧倒的に経済的負担で、「今以上の生活費や教育にかかる経済的負担にたえられない」が理由。しかも、20代30代では特に顕著、自分ひとり、夫婦だけでも余裕がないのに、結婚も出産も考えられない、こんな国で本当によいのでしょうか?

限りある財源で、本当に今、防衛費にお金が必要ですか?それが本当に私たちのためなんでしょうか。それとも!国家を守るためには国民は犠牲になってもいいのか?贅沢は敵ですか?

子どもをもつ、持たないの選択が、お金に余裕のあるなしで決まってほしくない、決して贅沢な望みではないと思います。

いま、必要なのは、私たちの日々の暮らし、今日を明日を生きることに歯を食いしばっている私たちの生活への支援であって、軍拡にお金を使っている場合ではありません!

このことを声を大にして訴えたくて、今日、この場に来ました。ありがとうございました。

平和フォーラムが閣議決定に抗議の声明を発表

平和フォーラムが3年ぶりに「ピーススクール」開く

若手組合員約40人が3日間、平和や憲法、人権、環境問題を学ぶ

長野県からは青木雅裕・私鉄県連書記長が参加

フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)は11月18日から20日までの3日間、東京都内に全国から約40人の40歳程度までの若手組合員を集めて「2022ピーススクール」を開きました。労働組合の活動で平和や人権、民主主義の意義を広げていく取り組みが重要性を増しているなか、次代を担う人材の育成が求められています。ピーススクールでは、平和・人権・環境・民主主義などに関するテーマで6人の講師が講演、フィールドワークとして参加者は、国会前での宣伝行動にも参加しました。

長野県からは、私鉄県連書記長(アルピコ労組川中島バス支部)の青木雅裕さんが参加しました。青木さんの報告・感想を掲載します。

「改めて活動の原点に触れたスクールだった」

青木雅裕(私鉄長野県連書記長)

誠に恥ずかしながら会社に入社してから今まで労働組合の活動には参加してきた方だと思っていました、「平和」や「護憲」に関わる集会や春闘に伴う集会など活動などです。今では自分が伝えなくてはならない立場になって、改めて活動の原点にふれ、日々変わる情勢に目を向けながら学習はいくらやってもいいのだと思った次第です。

全国から集まった参加者が3日間みっちりと学習

スクールでは班に分かれて「ディベート」も体験した

第1講座 原水禁運動の歴史と課題  金子哲夫氏(広島原水爆代表委員)

今年の原水禁世界大会(広島)にも参加し、日本の被爆者の多くが高齢化していて自分たちの世代が伝える役割持たなくてはと思っていましたが、原水禁運動はウラン採掘者やマーシャル諸島の住民までと聞いて、自分が日本のことしか考えていなかったと思い知らされました。

第2講座 立憲民主党前代表が語る  枝野幸男氏(立憲民主党前代表)

枝野幸男・立憲民主党前代表

労働組合で役員をやっていて民主主義が最善だと思いの方も多いと思われますが、枝野元代表の「民主主義は間違えるときも在る」とのお話しを聞いて、過去に自分の組合で意見が割れた案件などで、多数決で採決した事がありました、枝野議員は国民や組合員がしっかりと監視をしていないと民主主義は間違った方向に向かう時がある。例えば「ヒトラー」や「ムッソリーニ」など、圧倒的な支持を受けて誕生した政権が独裁指導体制となりホロコーストを引き起こし多くの人命を奪うことに繋がるなど同じ過ちを犯さぬようにしてなくてはならないと強調しました。

第3講座 在留外国人の人権課題  鳥居一平氏(移住連代表理事)

外国人労働者の実態を聞いたのは初めてでした。長野県にも労働人口の減少により、海外からの技能実習生が多くいます。働く姿を目にしても何気なく過ごしていましたが、働く外国人の方々の労働実態には大変興味を持ちました。雇用主が思うがまま過酷な条件を突きつけて働かせ、実習生が意見をすれば契約を打ち切り強制帰国になることもあると言います。鳥井氏の元に救済を求めた技能実習生は所定の労働時間に260時間にも及ぶ時間外労働を強いられたり、2年間も休みもなく働かせたり、日本に実習で来た際に生活用品は付与されますが、寝具や家電など用意はあっても高額なリース代を毎月請求されたりと、雇用主からの「ピンハネ」が酷い実態である事も聞かせていただきました。日本では賃金を抑えて利益を追求する風潮が長く続いています。このままでは日本はダメになると強く感じました。

第4講座 憲法を考えるワークショップ   本庄未佳氏(岩手大学准教授)

本庄未佳・岩手大学准教授

日本国憲法前文の作成過程で前文を作成した「ハッシー」氏の描いた日本国憲法は平和憲法に道徳的な表現を用いるべきではないと主張しましたが、GHQを率いる米国(マッカーサー)の思惑と違っていました。GHQは敗戦国である日本の武力を奪い、その無防備な日本を米国が守る、沖縄を要塞化する事で他国の侵略に備えたのだと話されました。

憲法では戦力の不保持・交戦権は否認するが、自衛権を否定するものではないと規定しています。自民党が進めるのは集団的自衛権を行使するために「憲法」を改憲したいのではなく「日米安全保障条約」を改悪したいだけだとのお話しを聞かせてもらいました。

第5講座 近代沖縄の歴史と文化  大里知子氏(法政大学沖縄文化研准教授)

大里知子・法政大学沖縄文化研究所准教授

沖縄の歴史を知るには琉球王朝の時代に遡らないと今の沖縄のアイデンティティーは伝わらないとのお話しでした。日本人の多くの方々は沖縄の戦中・戦後の話ししか知らなくて、日米地位協定がある事で、基地周辺で様々な事件が起こるたびに泣いてきた沖縄県民、自分たちの生活を守る為に祖国復帰を果たし「日本国憲法」が適用されることを望む人が多くいたと、沖縄県の参加者の声を聞き気付かされました。

 

第6講座 環境課題と原発  松久保肇氏(原子力資料情報室事務局長)

日本政府の進めるCO2排出削減や電力需給の問題など、昨今電力供給不足のために節電を要請する電力会社の報道が時々あります。この逼迫した状況を打開するために、原発を稼働させようとする世の中の動きもありますが、原発を稼働させたとしても、火力発電所を止めるので逼迫状況は変わらないとのお話しでした。原発を稼働させればCO2は排出しませんが、燃料となる核燃料を作成する際には大量のCO2を排出すること、今後新たな原発を建設することは難しいので、いまある原発の対応年数の40年を延長させたい経済界の思惑が見え隠れします。日本は海外から輸入する化石燃料を購入しなくてはならない国なので全ての原発に反対するというのも難しい判断だと思いますが、「核のゴミ」問題も解決の糸口すらまだなく、最終処分場の予定地である北海道の問題も自分の住む街じゃないからと目を伏せていてはダメだと思いました。

後世に押し付けることなく「自然エネルギー」の技術がもっと発展するために自分への問題意識にしなくてなりません。

フィールドワークは国会前での宣伝行動

国会議事堂の前で

国会前行動であいさつする勝島一博・平和フォーラム共同代表

発言する青木雅裕さん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピース・スクールを終えて

コロナ感染症が拡大する中で、当初予定していた懇親会などがなくなり、黙食で夕飯を食べるなど、全国から集まった仲間との交流は行えず少し寂しく感じましたが、主催者のリスク管理を思えば仕方ない判断なのだと思いました。事務局の方々は「平和」「軍事」「憲法」など多岐にわたる日本の問題の捉え方を押し付ける集会をしているのではなく、すべての物事を自分たちで考える機会を与えてくださったと思っています。

集会の締めに、三つのテーマを各班ごと分けて討論する場「ディベート」を行いました。

・原発の再稼働は「1必要」「2不必要」

・防衛力の増強は「3必要」「4不必要」

・労働組合の積極的な政治への関与と平和運動「5必要」「6不必要」

6班に分けられたグループがそれぞれの立場を選び肯定派と反対派に分かれて討論しました。

日頃から組合では反対派の声を聞く機会があります。組合の役員を担っていると、不満を言う組合員の声を聞くと思いますが、頭ごなしに否定するのではなく、相手の主張をしっかり聞いて答えなくはならない、責任感を改めて持ったいい機会になりました。

長野県内の仲間の皆様、参加させて頂きありがとうございました。

留学同東海の皆さんと松代大本営地下壕を見学し、交流しました

 秋の気配が漂い始めた去る10月22日(土)、松代大本営追悼碑を守る会では、留学同東海の皆さん(主に愛知、岐阜、三重、長野、静岡で活動している朝鮮半島にルーツを持つ大学生、専門学校学生)と県労組会議青年女性連絡会が集い、限られた時間のなか、交流会を催しました。

 初めに、松代大本営地下壕隣の『もう一つの歴史館・松代』のガイド・宮島さんから説明を受けながら見学、次に追悼碑を守る会・喜多事務局長から長野市の案内看板について解説、壕の中を石合上田市議の案内のもと、見学しました。留学同東海の皆さんは、到着すると明るい笑顔で挨拶をしてくれましたが、案内が始まるとメモを取り、終始真剣な表情で聴いていて、その様子がとても印象的でした。

 見学後は、長野市の有形文化財・寺町商家(旧金箱家住宅)に場所を移して、それぞれの活動の紹介を聴き、5班に分かれて松代大本営を見学した感想などを話し合いました。短い時間での交流となったこともあり、参加者からは、初対面であることとそれぞれの歴史認識の相違などの心配もあり少々不安な気持ちがあったようで、想像以上に学びの大きい楽しい交流となり、また次回もこのような会を開いてほしいという声をいただきました。この出逢いをきっかけに今後もつながっていくことを約束して解散しました。

追悼碑について説明する喜多事務局長

真剣なまなざしで聴く参加者の皆さん

喜多事務局長から長野市の案内看板についての話を聴く参加者たち

追悼碑の前で集合写真

石合市議が壕の中を案内

壕の中での参加者の様子

寺町商家での様子

留学同東海の活動について報告

県労組会議青年女性連絡会の活動報告

B班で話し合ったことを発表

C班で話し合ったことを発表

喜多事務局長によるまとめ

 ※留学同とは

正式名称は在日本朝鮮留学生同盟といい、1945年9月14日に結成されました。在日同胞団体の中でも旧い歴史と伝統を持つ留学同は、日本の各大学・短大・専門学校で学ぶたくさんの同胞学生が集う学生団体です。留学同は、各自の個性を大切にし、大衆的で、開かれた運営をモットーにしています。

留学同は結成以来、同胞学生を祖国のもとに固く結集させ、祖国の平和・統一・発展、同胞社会の繁栄に少なからず貢献してきた祖国愛、民族愛を大事にする団体です。留学同は、祖国の北・南・海外の同胞青年学生との団結と交流を強める一方、日本と世界各国の学生との友好・親善を深める活動を活発に行っています。21世紀、同胞学生のより豊かで充実した明るい未来のために留学同は日々邁進しています。(留学同中央ホームページより)